18 / 33
第1章
ストーカー、誇られる。
しおりを挟む
包帯ぐるぐるの両腕を見られたくなくて、今日は遠くから、レオン様の登校を見守った。レオン様について行くほど、足首もまだ痛くて速く歩けないし。寂しいけど、仕方がない。
私に警戒してか、レオン様はキョロキョロとしていてとても可愛いらしかった。たまにはこんなのもイイな。
学園に行くとイリスに抱きつかれ、仇を討ってくると騒ぐものだから、その仇はしばらくは病院にいるだろうと説得した。
ロイドに関しては、いつ襲われてもいいようにとずっと私に張り付いているんだけど、私はそんなに頻繁に襲われたりしないと声を大にしていいたい。どんだけ敵多いんだよ。
御手洗まで着いてこようとするロイドに私と同じような気質を感じつつ丁重にお断りして、用を済ませたところだった。
「ロイド君、昨日の人達は大丈夫だったの?」
なにぃ!何故こんな所に、ヒロインちゃんが!?
ロイドと同じクラスだから、仲良いのかな。
「アイツら?大丈夫、一生悪さ出来ないようにしてやったから。」
悪さ出来ないって言うか、何もできないって言うか…
まぁ、とりあえず凄いボッコボコでしたね。
「ロイド君…暴力はダメだよ!ロイド君はヴィオラさんにさせられてるだけかもしれないけど、話し合いで解決することだってあるはずでしょ?」
うわぁ。見事に私が悪い人じゃん。私、ヒロインちゃんに嫌われてるのかな。話し合いって、昨日のはロイドがやり過ぎたにしても、私被害者なんだけどなぁ。まぁ、私が原因ってことは間違ってはいないのかな。
「…俺がヴィーに暴力を強要されてるって言いたいの?」
ロイド、すごく分かりやすく不機嫌になるなぁ。
「たぶんロイド君は優しいし、そうなんだろうなって、」
出るに出れなくて盗み聞きみたいになって申し訳ない。
「俺が、君の言うように誰にでも優しいのは、特に護りたいものがなかったからだ。」
「ヴィーは確かに人を選んでるかもしれない。でも俺達をちゃんと見て選んでくれる。そんで、選んだ人を信じて、無意識に護ろうとしてさ。実は馬鹿なんじゃねぇの?って思うんだけど」
人を選ぶ。私は、護りたいか護りたくないかをきっちり分けるタイプではある。力が限られてるのはわかりきってるし、いざってときに、護る数ってのはわかっていた方がいい。何があっても、味方になりたいと思える人の力になりたいと思うからだ。それを、馬鹿って酷くない?
「いつでも誰かを護る側にいようとして、強くあろうとしてるから、俺はそんなヴィーを護りたくなるんだ。絶対に守って欲しいなんて言わないんだぜ?格好良いだろ?」
そう満面の笑みで言って、ロイドはヒロインちゃんから離れてこちらにやってくる。
格好良い…か。世間一般からすると間違ってると言われても仕方の無いことだと思っていたし、自分でも、悪いと思っていたから、ロイドがこんな風に思ってくれていたことが心から嬉しかった。
頑張ろう。私の周りにいてくれる人が、私を誇りに思えるように。私は私のやり方で強くなっていきたい。そして、強くありたいと強く思った。
魔法学室にも昨日のことは知られていて、というか、ジーク様のお得意な情報収集で知ってたみたいだった。
「災難だったね、ヴィオラ。」
「ありがと、エディ。でももう気にしてないわ。」
あまりに気を使われるのも嫌だし。いつも通りに接して欲しい。のに。
「その…すまなかった、俺の下した処分が甘過ぎたせいで、こんなことになるとは…」
この人に謝られるのも気持ちが悪い。
「結果的に重い処分になりましたし、彼らが馬鹿だっただけで貴方が謝ることではないでしょう?」
「でも…」
「はぁ。では、レオン様の情報収集協力で手を打ちますよ。」
しつこいから、これで許してやる。
「な!…ったく、わかったよ。とことん変な奴だよな、アンタ。」
呆れたように笑いながら、瓶を渡される。なにこれ。
「よく効く薬だ。やるよ。」
見るからに高価な薬を渡され、そう言えばこの人王族だったなと思った。
「アンタ、今なんか失礼なこと考えただろ!?」
「いえ、ジーク様からの贈り物に感動しておりましたの」
危ない危ない。顔に出てたか。
「あはは、2人は本当に仲良しだね。」
「エディ!」
仲は良くないな。悪くは無いけど。もう、この人達も私の護りたい人に入ってる。
「あと!アンタ、あの狂犬なんとかしろよ。今日だって凄い睨まれたぞ?俺、王族なのに。」
今日、魔法学に来る前ジーク様とばったり会って、ロイドと別れたのだが、その時にロイドに凄い睨まれたらしい。そんな風には見えなかったけど。
そして、寮に帰ると何故かジーク様から貰った薬と同じものが私宛に届いていた。ジーク様か?2つも?
まぁ、せっかくだし有難く使わせていただくことにする。
私に警戒してか、レオン様はキョロキョロとしていてとても可愛いらしかった。たまにはこんなのもイイな。
学園に行くとイリスに抱きつかれ、仇を討ってくると騒ぐものだから、その仇はしばらくは病院にいるだろうと説得した。
ロイドに関しては、いつ襲われてもいいようにとずっと私に張り付いているんだけど、私はそんなに頻繁に襲われたりしないと声を大にしていいたい。どんだけ敵多いんだよ。
御手洗まで着いてこようとするロイドに私と同じような気質を感じつつ丁重にお断りして、用を済ませたところだった。
「ロイド君、昨日の人達は大丈夫だったの?」
なにぃ!何故こんな所に、ヒロインちゃんが!?
ロイドと同じクラスだから、仲良いのかな。
「アイツら?大丈夫、一生悪さ出来ないようにしてやったから。」
悪さ出来ないって言うか、何もできないって言うか…
まぁ、とりあえず凄いボッコボコでしたね。
「ロイド君…暴力はダメだよ!ロイド君はヴィオラさんにさせられてるだけかもしれないけど、話し合いで解決することだってあるはずでしょ?」
うわぁ。見事に私が悪い人じゃん。私、ヒロインちゃんに嫌われてるのかな。話し合いって、昨日のはロイドがやり過ぎたにしても、私被害者なんだけどなぁ。まぁ、私が原因ってことは間違ってはいないのかな。
「…俺がヴィーに暴力を強要されてるって言いたいの?」
ロイド、すごく分かりやすく不機嫌になるなぁ。
「たぶんロイド君は優しいし、そうなんだろうなって、」
出るに出れなくて盗み聞きみたいになって申し訳ない。
「俺が、君の言うように誰にでも優しいのは、特に護りたいものがなかったからだ。」
「ヴィーは確かに人を選んでるかもしれない。でも俺達をちゃんと見て選んでくれる。そんで、選んだ人を信じて、無意識に護ろうとしてさ。実は馬鹿なんじゃねぇの?って思うんだけど」
人を選ぶ。私は、護りたいか護りたくないかをきっちり分けるタイプではある。力が限られてるのはわかりきってるし、いざってときに、護る数ってのはわかっていた方がいい。何があっても、味方になりたいと思える人の力になりたいと思うからだ。それを、馬鹿って酷くない?
「いつでも誰かを護る側にいようとして、強くあろうとしてるから、俺はそんなヴィーを護りたくなるんだ。絶対に守って欲しいなんて言わないんだぜ?格好良いだろ?」
そう満面の笑みで言って、ロイドはヒロインちゃんから離れてこちらにやってくる。
格好良い…か。世間一般からすると間違ってると言われても仕方の無いことだと思っていたし、自分でも、悪いと思っていたから、ロイドがこんな風に思ってくれていたことが心から嬉しかった。
頑張ろう。私の周りにいてくれる人が、私を誇りに思えるように。私は私のやり方で強くなっていきたい。そして、強くありたいと強く思った。
魔法学室にも昨日のことは知られていて、というか、ジーク様のお得意な情報収集で知ってたみたいだった。
「災難だったね、ヴィオラ。」
「ありがと、エディ。でももう気にしてないわ。」
あまりに気を使われるのも嫌だし。いつも通りに接して欲しい。のに。
「その…すまなかった、俺の下した処分が甘過ぎたせいで、こんなことになるとは…」
この人に謝られるのも気持ちが悪い。
「結果的に重い処分になりましたし、彼らが馬鹿だっただけで貴方が謝ることではないでしょう?」
「でも…」
「はぁ。では、レオン様の情報収集協力で手を打ちますよ。」
しつこいから、これで許してやる。
「な!…ったく、わかったよ。とことん変な奴だよな、アンタ。」
呆れたように笑いながら、瓶を渡される。なにこれ。
「よく効く薬だ。やるよ。」
見るからに高価な薬を渡され、そう言えばこの人王族だったなと思った。
「アンタ、今なんか失礼なこと考えただろ!?」
「いえ、ジーク様からの贈り物に感動しておりましたの」
危ない危ない。顔に出てたか。
「あはは、2人は本当に仲良しだね。」
「エディ!」
仲は良くないな。悪くは無いけど。もう、この人達も私の護りたい人に入ってる。
「あと!アンタ、あの狂犬なんとかしろよ。今日だって凄い睨まれたぞ?俺、王族なのに。」
今日、魔法学に来る前ジーク様とばったり会って、ロイドと別れたのだが、その時にロイドに凄い睨まれたらしい。そんな風には見えなかったけど。
そして、寮に帰ると何故かジーク様から貰った薬と同じものが私宛に届いていた。ジーク様か?2つも?
まぁ、せっかくだし有難く使わせていただくことにする。
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
異世界転生したら悪役令嬢じゃなくイケメン達に囲まれちゃいましたっ!!
杏仁豆腐
恋愛
17歳の女子高生が交通事故で即死。その後女神に天国か地獄か、それとも異世界に転生するかの選択肢を与えられたので、異世界を選択したら……イケメンだらけの世界に来ちゃいました。それも私って悪役令嬢!? いやそれはバッドエンドになるから勘弁してほしいわっ! 逆ハーレム生活をエンジョイしたいのっ!!
※不定期更新で申し訳ないです。順調に進めばアップしていく予定です。設定めちゃめちゃかもしれません……本当に御免なさい。とにかく考え付いたお話を書いていくつもりです。宜しくお願い致します。
※タイトル変更しました。3/31
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とある侯爵家で出会った令嬢は、まるで前世のとあるホラー映画に出てくる貞◯のような風貌だった。
髪で顔を全て隠し、ゆらりと立つ姿は…
悲鳴を上げないと、逆に失礼では?というほどのホラーっぷり。
そしてこの髪の奥のお顔は…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドで世界を変えますよ?
**********************
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
転生侍女シリーズ第二弾です。
短編全4話で、投稿予約済みです。
よろしくお願いします。
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。
あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!?
ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど
ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。
※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる