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未確認飛行物体15
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「まだか?アメリア」
「すみません。もう少し……」
「#$%’””#$&」
するとアメリアの言葉を遮り生命体がまたあの言葉で声を発した。
「終わりとでも言ってるんですかね?」
マルクがそう思ったのは伸ばした片手を三人の方へ向けていた生命体の頭上に、アメリアが初めに放ったのと同じように魔法陣が出現していたからだ。今まで吹き飛ばすだけの防戦一方だった生命体が直接的な攻撃に転じた。その攻撃がどれ程の力か分からない以上、警戒を強めるマルク。
アメリアはそんな二人の前へ出ると魔杖を構えた。すると頭上に出したモノとは異なる大きな魔法陣が彼女の眼前に出現。
その間に生命体の頭上にある魔法陣はアメリアのモノと同じく円錐へと形を変え、中には槍がセットされた。だがやはりその槍の色はアメリアのモノとは異なりドス黒い。
それを見たからか魔法陣の防御壁で防御を固めていたアメリアは更に二つ出現させ三重にした。
そして生命体が指をパチンと鳴らすと頭上の槍が放たれる。三人がそのことを認識した時には既に槍は魔法防御壁を一枚二枚と貫き、三枚目と競り合っている真っ只中。咄嗟に魔杖を構えたアメリアは魔力を魔法防御壁に流し耐える。その甲斐あってか槍は魔法防御壁と相打ちで砕け散った。
「スピードもパワーも私のとは段違い」
何とか耐え抜いたことにホッと一息をつくアメリアだったが――。
「次だアメリア!」
アーサーの声に生命体の方へアメリアは顔を向けた。生命体の頭上には先程と同じ槍のセットされた円錐が浮かんでいる。
だが今回は数えるのが億劫になる程の数が浮かんでいた。それを目にしたアメリアは頭より先に体が動いたのだろうすぐさま魔法防御壁で味方を守ろうとした。
しかし三重にしてやっと一本を止められた攻撃が倍以上となって襲い掛かればひとたまりもない。瞬時に魔法防御壁は空中で塵と化した。
一方で魔法防御壁が破られるのと同時にアーサーはアメリアを引き寄せると、少し威力の弱まった一本を剣で弾き飛ばし彼女を守った。その間にマルクも聖剣に力を纏わせるが進行方向を逸らすのがやっと。
そして逃げる時間も防ぐ手立てもないまま無数の槍が三人へと襲い掛かった。大砲でも撃ち込まれたのかと思いたくなる程の爆音が魔王の間内へ何度も響き渡る。
数秒だが長い音の暴力が止んだ後、三人がいた場所は塵埃に包み込まれており状況は不明。恐らくそれは生命体も同じだったのだろう、攻撃を終えても動かずじっとその塵埃を見つめていた。
そして徐々に薄れていく塵埃。ついには反対側が見通せる程にまで晴れた。
すっかり視界を遮るものも無くなったそこに広がっていたのは、床に倒れ槍に体を貫かれたアーサー、マルク、アメリアの三人の無残な姿。周りにも槍は突き刺さり三人分の大きな血だまりが未だ範囲を拡大させている。その姿は見るも無残で生きていると考える方が不思議な程。
するとそんなピクリともしない三人へじぃっと視線を向けていた生命体は、ゆっくりと後ろを振り向いた。そして後方にあった魔王の間のドアが静かに閉まっていくのをその真っ黒な双眸で捉えると表情を変えず再び正面にあった三人の方を向く。
だがそこにはもう三人分の体も赤く染める血すらない。ただ床に突き刺さった無数の槍があるだけだった。
「すみません。もう少し……」
「#$%’””#$&」
するとアメリアの言葉を遮り生命体がまたあの言葉で声を発した。
「終わりとでも言ってるんですかね?」
マルクがそう思ったのは伸ばした片手を三人の方へ向けていた生命体の頭上に、アメリアが初めに放ったのと同じように魔法陣が出現していたからだ。今まで吹き飛ばすだけの防戦一方だった生命体が直接的な攻撃に転じた。その攻撃がどれ程の力か分からない以上、警戒を強めるマルク。
アメリアはそんな二人の前へ出ると魔杖を構えた。すると頭上に出したモノとは異なる大きな魔法陣が彼女の眼前に出現。
その間に生命体の頭上にある魔法陣はアメリアのモノと同じく円錐へと形を変え、中には槍がセットされた。だがやはりその槍の色はアメリアのモノとは異なりドス黒い。
それを見たからか魔法陣の防御壁で防御を固めていたアメリアは更に二つ出現させ三重にした。
そして生命体が指をパチンと鳴らすと頭上の槍が放たれる。三人がそのことを認識した時には既に槍は魔法防御壁を一枚二枚と貫き、三枚目と競り合っている真っ只中。咄嗟に魔杖を構えたアメリアは魔力を魔法防御壁に流し耐える。その甲斐あってか槍は魔法防御壁と相打ちで砕け散った。
「スピードもパワーも私のとは段違い」
何とか耐え抜いたことにホッと一息をつくアメリアだったが――。
「次だアメリア!」
アーサーの声に生命体の方へアメリアは顔を向けた。生命体の頭上には先程と同じ槍のセットされた円錐が浮かんでいる。
だが今回は数えるのが億劫になる程の数が浮かんでいた。それを目にしたアメリアは頭より先に体が動いたのだろうすぐさま魔法防御壁で味方を守ろうとした。
しかし三重にしてやっと一本を止められた攻撃が倍以上となって襲い掛かればひとたまりもない。瞬時に魔法防御壁は空中で塵と化した。
一方で魔法防御壁が破られるのと同時にアーサーはアメリアを引き寄せると、少し威力の弱まった一本を剣で弾き飛ばし彼女を守った。その間にマルクも聖剣に力を纏わせるが進行方向を逸らすのがやっと。
そして逃げる時間も防ぐ手立てもないまま無数の槍が三人へと襲い掛かった。大砲でも撃ち込まれたのかと思いたくなる程の爆音が魔王の間内へ何度も響き渡る。
数秒だが長い音の暴力が止んだ後、三人がいた場所は塵埃に包み込まれており状況は不明。恐らくそれは生命体も同じだったのだろう、攻撃を終えても動かずじっとその塵埃を見つめていた。
そして徐々に薄れていく塵埃。ついには反対側が見通せる程にまで晴れた。
すっかり視界を遮るものも無くなったそこに広がっていたのは、床に倒れ槍に体を貫かれたアーサー、マルク、アメリアの三人の無残な姿。周りにも槍は突き刺さり三人分の大きな血だまりが未だ範囲を拡大させている。その姿は見るも無残で生きていると考える方が不思議な程。
するとそんなピクリともしない三人へじぃっと視線を向けていた生命体は、ゆっくりと後ろを振り向いた。そして後方にあった魔王の間のドアが静かに閉まっていくのをその真っ黒な双眸で捉えると表情を変えず再び正面にあった三人の方を向く。
だがそこにはもう三人分の体も赤く染める血すらない。ただ床に突き刺さった無数の槍があるだけだった。
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