爺さんチートでチートいい気分

猫野御飯

文字の大きさ
上 下
18 / 25
第二章 ククル奪還編

チャプター5 ククルの過去その2

しおりを挟む
 目が覚めると自室の草のベッドの上にいた。
 かあさんは心配そうな表情でボクの側で見守っていた。
 ボクが目を覚ますと安心したように溜息をつき。

「ククル!」

 とボクを抱きしめた。
 フワフワのシッポをボクの身体にギュッと巻き付けて「良かった」と震える声で呟いた。

「かあさん……」

 森での出来事を何て話せばいいか解らなかった。
 父さんが人間に連れ去られたなんて、こんな状態の母さんに言ったらどうなってしまうか……。
 ボクは俯き考える。

「聞いたわ……」

 ボクの考えを見透かしたかのように、かあさんが話し出す。

「聞いたわ、冷凍熊のおじさんから。あなたに森で偶然会って、心配で様子を見に行ったんですって。最近は人間の出入りがある事は知っていたけれど、まさか父さんが……」

 かあさんは言葉に詰まり、尻尾を震わせる。
 しかし、すぐに不安そうな表情を一変させると

「ククルは何にも心配する事はないのよ。父さんは必ず帰ってくるから、ルククもモココも、それからククルも母さんが命がけで守るから何も心配する事はないのよ」

 そう言って穏やかに微笑み、尻尾でボクの頭を優しく撫でると

「疲れたでしょう。少しおやすみ」

 そう言って、ボクの部屋から出ていく。
 でも、その頃のボクはまだ知らない。
 かあさんが相当無理をしていた事を……。

                   ☆☆☆

「ククルにいちゃん、ママおそいね」

「ママのしっぽの毛、ぬけてきたんだよ」

 おかあさん大丈夫かなぁ、とモココちゃんとルククくんが心配そうに呟く。
 かあさんは、父さんがいなくなってから朝も晩も働きにでた。
 村長の家の掃除に、テコの実の採取、それから冷凍熊のおじさんの家の御飯を作って、代わりに魚をもらって帰ってくる事もあった。
 『ボクに何か手伝える事はないカイ?』そう何度も聞いたけれど帰ってくる返事はいつも同じだった。『モココとルククの事をお願いね』
 父さんほどではないけど、ボクだってテコの実ぐらいなら採取出来る。
 でもこの森に豊富にあったはずのテコの実も、人間のせいで日に日に少なくなり、今では限られた数しか採取出来ないよう村長がルールを作った。
 かあさんは一日に採取出来る少ないテコの実で僕達3匹を育てる事は難しいと判断したのだろう。
 可哀想なほど一日中働き詰めの日々を送っていた。
 
 それは、ある日の出来事だった。かあさんの助けになればと、ルククくんとモココちゃんがお昼寝をして手が空いた隙にテコの実を採取しに行った。
 採取制限があるので多く採らないように4個をポケットに忍びこませて、なるべく足音を立てずに洞ハウスに帰ろうとしていた時、テコの木に紙が貼りつけてある事に気づいた。
 文字は人間が描く文字で、ボクには何て書いてあるのか見当がつかなかった。 

 ――何だろう?

 ボクは好奇心で紙をむしり取ると村長の家に持っていった。
 三ツ目ふくろうの村長は、三ツ目でしげしげと眺めるとこう言った。

「モフモフの獣募集~あなたも神獣として第二の人生を送りませんか。神の気まぐれにお付き合い頂ける方は、明朝切り株広場へ~ミカエル様の舎弟サルエルより~尚、お付き合い頂ける獣様にはお好きなお願い事を1つ大天使ミカエル様がお叶えします、奮ってご応募下さい。と書いておるな」

「願い事は何でもいいの!?」

 ボクは興奮気味に村長に質問する。

「うーむ、しかしこれが本当の事かは解らないでの。そもそも神獣というものを聞いた事も見た事もない、何やら良からぬ事のような気がする。とにかく上手い話しには必ず裏がある。これは朗報でも何でもないでな、とにかく何でも信用してはならぬぞククル」

 村長にはそう反対されて釘を刺されたけど、ボクにはこれしかないと思った。
 願い事を何でも叶えてくれるなんてチャンスだ、そう思った。

「村長、ありがとうございました!」

 元気にお返事をし、村長の家を後にしようとドアを潜ろうとした所で「そう言えばククル、さっきもお前の母親が……」と村長に声をかけられた。
 かあさんがどうかしたんですか? と聞き返す前に村長が「いいや、何でもない」と悲しそうな目をした。
 ボクはわだかまりを残しながらも村長の家を後にする。
 
 洞ハウスに着くと母さんが出迎えてくれた。

「ククル、おかえり」

 かあさんは何だか少し元気そうに見えた。
 やつれてはいたけれど、どこか希望に満ちていた。

「ククル。ククルに良い知らせがあるのよ」

 かあさんは諭すように言った。

「明朝、切り株広場へ行くのよ。そうすれば良い事があるの」

 ――それからもう一つ。絶対に嘘はダメよ。

 かあさんの言葉が頭の中でこだまする。
 ああ、そうか……。
 かあさんは嘘をつかなければいけないぐらいに追い込まれていたんだ。
 嘘をつかれた事が悲しいとか、裏切られたとかそんな気持ちにはならなかった。
 ただ、ただあの真っすぐな母さんを嘘つきに変えた人間が憎かった。
「うわぁ、本当! 必ずいい事があるの。じゃあ、明日は早起きしなきゃ!」

 ボクは大袈裟にジャンプして喜ぶ。
 かあさんが嘘をついている事には気づかないフリをしてはしゃぐ。
 でも解っていた。
 かあさんの悲しそうな瞳で気付いていた。

 ――ごめんね。ククル。

 そういう瞳だった。
 でも、大丈夫だよ。
 かあさんのお願い事はボクが叶えてくるからね。

        ☆☆☆

「まぁ、可愛いモフモフちゃんです事。サルエル、グッジョブです☆」

「キュイッ、キュイッ」

「ああ、そうですね。まずは共通言語を付与しましょう。モフモフが喋れるなんて面白いですからね。それ」 

「はっ、あ、あなた様はどなた様ですカ!?」

「あははっ、どなた様だなんてミカエル様ですよ」

「ミ、ミカエル様という方なのですネ!?」

 頭が混乱していた。
 ミカエルさんはとても綺麗な顔立ちをしていた。
 人間の顔を綺麗とボクが思うのも変な話だけど直観でそう思った。

「あの、ボクお願い事があって」

「はいお願い事ですね。何でも一つ叶えてあげますよ、約束ですからね」

「あの、ボクの住んでいるテコロルの森で、人間がテコの実というボク達の主食を乱獲してるんです。それで森に住んでる獣達が困っていて、皆を助けてあげて欲しいんです!」

「なるほど、なるほど。お安い御用です。ちょっとお待ち下さいね。転移ワープ・テコの森へ!」

 ヒュンッと風のような音がしたかと思うと、ミカエルさんはボクの目の前から消えていた。
 あまりの出来事に呆気に取られているとミカエルさんの側にいた寡黙そうな男の人が

「心配する事はない。君の願い事を叶えて、すぐに戻ってくるだろう」

 そう言って少しだけ微笑んだ。
 その不器用そうな笑顔にボクは少し安心した。
 その人の言う通り、ミカエルさんはすぐに戻ってきた。

「どうも、戻りましたよククルちゃん」

 ミカエルさんはボクにウインクすると

「私のスキル、インフィニティーグロース無限増殖でテコの実が無限に増殖するようにしてきましたよ。採取されても、1秒で実るようにしてきましたから取り放題ですよ☆」

「ほ、本当ですカ! ありがとうございますミカエル様!」

「そんな様だなんて、ミーちゃんでいいですよ」

 そうへらへら笑うミカエルさんは、本当に凄い神様みたいな人だと思った。
 これで、皆お腹が減らずにすむ。
 これで母さんは2度と嘘をつかないですむ。
 それが本当に嬉しかった。

「さて、ククルちゃん。ここからが本題ですがあなたには私達神族のスペシャルな力、スキルを付与します」

「スキルですか?」

 スキル、聞いた事がない言葉だった。

「まぁ、魔法みたいなものですかね。誰かが困っている時に、その困っている誰かを助ける力です。モフモフちゃん一匹に対して2つまで付与します。一つは私が適当に面白そうなスキルを見繕いますが、もう一つは出来れば希望に沿ったものを付与しますよ」

「そうなのですか。困っている誰かを助けるっていい響きですネ。じゃあ、一つはこんなスキルがいいですね」

 ボクはミカエルさんに耳打ちをする。

「なるほどなるほど、それは面白い。ではまず一つ目ですね。う~ん、そうだなー、モフモフが巨大化したら面白そうですね。ちょっとお待ちくださいね。おーいギガンテスー」

 ゴゴゴゴゴ、と地響きがする。
 次の瞬間、視界に入ったその巨大な体躯を見てボクは絶句する。
 テコの木なんて比じゃないほどの巨体、筋肉で盛り上がった腕は下敷きになったら、ひとたまりもないと思うぐらいに巨大で恐ろしかった。
 巨大で真っ赤な一つ目がボクを凝視する。

「うっ」

 あまりの恐怖に言葉が詰まる。

「ダメですよ。ギガンテスそんなに凝視したら。見るだけで心臓ショックを起こし兼ねない風体だという事をお忘れなく」

「……ううっ、酷いですよぅーミカエル様。私が人見知りだって知ってる癖に……。だからこそ目を合わせなきゃって頑張っているのに……」

「あははっ、勿論知ってますよ。でも皆怖がってますから止めましょうね」

「うううっ……」

「はい、泣かないの」
 
 ボタボタと、大粒の涙が流れると辺りが水浸しになる。

「小心者なんです。ワタシ……」

「知ってますよ」

 ミカエルさんがギガンテスさんの頭をなでなでする。

「で、早速なんですが、あなたのラージメント巨大化をククルちゃんに付与して下さい」

「うううっ……解りました」 

 ギガンテスさんは意外とすんなり泣き止むとボクに向かって手をかざした。

「私の身体を駆け巡る巨人の力よ、目の前の無垢な魂に力を与えるがよい。ラージメント巨大化!」

「うっ!」

 身体が熱い。
 身体の底からエネルギーが湧いてくるようダ。
 頭の中で声がする。

 ――ラージメントを取得しました。

「これで無事に一つ目のスキルが付与されました。では今度は私の番ですね。汝が望みし空想の力よ汝が望むまま汝の助けとなれ!」

「うわっ!?」

 今度は身体が痺れるようにビリビリと痛い。
 雷が身体に落ちた時ってこんな感覚なのかもしれない。
 今度はさっきみたいに頭の中で声がしなかった。

「このスキルは、ククルちゃんのスキルレベルが低いのでまだ発動はしません。頑張ってスキルレベルを上げて下さいね」

「スキルレベル?」

 不思議そうに首を傾げるボクにミカエルさんが微笑んで教えてくれた。

「簡単に言うと経験ですかね。何度もスキルに親しむ事でレベルが上がります。ククルちゃんならきっとすぐにレベルが上がりますよ」

「ありがとうございます!」

 良く解らない事もあったけれど、ボクは頭を下げる。

「それから」

 ミカエルさんは少しバツが悪そうな顔で言う。

「ちょっと可哀想なのですがククルちゃんにはこのカプセルの中に転移して眠ってもらいます。このカプセルの中は静止空間になっているので、このカプセルの中にいれば老いる事はありません。あなたを必要としている人が現れるまでの間この中にいて下さい。
そうだ、再び召喚されるまでにどのぐらいの年月がかかるか解りませんから、カプセルの中の空間を異世界図書館と繋がるように細工しておきますね。色々な本があるので飽きませんよ。異世界図書館は様々な種族が利用してますから、ククルちゃんが利用しても不自然ではありませんからバンバン活用して下さい」

 こんなに小さなカプセルの中に別の空間が広がっているなんて、にわかに信じられなかったけれどボクは頷いた。
 ミカエルさんは恩人だ。
 ミカエルさんの頼みなら断れるはずがない。

「わかりましタ。そのカプセルの中でお昼寝したり異世界図書館に行ってお勉強してきたり頑張りまス」

「フフフ。聞き分けの良い可愛い子ですね。きっとククルちゃんの事を大切に思ってくれる良いご主人が現れますよ」

「ハイ!」

「転移! ククルちゃんをカプセルの中の静止空間へ!」

 カプセルの中は気温が一定でお腹が減る事もなかった。
 カプセルの中は薄暗くて広い。ミカエルさんの言っていた異世界図書館はボクが転移した静止空間の中に本当にあった。
 受け付けのお姉さんは獣であるボクにも親切に対応してくれたし、図書館は多種多様な生物が来館していた。
 ボクが見た事もない外来種の獣に、人間の顔をした魚。
 知的なゴーレム、博識なスライム。
 そこでは友達も出来た。
 ボクは異世界図書館に行く度に、お金に関する本を読み漁った。
 いつか故郷に帰った時に、お金の力で森の皆を幸せにする為に。
 そんな日々を繰り返している内に、ある日薄暗かったカプセルの中に光が差し込んだ。
 あまりの眩しさに驚いたけれど、それは久しく触れていなかった外の世界の光だった。
 今でも鮮明に覚えているのは、とても優しそうな顔をしたお爺さんがボクの事を愛おしそうに見ていたという事だ。
 それがボクと爺さんの初めての出会いだという事を、その頃のボクは知る由もなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~

岡本剛也
ファンタジー
駆け出しの冒険者であるシルヴァ・ベルハイスは、ダンジョン都市フェルミでダンジョン攻略を生業としていた。 順風満帆とはいかないものの、着実に力をつけてシルバーランク昇格。 そしてついに一つの壁とも言われる十階層の突破を成し遂げた。 仲間との絆も深まり、ここから冒険者としての明るい未来が待っていると確信した矢先——とある依頼が舞い込んできた。 その依頼とは勇者パーティの荷物持ちの依頼。 勇者の戦闘を近くで見られることができ、高い報酬ということもあって引き受けたのだが、この一回の依頼がシルヴァを地獄の底に叩き落されることとなった。 ダンジョン内で勇者達からゴミのような扱いを受け、信頼していた仲間にからも見放され……ダンジョンの奥地に放置されたシルヴァは、匂いに釣られてやってきた魔物に襲われた。 魔物に食われながら、シルヴァが心の底から願ったのは勇者への復讐。 そんな願いが叶ったのか、それとも叶わなかったのか。 事実のほどは神のみぞ知るが、シルヴァは記憶を持ったままとある魔物に転生した。 その魔物とは、最弱と名高いゴブリン。 追い打ちをかけるような最悪な状況に常人なら心が折れてもおかしくない中、シルヴァは折れることなく勇者への復讐を掲げた。 これは最弱のゴブリンに転生したシルヴァが、最強である勇者への復讐を果たす物語。

処理中です...