番になれないアルファ

抱きたいと抱かれたい

  
   「俺を抱く？そんなことできるわけ」

アルファが抱くのはオメガと決まっている

それが普通

「あなたはアルファに抱かれている」

「だからそれがどうした。これは俺が望んで抱かれてるだけだ」

勢いよく啖呵をきったにしても目の前にオメガがいて

運命の番ならラットになるのも時間の問題だ

「往生際が悪いですよー。俺に抱かれたら最高に気持ちいいって分かります。」

「うるさい！運命の番なんかいらない。俺は海斗のそばにいるって決めてる」

そう海斗の気の済むまで俺はあいつのオメガを失った悲しみを癒すための時間に付き合うって決めたんだ

「報われない恋ですか？俺ならすぐ愛してあげます」

「早く出てけ！俺は海斗以外には抱かれるつもりはないんだ。」

ほっとけよ。俺の事なんかほっとけ。


「僕の部屋でなにをしているのかな。君、僕の会社の社員だよね。勝手に人様の家に上がり込んでなにをしてる？」
今までにないくらいの海斗の低い怒った声が響いた

「家主の登場ですか、せっかく見つけた運命の番をホイホイとあなたにはあげませんよ？なんせこっちは運命なので。」
にやりと笑った彼はそのまま寝室から出ていき玄関から部屋を出ていった


「安希？大丈夫？」
ガタガタと体が震えた

怖かった......

「安希......ほらこっちにおいで」
無意識に海斗の方へと向かう

ベッドの中央に海斗

ダメだ俺はこのままじゃ