【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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諦めが悪い女 2

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 私は椅子から立ち上がり自分が思っている事を言った。

「私には記憶が無いから何て言って良いのか分からないけど。
 でも、黒竜族であるオールの番は私だって事だけは分かるわ、だって今も綺麗な鈴の音が聞こえているもの!」

「……さい、うるさいのよ!
 この不細工な馬鹿女!
 あの時に死んどけば良かったのよ!!」

「「クソアマがーーっっっ!!」」

 お兄ちゃんと桜さんは、ルリナを同時に跳び蹴りをしていた。
 ルリナはディロールの王子と男3人組に向かって飛んで行き、5人ですっ転んでいる。
「プフッ!」笑っちゃ失礼だけど、下着丸見えだし。
 笑った私を睨み、魔力は消えたはずのルリナは使っていた。

「クタバレ! 馬鹿女!!」
「っ! ユア!!」

 オールとフェン、グリが飛び出したが間に合わなかった。
 私は壁に向かって体を飛ばされ強打し、全身が痛すぎるのと肺から空気が一気に出たのもあって、息苦しくてもがいた!

 ヒュッ! ダアアァァァーーーーンッッッ!!

「うぐっっっ!!」
「ユア! ゆっくり息を吸うんだ!」

 桜さんとお兄ちゃんが駆け寄って来た。
 お兄ちゃんが背中を摩り、私に指示をしてくれている。

「ヒュゥッ、ヒュゥッ……ゲホゲホッ!
 はぁはぁはぁっ!! ガハッ!!」

 お兄ちゃんと桜さんが背中を摩ってくれて、何とか息が出来たけど、内臓を痛めたのか吐血した。

「きゃあ、ユアちゃんが!
 誰か治せる人いないの?」

 桜さんは泣きながら、皆に叫んでいた。
 王宮の治癒師が駆け寄り、私に『ハイヒール』をしてくれ、ルリナと4人組の男以外の皆は怒り心頭だ。
 黒竜族である王族の頭からはツノが出ている。
 王妃様はジンと同じ黒豹の獣人なのでツノは無かったが毛を逆立てていた。
 そして王族と貴族の女性陣が持っていた扇子が……。

 バキバキバキッッッ!! 

 もの凄い音がしたので男性陣は女性陣に注目し『ギョッ!!』としていた。
 お兄ちゃんと桜さんでさえ、驚いてるんだから、他の皆はもっと驚いているはずだよ。
 王妃様からは怒りのオーラが漏れ出ていた。

「桜、王族や貴族の女性陣には逆らわないようにしような」
「え、えぇ……そうね」

 この国では王妃様が一番怖いって事なのかな?

「おい、ルリナに何するんだ!
 お前達こそ謝罪しろ!!」
「そうよ! 私は恥ずかし目を受けたわ、責任とってもらうから!
 オールとジン、私を妻にしなさい!!
 これは責任なんだから聞き入れなさい!」

 うわぁ、凄い命令口調だなぁ。
 ってか、逆に怖い女だなって思うのは私だけではないよね?
 ルリナとヴァンロット様が変人に見えてくるわ。
 はぁーーっ、溜息しか出ないんですけど?

 ヴァンロット様はディロール国の次期国王なんだよね?
 こんな考えや自分勝手な人が国を動かせるのかしら?
 私はずっと疑問に思っていた。
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