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第2章
話せないもどかしさ
しおりを挟む薬局で勤めることになって早くも数日がたとうとしていた
幸いにも心臓発作は出ることもなくて穏やかな日々を過ごしている。
次大きな心臓発作がきたらもしかしたらそのままかもしれない
だからできるだけ早くユーリには話さなきゃならないのに......俺はそれができないでいた。
体力は中の下しかないから家事もユーリがいるときは頼ってばかり......同居っていうのはフェアじゃないとって同僚だったときの香織に言われたことを思い出した。
「ユーリ......ごめんね。」
「アルは気にしすぎなんだよ。元々頼んでここに住んでもらってるんだから。俺がするのが当たり前なんだよ」
「でも......」
いずれ死んでしまう同居人にそんな優しさはいらないのに
暖かな野菜スープを持ってきたユーリは木の匙にスープを掬い俺の口元へと差し出してくる
パクっと食いつけば優しい味のスープが口の中いっぱいに広がる
味はどう?って聞くように優しく微笑むユーリ
この顔を悲しませたら......ダメだ
僕はユーリを大切にしたい
大事な大事な友達だから......
「ほらもう1口......アルは可愛いな」
「僕は可愛くなんかないもん」
「ほんとに16か?歳上に見えないんだよなぁ。アルは」
「えっ......ユーリ年下なの?」
「少しだけな。ほらもう1口」
餌付けのように食べたら匙が出されるから出されるがままに食べてしまう
ユーリってば俺のことどう考えてるのかな
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