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第1章
その先はきっと
しおりを挟む「坊っちゃま」
短く俺を呼んだ筆頭執事はなにかを察しているようだった
「防音開始」
パチンっと指を鳴らせば部屋全体を薄いオーラが覆った
こっちのが話しやすい
「私にしかできないことなんですね」
「ここを出たいんだ。ここから出なくちゃいけないから、うちのはすぐに追跡されちゃうからセバスチャンに手配を頼みたくて。」
目の前の執事は分かっていたと顔がいうように頷いた
「覚悟はできておられるのですね」
「うん。ごめん 君を巻き込む形になってしまって、手紙は書くから父上に 俺が脅して用意させたからセバスチャンのことは責めるなって」
「よいのですよ。あの日からずっとこんな日がくるのではないかと思っておりました。私もほかの者達も皆、ですからよいのです。お仕えできるのが最後になるというだけですから」
「ありがとう。ここで孤独だった俺に使用人たちもセバスチャンも優しくしてくれた。嬉しかったんだ」
「そんなに泣かれては別れが惜しくなります。さぁ涙をお拭き下さい。」
「明日深夜に。俺は明日 父上と婚約破棄について話す必要があるから」
「準備は抜かりなく。坊っちゃまどうかお元気で」
「セバスチャンもね」
それから先は言わないようにした
また会えたら会いたいなんて言葉は言えない
そんなことは出来ないのだと分かっているから
残りは一年をきっている
カウントダウンがはじまっているんだ
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