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病院からは、アルコールの臭いが立ち込めていた。
手術を終えた、看護婦たちが、手術服を脱ぎながら、手を消毒して、
水で洗っている。ティムは軍事病院に来ていた。
戦争の捕虜の兵士たちの見舞いに来ていた。
兵士達以外に捕虜にした男も含まれていた。
ティムは医務室で男の状態を聞く。
医師は「火薬で足に腫瘍ができている。切断するしかない」
点滴を受ける男になにかほしいと言われて、チョコレートを渡す。
部屋の外の通路では看護婦と兵士達の妻が、命に別状はないかとゆう話をしていた。
妻たちはひどい心配性でヒステリックになっている姿もあった。
兵士の一人が重症で運び込まれ、医者の数が足りてないせいか、狭い通路は重症の兵士で多いつくされていた。
中には血だらけの患者もおり、看護婦がいそがしく点滴をかえていた。
捕虜の男はその中のタンカにのって、ぼうっと暗い天井を見つめていた。
看護婦達や医師達が心臓マッサージをしている。
患者はタンカにのって次々に運ばれてくる。
それからしばらくして、ティムは軍事病院にきていた。
あの捕虜の見舞いに来ていた。兵士達以外にあの捕虜の男も含まれていた。
部屋の外の通路では看護婦と兵士の妻が命に別状はないかとゆう話をしていた。
ティムは、勤務を終えた後、病院に立ち寄るのは日課になっていた。
ティムは身寄りを戦争で失った、あの捕虜の男の心配をした。
あの捕虜は動けなくなっていて、
車椅子に若くしてなっていて、自信を喪失したのだろうか、ティムの問いに男の顔は暗かった。
だんだんと自分に銃口を向けた、捕虜の男の戦争体験を取材するうち、捕虜の男との友情も芽生えた。
もう身寄りもいなく、彼の事を世話しているのはティムだけになっていた。
ある日、男を車椅子で散歩させてあげた。
自分のシーツと男のシーツの洗濯をして、男の情報を夜勤の看護婦から聞いていた。
その日は、会話しながら公園を散歩するくらいで終わったが、
ある日、風呂に看護婦に入れてもらっている時に、その姿を見て何人か、
「あんなふうになりたくない」なんて声が、患者の男の子まで聞こえてくる。
その時、男は黙っていたが、男の子は言う。
「夜になると、僕と同じ戦争の患者がよく口にするのです。こんな車椅子生活が永遠ですか・・・。昔は陸上をやっていました。若くして足を失った人間の気持ちがわかるかい?」とティムに愚痴をこぼす。
ティムは考えていた。
「この人はこれからどうなるのだろう」
そのまま車椅子を動かしていた。
ティムは病室の捕虜に語りかけた。
捕虜の男は「ひきだしをあけてくれないか?」とティムに言った。
「足が動かないからひきだしを開けるのも人手がいるんだよ」
ティムが引き出しを開けるとノートと子供の写真が出てきた。
「これは?」
「この戦争の思い出を記録したアルバムだよ。動けないから毎日つけているんだ」
「この写真は?」
「僕の子供だよ。この戦争が終わる頃には大きくなっているんだろうなぁ」
「息子さんの写真ですか・・・」
「家族の写真を見せてくれ・・・」男は突然、手を差し伸べて言った。
男は写真を握りしめて、その写真を見た。
ティムは男の手を掴んで抱きしめると、
「戦争が終われば、家族に会えるよ。きっと、きっとだよ」と励ました。
それから男は「僕はどうすればいいか悩んでいる」
「施設なら引き取ってくれるんじゃないかな。戦争が終われば、ベルカに帰ればいい」
男に親元がいないなら、施設に行くのをティムは勧めた。

それからしばらくして、ベルカ軍の爆撃機7機が捕虜のいる病院を爆撃したのである。
病院が無差別攻撃をくらったとゆう知らせはすぐティムに届いた。
ティムは車を走らせた。
病院は瓦礫の山で、多くの血のついた患者服に子供の親たちが、子供を抱きしめて泣いていた。
ティムは捕虜の男の病室に急いだ。
「この病室の患者を探しているのですが」看護婦に尋ねる。
「私のわかる限りでは、その方はここにはいません」
「では何処に?」
「処置室だと思うわ」
「処置室は何処になります?」ティムは慌てた表情で聞き返す。
「案内します」人混みをかき分け処置室へと向かう。
点滴が見えて、男はいた。
それを見た看護婦が、ティムに今昏睡状態だから面会はやめてと外に連れ出された。
その数十分後に「ピーツ」とゆう音が響く。
それが何の音かティムにもわかった。
捕虜の男の鼓動は停止した。
処置室に入ると、男の遺体に看護婦が祈りを捧げていた。
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