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第13話「港町オルド」
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タグボートに牽引されてオルドの港に入ったシャルルたちは、停泊の手続きを済ませ町に繰り出すことにした。食料を除く物資の補給などは、ヴァル爺と当番の黒猫たちに頼んでおく。
残りの黒猫たちは、陽も高いというのに美猫がいるというお店に行ってしまった。ハンサムも誘われていたが、シャルルの護衛があると言って断っていた。マギはいつものように魔導書を探しに行ったのか、いつの間にか姿が見え無くなっている。
残ったシャルル、カイル、ハンサムの三人は、食材の補給のために商店が並ぶ通りを散策していた。朝方なら漁から戻った漁船が新鮮な魚を売っているところだが、陽も真上からやや傾いているような時刻では、壷などの美術品や日持ちする香辛料などを取り扱っている露店が多かった。
「姫さん、まずはどうする?」
「まずは食材を扱ってる店かな。君も何か使いたい物があったら教えてね」
「は、はいっ!」
返事をしたカイルだったが、ホワイトラビット号の食材庫のことを思い浮かべていた。そこには各地の調味料が色々揃っていて、とても驚いたのだ。まともに調理が出来るハンサムが用意した物だが、黒猫たちはまともに使う気がないので、圧倒的に消費量が少なくかなり備蓄されたままなのだ。
「その前に少しお腹に入れておこうか……あっ、アレって名物のクラーケンボールじゃない?」
シャルルが指差した方を見ると屋台でクラーケンボールが売られており、食欲を誘う香ばしい匂いを漂わせていた。早速シャルルが近づくと、屋台の親父が威勢のいい声を掛けてくる。
「へい、らっしゃい! おぉ、可愛いねぇちゃんだな。ねぇちゃんみたいな可愛い子に食われるなんて、こいつら幸せ者だぜ。がっははは」
「あはは、それじゃ焼き立て二つと、そっちの少し冷めているのを一つ貰える?」
「あいよ、ちょっと待っててくんな! ん? 今の時間帯は暇だから、別に全部焼き立てのを用意してもいいんだぜ?」
不思議な注文をするシャルルに、屋台の親父は首を傾げながら確認してくる。シャルルは料金を払った手で指を一本立てると、ニッコリ微笑みながら指を傾けてハンサムを指す。それに納得した親父は「ははは、なるほどな」っと大きく頷いて、クラーケンボールを作り始めた。
丸いへこみがある鉄板に油を引き、小麦粉や出汁をよく溶いた生地を垂らすと、ジュワッという良い音と香りが広がる。しばらく焼いてからクラーケンの切り身を投入し、形が整うのを待ってから串のような器具で生地を回転させて、中にクラーケンの切り身を閉じ込めていく。しばらくして焼き上がると器用に串を使って木皿に乗せ、最終的にソースを掛けて完成である。
出来る上がるまでシャルルが近くの木箱に座って待っていると、周りには彼女に声を掛けようか様子を窺っている男たちが集まっていた。しかし、あまりに美人だと声を掛けるのも憚れるようで、今は遠巻きに眺めているだけである。シャルルも慣れているのか、特に気にしている様子はなかった。
そんな中、カイルとハンサムがクラーケンボールと果実の絞り汁を三つ運んで来てくれた。頼んだ覚えがない絞り汁を手にしたシャルルが店主の方を見ると、ニカッと笑って親指を立てていた。
「可愛いお嬢さんにはサービスだぜ」
「ありがと、おじさん!」
さっそく木の串でクラーケンボールを刺して、口の前に持っていくとフゥフゥと息を吹きかけて冷ます。その姿を見ていた男たちは何故か小さな歓声を上げている。さすがに気になったが、クラーケンボールの美味しそうな香りに我慢できず、そのままクラーケンボールを口に運んだ。
パリッと仕上がった外側を噛み切ると、とろっとした生地が溢れ出す。舌が火傷するかと思う程熱かったが、徐々に馴染んでくると濃い目の味のソースが旨味を引き出し、さらに踊るように現れたクラーケンの切り身が面白い食感を与えてくれている。
「うん、美味しい! さすが名物って言うだけはあるね」
「はふはふ……まぁ美味いんだが、まだ熱いな」
「これなら船でも作れるかも?」
三者三様の感想を言いながら食べていると、先程までそれを見ていた男たちがクラーケンボールの屋台に群がり始めた。
「くそっ、あんなに美味そうに食われて我慢できるか! 親父、俺にも一つ!」
「俺もだっ!」
「へいっ、毎度!」
シャルルの影響で大繁盛になってしまった屋台を見つめながら、三人はしっかりとクラーケンボールを平らげ、忙しく働いている店主に向かって手を振りながら、その場を後にするのだった。
◇◇◆◇◇
昼食を終えた三人は、そのまま食材を扱っている店に寄って保存食などを購入した。普段なら保存に適した干し肉、固いパン、チーズなどで済ませるが、今回はカイルとハンサムがアレやコレやと言いながら注文していた。
かなりの量を購入することになったが、さすがに持ち運ぶには量が多いため船まで配送を頼んである。
そろそろ船に戻ろうか? と話しているところで、トラブルが発生した。少し先行していたカイルが、路地から出てきた男たちと接触してしまったのだ。カイルの不注意もあったが、明らかに男の方も前を見てなかった。
男はぶつかったところを押さえながら、カイルを睨みつける。
「痛てぇな、クソガキ!」
「ご、ごめんなさいっ!」
素直に謝るカイルの胸元を掴んで凄む男に、驚いたシャルルは慌てて駆け寄った。その際風に煽られて、彼女がかぶっていた羽根帽子がフワリと地面に落ちてしまう。
「ちょっとやめなさい。子供になんてことしてるのよ!」
「なんだてめぇは!? ん~、おぉすげぇ可愛いじゃねぇの? こいつアンタの弟か? それならお姉さんに責任取って貰わなくちゃなぁ」
カイルを放してシャルルを捕まえようとする男だったが、自由になったカイルが即座に男の脛を蹴り上げた。
「ぐわぁ!?」
あまりの激痛に膝を折って蹲る男とシャルルの間に、カイルが飛び込んで彼女を守るように両手を広げる。
「船長さんに触るなっ!」
「なんだ、このガキ!」
激昂した三人の男たちがシャルルとカイルと取り囲んだが、シャルルたちの後ろに立ったハンサムの存在に気が付くと一気に顔が青ざめていく。黒豹の獣人であるハンサムの威圧感が凄まじいことあったが、ある噂を聞いたことがあったからだ。
「お、おい……この白銀の髪に赤い瞳の女と、黒豹の巨漢の組み合わせって」
「ま、ま、まさかキラー……」
男が震えながらシャルルの顔を見ると、彼女は赤い瞳を鋭く輝かせ冷淡な笑みを浮かべている。その笑みに確信した男たちは一斉に逃げ出した。
「し、失礼しました~!」
逃げていく男たちを見つめながら鼻で笑ったシャルルは、目の間で一生懸命守ろうとしてくれたカイルを、優しく抱きしめて頬に軽くキスをする。
「君、なかなか格好よかったぞ」
「ふわぁぁぁ!?」
「でも危ないから無茶しちゃダメだよ。あの程度の輩なら、わたしでも軽く捻れるんだから」
突然の出来事に慌てるカイルを、嗜めるように軽く叱るシャルル。咄嗟に動いてしまったが、確かにカイルよりシャルルのほうが圧倒的に強い。もし素手で戦うことになっても、彼女の脚力を持ってすれば軽く瞬殺できるだろう。
しょぼくれてしまったカイルに頬摺りをしていると、ハンサムに後ろから頭に帽子を乗せられた。
「あぶねぇのは姫さんもだぜ。あんまり無茶すんじゃねぇよ、ここは中立港だぜ?」
「あはは、わかってるって」
笑いながら軽く流しているシャルルだったが、実際に乱闘でも起きていた場合、色々と問題になっていた可能性が高い。シャルルたちが悪くなくても衛兵が駆けつければ捕まることもあるし、お尋ね者としてこの町に入れなくなることもあった。
もっともこのぐらいの規模の町では、衛兵もごろつきと大差はないため、少し握らせれば余所見をして忘れてくれる。無茶に見えるシャルルの行動も、それぐらいの算段があってのことなのだ。
「まぁ何事もなくて良かったじゃない。それじゃ、そろそろ帰ろっか。ヴァル爺が心配してるだろうし」
「あぁ、そうだな」
陽もだいぶ傾きはじめてきたため、シャルルたちは一度ホワイトラビット号に戻ることにしたのだった。
残りの黒猫たちは、陽も高いというのに美猫がいるというお店に行ってしまった。ハンサムも誘われていたが、シャルルの護衛があると言って断っていた。マギはいつものように魔導書を探しに行ったのか、いつの間にか姿が見え無くなっている。
残ったシャルル、カイル、ハンサムの三人は、食材の補給のために商店が並ぶ通りを散策していた。朝方なら漁から戻った漁船が新鮮な魚を売っているところだが、陽も真上からやや傾いているような時刻では、壷などの美術品や日持ちする香辛料などを取り扱っている露店が多かった。
「姫さん、まずはどうする?」
「まずは食材を扱ってる店かな。君も何か使いたい物があったら教えてね」
「は、はいっ!」
返事をしたカイルだったが、ホワイトラビット号の食材庫のことを思い浮かべていた。そこには各地の調味料が色々揃っていて、とても驚いたのだ。まともに調理が出来るハンサムが用意した物だが、黒猫たちはまともに使う気がないので、圧倒的に消費量が少なくかなり備蓄されたままなのだ。
「その前に少しお腹に入れておこうか……あっ、アレって名物のクラーケンボールじゃない?」
シャルルが指差した方を見ると屋台でクラーケンボールが売られており、食欲を誘う香ばしい匂いを漂わせていた。早速シャルルが近づくと、屋台の親父が威勢のいい声を掛けてくる。
「へい、らっしゃい! おぉ、可愛いねぇちゃんだな。ねぇちゃんみたいな可愛い子に食われるなんて、こいつら幸せ者だぜ。がっははは」
「あはは、それじゃ焼き立て二つと、そっちの少し冷めているのを一つ貰える?」
「あいよ、ちょっと待っててくんな! ん? 今の時間帯は暇だから、別に全部焼き立てのを用意してもいいんだぜ?」
不思議な注文をするシャルルに、屋台の親父は首を傾げながら確認してくる。シャルルは料金を払った手で指を一本立てると、ニッコリ微笑みながら指を傾けてハンサムを指す。それに納得した親父は「ははは、なるほどな」っと大きく頷いて、クラーケンボールを作り始めた。
丸いへこみがある鉄板に油を引き、小麦粉や出汁をよく溶いた生地を垂らすと、ジュワッという良い音と香りが広がる。しばらく焼いてからクラーケンの切り身を投入し、形が整うのを待ってから串のような器具で生地を回転させて、中にクラーケンの切り身を閉じ込めていく。しばらくして焼き上がると器用に串を使って木皿に乗せ、最終的にソースを掛けて完成である。
出来る上がるまでシャルルが近くの木箱に座って待っていると、周りには彼女に声を掛けようか様子を窺っている男たちが集まっていた。しかし、あまりに美人だと声を掛けるのも憚れるようで、今は遠巻きに眺めているだけである。シャルルも慣れているのか、特に気にしている様子はなかった。
そんな中、カイルとハンサムがクラーケンボールと果実の絞り汁を三つ運んで来てくれた。頼んだ覚えがない絞り汁を手にしたシャルルが店主の方を見ると、ニカッと笑って親指を立てていた。
「可愛いお嬢さんにはサービスだぜ」
「ありがと、おじさん!」
さっそく木の串でクラーケンボールを刺して、口の前に持っていくとフゥフゥと息を吹きかけて冷ます。その姿を見ていた男たちは何故か小さな歓声を上げている。さすがに気になったが、クラーケンボールの美味しそうな香りに我慢できず、そのままクラーケンボールを口に運んだ。
パリッと仕上がった外側を噛み切ると、とろっとした生地が溢れ出す。舌が火傷するかと思う程熱かったが、徐々に馴染んでくると濃い目の味のソースが旨味を引き出し、さらに踊るように現れたクラーケンの切り身が面白い食感を与えてくれている。
「うん、美味しい! さすが名物って言うだけはあるね」
「はふはふ……まぁ美味いんだが、まだ熱いな」
「これなら船でも作れるかも?」
三者三様の感想を言いながら食べていると、先程までそれを見ていた男たちがクラーケンボールの屋台に群がり始めた。
「くそっ、あんなに美味そうに食われて我慢できるか! 親父、俺にも一つ!」
「俺もだっ!」
「へいっ、毎度!」
シャルルの影響で大繁盛になってしまった屋台を見つめながら、三人はしっかりとクラーケンボールを平らげ、忙しく働いている店主に向かって手を振りながら、その場を後にするのだった。
◇◇◆◇◇
昼食を終えた三人は、そのまま食材を扱っている店に寄って保存食などを購入した。普段なら保存に適した干し肉、固いパン、チーズなどで済ませるが、今回はカイルとハンサムがアレやコレやと言いながら注文していた。
かなりの量を購入することになったが、さすがに持ち運ぶには量が多いため船まで配送を頼んである。
そろそろ船に戻ろうか? と話しているところで、トラブルが発生した。少し先行していたカイルが、路地から出てきた男たちと接触してしまったのだ。カイルの不注意もあったが、明らかに男の方も前を見てなかった。
男はぶつかったところを押さえながら、カイルを睨みつける。
「痛てぇな、クソガキ!」
「ご、ごめんなさいっ!」
素直に謝るカイルの胸元を掴んで凄む男に、驚いたシャルルは慌てて駆け寄った。その際風に煽られて、彼女がかぶっていた羽根帽子がフワリと地面に落ちてしまう。
「ちょっとやめなさい。子供になんてことしてるのよ!」
「なんだてめぇは!? ん~、おぉすげぇ可愛いじゃねぇの? こいつアンタの弟か? それならお姉さんに責任取って貰わなくちゃなぁ」
カイルを放してシャルルを捕まえようとする男だったが、自由になったカイルが即座に男の脛を蹴り上げた。
「ぐわぁ!?」
あまりの激痛に膝を折って蹲る男とシャルルの間に、カイルが飛び込んで彼女を守るように両手を広げる。
「船長さんに触るなっ!」
「なんだ、このガキ!」
激昂した三人の男たちがシャルルとカイルと取り囲んだが、シャルルたちの後ろに立ったハンサムの存在に気が付くと一気に顔が青ざめていく。黒豹の獣人であるハンサムの威圧感が凄まじいことあったが、ある噂を聞いたことがあったからだ。
「お、おい……この白銀の髪に赤い瞳の女と、黒豹の巨漢の組み合わせって」
「ま、ま、まさかキラー……」
男が震えながらシャルルの顔を見ると、彼女は赤い瞳を鋭く輝かせ冷淡な笑みを浮かべている。その笑みに確信した男たちは一斉に逃げ出した。
「し、失礼しました~!」
逃げていく男たちを見つめながら鼻で笑ったシャルルは、目の間で一生懸命守ろうとしてくれたカイルを、優しく抱きしめて頬に軽くキスをする。
「君、なかなか格好よかったぞ」
「ふわぁぁぁ!?」
「でも危ないから無茶しちゃダメだよ。あの程度の輩なら、わたしでも軽く捻れるんだから」
突然の出来事に慌てるカイルを、嗜めるように軽く叱るシャルル。咄嗟に動いてしまったが、確かにカイルよりシャルルのほうが圧倒的に強い。もし素手で戦うことになっても、彼女の脚力を持ってすれば軽く瞬殺できるだろう。
しょぼくれてしまったカイルに頬摺りをしていると、ハンサムに後ろから頭に帽子を乗せられた。
「あぶねぇのは姫さんもだぜ。あんまり無茶すんじゃねぇよ、ここは中立港だぜ?」
「あはは、わかってるって」
笑いながら軽く流しているシャルルだったが、実際に乱闘でも起きていた場合、色々と問題になっていた可能性が高い。シャルルたちが悪くなくても衛兵が駆けつければ捕まることもあるし、お尋ね者としてこの町に入れなくなることもあった。
もっともこのぐらいの規模の町では、衛兵もごろつきと大差はないため、少し握らせれば余所見をして忘れてくれる。無茶に見えるシャルルの行動も、それぐらいの算段があってのことなのだ。
「まぁ何事もなくて良かったじゃない。それじゃ、そろそろ帰ろっか。ヴァル爺が心配してるだろうし」
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