感情喪失少女

紗霧 鈴

文字の大きさ
上 下
6 / 17
彼女の未来が消えてく。

階段事件

しおりを挟む
~次の日~
「よぉ!飴彩くん?元気ですか!?」
元気の良い零の声に
「へいへい」と適当に言葉を返す。
なんだか今日は気持ちの悪い天気で機嫌が少し悪いのだ。
明るくなったらすぐ暗くなったり、本当に気味が悪い。
そんな事を考えながら授業を受け流すのだった……

「え~次、体育じゃん??」
「まじかー嫌だよぉ」
そんな会話を聞いて着替えしないといけないことに気が付いた。
これだから、田舎高校は嫌なのだ。
男女合同体育なんて中学までだと思っていたのに。
そんな事を頭に浮かべながら、荷物を持ち、零と共に移動を始めた。
階段まで来た所で、夢李と女子達が話しているのを見つけた。ここまで来てしまったからには引き返す事も出来ない。
男子は僕達2人しかこの場にはおらず困っていた。
流石に何も知らないふりして通るわけにも行かず少しその場で見守る事にした。
「ねぇ?前にさ、私の事猿って言ったでしょ?」
「……だからなんなの。早くしてよ。着替える時間無くなるよ。」
「その事ね私まだ怒ってるんだよ。でも許してあげてもいいかなって考えてるの。」
「……で?」
「私ね中学の時飴彩君と同じ学校だったの。
でね、飴彩君が虐められてた。でも、助けられなかったの。でも、せめて力になってあげたくて。だからね、陰ながら少し頑張ってたの。飴彩君いじめてる人達に辞めて欲しいって何度もお願いしたり、飴彩君の机が汚されてたり、落書きされてたら片付けてあげたり。
なのに…彼が褒めて感謝してるのはあなただった。」
……そうだったのか。知らなかった。
彼女は同じクラスでいつもみんなの中心の女子だったから。どうせ僕を馬鹿にしているんだと思っていたが、本当に守ってくれていたのは彼女だったのだ。
つまり、全ては……僕のせい??
彼女がこうしていじめられるのも??
僕は“また”こうやって知らぬ間に人を傷付けたんだ。
「だから……なに?私は彼に感謝してなんて言ってない。」
「だからね、飴彩君を助けてくれた貴方には感謝してるのよ?でね、なんで私達がこんな事してるか……わかる??」
「そこまでいけ好かないの?」
「私ね、飴彩君の事好きなの。
貴方入学式の日。彼に言ったわよね??
“また沢山話そうね”って。
そして小さい声で言ってたわよね??
“優しくて強い女子なんて…こんな学校に求めちゃいけないよ。ここの女全員屑だから”って…この言葉が許せなかったのよ!
私は陰ながらでも少しずつ確実に飴彩君を守っていたのよ?!それなのに私も屑なの!?
それに、私達初めはあんたと話そうとした。
けど、ヘッドホンして本に視線を向けてばっかで視線合わせなかったのは誰よ?!
そして飴彩君をたまにちらちら見てた。
それって、あんたも飴彩君が好きなんでしょ?!」
夢李は叫んだ。
「違うっ。違う。そんな事有り得ない。」
やはり無表情の夢李がそう言うと彼女はすぅと息を吸って言った。
「言い訳はいらないわ。ねぇ、それを見て決めた事があるの。
“菓子餅夢李から私が悠崎飴彩君を守らなきゃ”って。飴彩君は私の物だもん。邪魔な夢李ちゃんは……消えて?それで許すから。」
ほんの刹那の出来事。
彼女に押され夢李が階段から落下していく。
ふわりと一瞬だけ浮いた体はゆっくりと落ちていく。
待て待て待て……理解が出来ないどうなっている??
焦った僕は何も考えずに飛び出し叫んだ。
「何やってんだよお前ら?!夢李に何やってんだ!!」
それからの事はよく覚えていない。ただ、
何も考えず彼女に殴り掛かりそうになる僕を必死に止める零のほんの少し同情したような顔だけははっきりと覚えていた……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

私たち、博麗学園おしがまクラブ(非公認)です! 〜特大膀胱JKたちのおしがま記録〜

赤髪命
青春
街のはずれ、最寄り駅からも少し離れたところにある私立高校、博麗学園。そのある新入生のクラスのお嬢様・高橋玲菜、清楚で真面目・内海栞、人懐っこいギャル・宮内愛海の3人には、膀胱が同年代の女子に比べて非常に大きいという特徴があった。 これは、そんな学校で普段はトイレにほとんど行かない彼女たちの爆尿おしがまの記録。 友情あり、恋愛あり、おしがまあり、そしておもらしもあり!? そんなおしがまクラブのドタバタ青春小説!

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

先輩に振られた。でも、いとこと幼馴染が結婚したいという想いを伝えてくる。俺を振った先輩は、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。

のんびりとゆっくり
青春
俺、海春夢海(うみはるゆめうみ)。俺は高校一年生の時、先輩に振られた。高校二年生の始業式の日、俺は、いとこの春島紗緒里(はるしまさおり)ちゃんと再会を果たす。彼女は、幼い頃もかわいかったが、より一層かわいくなっていた。彼女は、俺に恋している。そして、婚約して結婚したい、と言ってきている。戸惑いながらも、彼女の熱い想いに、次第に彼女に傾いていく俺の心。そして、かわいい子で幼馴染の夏森寿々子(なつもりすずこ)ちゃんも、俺と婚約して結婚してほしい、という気持ちを伝えてきた。先輩は、その後、付き合ってほしいと言ってきたが、間に合わない。俺のデレデレ、甘々でラブラブな青春が、今始まろうとしている。この作品は、「小説家になろう」様「カクヨム」様にも投稿しています。「小説家になろう」様「カクヨム」様への投稿は、「先輩に振られた俺。でも、その後、いとこと幼馴染が婚約して結婚したい、という想いを一生懸命伝えてくる。俺を振った先輩が付き合ってほしいと言ってきても、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。」という題名でしています。

機械娘の機ぐるみを着せないで!

ジャン・幸田
青春
 二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!  そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件

木村 サイダー
青春
中学時代のいじめをきっかけに非モテ・ボッチを決め込むようになった高校2年生・御堂雅樹。素人ながら地域や雑誌などを賑わすほどの美しさとスタイルを持ち、成績も優秀で運動神経も発達し、中でもケンカは負け知らずでめっぽう強く学内で男女問わずのモテモテの高校1年生の妹、御堂樹里。親元から離れ二人で学園の近くで同居・・・・というか樹里が雅樹をナチュラル召使的に扱っていたのだが、雅樹に好きな人が現れてから、樹里の心境に変化が起きて行く。雅樹の恋模様は?樹里とは本当に兄妹なのか?美しく解き放たれて、自由になれるというのは本当に良いことだけなのだろうか? ■場所 関西のとある地方都市 ■登場人物 ●御堂雅樹 本作の主人公。身長約百七十六センチと高めの細マッチョ。ボサボサ頭の目隠れ男子。趣味は釣りとエロゲー。スポーツは特にしないが妹と筋トレには励んでいる。 ●御堂樹里 本作のヒロイン。身長百七十センチにIカップのバストを持ち、腹筋はエイトパックに分かれる絶世の美少女。芸能界からのスカウト多数。天性の格闘センスと身体能力でケンカ最強。強烈な人間不信&兄妹コンプレックス。素直ではなく、兄の前で自分はモテまくりアピールをしまくったり、わざと夜に出かけてヤキモチを焼かせている。今回新たな癖に目覚める。 ●田中真理 雅樹の同級生で同じ特進科のクラス。肌質や髪の毛の性質のせいで不細工扱い。『オッペケペーズ』と呼ばれてスクールカースト最下層の女子三人組の一人。持っている素質は美人であると雅樹が見抜く。あまり思慮深くなく、先の先を読まないで行動してしまうところがある。

処理中です...