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第48話「目的地の相談」
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狐堂との契約を無事に終えたシャルルは、ファムを連れてホワイトラビット号に戻ってきていた。
港ではいつもの積荷と違って、重いインゴットを運んでいる黒猫たちが、文句を言いながら作業を続けていた。
ファムがシャルルたちに付いて来たのは、インゴットの確認と受け渡しのためである。しかし気が逸って、シャルルたちより先行したところを、作業中の黒猫たちに見つかってしまい囲まれていた。
「なんにゃ、犬ころが来たにゃ?」
「泥棒ニャ? 吊るすニャ? ボコすニャ?」
「な……なんや、こいつらぁ!? やめや、うちは狐や! 食っても美味ないで~」
背丈も近いこともあり、囲まれるとあっという間に身動きが取れなくなるファム。どうやら黒猫たちは種族的に犬系の獣人があまり好きではないようで、何かと物騒な言葉が飛び交っている。シャルルは呆れた様子で黒猫たちを窘める。
「こら、お前たち! その子はお客さんなんだからやめなさい。インゴットを引き取ってくれるから倉庫に案内してあげて」
「ニャー、そうなら早く言えニャ。こっち来いニャ!」
「なんや、客はもっと丁寧に扱えや~」
ファムが案内されていくのを見送ると、シャルルはタラップを上がって甲板に昇る。
ヴァル爺はすでに戻っていたが、マギはまだ帰っていないようだった。ハンサムは黒猫たちへの指示と荷運びのために港で忙しなく働いている。
「ヴァル爺」
「どうしましたかな、お嬢?」
「次の目的地の相談がしたくて……」
シャルルがファムから得た情報をヴァル爺に話すと、彼は髭を擦りながら頷いている。
「ふむ、ドワーフにメテローディア、そして遺跡か……ふ~む、どこも面白そうですな。手記には何か記載はなかったのですかな?」
「う~ん……近い手記にあるとすれば、『月喰らう獅子の砦』かな? 時の王に頼まれて、砦の建造に手助けしたって書いてあったわ」
シャルルは取り出した手記をペラペラと捲りながら答える。ヴァル爺は目を閉じて少し考え込む。
「ふむ、まずはドワーフは除外でしょうな」
「まぁ、そうだよね。山越えしなくちゃいけないし、準備から考えると半年ぐらいかかっちゃいそう」
ドワーフが住んでる土地まで行くには、大きく大陸を北に回り込むか、ルブルムから北方に続く陸路を進むしかない。どちらにしろ半年以上かかる上、商会は武具や鉱石などを扱っているわけではないので商売的な旨味もない。しかも行ったところで、情報が手に入るかも確かではないのだ。
「そうなると魔導都市メテローディアがいいかな? これに関する伝承ぐらいはわかるかも?」
「魔導都市はマギが嫌がるかもしれませんなぁ。それにあちらも遠いですからなぁ」
そう言われると、シャルルは眉を寄せながら頷く。魔導都市メテローディアも内陸地にあり船ではいけない。近くの港から徒歩で向かっても、七日はかかるような距離だった。
「まだ仲直りしてないの?」
「フォフォフォ、エルフは時の流れが我々とは違いますからなぁ」
ヴァル爺は穏やかに笑っているが、シャルルは少し呆れた様子だ。
「それじゃ、この国の遺跡か~……正直、気乗りしないな~」
「どうしてですか? 船長さん、遺跡探索とか好きだと思ってました」
それまで黙って聞いていたカイルが首を傾げながら訪ねる。シャルルは頬を膨らませると、カイルの髪をくしゃくしゃに撫で回す。
「わぁ!? なっ、何するんですか~」
「確かに冒険は好きだけど、ここの遺跡って大公家の管轄って話だからね。普通に考えて大公様が海賊に許可なんて出してくれるわけないでしょ?」
「それはそうですね……あっ、でもあのお姫様なら許可してくれるんじゃ?」
アナスタジアの顔を思い出しながらカイルが提案すると、シャルル微妙な表情を浮かべながら首を横に振った。
「確かにあの子なら許可を出してくれるだろうけど、あの子に頼ると色々と面倒……いえ、迷惑をかけるわけにもいかないでしょ?」
「それなら勝手に乗り込みますかな? その方が海賊らしい」
「それはダメよ。他の国ならまだしも、ローニャ公国では無茶はできないわ」
この国で商売が出来なくなると、ホワイトラビット商会の根幹が崩れてしまう。自身のブランドである白兎印が軌道に乗るまでは、無茶なことをするつもりはなかった。
「とりあえず、遺跡についての情報が欲しいわ。ヴァル爺のほうでも調べてくれる?」
「了解ですじゃ」
そんな話をしていると、タラップのほうからドタドタという音が聞こえてきた。シャルルたちがそちらに振り替えると、大きなリュックを担いだファムが駆け寄ってくる。
そして何を思ったか、いきなりシャルルに対して土下座した。その様子は大きなリュックに、押しつぶされているようにしか見えない。
「ちょっと大丈夫?」
「会長はん、申し訳ないんやけど、しばらく倉庫を貸してくれまへんやろうか?」
「倉庫を?」
「あんな量を仕舞っておける倉庫を、新たに借りたら儲けがパァや。それに元手がのうて運び出す人工だって払えん。売り先が決まるまで、ちょっとの間でいいんや。頼むわ~」
拝み倒すように頼んでくるファムに、シャルルは困ったような表情を浮かべる。インゴットを運び込んだ倉庫は、ホワイトラビット商会が所有しているものだ。主な商品が衣服なので倉庫の空きも随分ある。ちょっと場所を貸してあげるぐらいなら、まったく問題なかった。
「う~ん、どうしようかな~?」
「くっ、わかった! いくら欲しいんや」
土下座から起き上がると、今度はドスンと腰を下ろしたファムは交渉の体勢に入った。多少の損害を覚悟した顔である。
「お金もいいけど、今は情報が欲しいかな。貴女は商人だし色々な人から話を聞くでしょ? 海賊の秘宝について何か耳にしたら教えて欲しいの」
「そないなことでええんか? 正直、そうそう耳にするとも思えへんけど」
「うん、その約束だけで貸してあげるわ」
シャルルが手を差し出すと、ファムはその手を力強く握り返した。
「誤魔化しもする。嘘もつくし騙しもする。せやけど約束だけは守るんが、狐堂のプライドや。きっちり情報を集めてきてやるわ!」
そう啖呵を切る幼女を引っ張り起こしながら、シャルルは「よろしくね」と付け加えるのだった。
◇◇◆◇◇
それから数日後 ――
シャルルはカイルを連れて、懇意にしている職人がいる商会へ出向いていた。彼女は人気のデザイナーでとても忙しく、ようやく会う約束が取れたのだ。
もっともシャルルだから短期間で約束が取り付けれたのだが、通常の顧客などは半年も前から予約を取らねば会えないと言われている高級店である。
そんな店だからかシャルルもビシッとドレスで着飾り、カイルにもそれなりの服を着せている。シャルルたちの後ろから付いてくるカイルは、傍目からは彼女の従者にしか見えない。
通された部屋は、豪華さと上品さのバランスが素晴らしい部屋だった。いくつかのソファーとテーブルが置かれており、おそらく賓客をもてなす部屋なのだろう。
そのソファーには老齢ながら気品と美しさを保った女性と、まさに女ざかりといった美女が座っていた。シャルルとは違う系統だが、彼女も目を引く女性なのは間違いない。
「お久しぶりです、マダムロッジェ。それとジルダさん」
「まぁまぁ、よく来ましたね。シャルルちゃん」
そう言って出迎えてくれたのは老齢の女性で、名前はファビア・ロッジェ。このロッジェ商会を取り仕切っている人物である。
「おや、その少年はどなた?」
そう尋ねてきたのは美女のほうで、名前をジルダ・ロッジェといった。マダムとは師弟関係から養女になった人物で、洗練されたデザインセンスで次代のマダムと称される人物だ。
「この子はカイルです。最近雇った子なんですが、わたしの弟みたいなものです。同席させていただいても?」
「カイルです。お願いします!」
カイルがお辞儀をすると、マダムはにっこりと微笑む。
「まぁシャルルちゃんの弟? それに礼儀正しい子ね~。もちろん構わないわよ、ねぇジルダちゃん?」
「大人しくしているなら構いませんよ。どうぞ、お座りになって」
対面のソファーを勧められたシャルルとカイルは腰を掛けた。程よく沈み込む感覚にカイルは少し驚いたが、あまり子供っぽいところを見せないように澄ました表情を浮かべている。
こうしてシャルルと、ロッジェ商会との商談が始まろうとしていたのだった。
港ではいつもの積荷と違って、重いインゴットを運んでいる黒猫たちが、文句を言いながら作業を続けていた。
ファムがシャルルたちに付いて来たのは、インゴットの確認と受け渡しのためである。しかし気が逸って、シャルルたちより先行したところを、作業中の黒猫たちに見つかってしまい囲まれていた。
「なんにゃ、犬ころが来たにゃ?」
「泥棒ニャ? 吊るすニャ? ボコすニャ?」
「な……なんや、こいつらぁ!? やめや、うちは狐や! 食っても美味ないで~」
背丈も近いこともあり、囲まれるとあっという間に身動きが取れなくなるファム。どうやら黒猫たちは種族的に犬系の獣人があまり好きではないようで、何かと物騒な言葉が飛び交っている。シャルルは呆れた様子で黒猫たちを窘める。
「こら、お前たち! その子はお客さんなんだからやめなさい。インゴットを引き取ってくれるから倉庫に案内してあげて」
「ニャー、そうなら早く言えニャ。こっち来いニャ!」
「なんや、客はもっと丁寧に扱えや~」
ファムが案内されていくのを見送ると、シャルルはタラップを上がって甲板に昇る。
ヴァル爺はすでに戻っていたが、マギはまだ帰っていないようだった。ハンサムは黒猫たちへの指示と荷運びのために港で忙しなく働いている。
「ヴァル爺」
「どうしましたかな、お嬢?」
「次の目的地の相談がしたくて……」
シャルルがファムから得た情報をヴァル爺に話すと、彼は髭を擦りながら頷いている。
「ふむ、ドワーフにメテローディア、そして遺跡か……ふ~む、どこも面白そうですな。手記には何か記載はなかったのですかな?」
「う~ん……近い手記にあるとすれば、『月喰らう獅子の砦』かな? 時の王に頼まれて、砦の建造に手助けしたって書いてあったわ」
シャルルは取り出した手記をペラペラと捲りながら答える。ヴァル爺は目を閉じて少し考え込む。
「ふむ、まずはドワーフは除外でしょうな」
「まぁ、そうだよね。山越えしなくちゃいけないし、準備から考えると半年ぐらいかかっちゃいそう」
ドワーフが住んでる土地まで行くには、大きく大陸を北に回り込むか、ルブルムから北方に続く陸路を進むしかない。どちらにしろ半年以上かかる上、商会は武具や鉱石などを扱っているわけではないので商売的な旨味もない。しかも行ったところで、情報が手に入るかも確かではないのだ。
「そうなると魔導都市メテローディアがいいかな? これに関する伝承ぐらいはわかるかも?」
「魔導都市はマギが嫌がるかもしれませんなぁ。それにあちらも遠いですからなぁ」
そう言われると、シャルルは眉を寄せながら頷く。魔導都市メテローディアも内陸地にあり船ではいけない。近くの港から徒歩で向かっても、七日はかかるような距離だった。
「まだ仲直りしてないの?」
「フォフォフォ、エルフは時の流れが我々とは違いますからなぁ」
ヴァル爺は穏やかに笑っているが、シャルルは少し呆れた様子だ。
「それじゃ、この国の遺跡か~……正直、気乗りしないな~」
「どうしてですか? 船長さん、遺跡探索とか好きだと思ってました」
それまで黙って聞いていたカイルが首を傾げながら訪ねる。シャルルは頬を膨らませると、カイルの髪をくしゃくしゃに撫で回す。
「わぁ!? なっ、何するんですか~」
「確かに冒険は好きだけど、ここの遺跡って大公家の管轄って話だからね。普通に考えて大公様が海賊に許可なんて出してくれるわけないでしょ?」
「それはそうですね……あっ、でもあのお姫様なら許可してくれるんじゃ?」
アナスタジアの顔を思い出しながらカイルが提案すると、シャルル微妙な表情を浮かべながら首を横に振った。
「確かにあの子なら許可を出してくれるだろうけど、あの子に頼ると色々と面倒……いえ、迷惑をかけるわけにもいかないでしょ?」
「それなら勝手に乗り込みますかな? その方が海賊らしい」
「それはダメよ。他の国ならまだしも、ローニャ公国では無茶はできないわ」
この国で商売が出来なくなると、ホワイトラビット商会の根幹が崩れてしまう。自身のブランドである白兎印が軌道に乗るまでは、無茶なことをするつもりはなかった。
「とりあえず、遺跡についての情報が欲しいわ。ヴァル爺のほうでも調べてくれる?」
「了解ですじゃ」
そんな話をしていると、タラップのほうからドタドタという音が聞こえてきた。シャルルたちがそちらに振り替えると、大きなリュックを担いだファムが駆け寄ってくる。
そして何を思ったか、いきなりシャルルに対して土下座した。その様子は大きなリュックに、押しつぶされているようにしか見えない。
「ちょっと大丈夫?」
「会長はん、申し訳ないんやけど、しばらく倉庫を貸してくれまへんやろうか?」
「倉庫を?」
「あんな量を仕舞っておける倉庫を、新たに借りたら儲けがパァや。それに元手がのうて運び出す人工だって払えん。売り先が決まるまで、ちょっとの間でいいんや。頼むわ~」
拝み倒すように頼んでくるファムに、シャルルは困ったような表情を浮かべる。インゴットを運び込んだ倉庫は、ホワイトラビット商会が所有しているものだ。主な商品が衣服なので倉庫の空きも随分ある。ちょっと場所を貸してあげるぐらいなら、まったく問題なかった。
「う~ん、どうしようかな~?」
「くっ、わかった! いくら欲しいんや」
土下座から起き上がると、今度はドスンと腰を下ろしたファムは交渉の体勢に入った。多少の損害を覚悟した顔である。
「お金もいいけど、今は情報が欲しいかな。貴女は商人だし色々な人から話を聞くでしょ? 海賊の秘宝について何か耳にしたら教えて欲しいの」
「そないなことでええんか? 正直、そうそう耳にするとも思えへんけど」
「うん、その約束だけで貸してあげるわ」
シャルルが手を差し出すと、ファムはその手を力強く握り返した。
「誤魔化しもする。嘘もつくし騙しもする。せやけど約束だけは守るんが、狐堂のプライドや。きっちり情報を集めてきてやるわ!」
そう啖呵を切る幼女を引っ張り起こしながら、シャルルは「よろしくね」と付け加えるのだった。
◇◇◆◇◇
それから数日後 ――
シャルルはカイルを連れて、懇意にしている職人がいる商会へ出向いていた。彼女は人気のデザイナーでとても忙しく、ようやく会う約束が取れたのだ。
もっともシャルルだから短期間で約束が取り付けれたのだが、通常の顧客などは半年も前から予約を取らねば会えないと言われている高級店である。
そんな店だからかシャルルもビシッとドレスで着飾り、カイルにもそれなりの服を着せている。シャルルたちの後ろから付いてくるカイルは、傍目からは彼女の従者にしか見えない。
通された部屋は、豪華さと上品さのバランスが素晴らしい部屋だった。いくつかのソファーとテーブルが置かれており、おそらく賓客をもてなす部屋なのだろう。
そのソファーには老齢ながら気品と美しさを保った女性と、まさに女ざかりといった美女が座っていた。シャルルとは違う系統だが、彼女も目を引く女性なのは間違いない。
「お久しぶりです、マダムロッジェ。それとジルダさん」
「まぁまぁ、よく来ましたね。シャルルちゃん」
そう言って出迎えてくれたのは老齢の女性で、名前はファビア・ロッジェ。このロッジェ商会を取り仕切っている人物である。
「おや、その少年はどなた?」
そう尋ねてきたのは美女のほうで、名前をジルダ・ロッジェといった。マダムとは師弟関係から養女になった人物で、洗練されたデザインセンスで次代のマダムと称される人物だ。
「この子はカイルです。最近雇った子なんですが、わたしの弟みたいなものです。同席させていただいても?」
「カイルです。お願いします!」
カイルがお辞儀をすると、マダムはにっこりと微笑む。
「まぁシャルルちゃんの弟? それに礼儀正しい子ね~。もちろん構わないわよ、ねぇジルダちゃん?」
「大人しくしているなら構いませんよ。どうぞ、お座りになって」
対面のソファーを勧められたシャルルとカイルは腰を掛けた。程よく沈み込む感覚にカイルは少し驚いたが、あまり子供っぽいところを見せないように澄ました表情を浮かべている。
こうしてシャルルと、ロッジェ商会との商談が始まろうとしていたのだった。
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