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セレスト8歳。
11 ひとりでねたことない
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夜。蒼が書類仕事を終わらせ、そろそろ寝るかと支度をしていた頃。
コンコン、と小さなノックが控えめに響いた。
(こんな時間に一体誰だろう)
訝しげに扉を開けてみると、そこにはタオルケットを握りしめてもじもじと顔を俯かせるセレストの姿があった。
「セレスト!?どうしたんだい、いったい」
「あのね、その…最初は我慢してたんだけど…元々ひとりで寝るのがちょっと、こわくて…」
そういえば、彼は施設にいる時も、囚われている時も基本的にたくさんの子供たちと共に寝起きをしていた。
なるほど、と理解した蒼はセレストに優しく微笑んで部屋に招き入れた。
「こっちにおいで、セレスト」
そうして自身のベットの上をぽんと叩く。大人しく彼がそこに座ったのを見て蒼もその隣に腰かけた。
「一人で寝るの、いや?」
セレストが恥ずかしそうにこくり、と頷く。
「じゃあこれから毎日僕と一緒に寝ようか」
「え、いいの…?」
「うん。ほら、僕のベッドは大きいから君一人が入っても全然平気だ」
そうして自身で布団に潜り、セレストも巻き込んで布団を被る。はしゃいだような声がくぐもって聞こえてきた。
「じゃあ、じゃあ明日も明後日も夜中はここに来て本よんでもいい?お仕事邪魔しないようにひとりで読むだけだから…」
「もちろん、いいに決まってるよ。いつでもおいで。確かに見知らぬ場所でいきなり一人にされても不安だもんね。気が回らなくてごめんよ」
「う、ううん!僕がただアオと一緒にいたいだけで…迷惑はかけないようにするから…」
そんなふうに目線をウロウロとさ迷わせながらそっと袖を掴んでくるセレストを見て、蒼は堪えきれずに布団の中で彼の頭を抱えるように抱きしめた。
「わぷっ」
「ああもうなんだお前、可愛いやつだなあ」
「アオ……?」
アオに抱きつかれたセレストは首を動かせないため口元しか見れなかったが、アオが今までの雰囲気とはまた違った快活な笑みを浮かべているのがわかった。
「ごめんな、俺実はこっちの方が素の口調なんだ。今までは…アイツみたいになりたくてしてたけど……お前の前では、取り繕う必要ないかなって。」
「僕だけは特別ってこと?」
「んはは、そうそう。セレストだけは特別だよ」
「ふふ、やったあ」
(なあ、きっとお前なんだろう。セレスト…君の魂は…)
コンコン、と小さなノックが控えめに響いた。
(こんな時間に一体誰だろう)
訝しげに扉を開けてみると、そこにはタオルケットを握りしめてもじもじと顔を俯かせるセレストの姿があった。
「セレスト!?どうしたんだい、いったい」
「あのね、その…最初は我慢してたんだけど…元々ひとりで寝るのがちょっと、こわくて…」
そういえば、彼は施設にいる時も、囚われている時も基本的にたくさんの子供たちと共に寝起きをしていた。
なるほど、と理解した蒼はセレストに優しく微笑んで部屋に招き入れた。
「こっちにおいで、セレスト」
そうして自身のベットの上をぽんと叩く。大人しく彼がそこに座ったのを見て蒼もその隣に腰かけた。
「一人で寝るの、いや?」
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「じゃあこれから毎日僕と一緒に寝ようか」
「え、いいの…?」
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そうして自身で布団に潜り、セレストも巻き込んで布団を被る。はしゃいだような声がくぐもって聞こえてきた。
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「もちろん、いいに決まってるよ。いつでもおいで。確かに見知らぬ場所でいきなり一人にされても不安だもんね。気が回らなくてごめんよ」
「う、ううん!僕がただアオと一緒にいたいだけで…迷惑はかけないようにするから…」
そんなふうに目線をウロウロとさ迷わせながらそっと袖を掴んでくるセレストを見て、蒼は堪えきれずに布団の中で彼の頭を抱えるように抱きしめた。
「わぷっ」
「ああもうなんだお前、可愛いやつだなあ」
「アオ……?」
アオに抱きつかれたセレストは首を動かせないため口元しか見れなかったが、アオが今までの雰囲気とはまた違った快活な笑みを浮かべているのがわかった。
「ごめんな、俺実はこっちの方が素の口調なんだ。今までは…アイツみたいになりたくてしてたけど……お前の前では、取り繕う必要ないかなって。」
「僕だけは特別ってこと?」
「んはは、そうそう。セレストだけは特別だよ」
「ふふ、やったあ」
(なあ、きっとお前なんだろう。セレスト…君の魂は…)
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