【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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ローミン先生

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 ディロールへは、ドラゴンに乗っての移動になるのだけど、私は桜さんの体調や初期妊娠の事が心配で悩んでいた。

「初期妊娠中って流産しやすいって聞いたけど、ドラゴンに乗って大丈夫なのかな?
 お母さんはどう思う?」
「そうねえ、大人しく飛ぶドラゴンなら大丈夫だと思うけど、念の為にお医者さんであるローミン先生に同行してもらえれば安心なんじゃないかしら」
「桜さんも行くって言って聞いてくれないし、オールに聞いて来るよ」

 桜さんってば、お兄ちゃんと性格が似ているのか、一度言い出したら聞いてくれないのよ。
 ジンとオールだ、二人とも眉間にシワが……何か良くない事があったんだわ。
 待ってても時間が過ぎるだけだわ、ローミン先生に直接聞いてみよう。
 確か西側の塔だったよね?
 キョロキョロしていると、ライオンの獣人である騎士さんに声をかけられて案内してもらった。

「ユア様、ローミン先生はこちらの塔でございます。
 ちょうど反対側でして」
「やだっ、私ってば間違えていたのね。
 親切に案内していただいて、ありがとうございます。
 凄く助かりました」
「いいえ!
 これが我々の責務ですからお気になさらず、何でもお申し付け下さい」
「そんな、自分の事は出来ますから。
 でも、今日みたいな事があったら頼りにしています」
「はいっ!
 有り難きお言葉です。
 謁見の間への移動に備えて、ここで待機しております」
 私は騎士さんに微笑んで、頷いた。

 コンコンコンッ!

 扉にノックをし返事を待っていると、ローミン先生が扉を開けてくれた。

「ユア様、どうかされたのですか?
 もしかして、お身内の方に何かあったのですか?」
「いいえ、桜さんは大丈夫です。
 大丈夫なんですが、妊娠初期の妊婦さんがドラゴンに乗るのは……危険ですか?
 ローミン先生が可能なら一緒に同行してもらえないでしょうか?」

 ローミン先生はネズミの獣人で、小さい耳とフワフワした頭がまた可愛くて、触りたい!
 って、思ってる場合じゃない。

「私なんかが行っても何の役にも……」

 私はローミン先生の手を握りしめ、真剣な目でローミン先生の目を見ながら話した。

「ローミン先生がいたから、ソフィーリアの皆さんは無事に子供が産めたんです。
 妊婦さんにとってローミン先生は大切な存在なんです、隣にいるだけでも安堵感は違うんです!
 私達と同行してもらえますか?」

 ローミン先生の表情は柔らかくなり、頷いて了承してくれた。
 扉の側にいる騎士さんも笑顔で頷いてくれている。

「昔は良く頼られていた事を思い出しました。
 この200年は妊婦さんがいなくて孤立気味だったんです。
 ユア様、ありがとうございます。
 喜んで同行させていただきます」

 私は笑顔で頷いて、謁見の間で待っている事を伝えた。
 騎士さんも笑顔で「良かったです」と言ってくれた。
 騎士さんと笑顔で謁見の間へ入ると、何この空気は?

 オールが私を見つけた瞬間に、突進する勢いで走り寄り、何処にいたのかを尋問のように聞かれたのだった。
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