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第82話「ゴール!」
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アーガス号に乗り込んだ時点で、シャルルたちの目的は半分以上が達成されていた。侵入者の排除に船員は割かれるし、そんな状況でまともな操船など出来ないからだ。
このレースが旗艦の順位を競うルールである以上、後続を大きく引き離した現状では、二位のアーガス号を足止めできれば、一位のルーレア造船所の勝利が確定する。
「なるべく手加減してあげてよねっ!」
「フン、向こうのが数が多いんだ。相手に言ってくれよ」
ハンサムの肩を軽く叩いたシャルルが跳躍して囲みを飛び越えると、取り囲んでいた船乗りたちの視線が上を向いた。それに合わせて前に出たハンサムが、槍を横薙ぎに振り回して正面の船乗りたちを吹き飛ばす。それを皮切りに黒猫たちが、一斉に行動を開始し掻き乱す。
大乱戦になった船尾甲板の中、シャルルはキャプテンオミールの前に降り立った。キャプテンオミールはカトラスで肩を叩きながら、苦々しい表情を浮かべる。
「嬢ちゃんたち、乗り込んでくるだけあってなかなかやるじゃねぇか」
「ありがと、自慢の仲間たちよ」
シャルルはニッコリと微笑んでウィンクをする。キャプテンオミールは乱戦になっている仲間たちをチラリと見た。
数の上ではアーガス号の船乗りのほうが圧倒しているが、ハンサムの動きを止めれるほどの使い手はおらず、全体で見ても少しずつ押されているようだった。
「どうやらお前を捕まえて、連中を大人しくさせたほうが早そうだ」
「お爺さんにできるかしら?」
「どうだろうな……まぁ、やってみるさっ!」
キャプテンオミールは老齢とは思えないほど鋭い踏み込みを見せ、カトラスをシャルルに向けて振り下ろす。シャルルは半身ずらすことでそれを躱し、軽く飛びながら右廻し蹴りをオミールの側頭部に向けて放った。
「ガァ!」
「止めたっ!?」
オミールは左手でシャルルの蹴りを受け止めた。止められることを予想していなかったシャルルは、空中でバランスを崩す。
その隙を見逃さず、オミールはシャルルに向かってカトラスを振り上げる。シャルルは止められた右足でオミールの肩を蹴り、バク転の要領でその攻撃をギリギリ躱した。
再び対峙する両者だったが、蹴られたオミールの左手は紫色に変色しており、ダメージは深刻のようだ。彼はそれを押さえながら、シャルルを睨みつける。
「カァ、痛ぇ……もう少し年寄りを労わってもいいと思うがなぁ。最近の若者は礼儀ってものを知らねぇぜ」
「あら、お年寄りはあんなに鋭い斬撃を放たないものよ?」
「ちっ……可愛げもねぇぜ」
オミールは舌打ちをすると、腰を落としてカトラスを構えた。どうやらスピードが圧倒的に違うことを理解して作戦を変えたようだ。シャルルもそれを察したのか迂闊に飛び込んだりしない。
「死ねぇ!」
その均衡を崩したのはアーガス号の船乗りの一人だった。突然シャルルの後ろから斬りかかったのだ。シャルルはそれを左に躱しざまに右肘を鳩尾に叩き込む。息が出来なくなり動きが止まった船乗りの右腕を取ると、背負投げの要領でオミールに向かって投げ飛ばした。
オミールは飛んできた船乗りを左肩で受けると、そのまま船乗りを振り払って視界を確保する。投げた船乗りを追うように前進していたシャルルは、体勢を崩したオミールと視線を交わす。
「小娘ぇぇぇ!」
「やぁぁ!」
振り下ろされたカトラスに、剣状にしたカニィナーレを合わせたシャルルは回転しながらそれを受け流す。そして、その勢いのまま後ろ廻し蹴りを彼の顔に叩き込んだ。
「キャプテン……グァッ!?」
オミールがやられて戸惑っている操舵士も蹴り飛ばし、シャルルは舵輪にカニィナーレを叩きつける。舵輪が砕け巻き付いているロープもはじけ飛び、その大きな破裂音に乱戦中の船乗りたちも、一斉にシャルルの方を向いた。
シャルルはカニィナーレを天高く突き上げると勝利を宣言する。
「わたしたちの勝ちだ! お前たち、ズラかるよ」
「にゃー!」
呆然とする船乗りたちを蹴散らして、甲板を飛び降りたシャルルたちはホワイトラビット号に戻っていく。着地したシャルルは、操舵のために待機していたカイルに向かって命じる。
「全速離脱っ!」
「は、はいっ!」
魔導動力炉を全開にして、アーガス号から距離を取るホワイトラビット号はあっという間に離れていく。
しばらくして目を覚ましたキャプテンオミールは、アーガス号の状況を見て航行不能と判断した、棄権を示す白旗が掲げるように命じたのだった。
◇◇◆◇◇
ダーナー号の甲板 ――
前方を塞がれながら南東に進むダーナー号の甲板では、アレスが落ち着かない様子で何度も後ろを振り返っている。追撃態勢に入っていたアーガス号が姿が見えなくなり、不安を感じているのだ。
「アーガス号はどこに行ったんだ? もう抜かれちまったのか?」
「フォフォフォ、大丈夫じゃ、お嬢がしっかり時間を稼いでくれておるよ」
ヴァル爺が余裕な態度で答えていると、少し離れたところで追跡してきていた一隻の監視船が近付いてきた。
そして目の前でブロックを続けるアスマン造船所と手旗信号で交信をすると、アスマン造船所の船が左右に分かれてブロックを解除した。そのことに驚いたアレスは目を見開く。
「な、なんだ!? どうしてブロックを解除したんだ?」
「ふむ、理由はわからんが、今は征くしかあるまい……総帆開けぇ、魔導動力炉起動っ!」
ヴァル爺たちには知る由もなかったが、ブロックが解除されたのは、旗艦が失格になったからだ。
監視船が命じてブロックを解除させた以上、これ以上アスマン造船所の船は妨害ができないということである。そうであれば開かれた道を征かない理由はなかった。
ヴァル爺の号令で帆をすべて開いたダーナー号は、大きく風を掴んで加速する。左右に分かれた船の間を通り過ぎ、ゴール目指して針路を取るのだった。
◇◇◆◇◇
アーゴンレットの港 ――
レース二日目の昼を過ぎ、多くの観衆が港に集まっていた。例年通りであれば、そろそろ一位の船が姿を現す頃だからだ。しばらくして設置してある魔導型拡声器から運営の声が聞こえてくる。
「おっと帰ってきたぞぉぉぉぉ!」
その声に反応して歓声が上がる。いよいよレースも大詰めなのもあるが、賭けの結果も気になるからだ。例年熱中しすぎて全財産を賭け、負けて奴隷落ちする奴もいるほどである。
「何隻だ!? どこの船が返ってきた?」
賭け札を握りしめた男がそう叫び拡声器に集中する。この拡声器は灯台の上に設置された運営本部に繋がっており、そこからスタート時とゴール時の解説をしているのだ。
「おおっと、これは驚きだ。あの旗印はルーレア造船所だ! ルーレア造船所のダーナー号が、まさか一位をキープしているぞ!?」
「ルーレア!? 最近落ち目で誰も賭けちゃいねぇだろ!」
賭け札を握り締めた男が叫びながら地団駄を踏んでいる。その横ではファムがルーレア造船所に賭けた賭け札を見つめてニヤニヤと笑っていた。
「これは大番狂わせです。手元の資料によりますと……ルーレア造船所のオッズはなんと二十倍! 二十倍だぁ! このままゴールできれば近年稀に見る大番狂わせになるでしょう」
「アスマンとバシュはどうしたぁ!?」
自分の賭けたチームの名前を叫び天を仰ぐ男たち、それに応えるように解説者が何かを発見する。
「おっと……ダーナー号の影から一隻出てきたぞ。アレはどこの船だぁ!?」
「おぉぉぉぉ!?」
その解説に男たちは最後の希望を募らせ息を飲む。しかし、その希望は一瞬で崩れ去るのだった。
「失礼しました、あの船は旗艦ではありません。ルーレア造船所のホワイトラビット号だぁ、スタート地点で大立ち回りを見せていたあの船ですっ!」
「うわぁぁぁぁぁ」
賭け札を投げ捨てて項垂れる男たち。それに追い打ちを掛けるように解説が続く。
「後続船が数隻見えてきましたっ! しかし、その距離は一海里(約一.八キロメートル)以上だぁ。これはもう決まりでしょう」
港からでもダーナー号とホワイトラビット号がはっきり見えてくると、観衆から大きな歓声が上がる。僚船が一隻という大きな不利を抱えたままスタートしたルーレア造船所が、まさかの一位で帰ってきたのだ。その驚きと偉業に歓声は例年以上のものになっていた。
ゴールラインとして浮かべられた二隻の間を、ダーナー号とホワイトラビット号が並んで通り過ぎる。その瞬間ゴールラインの二隻からは、空砲が発射され大きな音を轟かせた。
「ダーナー号、ゴォォォルゥゥゥゥ! 今年の優勝はルーレア造船所のダーナー号だぁぁぁ!」
「わぁぁぁぁぁぁ!」
解説の勝利宣言に合わせて、観衆の割れんばかりの大歓声が響き渡った。こうして造船所対抗レースは、ルーレア造船所の優勝で終わったのである。
このレースが旗艦の順位を競うルールである以上、後続を大きく引き離した現状では、二位のアーガス号を足止めできれば、一位のルーレア造船所の勝利が確定する。
「なるべく手加減してあげてよねっ!」
「フン、向こうのが数が多いんだ。相手に言ってくれよ」
ハンサムの肩を軽く叩いたシャルルが跳躍して囲みを飛び越えると、取り囲んでいた船乗りたちの視線が上を向いた。それに合わせて前に出たハンサムが、槍を横薙ぎに振り回して正面の船乗りたちを吹き飛ばす。それを皮切りに黒猫たちが、一斉に行動を開始し掻き乱す。
大乱戦になった船尾甲板の中、シャルルはキャプテンオミールの前に降り立った。キャプテンオミールはカトラスで肩を叩きながら、苦々しい表情を浮かべる。
「嬢ちゃんたち、乗り込んでくるだけあってなかなかやるじゃねぇか」
「ありがと、自慢の仲間たちよ」
シャルルはニッコリと微笑んでウィンクをする。キャプテンオミールは乱戦になっている仲間たちをチラリと見た。
数の上ではアーガス号の船乗りのほうが圧倒しているが、ハンサムの動きを止めれるほどの使い手はおらず、全体で見ても少しずつ押されているようだった。
「どうやらお前を捕まえて、連中を大人しくさせたほうが早そうだ」
「お爺さんにできるかしら?」
「どうだろうな……まぁ、やってみるさっ!」
キャプテンオミールは老齢とは思えないほど鋭い踏み込みを見せ、カトラスをシャルルに向けて振り下ろす。シャルルは半身ずらすことでそれを躱し、軽く飛びながら右廻し蹴りをオミールの側頭部に向けて放った。
「ガァ!」
「止めたっ!?」
オミールは左手でシャルルの蹴りを受け止めた。止められることを予想していなかったシャルルは、空中でバランスを崩す。
その隙を見逃さず、オミールはシャルルに向かってカトラスを振り上げる。シャルルは止められた右足でオミールの肩を蹴り、バク転の要領でその攻撃をギリギリ躱した。
再び対峙する両者だったが、蹴られたオミールの左手は紫色に変色しており、ダメージは深刻のようだ。彼はそれを押さえながら、シャルルを睨みつける。
「カァ、痛ぇ……もう少し年寄りを労わってもいいと思うがなぁ。最近の若者は礼儀ってものを知らねぇぜ」
「あら、お年寄りはあんなに鋭い斬撃を放たないものよ?」
「ちっ……可愛げもねぇぜ」
オミールは舌打ちをすると、腰を落としてカトラスを構えた。どうやらスピードが圧倒的に違うことを理解して作戦を変えたようだ。シャルルもそれを察したのか迂闊に飛び込んだりしない。
「死ねぇ!」
その均衡を崩したのはアーガス号の船乗りの一人だった。突然シャルルの後ろから斬りかかったのだ。シャルルはそれを左に躱しざまに右肘を鳩尾に叩き込む。息が出来なくなり動きが止まった船乗りの右腕を取ると、背負投げの要領でオミールに向かって投げ飛ばした。
オミールは飛んできた船乗りを左肩で受けると、そのまま船乗りを振り払って視界を確保する。投げた船乗りを追うように前進していたシャルルは、体勢を崩したオミールと視線を交わす。
「小娘ぇぇぇ!」
「やぁぁ!」
振り下ろされたカトラスに、剣状にしたカニィナーレを合わせたシャルルは回転しながらそれを受け流す。そして、その勢いのまま後ろ廻し蹴りを彼の顔に叩き込んだ。
「キャプテン……グァッ!?」
オミールがやられて戸惑っている操舵士も蹴り飛ばし、シャルルは舵輪にカニィナーレを叩きつける。舵輪が砕け巻き付いているロープもはじけ飛び、その大きな破裂音に乱戦中の船乗りたちも、一斉にシャルルの方を向いた。
シャルルはカニィナーレを天高く突き上げると勝利を宣言する。
「わたしたちの勝ちだ! お前たち、ズラかるよ」
「にゃー!」
呆然とする船乗りたちを蹴散らして、甲板を飛び降りたシャルルたちはホワイトラビット号に戻っていく。着地したシャルルは、操舵のために待機していたカイルに向かって命じる。
「全速離脱っ!」
「は、はいっ!」
魔導動力炉を全開にして、アーガス号から距離を取るホワイトラビット号はあっという間に離れていく。
しばらくして目を覚ましたキャプテンオミールは、アーガス号の状況を見て航行不能と判断した、棄権を示す白旗が掲げるように命じたのだった。
◇◇◆◇◇
ダーナー号の甲板 ――
前方を塞がれながら南東に進むダーナー号の甲板では、アレスが落ち着かない様子で何度も後ろを振り返っている。追撃態勢に入っていたアーガス号が姿が見えなくなり、不安を感じているのだ。
「アーガス号はどこに行ったんだ? もう抜かれちまったのか?」
「フォフォフォ、大丈夫じゃ、お嬢がしっかり時間を稼いでくれておるよ」
ヴァル爺が余裕な態度で答えていると、少し離れたところで追跡してきていた一隻の監視船が近付いてきた。
そして目の前でブロックを続けるアスマン造船所と手旗信号で交信をすると、アスマン造船所の船が左右に分かれてブロックを解除した。そのことに驚いたアレスは目を見開く。
「な、なんだ!? どうしてブロックを解除したんだ?」
「ふむ、理由はわからんが、今は征くしかあるまい……総帆開けぇ、魔導動力炉起動っ!」
ヴァル爺たちには知る由もなかったが、ブロックが解除されたのは、旗艦が失格になったからだ。
監視船が命じてブロックを解除させた以上、これ以上アスマン造船所の船は妨害ができないということである。そうであれば開かれた道を征かない理由はなかった。
ヴァル爺の号令で帆をすべて開いたダーナー号は、大きく風を掴んで加速する。左右に分かれた船の間を通り過ぎ、ゴール目指して針路を取るのだった。
◇◇◆◇◇
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レース二日目の昼を過ぎ、多くの観衆が港に集まっていた。例年通りであれば、そろそろ一位の船が姿を現す頃だからだ。しばらくして設置してある魔導型拡声器から運営の声が聞こえてくる。
「おっと帰ってきたぞぉぉぉぉ!」
その声に反応して歓声が上がる。いよいよレースも大詰めなのもあるが、賭けの結果も気になるからだ。例年熱中しすぎて全財産を賭け、負けて奴隷落ちする奴もいるほどである。
「何隻だ!? どこの船が返ってきた?」
賭け札を握りしめた男がそう叫び拡声器に集中する。この拡声器は灯台の上に設置された運営本部に繋がっており、そこからスタート時とゴール時の解説をしているのだ。
「おおっと、これは驚きだ。あの旗印はルーレア造船所だ! ルーレア造船所のダーナー号が、まさか一位をキープしているぞ!?」
「ルーレア!? 最近落ち目で誰も賭けちゃいねぇだろ!」
賭け札を握り締めた男が叫びながら地団駄を踏んでいる。その横ではファムがルーレア造船所に賭けた賭け札を見つめてニヤニヤと笑っていた。
「これは大番狂わせです。手元の資料によりますと……ルーレア造船所のオッズはなんと二十倍! 二十倍だぁ! このままゴールできれば近年稀に見る大番狂わせになるでしょう」
「アスマンとバシュはどうしたぁ!?」
自分の賭けたチームの名前を叫び天を仰ぐ男たち、それに応えるように解説者が何かを発見する。
「おっと……ダーナー号の影から一隻出てきたぞ。アレはどこの船だぁ!?」
「おぉぉぉぉ!?」
その解説に男たちは最後の希望を募らせ息を飲む。しかし、その希望は一瞬で崩れ去るのだった。
「失礼しました、あの船は旗艦ではありません。ルーレア造船所のホワイトラビット号だぁ、スタート地点で大立ち回りを見せていたあの船ですっ!」
「うわぁぁぁぁぁ」
賭け札を投げ捨てて項垂れる男たち。それに追い打ちを掛けるように解説が続く。
「後続船が数隻見えてきましたっ! しかし、その距離は一海里(約一.八キロメートル)以上だぁ。これはもう決まりでしょう」
港からでもダーナー号とホワイトラビット号がはっきり見えてくると、観衆から大きな歓声が上がる。僚船が一隻という大きな不利を抱えたままスタートしたルーレア造船所が、まさかの一位で帰ってきたのだ。その驚きと偉業に歓声は例年以上のものになっていた。
ゴールラインとして浮かべられた二隻の間を、ダーナー号とホワイトラビット号が並んで通り過ぎる。その瞬間ゴールラインの二隻からは、空砲が発射され大きな音を轟かせた。
「ダーナー号、ゴォォォルゥゥゥゥ! 今年の優勝はルーレア造船所のダーナー号だぁぁぁ!」
「わぁぁぁぁぁぁ!」
解説の勝利宣言に合わせて、観衆の割れんばかりの大歓声が響き渡った。こうして造船所対抗レースは、ルーレア造船所の優勝で終わったのである。
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