幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~

桜もふ

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33 初めまして、私が姪です

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    おじい様の御屋敷から少し飛んだ場所に2人目のおじ様の御屋敷があった。ここもまた、デカッ!!

    本当に御屋敷なの?

    私は何を見てももう驚かないから!

    たぶんだけど……。

『着いたぞ。

    ここも同じだろうな、親子だしな』

    ペコリとお辞儀をし、出迎えてくれたのはこの御屋敷の執事さんと誰だろう?

    16~18歳くらいのお兄さんが手を振りながら笑顔で駆けてきた。

「ようこそおいでくださいました。

    私は執事のドミニクと申し……」

「やぁ!  キミがルルナだね?

    可愛いなぁぁ、可愛すぎだろぅ!」

    執事のドミニクが「コホン」と咳払いをし、お兄さんの暴走を止めてくれた。

「大変失礼いたしました。

    こちらは……」

「俺はねキミの従兄弟のジェイド・エメルロ。16歳だよ」

    またしても執事さんの言葉を遮った方は従兄弟のお兄さんだったようです。

    淡い桜色のサラサラな髪が風に揺られ、緑色のペリドットのような瞳が綺麗で吸い込まれそうだった。

    スカートの裾を摘み、膝を曲げて挨拶をした。

「わたくしはルルナ・エメルロです。

    後ろに控えている者は、わたくしの保護者兼護衛のドルバルとレイブンです。

    そしてこちらが、神獣の【スオウ】と女神様の眷属の【マロン】です。

    お見知りおきを」

    そう挨拶をすると、後ろから2人の男性と女性が走って来て謝罪をされた。

「 うちの愚息が大変失礼をし申し訳ありませんでした。

    ここではお身体に大事があってはいけませんので、中へお入りください」

    サラサラな淡い桜色の髪に緑色の瞳。この方がもう1人のおじ様?

    隣にいるのはフワフワな淡いオレンジの髪に黄色の瞳。こちらの女性はおば様でしょうか?

「うちの息子が申し訳ありません。

    転ぶと大変ですので、お手を失礼しますね」

    優しく握られた手は、色白でシルクのような滑らかな肌。パッチリ二重の瞳に綺麗な鼻筋、唇は薄く口角が上がった姿は美しいです!!

「あ、ありがとうございます」

    顔を赤らめていると、間に割って入って来た従兄弟のお兄様とおじ様が抗議の言葉を上げてきた。

「ずるい!  エルシィだけずるいぞ!」

「俺だってルルナと手を繋ぎたいのに!」

    と、燃えていましたよ。

    お屋敷へ入り、サロンへ集まったところで挨拶と家族の紹介が始まり。その横ではメイドさん達がお茶とケーキを出してくれた。

「柔らけぇぇぇ」や「甘いけどうめぇぇぇ」などと小声で言ってるけど聞こえてるから。

「改めまして、私はアルバン・エメルロ。ルルナの父の兄だ。

    よろしくな」

「わたくしはエルシィ・エメルロ。ルルナの叔母よ。わたくしと仲良くしていただけると嬉しいわ」

「俺は先程も挨拶しましたが、改めて。

    ジェイド・エメルロ。16歳です。

    ジェイ兄と呼んでくれると嬉しいな」

    後ろから「次はわたくしね」という声に振り返ると、おばあちゃん?  が凛とした姿勢で歩いてきた。

「初めまして。わたくしはグレイス・エメルロ。ルルナの父の母、おばあちゃんです。

    よろしくね」

    私は4人にうなずき「はい」と返事をした。最後は私の挨拶。

    スカートの裾を摘み、膝を屈め。

「お初にお目にかかります。

    わたくしはルルナ・エメルロ。

    後ろに控えている者は、保護者兼護衛のドルバルとレイブンです。

    こちらがわたくしの神獣の【スオウ】と女神様の眷属の【マロン】です。

    皆様、お見知りおきを」

    おじ様はスオウとマロンに目を輝かせている。が、お祖母様は私に事故のことやダメンズ男爵家での仕打ちを少しでいいから聞かせてほしいとお願いされた。

「この音声の録音が出来る水晶で記録をし、あの愚か者共を這い上がれることが出来ない闇に、血の海へ落としてやるのよ!!」

    お祖母様は怒ると怖いのですね……覚えておこう。

    泣いちゃうかもだけど、アイツらを地獄に落とすためなら話すよ。

「泣いてしまうかもしれませんが、聞いてください。

    あの夜、王宮からの帰り道だったんです。お父様とお母様は2人仲良く手を握って寝ていました。そのうち私も眠くなり、お兄様は眠っていいよとの言葉に甘えて眠ってしまい、その眠りから覚めると私は一人ぼっちでした。

    そんな私はお母様の兄であるダメンズ男爵家の叔父と暮らすことになりましたが、目に見える家族の家財は全て盗られました。そこでも1人ぼっちで、少しでも反抗したり口を開いた時は何度も何度も殴られ、鞭で打たれ。物を投げつけられ……痛かった!!」

    その発言に対して周りは驚愕きょうがくした。それはあまりにも残酷で酷い話だったからだ。

「……私の食事は、いつも残り物の少ないスープと一欠片のパンだけ。

    それだけだとお腹は満たされず、果物を見つけ隠れて食べると、必ず翌朝に見つかり暴力をうけ……て…スンスン……。

    王宮でのスキル鑑定の日に、私のスキルがゴミ以下だったため、ダメンズ男爵や王族に罵られ……ルドルフ殿下に婚約破棄されました。そのあと、ダメンズ男爵は言ったのです。

「我ら侯爵家の恥さらし!」

「無能」

「ローバルにゴミスキルはいらない」

「ゴミ虫スキルしかないお前は、我らの身内ではないわ。我らの前から消えろ!」

「ルルナなんて、魔物に襲われて死んじゃえっ!!」

    と、言われ……わたし…は……スンスン……うぅ……国外追放を言い渡され、1週間以内に国境を超えることが出来なければ……スンスン…死刑だと!!」

    スンスンと少し鳴らしてしまいドルバルとレイブンが駆け寄り、抱きしめてくれたドルバルにギュッと服を握りしめた。

「ルルナ、思い出してしまったのか?」

「俺らもいる、ここは安全だ。大丈夫だからな!」

    横からスオウが近付き。

『ルルナ、ワレの背に来い』

    そう言葉を発したスオウは器用に扉を開け、翼を開くと同時に空へと舞い上がった。私はスオウのモフモフの背中に顔を埋めてパパの顔を思い出していた。

「スオウ、ありがとう。

    今はもう幸せだよ!

    このことをみんなに言わなきゃ伝わらないね」

『言わなくとも伝わっている。

    戻るぞ』

「うん」

    スオウと戻ると、お祖母様に抱きしめられ「ごめんなさいね」と謝られてしまった。

    私はフルフルと顔を横に振り。

「皆様聞いてください。

    わたくしはパパ、ギルマスのテオルに出会うまでは辛かったです。

    今わたくしが幸せなのはパパとギルドのみんなのお陰なのです。

    その中にドルバルとレイブンもいてくれた」

「そうなのね。それが聞けて良かったわ」

    私はここでも満面の笑みを浮かべて「えへへ、みんな大好き」と伝えると、大きな音と共に、みんなが倒れていた。

『ズッッッキュゥゥゥゥゥン!!!!』

    マロンは倒れているジェイドの頭を何度もツツいていた。
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