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第壱幕:人と御伽
【11+滴】最高の快楽をきみに2
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だが優也に選択肢などなかった。
「だーめ。美味しいから食べて」
女性はそう言うとキュウリを咥えナイフから抜く。それをそのまま優也の口へと持っていった。
そして強引に押し込まれる形で口の中に入ってくるキュウリ。女性は唇と唇が重なり合うと最後は舌で押し込んだ。キュウリが完全に優也の口に移ると女性の口は彼から離れていった。
「美味しいでしょ?」
平然とした様子の女性に対し、必死に頷く優也だったが本心を言えば味など全く分からない。
だが彼女はそれを見て満足気な笑みを浮かべると机まで戻っていった。そしてまたキュウリをひとつ、今度は手で摘まむと口に放り込み道具の数を数え始める。一つ、二つ、三つ……。数え終えると何かを思い出した様子を見せ、優也の方を向いた。
「忘れ物取って来るからちょっと待っててね」
そう言って奥にある古い階段を上りどこかへ行ってしまった。随分と明るさにも慣れ眉間から皺が消えると脱出する為の何かがないかと辺りを必死に見回す。
窓はなく一面が壁。地面は一面コンクリート。少し大きめの流し台と腰ぐらいの台に乗ったミニ冷蔵庫、複数の棚。換気扇とエアコン、大きなテレビとその前に革製のソファ。ダイニングチェアとその上に置かれたノートPC。そして壁の四つ角に取り付けられたスピーカー。スピーカー以外はどの家にもありそうな物ばかり。
特に何の役にも立たなそうな情報ばかり得ている間に、ドアの開く音と耳障りな階段の軋む音が聞こえてきた。それは女性が戻ってきたという合図。再び姿を見せた彼女が手に持っていたのはスタンガン。
「よし! これで全部」
道具を一通り見ると頷きながら言った。
「さて、始めよっか。――の前に」
女性はポケットからスリムさに欠けるガラパゴス携帯とスマホを取り出した。スマホは机に置きガラパゴス携帯を開くと優也へ向けた。
「笑ってー」
その言葉の後に、カシャ。突然そう言われてもこのような状況と精神状態では笑えるはずもなく、表情が変わらぬまま写真を撮られた。写真を撮ると手慣れた様子で操作し始める女性。
「これでよし。あとは……」
女性はガラパゴス携帯を置きスマホを手に取るとまた操作し始めた(こっちも手慣れた様子)。少しすると四つのスピーカーから音楽が流れ出す。大き目の音量で流れてきたのはPOPな洋楽。
「やっぱり音楽があると気分も上がるね!」
女性は音楽に合わせ首を揺らしながらスマホを置くと刃の短いナイフを手に。そして優也の前まで行きナイフをマイクのようにして持ったかと思うと、曲に合わせて歌い出した。それに身振り手振りなどのパフォーマンスも加わる。更に椅子の周りを回ったりしながらも歌い続け、それは流れていた曲が終わるまで続いた。
歌い終わり最後のポーズをキメている女性の表情は、さながらステージ上で自他共に満足のいくパフォーマンスをし最高の拍手喝采を浴びる歌手。激しく動いたせいか、エアコンがついていないせいか、ただ汗をかきやすい体質なのか。その全ての所為なのか、少し息の上がった女性の額や腕などには汗が落ち着いた調子で流れていた。
一方、状況についていけてない優也は最後のポーズのまま動かない彼女を唖然としながら見ていた。
「あぁ~さいっこう!」
余韻の余韻まで味わい尽くした女性は、突然スイッチが入れられたように動き始めた。そして彼女が満足感に浸っている間に音楽は打って変わってヴァイオリンのクラシックへと変わる。
「待たせてごめんね。それじゃ始めよっか」
「え? 始めるって何を?」
「拷問だよっ」
女性はさらっと、しかも先ほどの満足感溢れる笑みを表情に残したままとは思えない言葉を口にした。あまりにも突拍子もない言葉にハッキリと聞こえていたが、意味をすぐに理解する事はできない。まるでその単語を初めて聞くかのように訳が分からず混乱してしまっていた。
※ここから『【14滴】通称コンダクター』の半分辺りまで拷問シーンがあります。そのような表現が苦手な方はお気を付けください。
「えっ? ちょっ! どういう……。えっ? 今何て言っ――」
すると動揺に動揺を重ねた優也の言葉が終りを迎える前に、女性は持っていたナイフの刃先が下になるように持ち替え太ももに一刺し。
「あ”あ”ぁぁぁぁぁぁ!!!」
突然の痛みに透かさず上がる声。その痛みに暴れるも地面に固定された椅子はガタガタと揺れるだけ。その所為で人生で初めてナイフに刺され、痛いなどという言葉では表現しきれないほどの激痛に襲われた優也は、ただ暴れ叫び声を上げるしかなかった。
「はぁああ」
そんな優也に対し叫び声を聞いた女性はナイフを握ったまま顔を赤らめ、目は潤み。今にも蕩けそうな表情をしながら漏らすように、吐息混じりの声を出していた。
「きみの鳴き声って堪らない。私、ドキドキしちゃった」
まるで恋する乙女のように言うとナイフを抜き、何の躊躇もなく場所をズラし再度突き刺す。もう一度襲い掛かる肉を刃先が裂く感覚に痛覚は叫び声を上げ、それに共鳴するよに優也もこれでもかという声で悲鳴を上げた。その叫び声に女性はまたもやあの表情を浮かべ声を漏らす。
「だーめ。美味しいから食べて」
女性はそう言うとキュウリを咥えナイフから抜く。それをそのまま優也の口へと持っていった。
そして強引に押し込まれる形で口の中に入ってくるキュウリ。女性は唇と唇が重なり合うと最後は舌で押し込んだ。キュウリが完全に優也の口に移ると女性の口は彼から離れていった。
「美味しいでしょ?」
平然とした様子の女性に対し、必死に頷く優也だったが本心を言えば味など全く分からない。
だが彼女はそれを見て満足気な笑みを浮かべると机まで戻っていった。そしてまたキュウリをひとつ、今度は手で摘まむと口に放り込み道具の数を数え始める。一つ、二つ、三つ……。数え終えると何かを思い出した様子を見せ、優也の方を向いた。
「忘れ物取って来るからちょっと待っててね」
そう言って奥にある古い階段を上りどこかへ行ってしまった。随分と明るさにも慣れ眉間から皺が消えると脱出する為の何かがないかと辺りを必死に見回す。
窓はなく一面が壁。地面は一面コンクリート。少し大きめの流し台と腰ぐらいの台に乗ったミニ冷蔵庫、複数の棚。換気扇とエアコン、大きなテレビとその前に革製のソファ。ダイニングチェアとその上に置かれたノートPC。そして壁の四つ角に取り付けられたスピーカー。スピーカー以外はどの家にもありそうな物ばかり。
特に何の役にも立たなそうな情報ばかり得ている間に、ドアの開く音と耳障りな階段の軋む音が聞こえてきた。それは女性が戻ってきたという合図。再び姿を見せた彼女が手に持っていたのはスタンガン。
「よし! これで全部」
道具を一通り見ると頷きながら言った。
「さて、始めよっか。――の前に」
女性はポケットからスリムさに欠けるガラパゴス携帯とスマホを取り出した。スマホは机に置きガラパゴス携帯を開くと優也へ向けた。
「笑ってー」
その言葉の後に、カシャ。突然そう言われてもこのような状況と精神状態では笑えるはずもなく、表情が変わらぬまま写真を撮られた。写真を撮ると手慣れた様子で操作し始める女性。
「これでよし。あとは……」
女性はガラパゴス携帯を置きスマホを手に取るとまた操作し始めた(こっちも手慣れた様子)。少しすると四つのスピーカーから音楽が流れ出す。大き目の音量で流れてきたのはPOPな洋楽。
「やっぱり音楽があると気分も上がるね!」
女性は音楽に合わせ首を揺らしながらスマホを置くと刃の短いナイフを手に。そして優也の前まで行きナイフをマイクのようにして持ったかと思うと、曲に合わせて歌い出した。それに身振り手振りなどのパフォーマンスも加わる。更に椅子の周りを回ったりしながらも歌い続け、それは流れていた曲が終わるまで続いた。
歌い終わり最後のポーズをキメている女性の表情は、さながらステージ上で自他共に満足のいくパフォーマンスをし最高の拍手喝采を浴びる歌手。激しく動いたせいか、エアコンがついていないせいか、ただ汗をかきやすい体質なのか。その全ての所為なのか、少し息の上がった女性の額や腕などには汗が落ち着いた調子で流れていた。
一方、状況についていけてない優也は最後のポーズのまま動かない彼女を唖然としながら見ていた。
「あぁ~さいっこう!」
余韻の余韻まで味わい尽くした女性は、突然スイッチが入れられたように動き始めた。そして彼女が満足感に浸っている間に音楽は打って変わってヴァイオリンのクラシックへと変わる。
「待たせてごめんね。それじゃ始めよっか」
「え? 始めるって何を?」
「拷問だよっ」
女性はさらっと、しかも先ほどの満足感溢れる笑みを表情に残したままとは思えない言葉を口にした。あまりにも突拍子もない言葉にハッキリと聞こえていたが、意味をすぐに理解する事はできない。まるでその単語を初めて聞くかのように訳が分からず混乱してしまっていた。
※ここから『【14滴】通称コンダクター』の半分辺りまで拷問シーンがあります。そのような表現が苦手な方はお気を付けください。
「えっ? ちょっ! どういう……。えっ? 今何て言っ――」
すると動揺に動揺を重ねた優也の言葉が終りを迎える前に、女性は持っていたナイフの刃先が下になるように持ち替え太ももに一刺し。
「あ”あ”ぁぁぁぁぁぁ!!!」
突然の痛みに透かさず上がる声。その痛みに暴れるも地面に固定された椅子はガタガタと揺れるだけ。その所為で人生で初めてナイフに刺され、痛いなどという言葉では表現しきれないほどの激痛に襲われた優也は、ただ暴れ叫び声を上げるしかなかった。
「はぁああ」
そんな優也に対し叫び声を聞いた女性はナイフを握ったまま顔を赤らめ、目は潤み。今にも蕩けそうな表情をしながら漏らすように、吐息混じりの声を出していた。
「きみの鳴き声って堪らない。私、ドキドキしちゃった」
まるで恋する乙女のように言うとナイフを抜き、何の躊躇もなく場所をズラし再度突き刺す。もう一度襲い掛かる肉を刃先が裂く感覚に痛覚は叫び声を上げ、それに共鳴するよに優也もこれでもかという声で悲鳴を上げた。その叫び声に女性はまたもやあの表情を浮かべ声を漏らす。
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