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第98話「ルナ・インスーラ」
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リザードマンたちが購入した船は、彼らによってスルティアの竜の末裔号と名付けられた。
船が引き渡されてから数日後、準備を整えたドラゴス・スルティア号は、ホワイトラビット号と共にシンフォニルスを発ち、スルティア諸島を目指して航海していた。
ドラゴス号にはアッテルとレード、航海士のエインズ、そして半数の黒猫とヴァル爺が乗り込み操船を担当している。それでも船同士が離れないようにホワイトラビット号が牽引する形になっており、両船はロープによって繋がれた状態だった。
西から東に向かって強い風が吹き、シャルルの銀色の髪がバサバサと揺れる。顔にかかった髪を払うと彼女は東の空を見つめた。
「かなり風が強い、これは荒れるかもしれないわね」
「この辺りじゃ珍しいが……後ろの船のこともあるから行動するなら早いほうがいいぜ」
シャルルのつぶやきにハンサムが答えると、隣にいたドーラが尋ねてくる。
「どうした、何か問題か?」
「うん、ちょっと荒れるかも知れなくって、わたしたちだけなら何とでもなるんだけど……」
「ドラゴス号が問題というわけだな?」
「操船の手も少ないし、慣れてない船だとどうしてもね。う~ん……ヴァル爺と相談した方がいいかな、寄せて貰おうか? 旗上げぇ……」
シャルルが黒猫たちに指示を出そうとした瞬間、ドーラが手を挙げてそれを制止した。シャルルは口を噤むと首を傾げる。
「その為に船を動かすのも面倒であろう。お主程度なら我が運んでやるぞ、掴まるが良い」
ドーラが差し出した手をシャルルが握ると、ドーラの背中の翼が倍以上に巨大化する。そして羽ばたかせると、シャルルと共にふわっと浮き上がった。
「それでは行くぞ!」
「うわっ!?」
ドーラはシャルルを掴んだまま、後方のドラゴス号に向かって飛んで行き、ドラゴス号の船尾に降り立つと、そこでシャルルの手を放した。
「ほれ、着いたぞ」
「あ……ありがと、でも飛ぶなら先に言って欲しかったかな」
突然飛んできたシャルルたちに驚いて、ヴァル爺たちが駆け寄ってきた。
「お嬢、大丈夫ですかな?」
「えぇ、驚いただけ……それって海図よね?」
ヴァル爺が握っていた物を指差しながら尋ねると、ヴァル爺は頷きながら海図を手渡した。
「どうやら荒れそうですからなぁ。丁度、航海士の若いのと話そうとしてたところですじゃ」
「丁度良かった、わたしもそのために来たのよ」
シャルルはしゃがみ込むと、そのまま床に海図を広げた。周りにいたヴァル爺、エインズ、ドーラは囲むように座って海図を覗き込んだ。
「今、この辺りでしょ? 荒れた場合、漂躊はさすがに無理だと思うんだけど、どこか避難場所はないかな?」
「そうですな……あぁ、ここなどはどうですかな?」
ヴァル爺が指差したところには、『海を飲み込む月の島』と書かれていた。それを見たシャルルは子供のように目を輝かせる。
「確かにあの島なら避難するにはピッタリね! わたしも久しぶりに行ってみたいしっ!」
「なにやら嬉しそうだが、その島には何かあるのか?」
「多くの海賊が挑んだ古代遺跡があるんだよ」
「正確には何者にも開けられず、壊せないと言われている水門があるのじゃ」
ヴァル爺が補足するとドーラはニヤリと笑う。その口端からは微かに炎が漏れていた。
「ほぅ、それは面白い! 我が炎に焼けぬ物などないと思うがな」
「それなら目的地は『海を飲み込む月の島』でいいわね?」
「この船の航海士はお主だ、お主が決めよ」
経験豊富なヴァル爺や船長のシャルルが、進路決定と言わんばかりの雰囲気の中、急に話を振られたエインズは驚いて目を見開いた。まだ船に乗って数日で、リザードマンたちにそこまで信用されているとは思っていなかったのだ。
エインズは改めて海図に視線を落とし、しばらく他のルートがないか検討したあと力強く頷いた。
「彼らの提案で問題ないと思います。現状、この船で嵐を超えることは難しいですので」
「うむ、ならば我らに異存はない! では、帰るぞっ!」
ドーラはそう言い切ると、シャルルの手を掴んで再び浮き上がった。
「うわぁ!? だから飛ぶときは一言ぉぉぉ~!」
◇◇◆◇◇
その後、ホワイトラビット号とドラゴス号は東に向かって転進した。そして強風を背にしばらく進むと、奇妙な形の島が見えてくる。
全体的には一部が欠けた円形をしており、中央が丘のようにせり上がっている。そして、その丘の内海側は崖になっており、巨大な水門が静かに佇んでいた。ホワイトラビット号とドラゴス号はそのまま内海に入り込み、その水門の近くで錨泊する。
船首に立ったドーラは、腕を組みながら巨大な水門を眺めている。
「ほぅ……あれが噂の水門か?」
「ほら、あの周りを見てみてよ。多くの船がアレを破壊しようと大砲を撃ち込んだ跡だよ。結局門には傷一つ付けれてないの」
シャルルの言う通り、水門から離れた壁には砲弾の跡があるが、水門の周辺には傷らしい傷が見受けられなかった。中には船の衝角でラムアタックを敢行した船もあったようだが、何かの障壁に防がれてあえなく海の藻屑になったそうだ。
「ふむ、せっかくだ。我も試してくるとするかの」
ドーラはそう言いながら翼を羽ばたかせると、ホワイトラビット号の上空まで飛び上がった。そして大きく空気を吸い込むと、レーザーのようなファイアブレスを発射した。天を切り裂くような一条の光線が真っすぐに水門に伸びていく。しかし、そのブレスすらも突然現れた光の幕に防がれて霧散してしまった。
そのブレスの影響で海面が蒸発し、大量の水蒸気が発生すると大爆発を引き起こした。その衝撃によって発生した高波が、ホワイトラビット号とドラゴス号を襲う。そんな激しく揺れる甲板上で、シャルルは慌てて上空に向かって叫ぶ。
「ドーラ、やめてっ! 船がひっくり返る!」
「ちぃ、小癪な……我のブレスをはじき返すだと?」
ドーラは忌々しそうに水門を睨みつけると、そのままホワイトラビット号の甲板に着地した。
「やっぱり何かの結界が張ってあるみたいね」
「フン、大したことはないわ。我が本気さえ出せば破壊できるはずだ!」
負け惜しみなのか本気なのかは判断できなかったが、ドーラは不機嫌そうにそう答えた。あまりに子供っぽい言い分にシャルルはクスリと笑う。
「波が収まったら、ボートを下ろして上陸するよっ! 当直以外はすべて降りてよしっ!」
「にゃぁぁぁ!」
上陸許可を受けて、黒猫たちが忙しなくボートを降ろす準備を始めた。この島には港がないため、上陸するためにはボートでなくてはならないのだ。
ドーラのせいで荒れてしまった波が収まるのを待ってから、食料や水、そして野営準備などを乗せてボートで移動を開始する。当然、一度に乗れる人数は限られるので何度も往復することになる。
そうしていると、西の空が徐々に荒れ始めていた。まだ遠いが稲光のようなものも見えている。それを確認したシャルルは、作業中の黒猫たちに急ぐように指示を飛ばす。
「思ったより早いっぽいな……上陸作業急いで! 上陸した者から麓の神殿に向かえっ!」
「ニャー!」
「ドーラたちも乗って、わたしは最後に乗るから」
シャルルの言葉にドーラは首を傾げると、隣に立っているザラン戦士長の方を向く。
「我にはボートなど不要だ。お主は先に行って様子を見ておけ」
「はっ!」
ザラン戦士長は頷くと、ボートの一つに乗り込みに向かった。それを見送ったドーラはシャルルのほうを向く。
「せっかくだから、お主も一緒に運んでやろう」
「えっ!? いや~……もう飛ぶのはいいかな~」
「あはは、遠慮するな。お主は軽いからな、大した手間ではないぞ」
シャルルが遠慮したと勘違いしたドーラは、腕組みをしたまま笑っている。シャルルは少し悩んだが彼女の好意を受けることにした。ドラゴス号側のボートが少ないため上陸が少し遅れており、一隻でも多くのボートが必要だと判断したからだった。
それからしばらくして、ホワイトラビット号にはシャルルとドーラ、ハンサム、そして当直の黒猫たちだけになった。
「それじゃハンサム、船をお願いね」
「あぁ任せろ。まぁ嵐の中を奔るわけじゃねぇし、この内海じゃ波も大したことねぇから大丈夫さ」
不測の事態に備えてハンサムは自ら残ることを決めたが、当直の黒猫たちは貧乏くじを引いたと気落ちしていた。そんな黒猫たちにシャルルは声を掛けていく。
「ほら、特別手当と長めの休暇をあげるから頑張って!」
「特別手当と休暇!? 仕方ないニャ~」
金払いだけは、下手な大商人より良いと言われるホワイトラビット号の特別手当と聞いて、黒猫たちは表向きは渋々と言った様子で答える。だが頭の中では、白猫たちに貢ぐ算段を考え始めているのだった。
「そろそろ良いか?」
「うん……それじゃお願いできる?」
「うむ、任せるがよい」
ドーラはシャルルを後ろから抱え込み、背中の翼を大きく羽ばたかせて宙に浮くと、そのまま海を飲み込む月の島に向かったのだった。
船が引き渡されてから数日後、準備を整えたドラゴス・スルティア号は、ホワイトラビット号と共にシンフォニルスを発ち、スルティア諸島を目指して航海していた。
ドラゴス号にはアッテルとレード、航海士のエインズ、そして半数の黒猫とヴァル爺が乗り込み操船を担当している。それでも船同士が離れないようにホワイトラビット号が牽引する形になっており、両船はロープによって繋がれた状態だった。
西から東に向かって強い風が吹き、シャルルの銀色の髪がバサバサと揺れる。顔にかかった髪を払うと彼女は東の空を見つめた。
「かなり風が強い、これは荒れるかもしれないわね」
「この辺りじゃ珍しいが……後ろの船のこともあるから行動するなら早いほうがいいぜ」
シャルルのつぶやきにハンサムが答えると、隣にいたドーラが尋ねてくる。
「どうした、何か問題か?」
「うん、ちょっと荒れるかも知れなくって、わたしたちだけなら何とでもなるんだけど……」
「ドラゴス号が問題というわけだな?」
「操船の手も少ないし、慣れてない船だとどうしてもね。う~ん……ヴァル爺と相談した方がいいかな、寄せて貰おうか? 旗上げぇ……」
シャルルが黒猫たちに指示を出そうとした瞬間、ドーラが手を挙げてそれを制止した。シャルルは口を噤むと首を傾げる。
「その為に船を動かすのも面倒であろう。お主程度なら我が運んでやるぞ、掴まるが良い」
ドーラが差し出した手をシャルルが握ると、ドーラの背中の翼が倍以上に巨大化する。そして羽ばたかせると、シャルルと共にふわっと浮き上がった。
「それでは行くぞ!」
「うわっ!?」
ドーラはシャルルを掴んだまま、後方のドラゴス号に向かって飛んで行き、ドラゴス号の船尾に降り立つと、そこでシャルルの手を放した。
「ほれ、着いたぞ」
「あ……ありがと、でも飛ぶなら先に言って欲しかったかな」
突然飛んできたシャルルたちに驚いて、ヴァル爺たちが駆け寄ってきた。
「お嬢、大丈夫ですかな?」
「えぇ、驚いただけ……それって海図よね?」
ヴァル爺が握っていた物を指差しながら尋ねると、ヴァル爺は頷きながら海図を手渡した。
「どうやら荒れそうですからなぁ。丁度、航海士の若いのと話そうとしてたところですじゃ」
「丁度良かった、わたしもそのために来たのよ」
シャルルはしゃがみ込むと、そのまま床に海図を広げた。周りにいたヴァル爺、エインズ、ドーラは囲むように座って海図を覗き込んだ。
「今、この辺りでしょ? 荒れた場合、漂躊はさすがに無理だと思うんだけど、どこか避難場所はないかな?」
「そうですな……あぁ、ここなどはどうですかな?」
ヴァル爺が指差したところには、『海を飲み込む月の島』と書かれていた。それを見たシャルルは子供のように目を輝かせる。
「確かにあの島なら避難するにはピッタリね! わたしも久しぶりに行ってみたいしっ!」
「なにやら嬉しそうだが、その島には何かあるのか?」
「多くの海賊が挑んだ古代遺跡があるんだよ」
「正確には何者にも開けられず、壊せないと言われている水門があるのじゃ」
ヴァル爺が補足するとドーラはニヤリと笑う。その口端からは微かに炎が漏れていた。
「ほぅ、それは面白い! 我が炎に焼けぬ物などないと思うがな」
「それなら目的地は『海を飲み込む月の島』でいいわね?」
「この船の航海士はお主だ、お主が決めよ」
経験豊富なヴァル爺や船長のシャルルが、進路決定と言わんばかりの雰囲気の中、急に話を振られたエインズは驚いて目を見開いた。まだ船に乗って数日で、リザードマンたちにそこまで信用されているとは思っていなかったのだ。
エインズは改めて海図に視線を落とし、しばらく他のルートがないか検討したあと力強く頷いた。
「彼らの提案で問題ないと思います。現状、この船で嵐を超えることは難しいですので」
「うむ、ならば我らに異存はない! では、帰るぞっ!」
ドーラはそう言い切ると、シャルルの手を掴んで再び浮き上がった。
「うわぁ!? だから飛ぶときは一言ぉぉぉ~!」
◇◇◆◇◇
その後、ホワイトラビット号とドラゴス号は東に向かって転進した。そして強風を背にしばらく進むと、奇妙な形の島が見えてくる。
全体的には一部が欠けた円形をしており、中央が丘のようにせり上がっている。そして、その丘の内海側は崖になっており、巨大な水門が静かに佇んでいた。ホワイトラビット号とドラゴス号はそのまま内海に入り込み、その水門の近くで錨泊する。
船首に立ったドーラは、腕を組みながら巨大な水門を眺めている。
「ほぅ……あれが噂の水門か?」
「ほら、あの周りを見てみてよ。多くの船がアレを破壊しようと大砲を撃ち込んだ跡だよ。結局門には傷一つ付けれてないの」
シャルルの言う通り、水門から離れた壁には砲弾の跡があるが、水門の周辺には傷らしい傷が見受けられなかった。中には船の衝角でラムアタックを敢行した船もあったようだが、何かの障壁に防がれてあえなく海の藻屑になったそうだ。
「ふむ、せっかくだ。我も試してくるとするかの」
ドーラはそう言いながら翼を羽ばたかせると、ホワイトラビット号の上空まで飛び上がった。そして大きく空気を吸い込むと、レーザーのようなファイアブレスを発射した。天を切り裂くような一条の光線が真っすぐに水門に伸びていく。しかし、そのブレスすらも突然現れた光の幕に防がれて霧散してしまった。
そのブレスの影響で海面が蒸発し、大量の水蒸気が発生すると大爆発を引き起こした。その衝撃によって発生した高波が、ホワイトラビット号とドラゴス号を襲う。そんな激しく揺れる甲板上で、シャルルは慌てて上空に向かって叫ぶ。
「ドーラ、やめてっ! 船がひっくり返る!」
「ちぃ、小癪な……我のブレスをはじき返すだと?」
ドーラは忌々しそうに水門を睨みつけると、そのままホワイトラビット号の甲板に着地した。
「やっぱり何かの結界が張ってあるみたいね」
「フン、大したことはないわ。我が本気さえ出せば破壊できるはずだ!」
負け惜しみなのか本気なのかは判断できなかったが、ドーラは不機嫌そうにそう答えた。あまりに子供っぽい言い分にシャルルはクスリと笑う。
「波が収まったら、ボートを下ろして上陸するよっ! 当直以外はすべて降りてよしっ!」
「にゃぁぁぁ!」
上陸許可を受けて、黒猫たちが忙しなくボートを降ろす準備を始めた。この島には港がないため、上陸するためにはボートでなくてはならないのだ。
ドーラのせいで荒れてしまった波が収まるのを待ってから、食料や水、そして野営準備などを乗せてボートで移動を開始する。当然、一度に乗れる人数は限られるので何度も往復することになる。
そうしていると、西の空が徐々に荒れ始めていた。まだ遠いが稲光のようなものも見えている。それを確認したシャルルは、作業中の黒猫たちに急ぐように指示を飛ばす。
「思ったより早いっぽいな……上陸作業急いで! 上陸した者から麓の神殿に向かえっ!」
「ニャー!」
「ドーラたちも乗って、わたしは最後に乗るから」
シャルルの言葉にドーラは首を傾げると、隣に立っているザラン戦士長の方を向く。
「我にはボートなど不要だ。お主は先に行って様子を見ておけ」
「はっ!」
ザラン戦士長は頷くと、ボートの一つに乗り込みに向かった。それを見送ったドーラはシャルルのほうを向く。
「せっかくだから、お主も一緒に運んでやろう」
「えっ!? いや~……もう飛ぶのはいいかな~」
「あはは、遠慮するな。お主は軽いからな、大した手間ではないぞ」
シャルルが遠慮したと勘違いしたドーラは、腕組みをしたまま笑っている。シャルルは少し悩んだが彼女の好意を受けることにした。ドラゴス号側のボートが少ないため上陸が少し遅れており、一隻でも多くのボートが必要だと判断したからだった。
それからしばらくして、ホワイトラビット号にはシャルルとドーラ、ハンサム、そして当直の黒猫たちだけになった。
「それじゃハンサム、船をお願いね」
「あぁ任せろ。まぁ嵐の中を奔るわけじゃねぇし、この内海じゃ波も大したことねぇから大丈夫さ」
不測の事態に備えてハンサムは自ら残ることを決めたが、当直の黒猫たちは貧乏くじを引いたと気落ちしていた。そんな黒猫たちにシャルルは声を掛けていく。
「ほら、特別手当と長めの休暇をあげるから頑張って!」
「特別手当と休暇!? 仕方ないニャ~」
金払いだけは、下手な大商人より良いと言われるホワイトラビット号の特別手当と聞いて、黒猫たちは表向きは渋々と言った様子で答える。だが頭の中では、白猫たちに貢ぐ算段を考え始めているのだった。
「そろそろ良いか?」
「うん……それじゃお願いできる?」
「うむ、任せるがよい」
ドーラはシャルルを後ろから抱え込み、背中の翼を大きく羽ばたかせて宙に浮くと、そのまま海を飲み込む月の島に向かったのだった。
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