転生したら貴族子息だった俺は死に場所を求める

リョウ

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第1章

家族に愛されたかっただけなのに

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迎えた翌日
俺はいつも通りに支度をした

ただ学校には行けなかった
婚約破棄があったあとだから当然屋敷にいる
夕暮れ頃だった

「坊っちゃま。旦那様が」と控えめにメイドがドアの外から声をかけてくる

「向かうよ。ありがとう」

ドクドクど心臓がどうにかなりそうだった
今まで反抗らしき反抗なんかしたことなかったのだから
父に言われるがままに彼の手のひらでころがされていた俺
自身で言うのもなんだが滑稽だ

未だに前世と今の俺がしっくりと馴染んてくれない
この妙な違和感をうまく説明できない

父の執務室へと足を運びドアを叩いた

「入れ」
短い淡々とした返事が返される

「失礼します」

ソファに腰を降ろし向かい合った

「オスカーから話は聞いている。婚約破棄にはならない」

告げられた絶望だった

「しかし 殿下ははっきりと。そして俺はあの場所で沢山の貴族子息達がいるあの場で!!」

「オスカーはあの場にいなかった。それが答えだ。」

「俺は納得しません。確かに国王はいらっしゃいませんでした。貴族子息子女しかいなかった。当然ながら殿下の一存で婚約破棄などできるはずがない。しかし俺には後一年しかないんです!」

そう言った瞬間にパシッと頬に痛みが走った

「ツヴァイ家の現当主は誰だ」
低く冷静な声色
そして突き刺すような鋭い眼差しが俺を射抜く
父は従え
当主の言うことにと言っているのだ
そんな事は貴族子息なら誰もが知っている
だけど僕には・・・

「だったらどうして僕を俺をあの余命宣告を受けたあの時殺してくれなかった!無能だと言うなら無能だと遠ざけるならどうして生かしたんだよ
どうせ婚約破棄された所で俺にはなにも残らないもう死なせてくれよ・・・愛されてない子供なんか生かさなければよかったんだ」

ボロボロだった
限界だった
どうして俺には僕にはなにも残らないのか
生きている価値なんかありもしないのに

余命宣告なんかなければよかったのに

俺の言葉に初めて聞いたような顔の父
実に滑稽だ
そんな顔を見れた事だけでも収穫かな

(男の子なんだからしっかりしなさいよね裕二。裕二は強い子なんだから)
前世での母の声がよぎった

「アルベルト」
久しぶりに父から呼ばれた俺の名前
いつから呼ばれなくなっただろう

「無能で余命宣告受けている名ばかりの跡取りなんかいらないでしょ。跡取りなら双子のどちらかがなれば問題はありません。姉上が産む子だっていい。死に場所を探しに行かせてください。僕には時間がないんです  俺の命はあと一年も持ちません もう俺を解放してください。俺はあの婚約破棄の日 あまりのショックで自死したとしてください。これなら侯爵家にはなにも迷惑かかりませんよね。勝手に死んだことになれば同情はあっても悪口はたたけません。王がいない場所での身勝手な婚約破棄でしたから」

父の話を聞くまでもなく俺は執務室をあとにした

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