親友のフリして生きていたらその親友が転生してきたので自分の手で育てることにしました

冷涼スグリ

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セレスト12歳。

16 重なるその姿は

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「アオ!見てよ、僕が投げたナイフ全部的に当たったよ!」
「おお、凄いじゃないか。しかもひとつは真ん中に刺さってる。将来有望だなあ」
「ふふ。僕も早くアオの役に立ちたいんだ。遠距離は苦手だったけど、最近上手くいくようになってきたからね!」

胸を張るその姿に対して「流石だ」と声をかけながら髪を掻き回すように撫でる。
「もうっ、子供扱いはやめてよ」と言いながらも頭は差し出したまま満更でもなさそうな顔をするあたり素直じゃないなと思う。
もう何年も共に暮らしたおかげで、すっかりセレストには蒼に対しての遠慮のようなものがなくなってきていた。そして本人の希望により(曰く、俺の真似らしいが)髪を伸ばし始めており、その姿は前世の蒼の幼少期と全く同じにまでなっている。それによってより一層かつての親友とダブるところが増えて最近色々なことを考えてしまうのだ。

本人はようやく騎士団に入れる年齢に差し掛かると言ったところで解禁された訓練で、もう既にメキメキと頭角を現していた。

(…確か、蒼もそうだった。俺が剣を振り回すだけでへとへとになっていたのにお前はいつも一歩先をいっていた。天才ってやつは、本当にずるい。)

遠くで剣術の稽古をはじめたセレストを眺めながら蒼はそっと目を伏せた。

彼の胸元で騎士団見習としてのバッチが光る。それが今蒼の胸元で輝いているものと同じものになるのはあと何日後だろうか。セレストは、もうすぐ十二歳の誕生日を迎えようとしていた。


□□□□□□□□

「…ふむ」

王様は窓からその様子を眺めながら顎に手を当てる。考えるのはあの藍色の髪の子供の事だ。セイジが拾ってきたばかりの幼い時は分からなかったが成長してみればどういうことだろう、かつての蒼に似すぎている。
訓練が始まり鍛えてみれば剣の腕も一流。苦手そうにしていた遠距離戦も最近では克服しつつある。このまま試験を受ければ間違いなく同世代の中ではトップに躍りでることだろう。

その姿が、優秀さが、仕草が話し方が。あまりにもかつての王が目をかけていた蒼の姿に重なる。

(生まれ変わり…か。)

王は数年前のセイジと同じ結論を抱くと、今を蒼として生きる彼とその息子が隣に立てる未来を夢想し窓から目を逸らした。
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