78 / 145
第78話「追ってきた船」
しおりを挟む
バシュ造船所のオルデス号が座礁してから、数時間後 ――
岩礁地帯を回避するために、北廻りで迂回したアスマン造船所のアルムーン号は、左舷から太陽の光を浴びながら南西に向かって航行していた。
アルムーン号の船長はギルスという壮年の男で、元はアルニオス帝国の西側で海賊をしながら生計を立てていた人物である。今は海賊稼業は引退して、アスマン造船所で船の試運転やレースの際の船長を任されている。今回のレースでは、他の雇われ船長たちを統括する役目も担っていた。
しかし、第一ポイントの島を通過後に、突然ホワイトラビット号とオルデス号が西進を開始したため、旗艦の護衛は他の僚船に任せて二隻の追跡することを選んだのだ。この判断は長年海で生きてきたキャプテンギルスの直感によるものである。
その結果オルデス号は座礁してリタイア、ホワイトラビット号も岩礁地帯に突っ込んで行くのを見て、アルムーン号は追跡をやめて北に向かうルートを選んだ。
それでも北進した旗艦群と合流しなかったのは、岩礁地帯に向かったホワイトラビット号の存在が気になったからだった。
如何にもガラの悪い見た目の男が、渋い顔をしながらギルスに声を掛けてきた。
「お頭ぁ、アーガス号と合流して僚艦の指揮に戻ったほうが良かったんじゃないですかい?」
「船長と呼べって言ってんだろ、馬鹿野郎が! 向こうには三隻も向かわせてんだ、オミールの旦那も文句は言わねぇよ」
トップを争ってる旗艦群に向かった船は、アスマン造船所の船が三隻、バシュ造船所の船が一隻だけである。アスマン造船所の順位は三位だが、数の上では圧倒的に有利となっていた。
そこに見張り台からの報告が飛んでくる。
「頭ぁ! 船だ、あの白い船が前方にいるぜ!」
「なんだと! 本当に岩礁地帯を越えてきたってのか!?」
通常岩礁地帯を立ち入ってしまった船は、ボートなどを降ろして水深を測りながら慎重に進んでそこを抜けるしかない。しかし、そんなことをしていては、ホワイトラビット号があの位置にいるわけがなかった。
万が一のケースも考えていたギルスでも、この現実には大いに驚かされることになる。彼にとってホワイトラビット号が、この海域にいることは悪夢でも見ているような気分なのだ。それでもすぐに気を取り直して、甲板に向かって叫ぶように命じる。
「野郎ども、魔導動力炉全開だ!」
「頭ぁ、ここで使っちまうと最後の直線で使えませんぜ?」
「あの船は何かヤバイ! あのまま行かせちまったら、絶対チームの障害になるはずだ。いいから全速で追いかけろ! 後のことは考えるなっ!」
再度発破を掛けられて、船長の覚悟を悟った船乗りたちは慌しく動き始める。彼らも以前はギルスと共に大海原を暴れ回った海賊たちだ、その動きには淀みはなかった。彼らは素早く帆を畳むと魔導動力炉を起動する。
フル稼働した魔導動力炉は唸りを上げながら、ホワイトラビット号を目指して一気に加速した。
「いくぞ、てめぇら!」
「おぉぉぉぉぉ!」
激しい揺れの中、ギルスはホワイトラビット号がいるであろう水平線を睨みつけるのだった。
◇◇◆◇◇
一方、ホワイトラビット号では ――
疲れ果てたシャルルが、甲板に座り込んでスープを飲んでいた。ただでさえ岩礁地帯を突破するために水先案内人を務めたのだ。消耗するのも無理のない話だった。
「ふわぁぁ……眠いわ」
「仮眠を取ったほうがいいんじゃないですか?」
シャルルが飲み終わったコップを受け取りながら、カイルが心配そうに尋ねる。シャルルは少しボーっとしながら考え込んでいると、けたたましく鳴り響く鐘の音と共に、見張り台の黒猫から何かを発見したという報告が飛んでくる。
「敵襲にゃ~! 左舷後方、魔導航行にて急速接近中にゃ~!」
「なっ!?」
シャルルはすぐさま飛び起きると、一足で見張り台に飛び乗った。そして望遠鏡で北東の方角を覗き見る。
「一隻……アスマン造船所の旗? 北に回りこんでいた船か……これだけ引き離したのに喰らい付いてくるなんてしつこい奴ね。まだ少し距離はあるから、そのまま監視を続けて」
「わかったにゃ~」
シャルルは黒猫にそう言い付けると、船尾甲板のハンサムのところに向かった。ハンサムは欠伸をしながらそれを出迎える。
「ここからじゃまだ見えねぇが、追いつかれそうなのか?」
「う~ん、風向きも悪いし追い付かれるかも」
「今のうちに魔導航行に切り替えれば引き離せるぜ?」
「ここで距離を保つために使うと、終盤で魔力切れになるからな~。それにすごくしつこそうだから出来ればこの辺りで片付けたい」
今後の作戦を考慮すると、後ろから追いかけられている状態は好ましくない。そう考えたシャルルは、ここでアルムーン号を迎撃することを選んだ。頷いたハンサムは甲板に向かって大声で叫ぶ。
「総員戦闘体勢だ! 寝ている奴らも叩き起こせっ!」
「ニャー!」
ハンサムの号令で黒猫たちが大急ぎで戦闘体勢を整える。その準備が終った頃には、船尾甲板からでもアルムーン号が目視で確認できる距離まで詰められていた。
「敵船、総帆開いたにゃ!」
「さすがに魔力が切れたみたいね。だいぶ詰められたけど、ここからは船乗りの腕の勝負になるよ!」
「おらー、かかってこいニャー!」
甲板員の黒猫たちが、ロープを引きながら気合を入れる。シャルルは右舷後方を睨み、アルムーン号の次の動きを予測する。
アルムーン号側が無茶をして追いかけてきたことから、相手の狙いはホワイトラビット号の足止めなのは明白だった。こちらに大砲装備がないことに気が付いているかはわからないが、アルムーン号からの初手は砲戦だろうと予想できる。
「どっちから来るかな?」
今の位置関係なら、ホワイトラビット号の右舷側に回り込むのがスムーズだ。左に切り返してわざわざ風上を敵船に取らせるとも考えにくい。
「初弾躱したら左舷から乗り込むよ! 目標は船の装備だ、乗り込んだら暴れまわれっ! ルール違反になるかもしれないから人は殺すな!」
「やってやるニャー!」
操船用の黒猫たちを除き、残りの黒猫たちは白兵戦用に鉤爪付いたロープや斧などを用意して、左舷に立てられた盾の後ろに隠れるのだった。
◇◇◆◇◇
対するアルムーン号では ――
ホワイトラビット号の後方近くに位置付けたアルムーン号の甲板では、ギルスが望遠鏡を覗き込んでいる。そこには船長服に帽子を被った銀髪の少女が、手下たちに向かって指示を飛ばしている姿が映っていた。
「あのガキみたいのがキャプテンのようだな?」
「珍しい、あれ女ですぜ?」
同様に望遠鏡を覗き込んでいた副長もそれに同意した。海賊というか船乗り全般は男社会である。そんな中で女船長となればかなり珍しい。ギルスは顔を顰めると望遠鏡から目を離した。
「たぶん、あいつらキラーラビットって海賊だ。白い船に銀髪の若い女海賊、それに甲板上に溢れる猫の獣人たち、どれも噂の通りだぜ」
「キラーラビットっていやぁ、めっぽう強くてヤバいって噂になってる……」
「最近まで聞いたことねぇ海賊だったが、船長があんなガキなら当たり前か」
ギルスたちが海賊稼業をしていた頃と、シャルルが海賊デビューした時期がズレているため、両者に直接的な面識はなかった。それでも海賊キラーラビットはかなり派手に動き回っているので、船乗りたちの噂話として色々と耳に入ってくるのだ。
「確か奴らの船は大砲を積んでねぇらしいが、念のため距離を取りつつ奴らの右舷に回る。左舷砲門開けぇ! 弾込め始めっ!」
ギルスが命令を下すと副長がそれを復唱して、アルムーン号の左舷砲門が開き次々と大砲が突き出される。そして若干面舵に切り帆の適切な角度を合わせ、ホワイトラビット号と並ぶように距離を詰めていく。
そのままホワイトラビット号の航路と並行するように並んだアルムーン号、ギルスは目をカッと見開くと手を突き出しながら号令を発する。
「左舷全砲、放てぇ!」
その号令に合わせて放たれた大砲の轟音は、ホワイトラビット号との戦いの合図となるのだった。
岩礁地帯を回避するために、北廻りで迂回したアスマン造船所のアルムーン号は、左舷から太陽の光を浴びながら南西に向かって航行していた。
アルムーン号の船長はギルスという壮年の男で、元はアルニオス帝国の西側で海賊をしながら生計を立てていた人物である。今は海賊稼業は引退して、アスマン造船所で船の試運転やレースの際の船長を任されている。今回のレースでは、他の雇われ船長たちを統括する役目も担っていた。
しかし、第一ポイントの島を通過後に、突然ホワイトラビット号とオルデス号が西進を開始したため、旗艦の護衛は他の僚船に任せて二隻の追跡することを選んだのだ。この判断は長年海で生きてきたキャプテンギルスの直感によるものである。
その結果オルデス号は座礁してリタイア、ホワイトラビット号も岩礁地帯に突っ込んで行くのを見て、アルムーン号は追跡をやめて北に向かうルートを選んだ。
それでも北進した旗艦群と合流しなかったのは、岩礁地帯に向かったホワイトラビット号の存在が気になったからだった。
如何にもガラの悪い見た目の男が、渋い顔をしながらギルスに声を掛けてきた。
「お頭ぁ、アーガス号と合流して僚艦の指揮に戻ったほうが良かったんじゃないですかい?」
「船長と呼べって言ってんだろ、馬鹿野郎が! 向こうには三隻も向かわせてんだ、オミールの旦那も文句は言わねぇよ」
トップを争ってる旗艦群に向かった船は、アスマン造船所の船が三隻、バシュ造船所の船が一隻だけである。アスマン造船所の順位は三位だが、数の上では圧倒的に有利となっていた。
そこに見張り台からの報告が飛んでくる。
「頭ぁ! 船だ、あの白い船が前方にいるぜ!」
「なんだと! 本当に岩礁地帯を越えてきたってのか!?」
通常岩礁地帯を立ち入ってしまった船は、ボートなどを降ろして水深を測りながら慎重に進んでそこを抜けるしかない。しかし、そんなことをしていては、ホワイトラビット号があの位置にいるわけがなかった。
万が一のケースも考えていたギルスでも、この現実には大いに驚かされることになる。彼にとってホワイトラビット号が、この海域にいることは悪夢でも見ているような気分なのだ。それでもすぐに気を取り直して、甲板に向かって叫ぶように命じる。
「野郎ども、魔導動力炉全開だ!」
「頭ぁ、ここで使っちまうと最後の直線で使えませんぜ?」
「あの船は何かヤバイ! あのまま行かせちまったら、絶対チームの障害になるはずだ。いいから全速で追いかけろ! 後のことは考えるなっ!」
再度発破を掛けられて、船長の覚悟を悟った船乗りたちは慌しく動き始める。彼らも以前はギルスと共に大海原を暴れ回った海賊たちだ、その動きには淀みはなかった。彼らは素早く帆を畳むと魔導動力炉を起動する。
フル稼働した魔導動力炉は唸りを上げながら、ホワイトラビット号を目指して一気に加速した。
「いくぞ、てめぇら!」
「おぉぉぉぉぉ!」
激しい揺れの中、ギルスはホワイトラビット号がいるであろう水平線を睨みつけるのだった。
◇◇◆◇◇
一方、ホワイトラビット号では ――
疲れ果てたシャルルが、甲板に座り込んでスープを飲んでいた。ただでさえ岩礁地帯を突破するために水先案内人を務めたのだ。消耗するのも無理のない話だった。
「ふわぁぁ……眠いわ」
「仮眠を取ったほうがいいんじゃないですか?」
シャルルが飲み終わったコップを受け取りながら、カイルが心配そうに尋ねる。シャルルは少しボーっとしながら考え込んでいると、けたたましく鳴り響く鐘の音と共に、見張り台の黒猫から何かを発見したという報告が飛んでくる。
「敵襲にゃ~! 左舷後方、魔導航行にて急速接近中にゃ~!」
「なっ!?」
シャルルはすぐさま飛び起きると、一足で見張り台に飛び乗った。そして望遠鏡で北東の方角を覗き見る。
「一隻……アスマン造船所の旗? 北に回りこんでいた船か……これだけ引き離したのに喰らい付いてくるなんてしつこい奴ね。まだ少し距離はあるから、そのまま監視を続けて」
「わかったにゃ~」
シャルルは黒猫にそう言い付けると、船尾甲板のハンサムのところに向かった。ハンサムは欠伸をしながらそれを出迎える。
「ここからじゃまだ見えねぇが、追いつかれそうなのか?」
「う~ん、風向きも悪いし追い付かれるかも」
「今のうちに魔導航行に切り替えれば引き離せるぜ?」
「ここで距離を保つために使うと、終盤で魔力切れになるからな~。それにすごくしつこそうだから出来ればこの辺りで片付けたい」
今後の作戦を考慮すると、後ろから追いかけられている状態は好ましくない。そう考えたシャルルは、ここでアルムーン号を迎撃することを選んだ。頷いたハンサムは甲板に向かって大声で叫ぶ。
「総員戦闘体勢だ! 寝ている奴らも叩き起こせっ!」
「ニャー!」
ハンサムの号令で黒猫たちが大急ぎで戦闘体勢を整える。その準備が終った頃には、船尾甲板からでもアルムーン号が目視で確認できる距離まで詰められていた。
「敵船、総帆開いたにゃ!」
「さすがに魔力が切れたみたいね。だいぶ詰められたけど、ここからは船乗りの腕の勝負になるよ!」
「おらー、かかってこいニャー!」
甲板員の黒猫たちが、ロープを引きながら気合を入れる。シャルルは右舷後方を睨み、アルムーン号の次の動きを予測する。
アルムーン号側が無茶をして追いかけてきたことから、相手の狙いはホワイトラビット号の足止めなのは明白だった。こちらに大砲装備がないことに気が付いているかはわからないが、アルムーン号からの初手は砲戦だろうと予想できる。
「どっちから来るかな?」
今の位置関係なら、ホワイトラビット号の右舷側に回り込むのがスムーズだ。左に切り返してわざわざ風上を敵船に取らせるとも考えにくい。
「初弾躱したら左舷から乗り込むよ! 目標は船の装備だ、乗り込んだら暴れまわれっ! ルール違反になるかもしれないから人は殺すな!」
「やってやるニャー!」
操船用の黒猫たちを除き、残りの黒猫たちは白兵戦用に鉤爪付いたロープや斧などを用意して、左舷に立てられた盾の後ろに隠れるのだった。
◇◇◆◇◇
対するアルムーン号では ――
ホワイトラビット号の後方近くに位置付けたアルムーン号の甲板では、ギルスが望遠鏡を覗き込んでいる。そこには船長服に帽子を被った銀髪の少女が、手下たちに向かって指示を飛ばしている姿が映っていた。
「あのガキみたいのがキャプテンのようだな?」
「珍しい、あれ女ですぜ?」
同様に望遠鏡を覗き込んでいた副長もそれに同意した。海賊というか船乗り全般は男社会である。そんな中で女船長となればかなり珍しい。ギルスは顔を顰めると望遠鏡から目を離した。
「たぶん、あいつらキラーラビットって海賊だ。白い船に銀髪の若い女海賊、それに甲板上に溢れる猫の獣人たち、どれも噂の通りだぜ」
「キラーラビットっていやぁ、めっぽう強くてヤバいって噂になってる……」
「最近まで聞いたことねぇ海賊だったが、船長があんなガキなら当たり前か」
ギルスたちが海賊稼業をしていた頃と、シャルルが海賊デビューした時期がズレているため、両者に直接的な面識はなかった。それでも海賊キラーラビットはかなり派手に動き回っているので、船乗りたちの噂話として色々と耳に入ってくるのだ。
「確か奴らの船は大砲を積んでねぇらしいが、念のため距離を取りつつ奴らの右舷に回る。左舷砲門開けぇ! 弾込め始めっ!」
ギルスが命令を下すと副長がそれを復唱して、アルムーン号の左舷砲門が開き次々と大砲が突き出される。そして若干面舵に切り帆の適切な角度を合わせ、ホワイトラビット号と並ぶように距離を詰めていく。
そのままホワイトラビット号の航路と並行するように並んだアルムーン号、ギルスは目をカッと見開くと手を突き出しながら号令を発する。
「左舷全砲、放てぇ!」
その号令に合わせて放たれた大砲の轟音は、ホワイトラビット号との戦いの合図となるのだった。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる