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第128話「対グランロード戦」
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ホワイトラビット号の甲板 ――
グランロードの閃光がエクスディアス号を襲った時、ホワイトラビット号の甲板も慌ただしくなっていた。
「何なの、今の砲撃!?」
「まるでラビット・ソード・カノンだったな」
驚愕するシャルルに対して、ハンサムは冷静に分析する。一瞬で何隻も轟沈した凄惨な光景に唖然としていたカイルと代わり、シャルルは伝声管の蓋を開ける。
「ガディ親方!」
「なんだ、すげぇ音だったが?」
「敵艦も魔導砲を積んでたのっ!」
「何だとぉ!?」
二人ともグラン王国が魔導砲まで開発していたとは思っていなかったのだ。余程の天才か、もしくは偏屈者がいたのかもしれない。
「魔剣型動力炉フル稼働! ラビット・ソード・カノンを用意してっ!」
「りょ……了解だっ!」
シャルルは伝声管から口を離すと、振り返りながら甲板全体に命令する。
「魔導航行に移行! 帆ぉ畳めぇ! ハンサム、船首を敵旗艦に向けてっ!」
「了解っ!」
ハンサムは急速に舵輪を廻し、船首をグランロードに向ける。そこでマスト上の見張りから報告が飛んでくる。
「ニャー!? 敵旗艦、旋回中ニャ! もう一発撃つつもりニャ~!」
「撃たせるかっ! 目標、敵旗艦っ! ラビット・ソード・カノン……撃てぇぇぇ!」
船首の砲身に収束した光は、一束の輝きとなり発射される。その一撃はドーラのファイアブレスにも勝るとも劣らず、海面を切り裂きながらグランロードへ向かった。
◇◇◆◇◇
同刻、王都防衛艦隊 旗艦グランロード ――
今、まさに勝利を確信した瞬間、眼前から目も眩むほどの輝きが襲い掛かってきた。その閃光は船首に展開されていた魔導防殻に遮られて微かに軌道を変え、艦の左舷を抉り取るように通過していく。
「な……なんだぁ!?」
「コード『白』からの砲撃ですっ! まさか、やつら我々と同じような魔導砲を搭載しているとはっ!?」
グラン王国側も海賊が魔導砲を搭載しているなどと思ってもおらず、その事実に驚愕した。しかも威力だけみれば、グランロードに搭載された物より遥かに強力だったのだ。
「くっ、艦の状況を報告せよっ!」
「左舷砲門全滅っ! 魔導動力炉の出力低下、魔導砲はもう撃てません!」
その報告を受け、アレスは悔しそうに歯軋りをする。ほんの一瞬前まで、逆転の一手を打っていたはずである。それが先程の一撃で、盤面ごと放り投げられた気分だった。
「殿下、今なら戦場も混乱しております。この場を離脱しましょう」
「オイスン……お前の言う通り、王都に留まっているべきだったな」
「今からでも遅くはありません。あの威力です、さすがに連射は出来ないでしょう。さぁ立ってください」
手を差し出しながら撤退を提案するオイスンだったが、彼も状況はよくわかっていた。このまま逃げても、あの白い悪魔が逃がしてくれるわけがない。必ず追撃してくるし、そうなればこの壊れかけの艦では逃げ切れるわけがなかった。
それでも絶望しかけているアレス王子に、希望も持たせたかったのだ。この状況でそこまで思える彼こそ、本当の忠臣だと言えた。しかし、アレス王子は差し出された手を拒み、自らの足で立ち上がる。
「いや、こうなれば彼女を倒すしかない! 離脱した艦隊が逃げる時間を作るぞっ!」
「……ハッ、仰せのままに!」
この状況になり、ようやく覚悟を決めたアレス王子。そんな彼にオイスンは涙を浮かべながら敬礼すると、依然混乱中の甲板に檄を飛ばす。
「当艦はコード『白』に向かう! あの船を沈めん限り、我々に生還はないと思えっ!」
「ハッ!」
魔導動力炉が不調で出力が出ないため低速だったが、グランロードはホワイトラビット号に向かって進み始めた。そして、ホワイトラビット号もまたグランロードに向かって来ている。
「あちらの方が小回りが利くっ! 小賢しく立ち回ろうなどと思うな、当たるぞっ!」
「おぉぉぉ!」
グランロードはかなり大きな艦である。正面から当たれば、ホワイトラビット号程度であれば転覆させられる。しかしホワイトラビット号が、わざわざその目論見に付きあうわけもなく、方向転換して回り込んできた。
「来るぞっ! 白兵戦用意っ!」
オイスンがそう叫んだ瞬間、回り込んできたホワイトラビット号がグランロードの左舷に突き刺さった。その衝撃で甲板上の者たちは体勢を崩して転倒する。しかし心構えをしていたからか、兵士たちはすぐに立ち上がって武器を構えた。
「来いっ! この蛮族どもがぁ!」
その咆哮に応えるように乗り込んできたシャルルたちは、彼らからは白い悪魔に見えたかもしれない。
◇◇◆◇◇
ラビット・ソード・カノンを放ったホワイトラビット号は、そのまま魔導航行で突撃を敢行した。ガディンクの予想通り砲身が溶解しており、二発目には砲身が耐えれそうもなかったからである。
グランロードの防殻を過小評価して沈めれなかったのは痛恨だったが、二発目を撃たせずに済んだと考えれば間違っていなかった。
それよりも、逃げずに向かってきたことの方が驚いた。それは予想外だったが、それでもシャルルたちがやるべきことは変わらない。
「ハンサム、左舷から突っ込むよっ! お前たち、武器を構えろ!」
「あいよっ!」
「にゃぁぁぁぁ」
ハンサムは舵を廻して左舷に回り込み、船首付近ではシャルルと白兵戦装備の黒猫たちが突撃の準備をする。
「魔導衝角展開!」
ホワイトラビット号の船首に、魔導防核で出来た四角錐の魔導衝角が展開される。
船体を傷付けず衝角突撃が出来る便利な装備だが、高価な魔導帆船でわざわざ衝角突撃をする海賊が他にいないため、現在はホワイトラビット号のみに搭載されている装備だ。
魔導衝角が、見事にグランロードの横腹に突き刺さり両船を激しく揺らす。揺れが少し治まった瞬間、シャルルがカニィナーレを振って剣身を伸ばした。
「いくよ、お前たちっ! 第一目標は王子様、第二は艦長及び要人っ!」
「にゃぁぁぁ!」
シャルルの号令に黒猫たちが咆哮を上げると、シャルルを先頭に傾いたグランロードに乗り込んでいく。
シャルルたちが甲板に降り立つと、すぐに戦闘態勢の兵士たちが取り囲んできた。かなり殺気立っており、いつ襲ってきてもおかしくない状態だった。シャルルは警戒しつつ、兵士たちの立ち方や剣の構え方を観察する。
「さすが軍人ってところね、みんな結構強い……お前たち、三匹一組で当たれ」
「にゃ? わかったにゃ!」
シャルルはグラン王国の兵士たちを見て警戒度を上げたようだ。通常二匹一組で連携して戦う黒猫たちだったが、どの黒猫と組んでも連携に差異がないのが猫獣人の強みであり、咄嗟の変更にも即座に対応していく。
「一斉に掛かれっ!」
兵士の一人が号令を発すると、兵士たちが一斉に襲い掛かってきた。シャルルは振り下ろされた剣を僅かに動いて躱すと、兵士の顔に跳び蹴りを叩き込む。
「うがぁ!?」
着地と同時に二人の兵士が同時に斬りかかってきたが、シャルルは片方をカニィナーレで受けて、もう一人の腹に強烈な横蹴りを叩き込む。鉄板すら軽々と凹ませるシャルルの蹴りを喰らい、兵士は悶絶して崩れ落ちた。
シャルルは受けた剣を弾き返しながら、その兵士の顎に跳び膝蹴りを叩き込む。顎が砕けた嫌な感触を膝に感じながら一回転すると、着地してカニィナーレを構える。
「どんどん掛かってきなさいっ!」
「くっ……手強いぞっ!?」
一瞬の内に三人の兵士たちを打ち倒したシャルルに、歴戦の兵士たちもたじろぐ。黒猫たちも三人一組で戦うことで、兵士たちを次々に倒していた。しかし数が多いため、突破するには時間がかかりそうだった。
「おぅ姫さん、待たせたなっ!」
グランロードの舷側を上がってきたハンサムが、槍を担ぎながらニヤリと笑う。シャルルは一歩下がるとハンサムに背を預けるように合流した。
「こいつら、結構強いから気を付けて」
「あぁ、それに数も多いなっ!」
ハンサムが槍を振り回しながら構えると、シャルルの相手で少し腰が引けていた兵士たちも持ち直して構える。
「姫さん、ここは俺に任せて貰っても構わねぇぜ?」
「もう少しだけ数を減らしてから……ねっ!」
ハンサムとシャルルは一斉に動き出し兵士たちを倒していく。ハンサムの膂力で突き出された槍は兵士の胸当てを軽々と突き破り、シャルルはその素早さを活かして、次々と兵士を無効化していった。
グランロードの閃光がエクスディアス号を襲った時、ホワイトラビット号の甲板も慌ただしくなっていた。
「何なの、今の砲撃!?」
「まるでラビット・ソード・カノンだったな」
驚愕するシャルルに対して、ハンサムは冷静に分析する。一瞬で何隻も轟沈した凄惨な光景に唖然としていたカイルと代わり、シャルルは伝声管の蓋を開ける。
「ガディ親方!」
「なんだ、すげぇ音だったが?」
「敵艦も魔導砲を積んでたのっ!」
「何だとぉ!?」
二人ともグラン王国が魔導砲まで開発していたとは思っていなかったのだ。余程の天才か、もしくは偏屈者がいたのかもしれない。
「魔剣型動力炉フル稼働! ラビット・ソード・カノンを用意してっ!」
「りょ……了解だっ!」
シャルルは伝声管から口を離すと、振り返りながら甲板全体に命令する。
「魔導航行に移行! 帆ぉ畳めぇ! ハンサム、船首を敵旗艦に向けてっ!」
「了解っ!」
ハンサムは急速に舵輪を廻し、船首をグランロードに向ける。そこでマスト上の見張りから報告が飛んでくる。
「ニャー!? 敵旗艦、旋回中ニャ! もう一発撃つつもりニャ~!」
「撃たせるかっ! 目標、敵旗艦っ! ラビット・ソード・カノン……撃てぇぇぇ!」
船首の砲身に収束した光は、一束の輝きとなり発射される。その一撃はドーラのファイアブレスにも勝るとも劣らず、海面を切り裂きながらグランロードへ向かった。
◇◇◆◇◇
同刻、王都防衛艦隊 旗艦グランロード ――
今、まさに勝利を確信した瞬間、眼前から目も眩むほどの輝きが襲い掛かってきた。その閃光は船首に展開されていた魔導防殻に遮られて微かに軌道を変え、艦の左舷を抉り取るように通過していく。
「な……なんだぁ!?」
「コード『白』からの砲撃ですっ! まさか、やつら我々と同じような魔導砲を搭載しているとはっ!?」
グラン王国側も海賊が魔導砲を搭載しているなどと思ってもおらず、その事実に驚愕した。しかも威力だけみれば、グランロードに搭載された物より遥かに強力だったのだ。
「くっ、艦の状況を報告せよっ!」
「左舷砲門全滅っ! 魔導動力炉の出力低下、魔導砲はもう撃てません!」
その報告を受け、アレスは悔しそうに歯軋りをする。ほんの一瞬前まで、逆転の一手を打っていたはずである。それが先程の一撃で、盤面ごと放り投げられた気分だった。
「殿下、今なら戦場も混乱しております。この場を離脱しましょう」
「オイスン……お前の言う通り、王都に留まっているべきだったな」
「今からでも遅くはありません。あの威力です、さすがに連射は出来ないでしょう。さぁ立ってください」
手を差し出しながら撤退を提案するオイスンだったが、彼も状況はよくわかっていた。このまま逃げても、あの白い悪魔が逃がしてくれるわけがない。必ず追撃してくるし、そうなればこの壊れかけの艦では逃げ切れるわけがなかった。
それでも絶望しかけているアレス王子に、希望も持たせたかったのだ。この状況でそこまで思える彼こそ、本当の忠臣だと言えた。しかし、アレス王子は差し出された手を拒み、自らの足で立ち上がる。
「いや、こうなれば彼女を倒すしかない! 離脱した艦隊が逃げる時間を作るぞっ!」
「……ハッ、仰せのままに!」
この状況になり、ようやく覚悟を決めたアレス王子。そんな彼にオイスンは涙を浮かべながら敬礼すると、依然混乱中の甲板に檄を飛ばす。
「当艦はコード『白』に向かう! あの船を沈めん限り、我々に生還はないと思えっ!」
「ハッ!」
魔導動力炉が不調で出力が出ないため低速だったが、グランロードはホワイトラビット号に向かって進み始めた。そして、ホワイトラビット号もまたグランロードに向かって来ている。
「あちらの方が小回りが利くっ! 小賢しく立ち回ろうなどと思うな、当たるぞっ!」
「おぉぉぉ!」
グランロードはかなり大きな艦である。正面から当たれば、ホワイトラビット号程度であれば転覆させられる。しかしホワイトラビット号が、わざわざその目論見に付きあうわけもなく、方向転換して回り込んできた。
「来るぞっ! 白兵戦用意っ!」
オイスンがそう叫んだ瞬間、回り込んできたホワイトラビット号がグランロードの左舷に突き刺さった。その衝撃で甲板上の者たちは体勢を崩して転倒する。しかし心構えをしていたからか、兵士たちはすぐに立ち上がって武器を構えた。
「来いっ! この蛮族どもがぁ!」
その咆哮に応えるように乗り込んできたシャルルたちは、彼らからは白い悪魔に見えたかもしれない。
◇◇◆◇◇
ラビット・ソード・カノンを放ったホワイトラビット号は、そのまま魔導航行で突撃を敢行した。ガディンクの予想通り砲身が溶解しており、二発目には砲身が耐えれそうもなかったからである。
グランロードの防殻を過小評価して沈めれなかったのは痛恨だったが、二発目を撃たせずに済んだと考えれば間違っていなかった。
それよりも、逃げずに向かってきたことの方が驚いた。それは予想外だったが、それでもシャルルたちがやるべきことは変わらない。
「ハンサム、左舷から突っ込むよっ! お前たち、武器を構えろ!」
「あいよっ!」
「にゃぁぁぁぁ」
ハンサムは舵を廻して左舷に回り込み、船首付近ではシャルルと白兵戦装備の黒猫たちが突撃の準備をする。
「魔導衝角展開!」
ホワイトラビット号の船首に、魔導防核で出来た四角錐の魔導衝角が展開される。
船体を傷付けず衝角突撃が出来る便利な装備だが、高価な魔導帆船でわざわざ衝角突撃をする海賊が他にいないため、現在はホワイトラビット号のみに搭載されている装備だ。
魔導衝角が、見事にグランロードの横腹に突き刺さり両船を激しく揺らす。揺れが少し治まった瞬間、シャルルがカニィナーレを振って剣身を伸ばした。
「いくよ、お前たちっ! 第一目標は王子様、第二は艦長及び要人っ!」
「にゃぁぁぁ!」
シャルルの号令に黒猫たちが咆哮を上げると、シャルルを先頭に傾いたグランロードに乗り込んでいく。
シャルルたちが甲板に降り立つと、すぐに戦闘態勢の兵士たちが取り囲んできた。かなり殺気立っており、いつ襲ってきてもおかしくない状態だった。シャルルは警戒しつつ、兵士たちの立ち方や剣の構え方を観察する。
「さすが軍人ってところね、みんな結構強い……お前たち、三匹一組で当たれ」
「にゃ? わかったにゃ!」
シャルルはグラン王国の兵士たちを見て警戒度を上げたようだ。通常二匹一組で連携して戦う黒猫たちだったが、どの黒猫と組んでも連携に差異がないのが猫獣人の強みであり、咄嗟の変更にも即座に対応していく。
「一斉に掛かれっ!」
兵士の一人が号令を発すると、兵士たちが一斉に襲い掛かってきた。シャルルは振り下ろされた剣を僅かに動いて躱すと、兵士の顔に跳び蹴りを叩き込む。
「うがぁ!?」
着地と同時に二人の兵士が同時に斬りかかってきたが、シャルルは片方をカニィナーレで受けて、もう一人の腹に強烈な横蹴りを叩き込む。鉄板すら軽々と凹ませるシャルルの蹴りを喰らい、兵士は悶絶して崩れ落ちた。
シャルルは受けた剣を弾き返しながら、その兵士の顎に跳び膝蹴りを叩き込む。顎が砕けた嫌な感触を膝に感じながら一回転すると、着地してカニィナーレを構える。
「どんどん掛かってきなさいっ!」
「くっ……手強いぞっ!?」
一瞬の内に三人の兵士たちを打ち倒したシャルルに、歴戦の兵士たちもたじろぐ。黒猫たちも三人一組で戦うことで、兵士たちを次々に倒していた。しかし数が多いため、突破するには時間がかかりそうだった。
「おぅ姫さん、待たせたなっ!」
グランロードの舷側を上がってきたハンサムが、槍を担ぎながらニヤリと笑う。シャルルは一歩下がるとハンサムに背を預けるように合流した。
「こいつら、結構強いから気を付けて」
「あぁ、それに数も多いなっ!」
ハンサムが槍を振り回しながら構えると、シャルルの相手で少し腰が引けていた兵士たちも持ち直して構える。
「姫さん、ここは俺に任せて貰っても構わねぇぜ?」
「もう少しだけ数を減らしてから……ねっ!」
ハンサムとシャルルは一斉に動き出し兵士たちを倒していく。ハンサムの膂力で突き出された槍は兵士の胸当てを軽々と突き破り、シャルルはその素早さを活かして、次々と兵士を無効化していった。
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