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第45話「公女との出会い」
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ホワイトラビット号 甲板 ――
アナスタジアを抱えたまま、船から飛び降りたシャルルは甲板に降り立った。少し遅れて風魔法を使ったベッラがふわりと降り立つ。
シャルルはアナスタジアを下ろしながら、仲間たちに指示を出していく。
「それじゃ、離脱するよ! イタリス港に向かって」
「ニャー!」
魔導航行に移行しつつ、近衛艦隊旗艦から離れたホワイトラビット号は、イタリス港に向かって移動を開始した。当然近衛艦隊も追跡してくるが、ホワイトラビット号の乗組員は特に気にしていないようだ。
風を掴んで船足を上げ、一先ず操帆の手が離れると、シャルルたちのところに黒猫たちがゾロゾロと集まってきた。
「公女にゃ~」
「おてんば公女ニャー」
「黒猫ちゃんたち、お久しぶりね。あら、その子は見たことがありませんわ」
アナスタジアの視線の先には、黒猫たちと混じって集まっていたカイルだった。シャルルはカイルの頭に手を乗せて抱き寄せると自慢げに紹介する。
「この子はカイルよ。最近乗船した、うちのコックなの」
「初めまして、カイルです」
カイルは握手を求めたが、何かが気に入らなかったのかアナスタジアはそっぽを向く。シャルルは困った様子で眉を顰めると、代わりにアナスタジアの紹介を始めた。
「えっと……この子はナーシャ、アナスタジア・ローニャだよ。名前からわかる通りローニャ公国の公女殿下。まぁ見えないかもしれないけど……」
「ひどいです、お姉さま! どこからどう見ても完璧な公女でしょう?」
アナスタジアはスカートを摘まむとふわりと広げて見せた。確かに彼女の言う通り、豪奢なドレスおり、身に着けているアクセサリーは、それだけで船を買えそうな価値がありそうだった。
「で、彼女について来たのが……確かベッラさんだっけ?」
「はい、侍女のベッラでございます。お久ぶりでございますね、シーロード様」
綺麗な所作でカーテシーをするベッラ。それをボーっと見つめるカイルに、気が付いたシャルルは彼の頬を引っ張る。
「何見とれてるのよ。まったく……男の子ってすぐに目移りするんだから」
「ベッラをいやらしい目で見ないでくださいまし!」
「ご……誤解でふぅ~」
頬を擦りながら冤罪を主張するカイルだったが、三人とも疑いの眼差しを向けていた。そんな中、舵を握っていたハンサムが声を掛けてくる。
「で……なんで、公女さんを連れて来たんだ。まさか無理やりじゃないだろうな?」
「そんなわけないでしょ? もちろん平和的に話し合って来て貰ったのよ。ねぇ?」
「はい、もちろんです! 提督相手にも一切退かないお姉さまは格好良かったですわ!」
「本当かねぇ?」
ハンサムに疑われて不満そうなシャルルだったが、交渉が決裂すれば強引に連れ去るつもりだったので、ハンサムの疑いは正当なものだった。
「それより、ナーシャ! いくら海賊ごっこでも、近衛艦隊を引き連れて模擬戦を挑んでくるのはやりすぎよ」
「ごめんなさい、お姉さま。わたしくも海賊をやってみたかったのです」
謝りつつもまるで悪びれる様子もないアナスタジアに、シャルルは小さな溜め息をついた。
「イタリス港に着いたら解放してあげるけど、身代金というか迷惑料は払って貰うからね?」
「もちろん構いませんわ! わぁ本当に海賊に攫われたみたい。物語の登場人物みたいで素敵ね!」
身代金の要求に、かなりズレた感想を持つアナスタジア。ローニャ公国は、その国の規模に対して、とても裕福な国である。今回の件も些細な出費程度の認識しかないのだろう。
「攫われたみたいって、前も攫われかけたじゃない……懲りない子ね」
「あの時のお姉さまは、とても格好良かったですわ!」
思い出しながら目を輝かせるアナスタジア。シャルルは呆れながら彼女と出会いを思い浮かべるのだった。
◇◇◆◇◇
数年前、公都イタリス ――
海賊としても商人としてもまだ駆け出しだったシャルルは、初めて取れた大きな工房との契約に浮かれていた。
「新作ドレスを着て宣伝するだけでいいなんて、工房長が話が分かる人で良かったわ。これでアイナさんに良い報告ができるわ~」
上機嫌で鼻歌でも歌おうかと思っていたところで、その気分を台無しにする子供の悲鳴が響き渡った。そして、それに混じって怒声にも似た声が聞こえてくる。
「なに、今の悲鳴?」
気になったシャルルが声が聞こえてきた路地裏を覗き込むと、綺麗なドレスで着飾った十歳ぐらいの女の子が馬車に押し込まれているところだった。
馬車の前にはゴロツキっぽい男たち、それを睨むように対峙するのはメイド服を着た女性だった。彼女の足元には頭から血を流した男性が倒れている。状況から見て、おそらく護衛だろう。
「お嬢様を放しなさい、この無礼者っ!」
メイドが叫ぶがゴロツキたちが放すわけもない。逆にニタニタと厭らしい表情を浮かべる。
「このメイドもついでに攫っちまおうぜ。そのガキは楽しめねぇが、こっちは楽しめそうだ」
「おい、目標だけで十分だ! さっさと行くぞ!」
シャルルは顔を引っ込めて考え込む。明らかにゴロツキのほうが悪人だ、だが海賊が陸の揉め事に顔を突っ込むのも憚れる。それにせっかく良い契約を結んだのに、イタリスで問題を起こすのは利口とは言えなかった。
そんなことを考えながらもう一度路地裏を覗き込むと、ゴロツキがメイドの手を掴んで連れ去ろうとしている。
「いやぁ、放してっ!」
「うるせぇ、さっさと来いっ!」
「きゃぁ!?」
必死の抵抗をするメイドの頬をゴロツキが叩いた。次の瞬間シャルルの飛び蹴りがゴロツキの顔面に突き刺さる。反射的に飛び出してしまったのだ。
鼻血を噴き出して倒れるゴロツキ、その様子を見ていた馬車にいた男は驚いた様子で御者に叫ぶ。
「なんだあの女は!? おい、出せっ! あいつはもうダメだっ!」
御者が慌てて手綱をしならせると、馬車が急発進して逃げ始めた。倒れていたメイドは泣きながら逃げていく馬車に手を向ける。
「あぁ、アナスタジア様っ!?」
追いかけたシャルルが路地裏から飛び出ると、馬車はどんどん速度を上げて逃げていくところだった。
「そんな速度で、わたしの脚から逃げれると思ってるの?」
シャルルはそう呟くと、跳躍するために思いっきり足を踏みしめる。その衝撃に石畳が砕け散った。そして空高く跳躍すると馬車の屋根に降り立つ。着地した音に驚いたゴロツキが天井を見上げた。
「なっ、なんだ!?」
「んん~!」
男の声と猿ぐつわをされたアナスタジアの声を聞き取り、二人の位置を把握するとシャルルは馬車の屋根を掴んで、振り子のように勢いを付けながら馬車のドアを蹴り破った。
「ぶぎゃぁ!?」
ゴロツキは反対側の壁をドアごと蹴り抜かれ、馬車から落ちて跳ねながら転がっていく。馬車の中に降り立ったシャルルは、突然の出来事に目を丸くしたアナスタジアに微笑みかけた。
「助けにきたよ。お嬢ちゃん、大丈夫?」
頷くアナスタジアに安堵の溜め息をついたシャルルは、腰のベルトからカニィナーレを抜くと。剣状にして御者がいる辺りを避けつつ、御者台に向かって突き刺した。
「死にたくなければ、馬車を止めなさい!」
「ひぃひぃぃぃぃ!」
悲鳴を上げた御者によって馬車は程なくして停止した。そして御者は逃げ出してしまったがシャルルは敢えて追わずに、アナスタジアの拘束を解くほうを選ぶ。カニィナーレの出力を落としてナイフ状にすると、彼女の手を縛っていたロープを切り、猿ぐつわを外していく。
「ほら、もう大丈夫だよ。怖かったよね?」
「お……」
「お?」
「お姉さまぁ~!」
突然抱き着いてきたアナスタジアに、シャルルは驚いて硬直する。何とか押しのけつつ状況を整理しようとするシャルル。
「お姉さまって何?」
「お姉さま、お名前をお聞きしても?」
質問に答えず瞳を潤ませながら尋ねてくるアナスタジアに、恐怖でおかしくなったのかもと疑ったシャルルは、まずは落ち着かせようと彼女の頭を優しく撫でる。
「わたしの名前はシャルルよ。悪い奴らはやっつけたから、もう大丈夫。すぐにメイドさんも来ると思うわ」
「シャルルお姉さま、なんて素敵なお名前なんでしょう! わたくしはアナスタジア・ローニャですわ。どうぞナーシャとお呼びください、シャルルお姉さまっ!」
その名を聞いて、シャルルは自分の耳を疑った。普通に考えると、こんなところで出会えるような人物ではないからだ。
「ローニャって、まさか貴女……」
「はい、この国の大公の娘ですわ」
「えぇ!?」
シャルルの驚きの声が響き渡る。これがシャルルとアナスタジアの奇妙な出会いである。
アナスタジアを抱えたまま、船から飛び降りたシャルルは甲板に降り立った。少し遅れて風魔法を使ったベッラがふわりと降り立つ。
シャルルはアナスタジアを下ろしながら、仲間たちに指示を出していく。
「それじゃ、離脱するよ! イタリス港に向かって」
「ニャー!」
魔導航行に移行しつつ、近衛艦隊旗艦から離れたホワイトラビット号は、イタリス港に向かって移動を開始した。当然近衛艦隊も追跡してくるが、ホワイトラビット号の乗組員は特に気にしていないようだ。
風を掴んで船足を上げ、一先ず操帆の手が離れると、シャルルたちのところに黒猫たちがゾロゾロと集まってきた。
「公女にゃ~」
「おてんば公女ニャー」
「黒猫ちゃんたち、お久しぶりね。あら、その子は見たことがありませんわ」
アナスタジアの視線の先には、黒猫たちと混じって集まっていたカイルだった。シャルルはカイルの頭に手を乗せて抱き寄せると自慢げに紹介する。
「この子はカイルよ。最近乗船した、うちのコックなの」
「初めまして、カイルです」
カイルは握手を求めたが、何かが気に入らなかったのかアナスタジアはそっぽを向く。シャルルは困った様子で眉を顰めると、代わりにアナスタジアの紹介を始めた。
「えっと……この子はナーシャ、アナスタジア・ローニャだよ。名前からわかる通りローニャ公国の公女殿下。まぁ見えないかもしれないけど……」
「ひどいです、お姉さま! どこからどう見ても完璧な公女でしょう?」
アナスタジアはスカートを摘まむとふわりと広げて見せた。確かに彼女の言う通り、豪奢なドレスおり、身に着けているアクセサリーは、それだけで船を買えそうな価値がありそうだった。
「で、彼女について来たのが……確かベッラさんだっけ?」
「はい、侍女のベッラでございます。お久ぶりでございますね、シーロード様」
綺麗な所作でカーテシーをするベッラ。それをボーっと見つめるカイルに、気が付いたシャルルは彼の頬を引っ張る。
「何見とれてるのよ。まったく……男の子ってすぐに目移りするんだから」
「ベッラをいやらしい目で見ないでくださいまし!」
「ご……誤解でふぅ~」
頬を擦りながら冤罪を主張するカイルだったが、三人とも疑いの眼差しを向けていた。そんな中、舵を握っていたハンサムが声を掛けてくる。
「で……なんで、公女さんを連れて来たんだ。まさか無理やりじゃないだろうな?」
「そんなわけないでしょ? もちろん平和的に話し合って来て貰ったのよ。ねぇ?」
「はい、もちろんです! 提督相手にも一切退かないお姉さまは格好良かったですわ!」
「本当かねぇ?」
ハンサムに疑われて不満そうなシャルルだったが、交渉が決裂すれば強引に連れ去るつもりだったので、ハンサムの疑いは正当なものだった。
「それより、ナーシャ! いくら海賊ごっこでも、近衛艦隊を引き連れて模擬戦を挑んでくるのはやりすぎよ」
「ごめんなさい、お姉さま。わたしくも海賊をやってみたかったのです」
謝りつつもまるで悪びれる様子もないアナスタジアに、シャルルは小さな溜め息をついた。
「イタリス港に着いたら解放してあげるけど、身代金というか迷惑料は払って貰うからね?」
「もちろん構いませんわ! わぁ本当に海賊に攫われたみたい。物語の登場人物みたいで素敵ね!」
身代金の要求に、かなりズレた感想を持つアナスタジア。ローニャ公国は、その国の規模に対して、とても裕福な国である。今回の件も些細な出費程度の認識しかないのだろう。
「攫われたみたいって、前も攫われかけたじゃない……懲りない子ね」
「あの時のお姉さまは、とても格好良かったですわ!」
思い出しながら目を輝かせるアナスタジア。シャルルは呆れながら彼女と出会いを思い浮かべるのだった。
◇◇◆◇◇
数年前、公都イタリス ――
海賊としても商人としてもまだ駆け出しだったシャルルは、初めて取れた大きな工房との契約に浮かれていた。
「新作ドレスを着て宣伝するだけでいいなんて、工房長が話が分かる人で良かったわ。これでアイナさんに良い報告ができるわ~」
上機嫌で鼻歌でも歌おうかと思っていたところで、その気分を台無しにする子供の悲鳴が響き渡った。そして、それに混じって怒声にも似た声が聞こえてくる。
「なに、今の悲鳴?」
気になったシャルルが声が聞こえてきた路地裏を覗き込むと、綺麗なドレスで着飾った十歳ぐらいの女の子が馬車に押し込まれているところだった。
馬車の前にはゴロツキっぽい男たち、それを睨むように対峙するのはメイド服を着た女性だった。彼女の足元には頭から血を流した男性が倒れている。状況から見て、おそらく護衛だろう。
「お嬢様を放しなさい、この無礼者っ!」
メイドが叫ぶがゴロツキたちが放すわけもない。逆にニタニタと厭らしい表情を浮かべる。
「このメイドもついでに攫っちまおうぜ。そのガキは楽しめねぇが、こっちは楽しめそうだ」
「おい、目標だけで十分だ! さっさと行くぞ!」
シャルルは顔を引っ込めて考え込む。明らかにゴロツキのほうが悪人だ、だが海賊が陸の揉め事に顔を突っ込むのも憚れる。それにせっかく良い契約を結んだのに、イタリスで問題を起こすのは利口とは言えなかった。
そんなことを考えながらもう一度路地裏を覗き込むと、ゴロツキがメイドの手を掴んで連れ去ろうとしている。
「いやぁ、放してっ!」
「うるせぇ、さっさと来いっ!」
「きゃぁ!?」
必死の抵抗をするメイドの頬をゴロツキが叩いた。次の瞬間シャルルの飛び蹴りがゴロツキの顔面に突き刺さる。反射的に飛び出してしまったのだ。
鼻血を噴き出して倒れるゴロツキ、その様子を見ていた馬車にいた男は驚いた様子で御者に叫ぶ。
「なんだあの女は!? おい、出せっ! あいつはもうダメだっ!」
御者が慌てて手綱をしならせると、馬車が急発進して逃げ始めた。倒れていたメイドは泣きながら逃げていく馬車に手を向ける。
「あぁ、アナスタジア様っ!?」
追いかけたシャルルが路地裏から飛び出ると、馬車はどんどん速度を上げて逃げていくところだった。
「そんな速度で、わたしの脚から逃げれると思ってるの?」
シャルルはそう呟くと、跳躍するために思いっきり足を踏みしめる。その衝撃に石畳が砕け散った。そして空高く跳躍すると馬車の屋根に降り立つ。着地した音に驚いたゴロツキが天井を見上げた。
「なっ、なんだ!?」
「んん~!」
男の声と猿ぐつわをされたアナスタジアの声を聞き取り、二人の位置を把握するとシャルルは馬車の屋根を掴んで、振り子のように勢いを付けながら馬車のドアを蹴り破った。
「ぶぎゃぁ!?」
ゴロツキは反対側の壁をドアごと蹴り抜かれ、馬車から落ちて跳ねながら転がっていく。馬車の中に降り立ったシャルルは、突然の出来事に目を丸くしたアナスタジアに微笑みかけた。
「助けにきたよ。お嬢ちゃん、大丈夫?」
頷くアナスタジアに安堵の溜め息をついたシャルルは、腰のベルトからカニィナーレを抜くと。剣状にして御者がいる辺りを避けつつ、御者台に向かって突き刺した。
「死にたくなければ、馬車を止めなさい!」
「ひぃひぃぃぃぃ!」
悲鳴を上げた御者によって馬車は程なくして停止した。そして御者は逃げ出してしまったがシャルルは敢えて追わずに、アナスタジアの拘束を解くほうを選ぶ。カニィナーレの出力を落としてナイフ状にすると、彼女の手を縛っていたロープを切り、猿ぐつわを外していく。
「ほら、もう大丈夫だよ。怖かったよね?」
「お……」
「お?」
「お姉さまぁ~!」
突然抱き着いてきたアナスタジアに、シャルルは驚いて硬直する。何とか押しのけつつ状況を整理しようとするシャルル。
「お姉さまって何?」
「お姉さま、お名前をお聞きしても?」
質問に答えず瞳を潤ませながら尋ねてくるアナスタジアに、恐怖でおかしくなったのかもと疑ったシャルルは、まずは落ち着かせようと彼女の頭を優しく撫でる。
「わたしの名前はシャルルよ。悪い奴らはやっつけたから、もう大丈夫。すぐにメイドさんも来ると思うわ」
「シャルルお姉さま、なんて素敵なお名前なんでしょう! わたくしはアナスタジア・ローニャですわ。どうぞナーシャとお呼びください、シャルルお姉さまっ!」
その名を聞いて、シャルルは自分の耳を疑った。普通に考えると、こんなところで出会えるような人物ではないからだ。
「ローニャって、まさか貴女……」
「はい、この国の大公の娘ですわ」
「えぇ!?」
シャルルの驚きの声が響き渡る。これがシャルルとアナスタジアの奇妙な出会いである。
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