32 / 145
第32話「リオネーレ号での酒宴」
しおりを挟む
リオネーレ号 甲板 ――
海に突き落とされたライオネルは再び戻ってきたが、ずぶ濡れのままカーミラに説教されている。船長が怒られていても手下たちは特に気にした様子を見せず、カーミラに言われた通り宴の準備を進めていた。どうやら彼らの日常風景のようだ。
リオネーレ号の乗組員は、カーミラを除いて全て獣人だった。大柄な熊からネズミのような小さな獣人まで多種多様おり、人族に近い容姿を持つ半獣人も少なからずいた。彼らによって甲板上には多くの酒樽や料理が運び込まれ、大皿には多くの肉料理が並んでいる。その肉料理の数々を見てカイルは驚きの声を上げていた。
「わぁ、お肉がこんなに!?」
基本的に航海中に新鮮な肉料理が出てくるなど稀である。最近は冷凍系の魔導具が普及したことで、多少は鮮度を保つことができるようになってきたが、この船のような魔導力に頼っていない帆船では旧来のやり方で保存していた。つまり家畜を生きたまま船に乗せてしまうのだ。
そうすれば、いつでも新鮮な肉にありつけるというわけである。家畜の食料や世話というコストの問題があるが、航海中に新鮮な肉が食えるというのは船員の健康対策としても重要なことだった。
料理と酒が揃い両船の乗組員が雑多に座ると宴の準備が整った。カーミラの説教から解放されたライオネルが木製のジョッキを持って立ち上がり、その横には同じようにジョッキを持ったシャルルが立つ。もちろんシャルルのジョッキの中身は果実汁である。
「お前らも知っているだろうが、キャプテンシャルルだ。ハルヴァーの娘だが俺様の姪である。死にたくなきゃ手を出すんじゃねぇぞ? では、この大海原で輩と出会えたことに感謝しよう! 海の神にっ!」
「我らが神に!」
ライオネルがジョッキを掲げると、彼の手下たちも一斉に手にした杯を掲げる。
「さぁ食おうか! うちの船の飯はうめぇぞ! ガッハハハ」
座ると同時に豚の足と思われる肉の塊を掴むと、大きな口を開けてがぶりと噛み付いて引き千切るライオネル。その姿はまさに肉食獣のそれである。
シャルルとカイルがまず食べ始めたのは鶏のステーキだった。フォークを刺すとぷるんと震え、それを思い切って口に運ぶ。その歯応えは想像通りの柔らいだけではなく、皮の部分はパリッと焼き上げられており面白い食感になっている。肉自体には割と淡白な感じだが、掛かっていた茶色いソースが濃厚な味わいを口いっぱいに広げていく。
「なに、これ!? 美味しい」
「本当ですね、何を使ってるんだろ?」
二人でそんな話をしていると、ライオネルがジョッキを片手に話しかけてきた。
「どうだ、うちの飯は美味いだろう?」
「えぇ、とっても美味しいわ」
「やっぱり海賊船は飯が上手くなきゃいけないぜ。お前の船は大丈夫か?」
「もちろんよ、最近この子がコックとして入ってくれたの!」
シャルルは鼻を鳴らして自慢げにカイルを紹介するが、ライオネルは怪訝そうに人差し指でカイルの頭を突きながら尋ねる。
「このガキがぁ? ちゃんと食えるもの作れんのか?」
「美味しい料理が作れるように、が……頑張ってますっ!」
「ガッハハハ、やる気はあるようだな! それならシャルルにもっと食わせてくれよ。俺様的にはもう少しふくよかのほうが好みだぜ」
ライオネルの下品な発言に、カイルは困ったような表情でシャルルの顔を見ている。シャルルは呆れた様子だった。ライオネルは二カッと笑うと鬣に触れながら尋ねてくる。
「それじゃ、お前の冒険の話を聞かせてくれよ」
「別に話してあげても良いけど、わたしのお宝を横取りしないでよ?」
「ハッ、ガキのおもちゃを取り上げるほど、俺様は小さかねぇぜ」
シャルルはクスッと笑うと、これまでのホワイトラビット号の冒険譚を語ってみせた。カイルが加入する前の話も沢山でてきたので、彼も興味深そうに目を輝かせている。楽しそうに語るシャルルを温かい目で見つめながら、相槌を打つライオネルは最後に確認するように尋ねる。
「……っで、スルティア諸島では、ガードを手に入れたってわけだ」
「うん、ようやく第一歩ってところかな」
「ふむ、あのシーロードの秘宝ってわりにはしょぼいお宝だな。どちらかっていうと、その牙ってナイフのほうがお宝っぽいぜ」
「くっ、わかってるよ!」
図星を突かれて怒り出すシャルルに、ライオネルは笑って受け流す。シャルルとしても何に使うかわからない金属より、炎を消して見せた火竜の牙のほうがお宝に見えていたのだ。
「まぁ何か次に繋がる鍵かもしれねぇな。それで次はどこに向かってたんだ?」
「一度母港に戻ってから、パパと合流するつもり。ちょっとグラン王国の件で相談したいの」
「グラン王国っていうと、さっき話に出てきた軍艦の話か? ふ~む、俺様にも詳く聞かせろよ」
ライオネルの目が一瞬鋭くなった、驚異になりうる軍艦の情報に興味を示したのだ。シャルルは改めて魔導軍艦アルテイアとの戦いについて詳しく語った。艦長であるアレス王子が油断のせいで本来の性能を発揮できていなかったが、魔導軍艦アルテイアは脅威になりうる軍艦だ。
短い戦いだったが、その船足や衝突をびくともしなかった装甲、大砲の射程や威力も通常のものよりも優秀なのが窺えた。既存の帆船がまともに戦っていれば、無事では済まないというのがシャルルの考えである。
「なるほどな、完全魔導動力の軍艦か……グラン王国め、厄介なもん造りやがったな」
緩んでいたライオネルの表情が鋭いものになっており、いつの間にか大海賊団を率いる頭領の顔になっていた。
「これからハルヴァーの野郎に会う予定だから、俺様からもついでに伝えておいてやる。ガッハハハ、お前と会ったと聞けば、あいつも悔しがるだろうよ」
「パパと会うの?」
「あぁ、大海賊会議があるんだ」
シャルルは少し驚いた様子で目を見開くと、やがて思い出したように頷いた。大海賊会議とは何年かに一度、いくつかある大海賊団の頭領たちが集まる会議のことで、代替わりした頭領の顔見せや、大きな縄張り争いが起きていれば調停などの側面もあるが、基本的には大海賊同士が集まって自慢話をする集まりである。
「へぇ、もう大海賊会議の時期なんだ」
「あぁグラン王国は最近調子に乗ってるし、放っとくと面倒なことになりそうだからな」
グラン王国の海賊排除政策は海賊からすれば面白くない話だし、今までの友好関係を一方的に反故したグラン王国の問題は、シャルルが伝えるまでもなく海賊会議でも議題に挙がるだろう。
殺気だったライオネルに場の空気が少し重くなったのかを感じたのか、シャルルは笑いながら話題を切り替える。
「そう言えば、ライオネルはシーロードの秘宝について何か聞いたことない?」
「シーロードの秘宝ねぇ? お前らの先代が捜してたって話は聞いたことがあるな……いや待てよ、あいつなら何か知ってるかもしれねぇな」
ライオネルは誰かを思い浮かべながらそう呟く。シャルルはライオネルの鬣を掴むと、問い詰めるように尋ねる。
「知ってそうな人がいるの? 誰? どこにいるの!?」
「落ち着けって、鬣を引っ張るんじゃねぇ! 遥か昔から海賊と繋がりがある商人がいるんだ」
「商人?」
「あぁ昔は国と国を又に掛ける大店だったんだが、今じゃ没落して行商人になってるらしいがな」
「へぇ、そんな人がいるんだね。昔からってことは、エルフとかの長命種なの?」
シャルルが小首を傾げて尋ねると、ライオネルは首を横に振って答える。
「いいや、普通の狐の半獣人だ、代々商人をやってて家系らしい。落ちぶれても商人としては優秀だと聞いているし、情報でも何でも金さえ積めば何でも用意してくれると思うぜ」
「ふ~ん、何て名前の人なの? どこにいるかわかる?」
「そいつの名前は知らんが、屋号は狐堂って名だったはずだ。今はローニャ公国とヴィーシャス共和国を行き来してるって聞いた気がするな」
「へぇ活動範囲はわたしと同じだね。でも聞いたことないな~、西側で活動してるのかな? 帰ったらアイナさんに聞いてみよう」
思わぬところから新たな情報を仕入れることができたので、シャルルは満足そうに笑うのだった。
海に突き落とされたライオネルは再び戻ってきたが、ずぶ濡れのままカーミラに説教されている。船長が怒られていても手下たちは特に気にした様子を見せず、カーミラに言われた通り宴の準備を進めていた。どうやら彼らの日常風景のようだ。
リオネーレ号の乗組員は、カーミラを除いて全て獣人だった。大柄な熊からネズミのような小さな獣人まで多種多様おり、人族に近い容姿を持つ半獣人も少なからずいた。彼らによって甲板上には多くの酒樽や料理が運び込まれ、大皿には多くの肉料理が並んでいる。その肉料理の数々を見てカイルは驚きの声を上げていた。
「わぁ、お肉がこんなに!?」
基本的に航海中に新鮮な肉料理が出てくるなど稀である。最近は冷凍系の魔導具が普及したことで、多少は鮮度を保つことができるようになってきたが、この船のような魔導力に頼っていない帆船では旧来のやり方で保存していた。つまり家畜を生きたまま船に乗せてしまうのだ。
そうすれば、いつでも新鮮な肉にありつけるというわけである。家畜の食料や世話というコストの問題があるが、航海中に新鮮な肉が食えるというのは船員の健康対策としても重要なことだった。
料理と酒が揃い両船の乗組員が雑多に座ると宴の準備が整った。カーミラの説教から解放されたライオネルが木製のジョッキを持って立ち上がり、その横には同じようにジョッキを持ったシャルルが立つ。もちろんシャルルのジョッキの中身は果実汁である。
「お前らも知っているだろうが、キャプテンシャルルだ。ハルヴァーの娘だが俺様の姪である。死にたくなきゃ手を出すんじゃねぇぞ? では、この大海原で輩と出会えたことに感謝しよう! 海の神にっ!」
「我らが神に!」
ライオネルがジョッキを掲げると、彼の手下たちも一斉に手にした杯を掲げる。
「さぁ食おうか! うちの船の飯はうめぇぞ! ガッハハハ」
座ると同時に豚の足と思われる肉の塊を掴むと、大きな口を開けてがぶりと噛み付いて引き千切るライオネル。その姿はまさに肉食獣のそれである。
シャルルとカイルがまず食べ始めたのは鶏のステーキだった。フォークを刺すとぷるんと震え、それを思い切って口に運ぶ。その歯応えは想像通りの柔らいだけではなく、皮の部分はパリッと焼き上げられており面白い食感になっている。肉自体には割と淡白な感じだが、掛かっていた茶色いソースが濃厚な味わいを口いっぱいに広げていく。
「なに、これ!? 美味しい」
「本当ですね、何を使ってるんだろ?」
二人でそんな話をしていると、ライオネルがジョッキを片手に話しかけてきた。
「どうだ、うちの飯は美味いだろう?」
「えぇ、とっても美味しいわ」
「やっぱり海賊船は飯が上手くなきゃいけないぜ。お前の船は大丈夫か?」
「もちろんよ、最近この子がコックとして入ってくれたの!」
シャルルは鼻を鳴らして自慢げにカイルを紹介するが、ライオネルは怪訝そうに人差し指でカイルの頭を突きながら尋ねる。
「このガキがぁ? ちゃんと食えるもの作れんのか?」
「美味しい料理が作れるように、が……頑張ってますっ!」
「ガッハハハ、やる気はあるようだな! それならシャルルにもっと食わせてくれよ。俺様的にはもう少しふくよかのほうが好みだぜ」
ライオネルの下品な発言に、カイルは困ったような表情でシャルルの顔を見ている。シャルルは呆れた様子だった。ライオネルは二カッと笑うと鬣に触れながら尋ねてくる。
「それじゃ、お前の冒険の話を聞かせてくれよ」
「別に話してあげても良いけど、わたしのお宝を横取りしないでよ?」
「ハッ、ガキのおもちゃを取り上げるほど、俺様は小さかねぇぜ」
シャルルはクスッと笑うと、これまでのホワイトラビット号の冒険譚を語ってみせた。カイルが加入する前の話も沢山でてきたので、彼も興味深そうに目を輝かせている。楽しそうに語るシャルルを温かい目で見つめながら、相槌を打つライオネルは最後に確認するように尋ねる。
「……っで、スルティア諸島では、ガードを手に入れたってわけだ」
「うん、ようやく第一歩ってところかな」
「ふむ、あのシーロードの秘宝ってわりにはしょぼいお宝だな。どちらかっていうと、その牙ってナイフのほうがお宝っぽいぜ」
「くっ、わかってるよ!」
図星を突かれて怒り出すシャルルに、ライオネルは笑って受け流す。シャルルとしても何に使うかわからない金属より、炎を消して見せた火竜の牙のほうがお宝に見えていたのだ。
「まぁ何か次に繋がる鍵かもしれねぇな。それで次はどこに向かってたんだ?」
「一度母港に戻ってから、パパと合流するつもり。ちょっとグラン王国の件で相談したいの」
「グラン王国っていうと、さっき話に出てきた軍艦の話か? ふ~む、俺様にも詳く聞かせろよ」
ライオネルの目が一瞬鋭くなった、驚異になりうる軍艦の情報に興味を示したのだ。シャルルは改めて魔導軍艦アルテイアとの戦いについて詳しく語った。艦長であるアレス王子が油断のせいで本来の性能を発揮できていなかったが、魔導軍艦アルテイアは脅威になりうる軍艦だ。
短い戦いだったが、その船足や衝突をびくともしなかった装甲、大砲の射程や威力も通常のものよりも優秀なのが窺えた。既存の帆船がまともに戦っていれば、無事では済まないというのがシャルルの考えである。
「なるほどな、完全魔導動力の軍艦か……グラン王国め、厄介なもん造りやがったな」
緩んでいたライオネルの表情が鋭いものになっており、いつの間にか大海賊団を率いる頭領の顔になっていた。
「これからハルヴァーの野郎に会う予定だから、俺様からもついでに伝えておいてやる。ガッハハハ、お前と会ったと聞けば、あいつも悔しがるだろうよ」
「パパと会うの?」
「あぁ、大海賊会議があるんだ」
シャルルは少し驚いた様子で目を見開くと、やがて思い出したように頷いた。大海賊会議とは何年かに一度、いくつかある大海賊団の頭領たちが集まる会議のことで、代替わりした頭領の顔見せや、大きな縄張り争いが起きていれば調停などの側面もあるが、基本的には大海賊同士が集まって自慢話をする集まりである。
「へぇ、もう大海賊会議の時期なんだ」
「あぁグラン王国は最近調子に乗ってるし、放っとくと面倒なことになりそうだからな」
グラン王国の海賊排除政策は海賊からすれば面白くない話だし、今までの友好関係を一方的に反故したグラン王国の問題は、シャルルが伝えるまでもなく海賊会議でも議題に挙がるだろう。
殺気だったライオネルに場の空気が少し重くなったのかを感じたのか、シャルルは笑いながら話題を切り替える。
「そう言えば、ライオネルはシーロードの秘宝について何か聞いたことない?」
「シーロードの秘宝ねぇ? お前らの先代が捜してたって話は聞いたことがあるな……いや待てよ、あいつなら何か知ってるかもしれねぇな」
ライオネルは誰かを思い浮かべながらそう呟く。シャルルはライオネルの鬣を掴むと、問い詰めるように尋ねる。
「知ってそうな人がいるの? 誰? どこにいるの!?」
「落ち着けって、鬣を引っ張るんじゃねぇ! 遥か昔から海賊と繋がりがある商人がいるんだ」
「商人?」
「あぁ昔は国と国を又に掛ける大店だったんだが、今じゃ没落して行商人になってるらしいがな」
「へぇ、そんな人がいるんだね。昔からってことは、エルフとかの長命種なの?」
シャルルが小首を傾げて尋ねると、ライオネルは首を横に振って答える。
「いいや、普通の狐の半獣人だ、代々商人をやってて家系らしい。落ちぶれても商人としては優秀だと聞いているし、情報でも何でも金さえ積めば何でも用意してくれると思うぜ」
「ふ~ん、何て名前の人なの? どこにいるかわかる?」
「そいつの名前は知らんが、屋号は狐堂って名だったはずだ。今はローニャ公国とヴィーシャス共和国を行き来してるって聞いた気がするな」
「へぇ活動範囲はわたしと同じだね。でも聞いたことないな~、西側で活動してるのかな? 帰ったらアイナさんに聞いてみよう」
思わぬところから新たな情報を仕入れることができたので、シャルルは満足そうに笑うのだった。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる