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第1章

ストーカー、誇られる。

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包帯ぐるぐるの両腕を見られたくなくて、今日は遠くから、レオン様の登校を見守った。レオン様について行くほど、足首もまだ痛くて速く歩けないし。寂しいけど、仕方がない。

私に警戒してか、レオン様はキョロキョロとしていてとても可愛いらしかった。たまにはこんなのもイイな。

学園に行くとイリスに抱きつかれ、仇を討ってくると騒ぐものだから、その仇はしばらくは病院にいるだろうと説得した。

ロイドに関しては、いつ襲われてもいいようにとずっと私に張り付いているんだけど、私はそんなに頻繁に襲われたりしないと声を大にしていいたい。どんだけ敵多いんだよ。

御手洗まで着いてこようとするロイドに私と同じような気質を感じつつ丁重にお断りして、用を済ませたところだった。

「ロイド君、昨日の人達は大丈夫だったの?」

なにぃ!何故こんな所に、ヒロインちゃんが!?
ロイドと同じクラスだから、仲良いのかな。

「アイツら?大丈夫、一生悪さ出来ないようにしてやったから。」

悪さ出来ないって言うか、何もできないって言うか…
まぁ、とりあえず凄いボッコボコでしたね。

「ロイド君…暴力はダメだよ!ロイド君はヴィオラさんにさせられてるだけかもしれないけど、話し合いで解決することだってあるはずでしょ?」

うわぁ。見事に私が悪い人じゃん。私、ヒロインちゃんに嫌われてるのかな。話し合いって、昨日のはロイドがやり過ぎたにしても、私被害者なんだけどなぁ。まぁ、私が原因ってことは間違ってはいないのかな。

「…俺がヴィーに暴力を強要されてるって言いたいの?」

ロイド、すごく分かりやすく不機嫌になるなぁ。

「たぶんロイド君は優しいし、そうなんだろうなって、」

出るに出れなくて盗み聞きみたいになって申し訳ない。

「俺が、君の言うように誰にでも優しいのは、特に護りたいものがなかったからだ。」

「ヴィーは確かに人を選んでるかもしれない。でも俺達をちゃんと見て選んでくれる。そんで、選んだ人を信じて、無意識に護ろうとしてさ。実は馬鹿なんじゃねぇの?って思うんだけど」

人を選ぶ。私は、護りたいか護りたくないかをきっちり分けるタイプではある。力が限られてるのはわかりきってるし、いざってときに、護る数ってのはわかっていた方がいい。何があっても、味方になりたいと思える人の力になりたいと思うからだ。それを、馬鹿って酷くない?

「いつでも誰かを護る側にいようとして、強くあろうとしてるから、俺はそんなヴィーを護りたくなるんだ。絶対に守って欲しいなんて言わないんだぜ?格好良いだろ?」

そう満面の笑みで言って、ロイドはヒロインちゃんから離れてこちらにやってくる。

格好良い…か。世間一般からすると間違ってると言われても仕方の無いことだと思っていたし、自分でも、悪いと思っていたから、ロイドがこんな風に思ってくれていたことが心から嬉しかった。

頑張ろう。私の周りにいてくれる人が、私を誇りに思えるように。私は私のやり方で強くなっていきたい。そして、強くありたいと強く思った。

魔法学室にも昨日のことは知られていて、というか、ジーク様のお得意な情報収集で知ってたみたいだった。

「災難だったね、ヴィオラ。」
「ありがと、エディ。でももう気にしてないわ。」

あまりに気を使われるのも嫌だし。いつも通りに接して欲しい。のに。 

「その…すまなかった、俺の下した処分が甘過ぎたせいで、こんなことになるとは…」
この人に謝られるのも気持ちが悪い。

「結果的に重い処分になりましたし、彼らが馬鹿だっただけで貴方が謝ることではないでしょう?」

「でも…」

「はぁ。では、レオン様の情報収集協力で手を打ちますよ。」
しつこいから、これで許してやる。

「な!…ったく、わかったよ。とことん変な奴だよな、アンタ。」

呆れたように笑いながら、瓶を渡される。なにこれ。

「よく効く薬だ。やるよ。」

見るからに高価な薬を渡され、そう言えばこの人王族だったなと思った。

「アンタ、今なんか失礼なこと考えただろ!?」

「いえ、ジーク様からの贈り物に感動しておりましたの」
危ない危ない。顔に出てたか。

「あはは、2人は本当に仲良しだね。」

「エディ!」

仲は良くないな。悪くは無いけど。もう、この人達も私の護りたい人に入ってる。

「あと!アンタ、あの狂犬なんとかしろよ。今日だって凄い睨まれたぞ?俺、王族なのに。」

今日、魔法学に来る前ジーク様とばったり会って、ロイドと別れたのだが、その時にロイドに凄い睨まれたらしい。そんな風には見えなかったけど。

そして、寮に帰ると何故かジーク様から貰った薬と同じものが私宛に届いていた。ジーク様か?2つも?
まぁ、せっかくだし有難く使わせていただくことにする。
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