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「やっぱり、アラン様もそうお思いになりますわよね~、あーんな公衆の面前でいきなり婚約破棄宣言なんて。本当、軽率極まりない」
「な! あ、あれはお前がっ・・・! お前だって畳みかけてきたじゃないか!」
膝の上の女の子がクワッと反論し始めた。
「ええ、まあ、そうですわね。わたくしも望むところでしたから」
「だったら、いいじゃないかっ!! 文句あるのか!」
「いいえ、ぜーんぜん」
「か、可愛くない!! そういうとこだ!!」
「今の殿下は可愛いでちゅわよ~。ピンクと白のおリボンがとーってもお似合いでちゅわ~」
「こ、こ、このや・・・!!」
「え・・・? え・・・? あの・・・?」
「あ、失礼いたしました、アラン様」
「ろ・・・むぐっ・・・」
私たちの言い合いを、目を白黒させて見ている。それに気が付き、私はレオナルドの口を手のひらで押さえた。
「アラン様。実はわたくし、ある程度そちらの窮状を存じております。今、レオナルド殿下は行方不明なのでしょう? 貴方様も捜索に奔走されていると存じますわ。お忙しいのね、まともに寝ていらっしゃらないのではございません? 目の下の隈が酷いですわ」
「え・・・っと・・・、な、何故それを・・・」
「ほら、殿下もよくご覧になって、アラン様のやつれ様ったら・・・、お気の毒に」
私はレオナルドを抱き上げ、アランの前に付き出した。
「・・・。すまない・・・、アラン。俺のせいで・・・」
宙ぶらりんの状態で、レオナルドはシュッと項垂れた。
「あ、あの・・・、これは一体・・・、どういう・・・」
アランは二歳の可愛い女の子を前にして、固まっている。
「可愛いでしょう? アラン様。この女の子、ミランダちゃんと言って・・・」
「止めろ、エリーゼ」
「驚かせてごめんなさい、アラン様。信じられないと思いますが、この子はレオナルド殿下でございます」
「は・・・ひ・・・?」
「訳があってこのように扮装をしておりますが、正真正銘、我が国の第三王子レオナルド殿下でございます」
「へ・・・? で・・・んか・・・?」
アランは目を白黒させて、口をパクパクさせている。
「そう。貴方方が血眼になって探している行方不明のレオナルド殿下でございますわ」
「・・・」
「ご安心なさいませ。このように無事に・・・こんな姿になっているのですから無事というわけではないですわね・・・。命に別状はなく、健康的に過ごしておいでです」
私は重くなってきたので、レオナルドを自分の膝の上に降ろした。
アランを見ると、真っ青な顔で目を丸くしている。
「・・・そ、そんな・・・、とても信じられない・・・」
「そうでしょうね。ならば、どうすれば信じていただけますかしら? 殿下、貴方とアラン様しか知らないことって何かございません?」
私は抱いているレオナルドに尋ねた。
「うーん、そうだなぁ・・・。あ!」
レオナルドは首を捻る。しかし、思い付いたように、ポンと手を打った。
「在学中の時、寄宿舎のコイツの部屋で『冬の目覚め』っていう本を見つけたことがある!」
「!」
「ご本?」
私は首を傾げた。本くらいでは証明になるのか?
でも、アランを見ると驚いた顔をしている。
「そう! ベッドの枕の下から!」
「!!」
「まあ、読書家ですのね、アラン様」
「ライナスの奴が読んでみろって無理やり渡してきたから、仕方なく読んだって言っていたが、その後、その『冬の目覚め』シリーズ全巻揃えていたぞ」
「!!!」
「へえ。そんなに面白い作品ですの? その『冬の目覚め』って?」
「さあな。俺は読んでないが、ある種のベストセラーだぞ」
「そうなのですね、わたくしも読んでみようかしら?」
「いいえ! ダメです! エリーゼ様!」
なぜかアタフタするアラン。
「あら? どうしてですの?」
「そ、その・・・、いや、大して面白くないですよ! 只の三文小説、それ以下ですから! あははは!」
「ま、確かに、ご婦人には不向きな内容だな。それにしても、お前でもあんな本読むんだな。ライナスの話では結構ハード・・・」
「で、殿下ぁ!! 分かりました! 信じます、信じますから!」
どんな本なのかイマイチ分からないが、どうやら、アランには信じてもらえたようだ。
「な! あ、あれはお前がっ・・・! お前だって畳みかけてきたじゃないか!」
膝の上の女の子がクワッと反論し始めた。
「ええ、まあ、そうですわね。わたくしも望むところでしたから」
「だったら、いいじゃないかっ!! 文句あるのか!」
「いいえ、ぜーんぜん」
「か、可愛くない!! そういうとこだ!!」
「今の殿下は可愛いでちゅわよ~。ピンクと白のおリボンがとーってもお似合いでちゅわ~」
「こ、こ、このや・・・!!」
「え・・・? え・・・? あの・・・?」
「あ、失礼いたしました、アラン様」
「ろ・・・むぐっ・・・」
私たちの言い合いを、目を白黒させて見ている。それに気が付き、私はレオナルドの口を手のひらで押さえた。
「アラン様。実はわたくし、ある程度そちらの窮状を存じております。今、レオナルド殿下は行方不明なのでしょう? 貴方様も捜索に奔走されていると存じますわ。お忙しいのね、まともに寝ていらっしゃらないのではございません? 目の下の隈が酷いですわ」
「え・・・っと・・・、な、何故それを・・・」
「ほら、殿下もよくご覧になって、アラン様のやつれ様ったら・・・、お気の毒に」
私はレオナルドを抱き上げ、アランの前に付き出した。
「・・・。すまない・・・、アラン。俺のせいで・・・」
宙ぶらりんの状態で、レオナルドはシュッと項垂れた。
「あ、あの・・・、これは一体・・・、どういう・・・」
アランは二歳の可愛い女の子を前にして、固まっている。
「可愛いでしょう? アラン様。この女の子、ミランダちゃんと言って・・・」
「止めろ、エリーゼ」
「驚かせてごめんなさい、アラン様。信じられないと思いますが、この子はレオナルド殿下でございます」
「は・・・ひ・・・?」
「訳があってこのように扮装をしておりますが、正真正銘、我が国の第三王子レオナルド殿下でございます」
「へ・・・? で・・・んか・・・?」
アランは目を白黒させて、口をパクパクさせている。
「そう。貴方方が血眼になって探している行方不明のレオナルド殿下でございますわ」
「・・・」
「ご安心なさいませ。このように無事に・・・こんな姿になっているのですから無事というわけではないですわね・・・。命に別状はなく、健康的に過ごしておいでです」
私は重くなってきたので、レオナルドを自分の膝の上に降ろした。
アランを見ると、真っ青な顔で目を丸くしている。
「・・・そ、そんな・・・、とても信じられない・・・」
「そうでしょうね。ならば、どうすれば信じていただけますかしら? 殿下、貴方とアラン様しか知らないことって何かございません?」
私は抱いているレオナルドに尋ねた。
「うーん、そうだなぁ・・・。あ!」
レオナルドは首を捻る。しかし、思い付いたように、ポンと手を打った。
「在学中の時、寄宿舎のコイツの部屋で『冬の目覚め』っていう本を見つけたことがある!」
「!」
「ご本?」
私は首を傾げた。本くらいでは証明になるのか?
でも、アランを見ると驚いた顔をしている。
「そう! ベッドの枕の下から!」
「!!」
「まあ、読書家ですのね、アラン様」
「ライナスの奴が読んでみろって無理やり渡してきたから、仕方なく読んだって言っていたが、その後、その『冬の目覚め』シリーズ全巻揃えていたぞ」
「!!!」
「へえ。そんなに面白い作品ですの? その『冬の目覚め』って?」
「さあな。俺は読んでないが、ある種のベストセラーだぞ」
「そうなのですね、わたくしも読んでみようかしら?」
「いいえ! ダメです! エリーゼ様!」
なぜかアタフタするアラン。
「あら? どうしてですの?」
「そ、その・・・、いや、大して面白くないですよ! 只の三文小説、それ以下ですから! あははは!」
「ま、確かに、ご婦人には不向きな内容だな。それにしても、お前でもあんな本読むんだな。ライナスの話では結構ハード・・・」
「で、殿下ぁ!! 分かりました! 信じます、信じますから!」
どんな本なのかイマイチ分からないが、どうやら、アランには信じてもらえたようだ。
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