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1夜あけて、1夜あけて、ティムと老人は大きな峠を渡っていた。
その高地は大変な濃霧であった。

「こんな霧じゃ右も左もわかんねぇ」

そういいながら、
老人とティムのいる兵一行は方位磁石を見て、老馬を引きながら道を進んでいた。
今、この磁石こそが、この一行の有無を支えていた。

「ヘリでこんな高地の上空を飛んで行けば、楽だったのに」と、複雑そうにティムは言った。

「この霧でヘリも飛ばせないだろうし、実際無いからな」
「夜までには峠を超えないと、大変な事になる」
一行はそんな内、霧が晴れてきて、雪も溶け出した。
太陽の光が差こみ、一行に大自然の偉大さを教えてくれる。
切りたった崖でその先はゆるやかな峠になっていた。そしてティムは、戦いの前夜の青年兵の横顔をカメラに収めた。迫る戦車を双眼鏡で確認すると、反政府軍の被るニット帽をつけて、兵士の一人は無線で本部に連絡を入れる。
ティムは建物の中で、敵が来たのを察知し、手の銃のAKを握り締めた。
迫る戦車部隊を見ようと、双眼鏡を仲間の一人が無理やり奪い取って見ていた。
建物の屋上は高射砲が備えられ、地雷を市街地の周りにかためる。
敵が来たのを察知し兵士達が手招きをしている。
そのうちベルカの戦車隊がディレクタスに迫った。
その戦車隊を市街地に入る1つの道の所で、反政府軍の建物の屋上の高射長距離砲が、
あらゆる所から、ベルカの戦車部隊に、嵐の豪雨のごとく400ミリ砲の集中砲火を浴びせた。
ティムは市街地の道を横切り、戦車体に迫った後、
砲弾の飛び交う中、
ティムは、火炎瓶を戦車のキャタピラにはめ込み、爆発させた。
多くの反政府軍が、突撃を開始した。
その後、ティムは建物に行き、スナイパーライフルを片手の狙撃兵と合流する。
「弾だ、弾をはやくよこせ」
狙撃兵の近くで機関銃を放っている兵士がティムに言う。
「今、やってる」必死にティムは言った。
弾を補充した後、戦車隊の砲撃により、ティムの建物の屋根に衝撃がはしり、衝撃とともに建物の天井が揺らぐ。
兵士達が多く砲撃を受ける中。
ティムの放つ弾は戦車にはねかえされていく。
戦車隊は、ひるむ事なく進撃をつずける
崖を渡る時、1発の銃弾がティムの頬をかすった。
大声で仲間の一人が言う、
「敵だ!」
全員、戦闘態勢にはいる。ティムは持っていたM70で崖の上から敵兵に銃を連射した。仲間の一人が倒れる。
数分後、戦闘は終わり、敵兵はかがみこんで味方の銃を向られていた。
「捕虜を数人捕まえた。町はすぐ近くだからそこの病院で治療してもらうよう、町まで捕虜を同行させよう」
「町まで連れていくのか?面倒な奴はここで殺せばいい」仲間の一人が言った。
「いや、反政府は情報が政府ほどないのが現状だ。生かせておいて政府軍の事をいろいろ調べよう」上官が言った。
「僕を今、殺せ」捕虜の男が言った。
「殺してほしいみたいだ、とっととやっちまおうぜ」一人が言った。
男は拳銃を持ってティムに銃口を向ける。
「おいおいやるめてえだな」緊張がはしる。
「黙れ」
「あんたは負けた」
ティムの強い眼差しに男は手を後ろに回す。
「生かして、敵軍の情報を聞きたい。町まで連れてく」上官は言った。
そんな内、一行は峠を越え、町が見えてきた。
なんとか町にはつけたみたいだ。
一行に安堵の表情がはしる。

「やっと、町だ。とうとう俺もファシスト連中をこのウスティオから破ってやる
機会を得れた」と大きな声で老人は言った。
「政府軍はファシストじゃないよ」

そう言ったが、老人の方は見ず、
町の方を見ていた。
峠をまた下ると、町の工場の賑やかな音が聞こえてきた。
多分、熱した石炭をたく音だろうか。

「まあ、無事に高地を越えれた。一休みしよう」
「俺は先に町にいっとるで」
「じゃあ僕は遅れて行きます」と、自分の水筒の水を飲みながら、
携帯用のアジの缶詰をキレイに開け口を鉄のスパナで開け、
アジを口に放り込んだ。

これに、肉がほしいな。温めて食べたい。火は起こせるが、
町に行って、一刻も早く腹のたしになる物が欲しかった。
町に集結している、反政府軍の装甲車や戦車が多く走っているが、
想像以上の数には驚かされた。

「これだけの勢力が集まったか。データより実際見てみると、
実感がわくもんだ」

町の司令部に行って、まず情報を集めないとと思った。
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