55 / 145
第55話「精霊獅子攻略戦・前」
しおりを挟む
精霊獅子から逃走したシャルルたちは、監視塔の二階にある宿舎に集まっていた。元々隊員が寝泊まりする場所だったらしく、ベッドの数も十分足りている。
「癒しの風」
ハンサムの背中に触れたマギが癒しの風を発動させる。彼女の掌が緑色の光に包まれると、ハンサムの体全体に広がっていく。目立った大きな外傷はないが、先程の戦いで精霊獅子に叩き付けられたので、念のために回復することになったのだ。
「はい、終わり!」
「おぅ、ありがとよ。助かったぜ」
ハンサムはお礼を言いながら、腕などを動かして調子を確認する。彼の治療が終わったところで、シャルルが溜まっていた不満を爆発させた。
「も~何なのアレ!? いくら斬っても再生するし本当に倒せるの?」
「ん~……戦った感じだと、ちょっと難しいかもね。ダメージを与えることで魔力が抜けていくのは見えてるから、あのまま削っていけば具現化が保てなくなるはずなんだけど……」
「弱ってる感じはしなかったな」
ハンサムの言葉にシャルルも頷く、前衛で戦っていた二人は何度も致命傷になりうるダメージを与えているが、精霊獅子の動きが鈍るような感じがなかったのだ。それはマギも同じで、洞穴内ということで威力は抑えていたが、自分の攻撃魔法で削り切れないとは思っていなかった。
「こうなったら、外に引きずり出して焼いちまうにゃ!」
「ボーボーだニャー!」
精霊獅子を洞穴内から引っ張りだして、マギの制限なしの攻撃魔法で焼き払おうという提案だったが、シャルルは先程のことを思い出しながら首を横に振った。
「でも、精霊獅子って洞穴の門から出てこなかったよね?」
「そうねぇ、たぶんあそこが縄張りの端なんだと思うわ」
契約をしていない精霊種の中には、独自の縄張りを持ち、そこを守ろうと攻撃を仕掛けてくる習性を持つ者もいるようだ。
「それじゃ、どうする? このまま戦ってもいいが、あの野郎ダメージ以上に回復してる気がするぜ」
「回復……? なるほど!」
ハンサムのつぶやきに、マギが何かを思いついたように大きく頷いた。
「何か気付いたの?」
「えぇ、ひょっとしたら本当に回復してるんじゃないかって」
「どういうこと?」
シャルルが小首を傾げながら尋ねると、マギは思いついた仮説を話し始めた。彼女の仮説では、何かが精霊獅子に魔力を供給しており、それを取り除かない限り何度でも復活するのではないか? ということだった。
「つまり何とかすべきは精霊獅子じゃなくて、その魔力の源ってこと?」
「その通りよ。それさえ何とかすれば、今度こそ倒せると思うの」
「そいつは本当に、あの中にあるのか?」
「えぇ、ほぼ間違いなくね。きっと出てこないのは、それを守っているのよ」
シャルルもハンサムも精霊種についてマギほどの知識はない。疑問は尽きなかったが、ここはマギの案を採用することにした。シャルルはハンスから借りているザクーディ砦の地図を床に広げる。
「この広場が精霊獅子がいた広場でしょ? ここから伸びてるいくつかの通路の先に、その何かがあるとして……何かじゃ言い難いな、何かない?」
「それじゃ精霊核と呼びましょうか」
「精霊核ね、了解。それでどの通路にあるんだろ?」
広場から伸びる通路は、まるで迷宮のように広がっている。この中から精霊核を見つけるには骨が折れそうだった。
「広場で精霊獅子を引き付けつつ、探すしかないだろうなぁ」
「う~ん……それしかないかな。それじゃ、わたしが囮役をするから、皆は精霊核を探してくれる?」
「いや、いくらなんでも姫さんだけじゃ無理だろ、俺も残るぜ」
「私の魔法支援も必要でしょ?」
ハンサムとマギの意見にシャルルは少し考えると、チラッと黒猫たちを見る。
「それじゃ、黒猫たちで探索して貰うの?」
「消去法的にはそうなるわね」
「ニャーたちのことを疑ってるニャ? お宝見つけても懐にしまったりしないニャ~」
「お宝ガポガポにゃ~」
「……まぁ仕方ないか」
黒猫たちに任せるには一抹どころか大いに不安であったが、他に割ける人員もいないので、結局その作戦で決行することになったのだった。
◇◇◆◇◇
それから数日後、休養を挟んで再びザクーディ砦の攻略に取り掛かったシャルルたちは、洞穴内の広場まで到達していた。前回と同じようにマギがファイアウォールで明かりを灯すと、透明化していた精霊獅子が姿を現す。
「グガァァァ」
やはり前回のダメージは感じらず、魔力の供給源があるという仮説の信憑性が高まる。シャルルはカニィナーレを抜き放つと、仲間たちに指示を出していく。
「予定通り、わたしとハンサムが前衛、マギは支援をお願い」
「おうよ!」
「わかったわ~」
ハンサムもマギも返事をしながら武器を構えて集中する。
「お前たちは通路の攻略! 何があるかわからないから、危ないと思ったらすぐに戻ってきて」
「任せるニャ~」
「お宝ガポガポにゃ~」
シャルルは一度大きく息をすると、精霊獅子に突撃しながら「作戦開始!」と号令を出す。
ハンサムはシャルルに続き精霊獅子に向かって駆け出し、マギは攻撃魔法の詠唱に入る。黒猫たちは気付かれないようにコソコソと通路に向かった。
目の前に飛び出してきたシャルルを押し潰すように、振り上げられた精霊獅子の腕が叩きつけられる。シャルルは左に飛ぶと鞭状にしたカニィナーレを精霊獅子の右頬に叩きつけた。
「グォォォ!?」
痛みを感じているのかはわからないが、少しだけ怯む精霊獅子。そこに遅れて駆けてきたハンサムの槍の一撃が突き刺さる。
「ハァァァァ!」
鬣の先にある太い首に突き刺さったが、やはり致命傷にはならないようだ。ハンサムは槍を引き抜いて右に飛び退く。怒り狂った精霊獅子の牙が、先程までハンサムがいた空間を喰らう。
「ファイアボール!」
詠唱を終えたマギが放ったファイアボールは、精霊獅子の顔に直撃するが、光の粒子を撒き散らすだけですぐに再生してしまう。
「やっぱり精霊核を見つけて何とかしないとダメみたいね」
やや投げやり気味に言うマギに、シャルルは苦笑いを浮かべながら答える。
「とにかく黒猫たちが見つけてくれるのを願って、頑張りましょう!」
「了解!」
シャルルたちは再び武器を構え精霊獅子に集中する。囮役のシャルルたちは、とにかく時間を稼ぐしかないのである。
◇◇◆◇◇
一方その頃、精霊核を探しにいった黒猫たちは細い通路を走っていた。人が二人何とか通れる程度の広さの通路には、黒猫たちが持っているカンテラの灯りが反射している。
今回の黒猫たちの装備は、左の腰にカトラス、右の腰にカンテラ、そして肩掛け鞄を肩から通しているだけだ。普段ならさらに矛と弓矢などを装備しているのだが、精霊獅子にはほとんど効果がなかったことと、身軽さを優先した結果である。
わずかに湾曲している道を進むと、少し開けた部屋のような空間に辿り着いた。大きな樽や木箱などが並べられている。
「地図にあった部屋にゃ」
「何か目ぼしい物はないかニャ?」
ガサゴソとその辺りを漁ってみるが、どうやら酒などを格納していた場所らしく、お宝は見当たらなかった。念のためマギから預かった、魔力を帯びた短刀で辺りを探ってみるが、これと言って反応はない。
「ちっ、ここは外れニャ。次、行くニャ!」
「待つにゃ、この酒とか持ってけば高く売れるかにゃ?」
「さっさと来るニャ! 早く見つけないと兄貴に怒られるニャ!」
その部屋の探索は区切りをつけて、黒猫たちは次の部屋に向かって走り出す。
「そもそも、どんなのかわからにゃいのに見つかるのかにゃ?」
「この短剣をかざすと、魔力同士が反応するらしいニャ。あとはそれっぽいのを片っ端から持ってくしかないニャ!」
ブツブツと文句を言いながら、次の部屋に辿り着いた。今度の部屋は入口に扉の跡があり、部屋自体も加工した石造りのしっかりした部屋だった。鍵が付いた頑丈な箱がいくつかあり、黒猫はカトラスと錠前を破壊する。
「にゃ~! お宝にゃ~」
箱の中には、輝きを失っているが硬貨がたくさん詰まっていた。黒猫の一匹は短剣をかざしてみる。しかし、今回もまったく反応がなかった。
「これも違うニャ~」
「鞄に詰めるにゃ! ガポガポだにゃ~」
「重くなるから後にするニャ~」
鞄に硬貨を詰めようとする黒猫を諫めながら、もう一匹の黒猫は短剣をかざしながら部屋をぐるぐると回ってみる。
キィィィィィィン!
小さな箱の前で短剣の剣鳴りが響き、黒猫が目を見開いた。
「何かあったニャ!」
「任せるにゃ~」
先程まで硬貨を集めていた黒猫が、反応があった小さな箱の鍵をカトラスで壊す。二匹の黒猫はごくっと息を飲んで、その箱の蓋を持ち上げてみる。
「こ……これは!?」
「何ニャ?」
「癒しの風」
ハンサムの背中に触れたマギが癒しの風を発動させる。彼女の掌が緑色の光に包まれると、ハンサムの体全体に広がっていく。目立った大きな外傷はないが、先程の戦いで精霊獅子に叩き付けられたので、念のために回復することになったのだ。
「はい、終わり!」
「おぅ、ありがとよ。助かったぜ」
ハンサムはお礼を言いながら、腕などを動かして調子を確認する。彼の治療が終わったところで、シャルルが溜まっていた不満を爆発させた。
「も~何なのアレ!? いくら斬っても再生するし本当に倒せるの?」
「ん~……戦った感じだと、ちょっと難しいかもね。ダメージを与えることで魔力が抜けていくのは見えてるから、あのまま削っていけば具現化が保てなくなるはずなんだけど……」
「弱ってる感じはしなかったな」
ハンサムの言葉にシャルルも頷く、前衛で戦っていた二人は何度も致命傷になりうるダメージを与えているが、精霊獅子の動きが鈍るような感じがなかったのだ。それはマギも同じで、洞穴内ということで威力は抑えていたが、自分の攻撃魔法で削り切れないとは思っていなかった。
「こうなったら、外に引きずり出して焼いちまうにゃ!」
「ボーボーだニャー!」
精霊獅子を洞穴内から引っ張りだして、マギの制限なしの攻撃魔法で焼き払おうという提案だったが、シャルルは先程のことを思い出しながら首を横に振った。
「でも、精霊獅子って洞穴の門から出てこなかったよね?」
「そうねぇ、たぶんあそこが縄張りの端なんだと思うわ」
契約をしていない精霊種の中には、独自の縄張りを持ち、そこを守ろうと攻撃を仕掛けてくる習性を持つ者もいるようだ。
「それじゃ、どうする? このまま戦ってもいいが、あの野郎ダメージ以上に回復してる気がするぜ」
「回復……? なるほど!」
ハンサムのつぶやきに、マギが何かを思いついたように大きく頷いた。
「何か気付いたの?」
「えぇ、ひょっとしたら本当に回復してるんじゃないかって」
「どういうこと?」
シャルルが小首を傾げながら尋ねると、マギは思いついた仮説を話し始めた。彼女の仮説では、何かが精霊獅子に魔力を供給しており、それを取り除かない限り何度でも復活するのではないか? ということだった。
「つまり何とかすべきは精霊獅子じゃなくて、その魔力の源ってこと?」
「その通りよ。それさえ何とかすれば、今度こそ倒せると思うの」
「そいつは本当に、あの中にあるのか?」
「えぇ、ほぼ間違いなくね。きっと出てこないのは、それを守っているのよ」
シャルルもハンサムも精霊種についてマギほどの知識はない。疑問は尽きなかったが、ここはマギの案を採用することにした。シャルルはハンスから借りているザクーディ砦の地図を床に広げる。
「この広場が精霊獅子がいた広場でしょ? ここから伸びてるいくつかの通路の先に、その何かがあるとして……何かじゃ言い難いな、何かない?」
「それじゃ精霊核と呼びましょうか」
「精霊核ね、了解。それでどの通路にあるんだろ?」
広場から伸びる通路は、まるで迷宮のように広がっている。この中から精霊核を見つけるには骨が折れそうだった。
「広場で精霊獅子を引き付けつつ、探すしかないだろうなぁ」
「う~ん……それしかないかな。それじゃ、わたしが囮役をするから、皆は精霊核を探してくれる?」
「いや、いくらなんでも姫さんだけじゃ無理だろ、俺も残るぜ」
「私の魔法支援も必要でしょ?」
ハンサムとマギの意見にシャルルは少し考えると、チラッと黒猫たちを見る。
「それじゃ、黒猫たちで探索して貰うの?」
「消去法的にはそうなるわね」
「ニャーたちのことを疑ってるニャ? お宝見つけても懐にしまったりしないニャ~」
「お宝ガポガポにゃ~」
「……まぁ仕方ないか」
黒猫たちに任せるには一抹どころか大いに不安であったが、他に割ける人員もいないので、結局その作戦で決行することになったのだった。
◇◇◆◇◇
それから数日後、休養を挟んで再びザクーディ砦の攻略に取り掛かったシャルルたちは、洞穴内の広場まで到達していた。前回と同じようにマギがファイアウォールで明かりを灯すと、透明化していた精霊獅子が姿を現す。
「グガァァァ」
やはり前回のダメージは感じらず、魔力の供給源があるという仮説の信憑性が高まる。シャルルはカニィナーレを抜き放つと、仲間たちに指示を出していく。
「予定通り、わたしとハンサムが前衛、マギは支援をお願い」
「おうよ!」
「わかったわ~」
ハンサムもマギも返事をしながら武器を構えて集中する。
「お前たちは通路の攻略! 何があるかわからないから、危ないと思ったらすぐに戻ってきて」
「任せるニャ~」
「お宝ガポガポにゃ~」
シャルルは一度大きく息をすると、精霊獅子に突撃しながら「作戦開始!」と号令を出す。
ハンサムはシャルルに続き精霊獅子に向かって駆け出し、マギは攻撃魔法の詠唱に入る。黒猫たちは気付かれないようにコソコソと通路に向かった。
目の前に飛び出してきたシャルルを押し潰すように、振り上げられた精霊獅子の腕が叩きつけられる。シャルルは左に飛ぶと鞭状にしたカニィナーレを精霊獅子の右頬に叩きつけた。
「グォォォ!?」
痛みを感じているのかはわからないが、少しだけ怯む精霊獅子。そこに遅れて駆けてきたハンサムの槍の一撃が突き刺さる。
「ハァァァァ!」
鬣の先にある太い首に突き刺さったが、やはり致命傷にはならないようだ。ハンサムは槍を引き抜いて右に飛び退く。怒り狂った精霊獅子の牙が、先程までハンサムがいた空間を喰らう。
「ファイアボール!」
詠唱を終えたマギが放ったファイアボールは、精霊獅子の顔に直撃するが、光の粒子を撒き散らすだけですぐに再生してしまう。
「やっぱり精霊核を見つけて何とかしないとダメみたいね」
やや投げやり気味に言うマギに、シャルルは苦笑いを浮かべながら答える。
「とにかく黒猫たちが見つけてくれるのを願って、頑張りましょう!」
「了解!」
シャルルたちは再び武器を構え精霊獅子に集中する。囮役のシャルルたちは、とにかく時間を稼ぐしかないのである。
◇◇◆◇◇
一方その頃、精霊核を探しにいった黒猫たちは細い通路を走っていた。人が二人何とか通れる程度の広さの通路には、黒猫たちが持っているカンテラの灯りが反射している。
今回の黒猫たちの装備は、左の腰にカトラス、右の腰にカンテラ、そして肩掛け鞄を肩から通しているだけだ。普段ならさらに矛と弓矢などを装備しているのだが、精霊獅子にはほとんど効果がなかったことと、身軽さを優先した結果である。
わずかに湾曲している道を進むと、少し開けた部屋のような空間に辿り着いた。大きな樽や木箱などが並べられている。
「地図にあった部屋にゃ」
「何か目ぼしい物はないかニャ?」
ガサゴソとその辺りを漁ってみるが、どうやら酒などを格納していた場所らしく、お宝は見当たらなかった。念のためマギから預かった、魔力を帯びた短刀で辺りを探ってみるが、これと言って反応はない。
「ちっ、ここは外れニャ。次、行くニャ!」
「待つにゃ、この酒とか持ってけば高く売れるかにゃ?」
「さっさと来るニャ! 早く見つけないと兄貴に怒られるニャ!」
その部屋の探索は区切りをつけて、黒猫たちは次の部屋に向かって走り出す。
「そもそも、どんなのかわからにゃいのに見つかるのかにゃ?」
「この短剣をかざすと、魔力同士が反応するらしいニャ。あとはそれっぽいのを片っ端から持ってくしかないニャ!」
ブツブツと文句を言いながら、次の部屋に辿り着いた。今度の部屋は入口に扉の跡があり、部屋自体も加工した石造りのしっかりした部屋だった。鍵が付いた頑丈な箱がいくつかあり、黒猫はカトラスと錠前を破壊する。
「にゃ~! お宝にゃ~」
箱の中には、輝きを失っているが硬貨がたくさん詰まっていた。黒猫の一匹は短剣をかざしてみる。しかし、今回もまったく反応がなかった。
「これも違うニャ~」
「鞄に詰めるにゃ! ガポガポだにゃ~」
「重くなるから後にするニャ~」
鞄に硬貨を詰めようとする黒猫を諫めながら、もう一匹の黒猫は短剣をかざしながら部屋をぐるぐると回ってみる。
キィィィィィィン!
小さな箱の前で短剣の剣鳴りが響き、黒猫が目を見開いた。
「何かあったニャ!」
「任せるにゃ~」
先程まで硬貨を集めていた黒猫が、反応があった小さな箱の鍵をカトラスで壊す。二匹の黒猫はごくっと息を飲んで、その箱の蓋を持ち上げてみる。
「こ……これは!?」
「何ニャ?」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる