16 / 18
忘れモノ
しおりを挟む
記憶喪失
これってさ、
よくドラマとかで
〈ここはどこ?〉
とか
〈私はだれ?〉
とかいうパターンのやつだよな
あれって、ありえるのか?
いや、俺さ
正直疑ってるんだよ
俺だけじゃないかも知れないけど
記憶喪失になったやつが
起きてすぐに
〈ここはどこ?〉
〈私はだれ?〉
って言うのかって
とにかく、ドラマを見る度に
いっつも思ってたんだよな
あ、そうだ
ひとつ言わせてくれ
『ここはどこだ?』
そして、
『俺はだれだ?』
冗談抜きにな
まぁ、ここはどこだ?って言っても、
壁白いし、隣になんか機械置いてあるし
たぶん、病院だろう
でも何故に病院に?
『分かんねぇ…』
何も覚えてないんだよな
とにかく、病室出るか…
ガラッ
真っ白な廊下
とにかく突き当たりに向かって歩く
突き当たりまではそれほど遠くないのに
何故か、遠く感じる…
『っ…』
俺は走った
“病院”の廊下を
看「あ、鈴木さん!!
廊下は走らないでください!!」
看護婦らしき女が叫んだ
俺の他に走ってる奴がいるのか
鈴木さんって誰だ?
てか、鈴木って…
よくありがちな名前だな
そのとき
パシッ
誰かが俺の腕を掴み、
後ろに引っ張った
『うおぉっ?!』
おかげで俺は尻もちをついた
『っいってぇ…
お、おい!
なにするんだよ!』
そういいながら顔を上げると
目の前に鬼が…
『お、にだ…』
医「私は医者で、あなたの担当医です
よろしくお願いします
で、誰が鬼ですって?」
鬼の笑顔は怖い
『す、すみません…』
鬼医者はニコッと微笑んで、
医「では、病室に戻りましょうか」
そう言って、俺を病室まで
連れて行ってくれた
鬼、いや違った
白衣を着て、眼鏡をかけた医者に
腕を引っ張られながら病室に戻る
医「それでは、寝てください」
俺は真っ白なシーツがひかれた
ベッドに横になる
すると医者はバインダーを持ちながら
何かを書き込んでいる
おそらく俺のカルテだと思うが…
何を書いているのか
気になって仕方がない
『なぁ、何書いてんだよ』
医「あなたの記録です」
『なんの記録だよ』
医「ですから、あなたの記録ですよ?」
医者は“俺の記録”の一点張り
もうめんどくさい
『だったら、俺の名前はなんだ?
俺は何者だ?
なんで俺はここにいんだよ
なぁ、全部知ってんだろ?
教えろ』
すると医者は
医「それが人にものを頼むときの
態度ですか?」
微笑んでるけど目が笑ってない
『…教えてください』
すると医者は面倒くさそうにため息をつき、
医「では、まずこちらの質問に
答えてください
全く、何も、覚えていませんか?」
『…あぁ』
悲しいことに何も覚えてない
今、分かることは
自分が男であること
ここは病院で、目の前の男が医者であること
たったこれだけだ
目の前の医者はバインダーに
何かを書き込む
医「そうですか
無理に思い出そうとしなくても
大丈夫ですから安心してください
あとは、あなた自身のことですが…
よく聞いてください
あなたの名前は鈴木 直哉
生年月日は1995年11月21日
現在21歳の大学4回生
持ち物の財布の中に保険証が入ってたので
そこから調べさせていただきました
ご了承願います
ちなみに今日は11月18日で
あなたがここに運ばれた日は
三日前の11月15日です
あとはあなたの力で思い出してください
あ、ひとつだけ注意しておきます
変なことは考えないでくださいね」
医者は淡々と俺の紹介をしたあと
最後に意味深な言葉と
困ったような笑顔を残して
俺の病室から出ていった
俺の頭の中で医者の言葉が
繰り返される
あの医者の言ってることが正しければ
今日は11月18日
俺がここに運ばれたのが11月15日
俺は3日も眠っていたことになる
よく考えてみると俺の誕生日は3日後らしい
何故か誕生日が来ることに不安を覚えた
[誕生日2日前]
俺は薄い味の病院食朝ごはんを食べていた
すると外から
キキーッ!!
車が急ブレーキをかける音が聞こえた
ドクンッ
俺の心臓が嫌な音を立て、
箸で掴んでいた野菜を落としてしまった
俺自身それほど驚いたつもりはなかったが
嫌な音だったことに違いはないだろう
[誕生日前日]
俺が病室でテレビを見ていると
コンコン
外からノック音が聞こえた
どうせ鬼医者だろうと思った俺は
『どうぞ』
軽く返事をする
ガラガラ
ドアの方を見ると、
50代前ぐらいの夫婦が立っていた
?「こんにちは」
まさか鬼医者以外の人が
俺に会いに来るとは思ってなくて
『こ、こんにちは?
あ、あの、誰ですか?』
とっさに質問してしまった
俺のいきなりの質問にびっくりしたのか
一拍空いてから
?「あ、えっと…
島田 梨香の母親です
島田 雪と申します」
?「私は梨香の父親の
島田 浩介
という者なのだが、
単刀直入に聞かせてもらう
君は本当に何も覚えてないのかい?」
しまだりか…さんの親?
そもそもしまだりかさんって誰だ?
『すみません、何も覚えていません
あの、しまだりかさんって誰ですか?』
俺はそう聞いただけなのに
雪さんは口を手で覆いながら
なにかに耐えている様子で
浩介さんは俺の方に近づいてきて
とても悲しそうな顔で
浩介「っ頼むから
梨香のこと、思い出してやってくれ…」
俺の手を握ってくる
『…』
俺はなんと言えばいいのか分からず
俺の足の上に乗っている布団を
ただじっと見つめ返すことしか出来なかった
すると浩介さんはすっと立ち上がり、
雪さんの手を取り、二人揃って
俺のベッドの横に座った
浩介「何も覚えていないのは仕方がない
こちらも取り乱してしまってすまなかったね
今から私が話すことは
独り言だと思ってもらっていい
ただ、よく聞いておいてくれ」
真剣みを帯びた声
俺は頷くことしか出来なかった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日は11月21日
患者の間でも有名な鬼医者が
ある男の病室へ入っていく
医者「あ、今日は誕生日ですね
おめでとうございます」
男「あぁ」
そっけない返事を返す男
鬼医者は少し首をかしげた後
持っているバインダーに
何かを書き込みながら
男の病室を出ていった
天気予報によると今日は1日中雨らしい
男はそれを知ってか知らずか
病室を出て
病院の出入口の方へと歩いていく
外は雨が降っているからか
見舞いに来ている人は
いつもより少なく感じる
けれど男はそんなことには興味がないらしく
雨などお構いなしに傘もささずに歩いていく
病院から少し離れた交差点
男はそこに向かって歩く
男が病院を出てから
雨の強さがさらに増したみたいだ
運転席からの眺めはさぞ悪いことだろう
男は交差点の真ん中で立ち止まり
黒く重い雲に覆われた空を見上げた
男の向こう側からふたつの淡い光が
こちらに向かってやってくる
男は、もう空を見上げることには飽きたのか
今度は光の方へ視線を移した
そしてまるで、吸い込まれるかように
フラフラとふたつの光に向かって歩き出す
ふたつの光が男の顔を照らし出す
哀しい雨粒が男の頬をつたった
男は最期に何を思っていたのだろうか
その表情は決して明るいとはいえない
男の選択は正しかったのだろうか…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
~回想~
[誕生日前日]
浩介「何も覚えていないのは仕方がない
こちらも取り乱してしまってすまなかったね
今から私が話すことは
独り言だと思ってもらっていい
ただ、よく聞いておいてくれ」
真剣みを帯びた声
俺は頷くことしか出来なかった
浩介「…とても仲のいいカップルがいた
ある日、男の誕生日が
もうすぐだったらしく、
ふたりはデートを楽しんでいた
お店を出てふたりで並んで歩いていると
公園の中からサッカーボールと
そのボールを追いかける男の子が
道路へ飛び出していったんだ
男は車が来ていることに
いち早く気づいたらしく
その子を助けようと走り出した
女は驚いて男の手を掴もうとしたが
女の手は空を切っただけだった
男はすぐさまその子を抱き上げるが
既に車との距離は詰まりすぎていた
男はその子を庇いながら
目をギュッと閉じた
車とぶつかる寸前
女が男の名前を耳元で呼んだ
その直後
男は誰かに背中を押され、
男の身体は前かがみになり、
その子もろとも地面に叩きつけられ、
縁石に頭をぶつけてしまった
瞬間
ドンッ
男の後ろで衝突音がした
男は朦朧とする意識の中、
子供が無事か確かめようとするが
思うように身体が動かなかった
必死にあの衝突音がした方を見て、
自分は一体どうなったのかを理解しようした
うっすらと見える光景の中には、
黒い車と
その車から慌てて降りてきた運転手、
そして車の前に横たわり、血を流す女がいた
男は状況を理解し、意識を手放した…」
浩介さんは一通り話し終えたのか
鞄の中から綺麗にラッピングされた
袋を取り出し、俺に差し出す
『…これは?』
浩介「梨香が明日のために
用意していたものなんだ
迷惑じゃなければもらってやってくれ」
俺はラッピングを丁寧に外し、
中身を確かめる
俺の好きなブランドの服が入っていた
『あの、男が助けた男の子は
どうなったんですか?』
恐る恐る聞いてみる
浩介さんは首を横に振った
浩介「地面に叩きつけられた時、
打ちどころが悪かったらしい…」
『そうですか…』
男の行動は無駄だった、のか…
浩介「何か思い出したかい?」
俺は申し訳ない気持ちでいっぱいで
『すみません…』
この言葉以外、見つからなかった
《おわり》
これってさ、
よくドラマとかで
〈ここはどこ?〉
とか
〈私はだれ?〉
とかいうパターンのやつだよな
あれって、ありえるのか?
いや、俺さ
正直疑ってるんだよ
俺だけじゃないかも知れないけど
記憶喪失になったやつが
起きてすぐに
〈ここはどこ?〉
〈私はだれ?〉
って言うのかって
とにかく、ドラマを見る度に
いっつも思ってたんだよな
あ、そうだ
ひとつ言わせてくれ
『ここはどこだ?』
そして、
『俺はだれだ?』
冗談抜きにな
まぁ、ここはどこだ?って言っても、
壁白いし、隣になんか機械置いてあるし
たぶん、病院だろう
でも何故に病院に?
『分かんねぇ…』
何も覚えてないんだよな
とにかく、病室出るか…
ガラッ
真っ白な廊下
とにかく突き当たりに向かって歩く
突き当たりまではそれほど遠くないのに
何故か、遠く感じる…
『っ…』
俺は走った
“病院”の廊下を
看「あ、鈴木さん!!
廊下は走らないでください!!」
看護婦らしき女が叫んだ
俺の他に走ってる奴がいるのか
鈴木さんって誰だ?
てか、鈴木って…
よくありがちな名前だな
そのとき
パシッ
誰かが俺の腕を掴み、
後ろに引っ張った
『うおぉっ?!』
おかげで俺は尻もちをついた
『っいってぇ…
お、おい!
なにするんだよ!』
そういいながら顔を上げると
目の前に鬼が…
『お、にだ…』
医「私は医者で、あなたの担当医です
よろしくお願いします
で、誰が鬼ですって?」
鬼の笑顔は怖い
『す、すみません…』
鬼医者はニコッと微笑んで、
医「では、病室に戻りましょうか」
そう言って、俺を病室まで
連れて行ってくれた
鬼、いや違った
白衣を着て、眼鏡をかけた医者に
腕を引っ張られながら病室に戻る
医「それでは、寝てください」
俺は真っ白なシーツがひかれた
ベッドに横になる
すると医者はバインダーを持ちながら
何かを書き込んでいる
おそらく俺のカルテだと思うが…
何を書いているのか
気になって仕方がない
『なぁ、何書いてんだよ』
医「あなたの記録です」
『なんの記録だよ』
医「ですから、あなたの記録ですよ?」
医者は“俺の記録”の一点張り
もうめんどくさい
『だったら、俺の名前はなんだ?
俺は何者だ?
なんで俺はここにいんだよ
なぁ、全部知ってんだろ?
教えろ』
すると医者は
医「それが人にものを頼むときの
態度ですか?」
微笑んでるけど目が笑ってない
『…教えてください』
すると医者は面倒くさそうにため息をつき、
医「では、まずこちらの質問に
答えてください
全く、何も、覚えていませんか?」
『…あぁ』
悲しいことに何も覚えてない
今、分かることは
自分が男であること
ここは病院で、目の前の男が医者であること
たったこれだけだ
目の前の医者はバインダーに
何かを書き込む
医「そうですか
無理に思い出そうとしなくても
大丈夫ですから安心してください
あとは、あなた自身のことですが…
よく聞いてください
あなたの名前は鈴木 直哉
生年月日は1995年11月21日
現在21歳の大学4回生
持ち物の財布の中に保険証が入ってたので
そこから調べさせていただきました
ご了承願います
ちなみに今日は11月18日で
あなたがここに運ばれた日は
三日前の11月15日です
あとはあなたの力で思い出してください
あ、ひとつだけ注意しておきます
変なことは考えないでくださいね」
医者は淡々と俺の紹介をしたあと
最後に意味深な言葉と
困ったような笑顔を残して
俺の病室から出ていった
俺の頭の中で医者の言葉が
繰り返される
あの医者の言ってることが正しければ
今日は11月18日
俺がここに運ばれたのが11月15日
俺は3日も眠っていたことになる
よく考えてみると俺の誕生日は3日後らしい
何故か誕生日が来ることに不安を覚えた
[誕生日2日前]
俺は薄い味の病院食朝ごはんを食べていた
すると外から
キキーッ!!
車が急ブレーキをかける音が聞こえた
ドクンッ
俺の心臓が嫌な音を立て、
箸で掴んでいた野菜を落としてしまった
俺自身それほど驚いたつもりはなかったが
嫌な音だったことに違いはないだろう
[誕生日前日]
俺が病室でテレビを見ていると
コンコン
外からノック音が聞こえた
どうせ鬼医者だろうと思った俺は
『どうぞ』
軽く返事をする
ガラガラ
ドアの方を見ると、
50代前ぐらいの夫婦が立っていた
?「こんにちは」
まさか鬼医者以外の人が
俺に会いに来るとは思ってなくて
『こ、こんにちは?
あ、あの、誰ですか?』
とっさに質問してしまった
俺のいきなりの質問にびっくりしたのか
一拍空いてから
?「あ、えっと…
島田 梨香の母親です
島田 雪と申します」
?「私は梨香の父親の
島田 浩介
という者なのだが、
単刀直入に聞かせてもらう
君は本当に何も覚えてないのかい?」
しまだりか…さんの親?
そもそもしまだりかさんって誰だ?
『すみません、何も覚えていません
あの、しまだりかさんって誰ですか?』
俺はそう聞いただけなのに
雪さんは口を手で覆いながら
なにかに耐えている様子で
浩介さんは俺の方に近づいてきて
とても悲しそうな顔で
浩介「っ頼むから
梨香のこと、思い出してやってくれ…」
俺の手を握ってくる
『…』
俺はなんと言えばいいのか分からず
俺の足の上に乗っている布団を
ただじっと見つめ返すことしか出来なかった
すると浩介さんはすっと立ち上がり、
雪さんの手を取り、二人揃って
俺のベッドの横に座った
浩介「何も覚えていないのは仕方がない
こちらも取り乱してしまってすまなかったね
今から私が話すことは
独り言だと思ってもらっていい
ただ、よく聞いておいてくれ」
真剣みを帯びた声
俺は頷くことしか出来なかった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日は11月21日
患者の間でも有名な鬼医者が
ある男の病室へ入っていく
医者「あ、今日は誕生日ですね
おめでとうございます」
男「あぁ」
そっけない返事を返す男
鬼医者は少し首をかしげた後
持っているバインダーに
何かを書き込みながら
男の病室を出ていった
天気予報によると今日は1日中雨らしい
男はそれを知ってか知らずか
病室を出て
病院の出入口の方へと歩いていく
外は雨が降っているからか
見舞いに来ている人は
いつもより少なく感じる
けれど男はそんなことには興味がないらしく
雨などお構いなしに傘もささずに歩いていく
病院から少し離れた交差点
男はそこに向かって歩く
男が病院を出てから
雨の強さがさらに増したみたいだ
運転席からの眺めはさぞ悪いことだろう
男は交差点の真ん中で立ち止まり
黒く重い雲に覆われた空を見上げた
男の向こう側からふたつの淡い光が
こちらに向かってやってくる
男は、もう空を見上げることには飽きたのか
今度は光の方へ視線を移した
そしてまるで、吸い込まれるかように
フラフラとふたつの光に向かって歩き出す
ふたつの光が男の顔を照らし出す
哀しい雨粒が男の頬をつたった
男は最期に何を思っていたのだろうか
その表情は決して明るいとはいえない
男の選択は正しかったのだろうか…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
~回想~
[誕生日前日]
浩介「何も覚えていないのは仕方がない
こちらも取り乱してしまってすまなかったね
今から私が話すことは
独り言だと思ってもらっていい
ただ、よく聞いておいてくれ」
真剣みを帯びた声
俺は頷くことしか出来なかった
浩介「…とても仲のいいカップルがいた
ある日、男の誕生日が
もうすぐだったらしく、
ふたりはデートを楽しんでいた
お店を出てふたりで並んで歩いていると
公園の中からサッカーボールと
そのボールを追いかける男の子が
道路へ飛び出していったんだ
男は車が来ていることに
いち早く気づいたらしく
その子を助けようと走り出した
女は驚いて男の手を掴もうとしたが
女の手は空を切っただけだった
男はすぐさまその子を抱き上げるが
既に車との距離は詰まりすぎていた
男はその子を庇いながら
目をギュッと閉じた
車とぶつかる寸前
女が男の名前を耳元で呼んだ
その直後
男は誰かに背中を押され、
男の身体は前かがみになり、
その子もろとも地面に叩きつけられ、
縁石に頭をぶつけてしまった
瞬間
ドンッ
男の後ろで衝突音がした
男は朦朧とする意識の中、
子供が無事か確かめようとするが
思うように身体が動かなかった
必死にあの衝突音がした方を見て、
自分は一体どうなったのかを理解しようした
うっすらと見える光景の中には、
黒い車と
その車から慌てて降りてきた運転手、
そして車の前に横たわり、血を流す女がいた
男は状況を理解し、意識を手放した…」
浩介さんは一通り話し終えたのか
鞄の中から綺麗にラッピングされた
袋を取り出し、俺に差し出す
『…これは?』
浩介「梨香が明日のために
用意していたものなんだ
迷惑じゃなければもらってやってくれ」
俺はラッピングを丁寧に外し、
中身を確かめる
俺の好きなブランドの服が入っていた
『あの、男が助けた男の子は
どうなったんですか?』
恐る恐る聞いてみる
浩介さんは首を横に振った
浩介「地面に叩きつけられた時、
打ちどころが悪かったらしい…」
『そうですか…』
男の行動は無駄だった、のか…
浩介「何か思い出したかい?」
俺は申し訳ない気持ちでいっぱいで
『すみません…』
この言葉以外、見つからなかった
《おわり》
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
後悔と快感の中で
なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私
快感に溺れてしまってる私
なつきの体験談かも知れないです
もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう
もっと後悔して
もっと溺れてしまうかも
※感想を聞かせてもらえたらうれしいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる