幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~

桜もふ

文字の大きさ
37 / 63

30 スチリア王とリビア(ママ)に会う

しおりを挟む
    扉を開けてもらい中へと入ると、スチリア王とお妃様は椅子に座っており、その両隣に王子様とお姫様が立っていた。

    緊張する。同じ側の手足を同時に出ないように気をつけなくちゃ。

『ルナ、緊張しているのか?

    アイツらもいい奴らだから大丈夫だ』

『ピュルゥ、ピピュゥ』

    スオウとマロンは励ましてくれてるのね。

「スオウ、マロン。ありがとう」

    トコトコトコ……。

    良かったぁぁ。普通に歩けたよ。

    王族の皆様の目前に来た私達は、姿勢を正し、スカートの裾をつまみ、膝を屈めた。

    ドルバルとレイブンは敬礼していた。

「お初にお目にかかります。

    わたくしはルルナ・エメルロと申します。

    こちらがわたくしの【神獣】スオウと【女神様の眷属】のマロン。

    後ろの者達は私の保護者兼護衛のドルバルとレイブンです。

    よろしくお願いいたします」

    敬礼をしたままのドルバルとレイブンはスチリアの国王に挨拶をした。

「至らない部分もあると思いますが、よろしくお願いいたします」

「同じく、俺もスチリア国へ来るのは初めてなので、分からない点が多いと思いますが、よろしくお願いいたします」

    2人とも、いい挨拶だと思うよ。ドルバルとレイブン、頼りにしてるからね。

『スチリアの王よ、ドルバルとレイブンもだが、後から来る者達もワレとマロンが認めたヤツらだ。

    ワレとマロンのことも、よろしく頼む!』

    陛下は大きくうなずき、真剣な表情から柔らかい表情に崩し。お兄様の親友と家族を紹介してくれた。

「うむ、神獣様とマロン様が認めた相手だ。異論は無いよ。ここを自分の国だと思って過ごしてほしい。

    それでだな、家族を紹介しよう。

    私の愛する妃のオレリア・シー・スリチアだ」

    お妃様はニコリと笑顔になり、長い耳をピクピクさせていた。ウサ耳だ、あぁぁぁ、もう触りたい!!

「くすくす、仲良くしていただけると嬉しいですわ」

「はい、ぜひ!」

「この者が自慢の息子、ディオン・シー・スリチア。エメルロ嬢の兄とは幼馴染で親友だった」

    ペコッと軽く会釈をし。

「エメルロ嬢がヨチヨチ歩きの時に会ってるんだよ?

    これからは、僕を兄だと思って接してくれ」

    この方がお兄様の親友のスリチア殿下なのね。陛下と同じホワイトタイガーさんなんだ。

「光栄なお言葉ありがとうございます」

    あの優しい雰囲気の笑顔、お兄様もあんな風に微笑んでいたっけ。

「そして、この目に入れても痛くない可愛い、本当に可愛い愛娘のリミレニー・シー・スチリアだ。

    我が娘は可愛いであろう?」

「はい!  とっても可愛いです。とくにフワフワなお耳が凄くいいです!!」

「おぉぉぉ!  よく分かっているではないか!?

    我が妃に似て可愛くてなぁ……」

    そこへ割って入ってきた可愛いプリンセス。笑った顔もメッチャ可愛い!

「お父様が失礼いたしました。

    わたくしのことはレニーと親しく呼んでいただけると嬉しいですわ」

    私もニッコリと微笑み、うなずいた。

「分かりました。レニー様、わたくしのこともルナと呼んでください」

「よろしくね。ルナ!」

    2人で手を取り合って「くすくす」と笑った。



    挨拶も終わり、スオウが新しいギルドへ案内すると言い、私達を乗せて着いた先は3階建てだがホテルのように綺麗な建物で「綺麗」と言葉を漏らした。

「あら、ローバル国から来た新しいギルメンかしら?」

    振り向くと、髪を一つに束ね。スリムな身体だが、胸はデカくて綺麗なお姉さんだ。これは、私の第一印象の感想だった。

「お前、リビアじゃねぇか!」

「おぃおぃ、リビア!  お前、ギルマスが必死こいて探してたんだぜ。無事で良かった」

    リビアと呼ばれた女性は、少し俯き。なぜ知らせなかったのかを、小さな声で話してくれた。

「心配かけてごめんなさい!

    私が知らせなかったのは……子が持てない……身体になってしまったからなの。

    テオルは昔から子供が大好きで、自分に子供が出来たらあんなことやこんなことをしてやりたいって……なのに、そんな些細な夢さえ叶えることが出来ない。だったら死んだことにして、テオルには他の人と幸せに……」

    私はパパがどれだけリビアさん……ママのことが大切だったのかを知ってる。いろんな場所を探し、知らされるまで大好きなママのことを忘れなかった。そのことを伝えたくて、話してる言葉を遮った。

「あの、わたくしはルルナと申します。

    ギルマスはね、リビアさんが流されてからエメルロ侯爵様に知らされるまで、ずっと探し続けていたし、忘れることなんてなかったんだよ?

    流された橋を見て、心の中で泣いてた。

    そんなパパにママ以外の他の女性なんて考えられないよ……ママ?」

    リビアは目を大きく見開き、ドルバルとレイブンの2人を交互に見た。

    ドルバルとレイブンは大きくうなずき、口を開いたのはドルバルだった。

「ははは、ルルナは可愛いだろ?

    テオルなんか、目に入れても痛くない愛娘だと自慢してやがるんだぜ?」

「えっ?  テオルの娘?」

だがな?」

「私の……娘…って…ことに、なるのよね?」

    3人で大きくうなずくと、震える両手で顔を覆い隠し泣いていた。そして、ガバッと抱きしめ「ありがとう」と一言、そのあとはずっと泣いてたよ。

    涙目に鼻をスンスン鳴らし、私を見つめ笑ってくれた。

「もう一度呼んでくれない?

    ママ……と」

    私は、とびっきりの笑顔で。

「えへへ。ずっと一緒だよ、私のママ」

『ズッッッキュゥゥゥゥゥン!!!!』

    と、物凄い音がしていた。

    どうやらリビアも、この笑顔の虜になってしまったようだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました

蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。 家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。 アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。 閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。 養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。 ※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。

【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥
恋愛
「ライアンとは婚約解消したい。幼馴染のミーナから声がかかっているのだ」  婚約者であるオズマとご両親は、私のお父様の稼ぎを期待するようになっていた。  幼馴染でもあるミーナの家は何をやっているのかは知らないが、相当な稼ぎがある。  どうやら金銭目当てで婚約を乗り換えたいようだったので、すぐに承認した。  だが、ミーナのご両親の仕事は、不正を働かせていて現在裁判中であることをオズマ一家も娘であるミーナも知らない。  一方、私はというと、婚約解消された当日、兼ねてから縁談の話をしたかったという侯爵であるサバス様の元へ向かった。 ※設定はかなり緩いお話です。

元平民だった侯爵令嬢の、たった一つの願い

雲乃琳雨
恋愛
 バートン侯爵家の跡取りだった父を持つニナリアは、潜伏先の家から祖父に連れ去られ、侯爵家でメイドとして働いていた。18歳になったニナリアは、祖父の命令で従姉の代わりに元平民の騎士、アレン・ラディー子爵に嫁ぐことになる。  ニナリアは母のもとに戻りたいので、アレンと離婚したくて仕方がなかったが、結婚は国王の命令でもあったので、アレンが離婚に応じるはずもなかった。アレンが初めから溺愛してきたので、ニナリアは戸惑う。ニナリアは、自分の目的を果たすことができるのか?  元平民の侯爵令嬢が、自分の人生を取り戻す、溺愛から始まる物語。

わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
※完結しました。 離婚約――それは離婚を約束した結婚のこと。 王太子アルバートの婚約披露パーティーで目にあまる行動をした、社交界でも噂の毒女クラリスは、辺境伯ユージーンと結婚するようにと国王から命じられる。 アルバートの側にいたかったクラリスであるが、国王からの命令である以上、この結婚は断れない。 断れないのはユージーンも同じだったようで、二人は二年後の離婚を前提として結婚を受け入れた――はずなのだが。 毒女令嬢クラリスと女に縁のない辺境伯ユージーンの、離婚前提の結婚による空回り恋愛物語。 ※以前、短編で書いたものを長編にしたものです。 ※蛇が出てきますので、苦手な方はお気をつけください。

悪役令息(冤罪)が婿に来た

花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー 結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!? 王女が婚約破棄した相手は公爵令息? 王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした? あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。 その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。 彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。 そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。 彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。 その数日後王家から正式な手紙がくる。 ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」 イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。 「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」 心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ! ※ざまぁ要素はあると思います。 ※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。

【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?

氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。 しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。 夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。 小説家なろうにも投稿中

隠れ蓑婚約者 ~了解です。貴方が王女殿下に相応しい地位を得るまで、ご協力申し上げます~

夏笆(なつは)
恋愛
 ロブレス侯爵家のフィロメナの婚約者は、魔法騎士としてその名を馳せる公爵家の三男ベルトラン・カルビノ。  ふたりの婚約が整ってすぐ、フィロメナは王女マリルーより、自身とベルトランは昔からの恋仲だと打ち明けられる。 『ベルトランはね、あたくしに相応しい爵位を得ようと必死なのよ。でも時間がかかるでしょう?だからその間、隠れ蓑としての婚約者、よろしくね』  可愛い見た目に反するフィロメナを貶める言葉に衝撃を受けるも、フィロメナはベルトランにも確認をしようとして、機先を制するように『マリルー王女の警護があるので、君と夜会に行くことは出来ない。今後についても、マリルー王女の警護を優先する』と言われてしまう。  更に『俺が同行できない夜会には、出席しないでくれ』と言われ、その後に王女マリルーより『ベルトランがごめんなさいね。夜会で貴女と遭遇してしまったら、あたくしの気持ちが落ち着かないだろうって配慮なの』と聞かされ、自由にしようと決意する。 『俺が同行出来ない夜会には、出席しないでくれと言った』 『そんなのいつもじゃない!そんなことしていたら、若さが逃げちゃうわ!』  夜会の出席を巡ってベルトランと口論になるも、フィロメナにはどうしても夜会に行きたい理由があった。  それは、ベルトランと婚約破棄をしてもひとりで生きていけるよう、靴の事業を広めること。  そんな折、フィロメナは、ベルトランから、魔法騎士の特別訓練を受けることになったと聞かされる。  期間は一年。  厳しくはあるが、訓練を修了すればベルトランは伯爵位を得ることが出来、王女との婚姻も可能となる。  つまり、その時に婚約破棄されると理解したフィロメナは、会うことも出来ないと言われた訓練中の一年で、何とか自立しようと努力していくのだが、そもそもすべてがすれ違っていた・・・・・。  この物語は、互いにひと目で恋に落ちた筈のふたりが、言葉足らずや誤解、曲解を繰り返すうちに、とんでもないすれ違いを引き起こす、魔法騎士や魔獣も出て来るファンタジーです。  あらすじの内容と実際のお話では、順序が一致しない場合があります。    小説家になろうでも、掲載しています。 Hotランキング1位、ありがとうございます。

処理中です...