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第三章:危険な遊び
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「誰かさんは途中から消えてたけどな」
俺は隣でぐっすりと眠る莉緒へ目をやった。
「まぁでも参考にはなったよね」
「そうかもな。で? どうする?」
「結果、やってみないと分からないって事でしょ。でもさ。もし本当にあの時、川子ちゃんが出てきて何も出来なかったから颯羊が連れてかれちゃったとしたら今回もそうなるかも。だってさっきの話だとその復讐する相手はもう死んでる訳だし。そうじゃなくても一体誰かも分からないわけだし。それにどうやって」
「お前の知り合いに陰陽師とかいないのか?」
「いや、流石にそんな人はいないって」
「だよな」
結局、問題解決には至らず俺と夕晴は頭を悩ませていた。一体、そんな幽霊なのか妖怪なのかよく分からない存在をどうすればいいのか。そもそも本当にその川子が颯羊を連れ去ったのかすら定かじゃない。全てが分からないまま。
「そーいやオレ思ったんだけど」
すると寝ていたはずの莉緒が突然そんな事を言い出し、俺と夕晴は同時に顔を向けた。
「いつ起きたんだよ」
「失礼な。ずっと起きてたっつーの」
言葉通りその顔は平然としていて眠気は一切感じない。
「いや、僕も蓮もさっき見たから。無理だから」
「と、とにかく。まずは聞けよ。オレたち三人が見た夢ってあったじゃん。あれに未だ誰か分からない少女もいたじゃんか。もしかしてあれって川子ちゃんじゃね? って」
「なんでそうなんだよ?」
「いやだってよ。あの少女だけ未だに全く分からねー訳じゃん。思い出しもしなければいた感じもしねーし。だからもしかしたら川子ちゃんを呼び出して颯羊が連れてかれたっていう事実が、こうちょっとごちゃってなってあの夢に出て来たんじゃねーかって」
知らない少女と知らない少年がいてその二人を真っ黒な手が包み込む。俺はあの夢を思い出してみた。確かに夢というのは色々な事が混ざり合う事もあるしほとんどが意味不明。莉緒の言う通りこの夢もそう解釈する事も出来そうだ。というかずっと颯羊の事ばかりで今はあの少女が一体誰なのか気にしてなかったけど、莉緒の言うように考える方が自然なのかもしれない。いや、そうなのか?
「もしそうなら尚更、川子ちゃんをどうするか考えないといけないよね。どうやって颯羊を連れ戻すか。というかどうやって颯羊の事を確認するのか」
「訊いてみれば案外、答えてくれるんじゃね?」
「長宅颯羊って男の子知りませんか? って? 本気で言ってるの?」
「他に何かあるか? あっ、それじゃあ夕晴。お前の知り合いに陰陽師――」
「いるわけない」
やっぱり寝てたな、と思わせるぐらい――むしろその時は既に起きてたんじゃないかと思うぐらい全く同じ事を口にしようとした莉緒を夕晴は斬り捨てるように遮った。
「じゃあとりあえず一旦は、また川子ちゃんの話を試すって方向でその為の対策なんかを考えるって感じ?」
「まぁそうかもな。にしても何だかバカバカしくも思えるけどな。ただの怖い話を実際に、しかも真面目に対策して試すなんて。何かが起こる気はしないし」
「そうか? オレはふつーに楽しみだけどな」
「とか言って本当は怖いんでしょ?」
「んなわけ! 楽しみでしかたねーよ」
「じゃあ莉緒一人でやってよ。僕、怖くてやりたくないから」
「嘘つけ。お前この手の話は信じねーだろ。夜の学校に忍び込もーとする人間の言う言葉だとは思えねーな」
「あれは小学生の時の話だし、それに結局してないから」
二人がそんなやり取りをしているとドアの開く音が教室に響いた。
「おーい。お前らーいつまで残ってんだ。そろそろ帰れー」
「はーい」
先生の言葉に代表するように夕晴が答えると、先生は戸締りしろと言いながら教室の鍵を近くの机に置き行ってしまった。
「とにかく、この話はまた明日ね。その間、二人もどうすればいいか調べておくよーに。これは宿題です」
先生にでもなったようにそう言った夕晴は立ち上がり鍵の方へ歩き出した。
そして戸締りをし鍵を職員室へ返した俺らはコンビニに寄り道して家へと帰った。
俺は隣でぐっすりと眠る莉緒へ目をやった。
「まぁでも参考にはなったよね」
「そうかもな。で? どうする?」
「結果、やってみないと分からないって事でしょ。でもさ。もし本当にあの時、川子ちゃんが出てきて何も出来なかったから颯羊が連れてかれちゃったとしたら今回もそうなるかも。だってさっきの話だとその復讐する相手はもう死んでる訳だし。そうじゃなくても一体誰かも分からないわけだし。それにどうやって」
「お前の知り合いに陰陽師とかいないのか?」
「いや、流石にそんな人はいないって」
「だよな」
結局、問題解決には至らず俺と夕晴は頭を悩ませていた。一体、そんな幽霊なのか妖怪なのかよく分からない存在をどうすればいいのか。そもそも本当にその川子が颯羊を連れ去ったのかすら定かじゃない。全てが分からないまま。
「そーいやオレ思ったんだけど」
すると寝ていたはずの莉緒が突然そんな事を言い出し、俺と夕晴は同時に顔を向けた。
「いつ起きたんだよ」
「失礼な。ずっと起きてたっつーの」
言葉通りその顔は平然としていて眠気は一切感じない。
「いや、僕も蓮もさっき見たから。無理だから」
「と、とにかく。まずは聞けよ。オレたち三人が見た夢ってあったじゃん。あれに未だ誰か分からない少女もいたじゃんか。もしかしてあれって川子ちゃんじゃね? って」
「なんでそうなんだよ?」
「いやだってよ。あの少女だけ未だに全く分からねー訳じゃん。思い出しもしなければいた感じもしねーし。だからもしかしたら川子ちゃんを呼び出して颯羊が連れてかれたっていう事実が、こうちょっとごちゃってなってあの夢に出て来たんじゃねーかって」
知らない少女と知らない少年がいてその二人を真っ黒な手が包み込む。俺はあの夢を思い出してみた。確かに夢というのは色々な事が混ざり合う事もあるしほとんどが意味不明。莉緒の言う通りこの夢もそう解釈する事も出来そうだ。というかずっと颯羊の事ばかりで今はあの少女が一体誰なのか気にしてなかったけど、莉緒の言うように考える方が自然なのかもしれない。いや、そうなのか?
「もしそうなら尚更、川子ちゃんをどうするか考えないといけないよね。どうやって颯羊を連れ戻すか。というかどうやって颯羊の事を確認するのか」
「訊いてみれば案外、答えてくれるんじゃね?」
「長宅颯羊って男の子知りませんか? って? 本気で言ってるの?」
「他に何かあるか? あっ、それじゃあ夕晴。お前の知り合いに陰陽師――」
「いるわけない」
やっぱり寝てたな、と思わせるぐらい――むしろその時は既に起きてたんじゃないかと思うぐらい全く同じ事を口にしようとした莉緒を夕晴は斬り捨てるように遮った。
「じゃあとりあえず一旦は、また川子ちゃんの話を試すって方向でその為の対策なんかを考えるって感じ?」
「まぁそうかもな。にしても何だかバカバカしくも思えるけどな。ただの怖い話を実際に、しかも真面目に対策して試すなんて。何かが起こる気はしないし」
「そうか? オレはふつーに楽しみだけどな」
「とか言って本当は怖いんでしょ?」
「んなわけ! 楽しみでしかたねーよ」
「じゃあ莉緒一人でやってよ。僕、怖くてやりたくないから」
「嘘つけ。お前この手の話は信じねーだろ。夜の学校に忍び込もーとする人間の言う言葉だとは思えねーな」
「あれは小学生の時の話だし、それに結局してないから」
二人がそんなやり取りをしているとドアの開く音が教室に響いた。
「おーい。お前らーいつまで残ってんだ。そろそろ帰れー」
「はーい」
先生の言葉に代表するように夕晴が答えると、先生は戸締りしろと言いながら教室の鍵を近くの机に置き行ってしまった。
「とにかく、この話はまた明日ね。その間、二人もどうすればいいか調べておくよーに。これは宿題です」
先生にでもなったようにそう言った夕晴は立ち上がり鍵の方へ歩き出した。
そして戸締りをし鍵を職員室へ返した俺らはコンビニに寄り道して家へと帰った。
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