感情隠蔽少女

お互いがお互いを憎み合う。

～放課後(廉)～
まじあいつなんだぁ！？
僕は内心めちゃめちゃイラついてる。
あの凜がとにかくムカつくのだ。
人が話してんのにヘッドホン外さないし起き上がろうともせずずっと寝転がってる。
その全てが気に入らねぇ……
そんな事思いながら家の帰路を辿っていた。
僕が彼女を嫌ってるから…ミラーの法則だな。
分かっちゃいるけど態度が気に入らない。
視線ぐらい合わすのが筋だろう。
可愛いからって調子乗ってる奴は嫌いだ。
ってか、容姿が秀でてる奴って大体世間知らずのお嬢様が多かったりする。
容姿が秀でてると性格は歪むもんなのかなぁ。
そんな事思いながら心の片隅で言い過ぎたなって思っていたりもする。
うぅ……どうしたら…
“お前なぁ～？少し容姿が良いからって調子乗ってんなよ？”
“は？調子乗ってないよっ！
もう良い！私に関わらないでっ！”
うーん……別に悪気は無かった。
でも……なんか嫌だったんだ。
調子乗ってるなら辞めて欲しかった。
ただそれだけなんだ。
はぁ……もう良い。後は明日考えよう。
僕はそう自己完結し家へ走った……

～放課後(凜)～
自分の容姿が良いなんて思ってない。
調子になんて乗ってない……
馬鹿じゃないの？
人の気持ちも分からずにそういう事言うなよ。
危なかったじゃん。
本気で叫んじゃう所だった。
本当にもう私に関わらないでくれないかな。
正直迷惑だ。
あんな奴嫌いだ。
もう顔も見たくない。
私はあいつが嫌い。あいつは私が嫌い。
お互いにお互いを憎み合ってるんだ。
だからダメなんだと思う。
もういっか。
もう楽しいスクールライフなんて諦めよう。
馬鹿らしくて切なくて誰か助けて欲しい。
こんな刹那な時でも誰かが傍に居てくれるだけで全然変わるんだと思う。
例えば……いや……考えるのはやめよ。
もう思い出さないって決めたんだ。
あぁ、なんて愚かなんだろう。
また思い出そうとするなんて。
馬鹿過ぎる。
お互い傷つく事ぐらい分かってんだろ？
もう、思い出すなよ。
中学の時会った感情喪失病にかかっている“友達”の事なんて。
思い出さなくて良い。
もう彼女とはさよならしたんだから。

“じゃーね！……もう逢えないけど…”
“良いんだよ。だって…もう繋がってるんだから。それに私たち一緒なんだから！”

彼女とは電話番号とメアドを交換して別れた。
でもお互いに話すのが怖くてどちらも使えてない。
あぁ、私って全然ダメだ。
私は小走りで家に帰った…