エイリアンの侵略に人類は魔王と手を組んだ

佐武ろく

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未確認飛行物体17

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 そしてマルクはアーサー、ヴァレンスと共に緊急四ヶ国国王会議を行った場所へと向かった。
 そこではヴァレンスの言う通り既に陽花里とベイノバが席に座っている。

「なんや、思ったより早かったなぁ。アーサー」
「ちゃんと偵察はしてきたんだろうな?」

 ベイノバからの質問にアーサーは腰を下ろしてから答えた。

「当たり前だ。魔王城最上階まで行ってきた」
「それで、何か分かったことは?」

 アーサーの返事に少し身を乗り出すベイノバ。

「魔王城最上階までは何事もなく進むことが出来た。だがそこで恐らくあの飛行物体に乗ってきたと思われる生命体に襲われた。俺らと同じ二足歩行だったが頭の形状、目の大きさなど異なる部分もあり人間とは言い難い。だが魔族とも異なるのは確かだ」
「その襲ってきたんいう輩は倒したん?」

 そこには僅かに期待の意が込められていたが、アーサーは首を振る。

「いや。そもそも今回は戦闘目的ではないからな。だが魔術のような術を使い、倒すのは困難だっただろう。その後、マルクの言っていた仮面に襲われたわけだ」
「魔術ような術か……」
「それに関してはお前のところの魔術師が詳しく話してくれるだろう」
「ならあとで直接報告させるとするか」
「戦力的な面において儂らが魔王と手を組む必要性どうじゃ?」

 その質問にアーサーは少し考えてから答えた。

「俺らが戦った奴が敵陣においてどの程度の位置にいるのかは分からないが、奴と同等もしくはそれ以上の実力を持つ者が複数いた場合――魔王と手を組まなければどうにかすることは無理だろう。――いや、もしかすると魔王と組んだところで太刀打ち出来んかもしれん」
「そらぁ厄介やなぁ」
「あの魔王が提案をしてくる理由も納得いくという訳か」
「まだ戦力のほんの一部しか知る事は出来なかったが、恐らく魔王を越える脅威になりえる」

 アーサーのその報告に聞こえない溜息を漏らす一同。

「そっちはどうだ?」

 そんなお通夜ムードの中、アーサーは三人へ進捗を尋ねた。

「提案を受け入れるとして魔王側に要求する条件をまとめておったところじゃ」
「そうか。あれがいつ動き出すか分からない以上、早めに態勢を整えておいて損は無いはずだ」
「そうじゃな。決断は早い方が良さそうじゃ」
「それは吾輩とて同じこと。手を組まぬというのならそれなりの対策を講じる必要があるのでな」

 その声に一同の視線は同時にその方向へと向けられた。
 そこに立っていたのは魔王とその手下。そして姿を現した魔王は目の前の席に堂々と腰を下ろした。

「だがその前に。貴様らは城の最上階まで進んだらしいな?」

 どこから聞いていたのかマードファスはそうアーサーに顔を向け尋ねた。

「あぁ。それが何だ?」
「吾輩はあの森で襲撃を受けたが貴様らはすんなり進めたか……。そこには何かあったのか?」
「生命体。それと言い忘れていたが心臓に似たモノがあったがそれがどうした?」
「なるほど。やはりそうかもしれん」

 マ―ドファスはその答えに確信するように小さく呟いた。

「まぁいい。まずは答えを聞こうではないか。吾輩の提案を受け入れるかこのままアレと吾輩を同時に相手するのか? ――さぁ、どうする人間?」

 睨み付けるような魔王としての眼光は斬り付けるように一同をなぞった。

「その前にアレが何なのか教えてもらおうか?」
「それは貴様らが提案を呑めばとい言ったはずだ」
「お前に協力する気があるということを少しは見せてもらわんとな。それにその情報だけでアレをどうこう出来るわけじゃないんだろ?」

 ベイノバの言葉にマードファスは鼻を鳴らす様に一笑した。

「まぁいい。貴様の言う通り大したことない情報だ」
「確かそちはアレの正体が分かる言うとったなぁ」
「確信はない。だが大方予想通りだろう。吾輩の考えが正しければアレは――べルスレヤだ」

 その全く聞き覚えの無い初めて聞く単語に全員が首を傾げた表情を見せる。
 だがその反応は予想通りだったのかマードファスは更に言葉を続けた。

「奴らは自らの星を持たぬ者。常に宇宙を移動している訳だが、エネルギーが少なくなってくると適当な星に降り立ちその補充を行う。だが奴らがエネルギーとして使用しているのはそこら辺のモノとは違う。星の生命力だ。奴らは立ち寄った星の生命力を全て吸い尽くしエネルギーの補充を行う」
「その生命力を奪われた星はどうなる?」
「簡単な事だ。死ぬ。緑も水も大地も全てが維持できなくなり死の星となる。あとは崩壊を待つのみだ」
「じゃがその根拠はなんじゃ? なぜアレがそのペルスレヤだと思う?」

 ヴァレンスの疑問にマードファスは言葉と共に指を立て始めた。
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