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第1章
ストーカー、ドン引く。
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「酷いです」と泣き出した彼女によって、ミートソースだらけの私と、私のハンカチを持って泣いてる彼女と、戸惑う周囲の人々という奇妙な空間が見事に出来上がった。
「あの…どこかお怪我を?」
さっきの言葉の意味を呑み込めないまま、泣いている彼女に呼びかける。
すると彼女はまっすぐに私の目を見てハッキリとこう言い放った。
「とても、心が痛いわ!」
あれ?え、あ、そうゆう感じ!?
確かに原作にもそんな言葉あった気がするけど、ヒロインちゃんってこんなにも痛い子だった!?
半ば放心状態でいると、彼女は周囲の人に語りかけるように話し出す。
「ぶつかって謝るのは当たり前のことだと思うんです。」
ですね。ぶつかったのは貴方ですね。
「貴方が謝ってくれないのは、私の身分のせいですか?」
え?待って、私?
「生まれる場所は選ぶことなどできないのに!命の重さは同じなのにっ!」
それだけ叫ぶと、手で顔を覆ってシクシクと泣き出してしまう。
色々とツッコミたいところもあるけれど、今は説明をして頂きたい。原作ってこんな感じだったっけ?少女漫画のヒロインて痛い子ってイメージはあるけど、これは酷い。私もなかなか人のことを言える立場や生き方をしてないけれど、ヒロインちゃん…
なんだか、私まで前世の中学時代を思い出してしまいそうだった。背中がとてもかゆい。
「何の騒ぎだ。」
変な空気を裂くような鋭い声がかかる。
私の凌、改めレオン様が騒ぎを聞きつけて来らしい。
イライラしているのか、それともこの世界ではいつもそうなのか、凌より歩幅が3センチ程大きい。
原作では私からヒロインちゃんにぶつかって赤ワインで制服汚し、身分を蔑んで、王子の好感度を下げる。たぶん。でも、私はレオン様と結ばれることが出来ればそれでいいし、ヒロインちゃんをいじめる気などさらさら無い。それに、実際に今回は何もしていない。
「殿下、お騒がせして申し訳ございません。」
「…うぅ、ごめんなさい。」
ヒロインちゃんと私を交互に見てレオン様は首を傾げる。そうだよね!ちょっとわかんないよね!
「何があったんだ?」
「あわわ、あの、人にぶつかったら謝ろうねって注意していたら悲しくなってしまっただけです!もう平気です!」
ヒロインちゃん、天然にも程があるよ!ミートソースの染みを見たらどちらがぶつかりにいったのか瞭然だよ!
あと、さっきからレオン様すごいニコニコしてるんだけど、あのきつーい顔はどこいったんだ?
「そうなのかい?ヴィオラ」
えぇ、突然の名前呼び。ヒロインちゃんも驚いてるよ。
あ、今何時何分?この世界で初だから記録しなきゃ。
それにしても、すごい爽やかでいらっしゃる。こうゆう立ち振る舞いはやっぱり王族なだけあって、凌とは比べものにもならないな。
否定したいけど、したところで事態の終わりが全く見えない。何かいい答えはないだろうか。
「…そうですわね、お互いに不注意でしたので、私も謝らなければなりませんでした。このような大きな騒ぎにしてしまい、お詫び申し上げます。」
「許そう。君のせっかくのドレスが汚れてしまったようだね」
すごいな、レオン様。王子様スマイルをものにしてるよ。写真とりたい。
「そうですわね、残念ですけれど本日はこれで失礼させていただいてもよろしいでしょうか?」
よし、 帰ろう。誰かさんのストーキング計画を立てねばならんので忙しいのだ。
「では、婚約者である僕が送ることにするよ。
君も、これからは僕を初めとする生徒会を頼るといい。」
なんだなんだ、私と2人になりたいのか?ラブラブしてくれるのか?猫を被ってるのはお互い様だし、さっきのやり取りから早くも気に入られてたのかも。
「ありがとうございます。殿下」
「はい!そうすることにしますね!」
原作の知識はあやふやだけど、これでシナリオはぶっ壊れたはず!ここからは私のやりたいようにやらせて頂く。
さぁ、こい!レオン様!
「あの…どこかお怪我を?」
さっきの言葉の意味を呑み込めないまま、泣いている彼女に呼びかける。
すると彼女はまっすぐに私の目を見てハッキリとこう言い放った。
「とても、心が痛いわ!」
あれ?え、あ、そうゆう感じ!?
確かに原作にもそんな言葉あった気がするけど、ヒロインちゃんってこんなにも痛い子だった!?
半ば放心状態でいると、彼女は周囲の人に語りかけるように話し出す。
「ぶつかって謝るのは当たり前のことだと思うんです。」
ですね。ぶつかったのは貴方ですね。
「貴方が謝ってくれないのは、私の身分のせいですか?」
え?待って、私?
「生まれる場所は選ぶことなどできないのに!命の重さは同じなのにっ!」
それだけ叫ぶと、手で顔を覆ってシクシクと泣き出してしまう。
色々とツッコミたいところもあるけれど、今は説明をして頂きたい。原作ってこんな感じだったっけ?少女漫画のヒロインて痛い子ってイメージはあるけど、これは酷い。私もなかなか人のことを言える立場や生き方をしてないけれど、ヒロインちゃん…
なんだか、私まで前世の中学時代を思い出してしまいそうだった。背中がとてもかゆい。
「何の騒ぎだ。」
変な空気を裂くような鋭い声がかかる。
私の凌、改めレオン様が騒ぎを聞きつけて来らしい。
イライラしているのか、それともこの世界ではいつもそうなのか、凌より歩幅が3センチ程大きい。
原作では私からヒロインちゃんにぶつかって赤ワインで制服汚し、身分を蔑んで、王子の好感度を下げる。たぶん。でも、私はレオン様と結ばれることが出来ればそれでいいし、ヒロインちゃんをいじめる気などさらさら無い。それに、実際に今回は何もしていない。
「殿下、お騒がせして申し訳ございません。」
「…うぅ、ごめんなさい。」
ヒロインちゃんと私を交互に見てレオン様は首を傾げる。そうだよね!ちょっとわかんないよね!
「何があったんだ?」
「あわわ、あの、人にぶつかったら謝ろうねって注意していたら悲しくなってしまっただけです!もう平気です!」
ヒロインちゃん、天然にも程があるよ!ミートソースの染みを見たらどちらがぶつかりにいったのか瞭然だよ!
あと、さっきからレオン様すごいニコニコしてるんだけど、あのきつーい顔はどこいったんだ?
「そうなのかい?ヴィオラ」
えぇ、突然の名前呼び。ヒロインちゃんも驚いてるよ。
あ、今何時何分?この世界で初だから記録しなきゃ。
それにしても、すごい爽やかでいらっしゃる。こうゆう立ち振る舞いはやっぱり王族なだけあって、凌とは比べものにもならないな。
否定したいけど、したところで事態の終わりが全く見えない。何かいい答えはないだろうか。
「…そうですわね、お互いに不注意でしたので、私も謝らなければなりませんでした。このような大きな騒ぎにしてしまい、お詫び申し上げます。」
「許そう。君のせっかくのドレスが汚れてしまったようだね」
すごいな、レオン様。王子様スマイルをものにしてるよ。写真とりたい。
「そうですわね、残念ですけれど本日はこれで失礼させていただいてもよろしいでしょうか?」
よし、 帰ろう。誰かさんのストーキング計画を立てねばならんので忙しいのだ。
「では、婚約者である僕が送ることにするよ。
君も、これからは僕を初めとする生徒会を頼るといい。」
なんだなんだ、私と2人になりたいのか?ラブラブしてくれるのか?猫を被ってるのはお互い様だし、さっきのやり取りから早くも気に入られてたのかも。
「ありがとうございます。殿下」
「はい!そうすることにしますね!」
原作の知識はあやふやだけど、これでシナリオはぶっ壊れたはず!ここからは私のやりたいようにやらせて頂く。
さぁ、こい!レオン様!
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