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白昼
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「で、でも。僕にとって一番は陽咲だし、そんな気持ちで他の誰かと一緒になったり、相手を探すなんてその人に失礼じゃん」
どうにかこうにかの抵抗。僕の言葉に題名を付けるのならそれが一番だと思う。尤もらしい事を言ってたけど、本当は相手に対するそんな配慮や気遣いは無いのだから。
「そう言われたらそうだけど。でも、そう言う人に出会えるかもしれないよ? もっと言えば、そういう人と出会って君にはまた幸せになって欲しい」
「どう言う事?」
「君が私の事を愛してくれてるのは分かる。そんな私が居なくなって――自分で言うのもちょっと恥ずかしいけど、空いた心の穴を埋められるような人。私を愛してくれたのと同じくらい愛せるって思えるような人と出会って欲しいんだ。でもその為にはまず第一歩。君が歩き出して、そんな人を探さないと。私はそれを手助けしたい。その為に君の前に現れたんだよ」
「でも僕は……」
何を言えばいいか分からなかった。
「我が儘だって分かってる。もし逆の立場だったら同じように嫌だって思うと思うし。でも君はどう? もし逆の立場だったら。私に新しい人と出会って、再婚して、新しい幸せを手に入れて欲しいって思わない?」
考えるまでも無い。僕は常に陽咲に幸せであって欲しい。もし僕が先に死んで、ずっと悲しみに暮れ一人でいる彼女を見ているのは辛い。直ぐにでも他に良い人を見つけて僕に見せてくれたのと同じかそれ以上の笑顔で笑って幸せでいて欲しいって思う。
だからだろうか。余りのも説得力のあり過ぎる彼女の言葉に何も言えなくなったのは。
「私は思うよ。――だからこうして化けて出たんだもん」
両手で定番の幽霊ポーズをしながら少しおちゃらけて見せた。でも僕にはそれすらも懐古の情を刺激する。陽咲は自分で作り出した真剣な空気がむず痒いらしく、よくおちゃらけては自分で壊していた。
だから僕は一秒でも長く彼女と一緒に居たい。そう強く思ったんだ。
「――分かったよ。君の言う通り。僕が逆の立場だったら同じように思うかもしれない」
それがその場凌ぎだったとしても、今の僕には良かった。僕は自分勝手だ。
「ホントに?」
眩しい程に煌めいた――かのように思えた彼女の表情が僕を見る。
「どうなるか分からないけど、とりあえずはね」
「うん。それでいい。別に無理して見つけて欲しいって訳じゃないんだよ。ただ私は探して欲しいんだ。色んな人と出会って、デートしてみて、その中にいたらでいい。君を私の事を忘れるぐらい幸せにしてくれる人がいたら、付き合って、結婚して――私はそんな人に君を任せたいんだ」
そんな人はどこを探してもいるはずないんだ。僕は言葉にはしなかったが、そんな事を心の中で呟いていた。
「だから一緒に探そう。君のこれからの為にもね」
「……そうだね」
まるで感情に干渉されず表情の変わらない狐面のように、心を隠した僕の顔は無機質な微笑みを浮かべていた。
「んー。でも探すって言いはしたけど、どーしたらいいかなぁ。私自身、そんな経験ないし」
そんな僕を他所に陽咲は腕を組み考え始めていた。どうせならずっと思いつかないまま、この状態で何も変わらなければいいのに。彼女を見つめながら僕はそんな事を考えてしまう。
「じゃあ、マッチングアプリとかは?」
「いやそれはちょっと……」
「もしかしてやった事ある?」
「無いけどさ。あんまり気乗りしないかなぁ」
「まぁ君ってそう言うの苦手だもんね」
細かく頷いていた陽咲は再度、腕組みをし別の何かを考え始める。
うーん、と声を漏らしながら数十秒といったところだろうか。
「ならもう思い切って」
片手を腰に添え、もう片方で指を差すように人差し指を立てた陽咲は同時にこんな提案をしてきた。
「合コンとか行っちゃおうよ」
「えっ?」
どうにかこうにかの抵抗。僕の言葉に題名を付けるのならそれが一番だと思う。尤もらしい事を言ってたけど、本当は相手に対するそんな配慮や気遣いは無いのだから。
「そう言われたらそうだけど。でも、そう言う人に出会えるかもしれないよ? もっと言えば、そういう人と出会って君にはまた幸せになって欲しい」
「どう言う事?」
「君が私の事を愛してくれてるのは分かる。そんな私が居なくなって――自分で言うのもちょっと恥ずかしいけど、空いた心の穴を埋められるような人。私を愛してくれたのと同じくらい愛せるって思えるような人と出会って欲しいんだ。でもその為にはまず第一歩。君が歩き出して、そんな人を探さないと。私はそれを手助けしたい。その為に君の前に現れたんだよ」
「でも僕は……」
何を言えばいいか分からなかった。
「我が儘だって分かってる。もし逆の立場だったら同じように嫌だって思うと思うし。でも君はどう? もし逆の立場だったら。私に新しい人と出会って、再婚して、新しい幸せを手に入れて欲しいって思わない?」
考えるまでも無い。僕は常に陽咲に幸せであって欲しい。もし僕が先に死んで、ずっと悲しみに暮れ一人でいる彼女を見ているのは辛い。直ぐにでも他に良い人を見つけて僕に見せてくれたのと同じかそれ以上の笑顔で笑って幸せでいて欲しいって思う。
だからだろうか。余りのも説得力のあり過ぎる彼女の言葉に何も言えなくなったのは。
「私は思うよ。――だからこうして化けて出たんだもん」
両手で定番の幽霊ポーズをしながら少しおちゃらけて見せた。でも僕にはそれすらも懐古の情を刺激する。陽咲は自分で作り出した真剣な空気がむず痒いらしく、よくおちゃらけては自分で壊していた。
だから僕は一秒でも長く彼女と一緒に居たい。そう強く思ったんだ。
「――分かったよ。君の言う通り。僕が逆の立場だったら同じように思うかもしれない」
それがその場凌ぎだったとしても、今の僕には良かった。僕は自分勝手だ。
「ホントに?」
眩しい程に煌めいた――かのように思えた彼女の表情が僕を見る。
「どうなるか分からないけど、とりあえずはね」
「うん。それでいい。別に無理して見つけて欲しいって訳じゃないんだよ。ただ私は探して欲しいんだ。色んな人と出会って、デートしてみて、その中にいたらでいい。君を私の事を忘れるぐらい幸せにしてくれる人がいたら、付き合って、結婚して――私はそんな人に君を任せたいんだ」
そんな人はどこを探してもいるはずないんだ。僕は言葉にはしなかったが、そんな事を心の中で呟いていた。
「だから一緒に探そう。君のこれからの為にもね」
「……そうだね」
まるで感情に干渉されず表情の変わらない狐面のように、心を隠した僕の顔は無機質な微笑みを浮かべていた。
「んー。でも探すって言いはしたけど、どーしたらいいかなぁ。私自身、そんな経験ないし」
そんな僕を他所に陽咲は腕を組み考え始めていた。どうせならずっと思いつかないまま、この状態で何も変わらなければいいのに。彼女を見つめながら僕はそんな事を考えてしまう。
「じゃあ、マッチングアプリとかは?」
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細かく頷いていた陽咲は再度、腕組みをし別の何かを考え始める。
うーん、と声を漏らしながら数十秒といったところだろうか。
「ならもう思い切って」
片手を腰に添え、もう片方で指を差すように人差し指を立てた陽咲は同時にこんな提案をしてきた。
「合コンとか行っちゃおうよ」
「えっ?」
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