【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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下半身麻痺?

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 気づいたらソフィーリアの王宮だった。
 しかも私の部屋? 私のベッド?
 私、何でここにいるのかな?

「喉が渇いたな」

 ベッドから降りて水を飲もうと、足を床につけて歩こうと一歩出た途端に『ドサッ!』と倒れた!

「えっ?」

 足に力が入らない、何で?
 足を触ると、わずかだが感覚はある。
 けど、私はパニックになり泣き喚いた!

「やだっ! 何で立てないの!
 足、動いて! お願いだから動いてよーーっっっ!!」

 フェンはオールとランを部屋へ帰らせた事を後悔し、私を背に乗せようとしてくれたけど、私は拒否をし這いつくばってドアまで行き部屋を出た。

 夜中なのか暗くて周りは静かだった。
 それでも腕と手の力だけで這いつくばってキッチンへ着いたが、衣類は擦れて破れてたり、糸が解れてボロボロ状態だった。
 こんな姿、誰にも見られたくない、這う私なんて。

「なんでこうなったの?」

 足は動かないが、涙だけは止まる事なく溢れ出る。

「……!!」
「ユア様、良かった。
 ここに居たのですね」
「ラン……私、足が… 足が、動かないのよ!
 ううぅぅっ、誰か助けて!!」

 私はランにしがみ付いて泣いた。

「ユア様、足が動かないとは?
 どういう……動かない?」

 ランは私の衣類を見て察した。

「ユア様足の感覚が無いんですね?
 なんという事、早く皆様に知らせないと!」
「触ってる感覚はあるのに……立てない……歩けないのよ!
 オールに、こんな姿見られたくないよ!
 うううぅぅっ!!」

 ダダダダダダッ!

 誰かが走って来る、一人ではなく多数の足音が。
 鈴の音も、オールが来てくれてるんだと思ったが、出血が多かったのもあり、貧血で気を失った。

「ユア!!」

 オールは叫んだが声は届かなかった。

「オパール殿下、ユア様の衣類が!」

「………!!」

 ジンが私の衣類を見て察し、オールに耳打ちをした。
 オールは私を見て全身が震え出し、膨大な威圧でキッチンの食器が次々と割れていく。

「オパール殿下、ユア様は足に触れると感覚はあるのに、立つ事が出来なくて足が動かないと言っておりました!
 あと……オパール殿下には、このような姿を見られたくないとも申しておられました」

 ランも涙を流しながら話した。

「立てない? 足が動かない?
 ユア様が仰ったんですね?」

「はい!
 ここまで、這いつくばって来たようです」

 ジンの質問に答えるラン、後ろからフェンの耳と尻尾は垂れたまま、ユアの事を伝えた。

「主は喉が渇いたと言って、ここまで来た。
 我の背にも乗ろうともしなかった」

「フェン、ユアの側に居てくれてありがとう」

 オールはフェンの頭を初めて撫でた。

「オパール殿下、やはり問題発生ですね」
「あぁ、ユアを治癒魔法で治したと言った者は、ユアを亡き者にしようとしたに違いない。
 父上と母上に報告だっ! 急げっ!!」
「はいっ!」
「御意!」

 皆それぞれ動いた。
 大臣のヨシュアが王の元へ報告へ行き、メイド長のテリーゼは王妃の元へと向かった。
 ランは全メイドと王宮内の皆に伝えに行った。

 オールはツノを出し、ドス黒いオーラを出している。
 オールとジンは、顔の威圧感半端無い状態だ!
 オールは割れ物を運ぶようにして、ユアを慎重にオールの部屋まで運んだ。

「結婚もしていない男女が、同じベッドに……」

 ジンは後ろで説教していたが無視だった。
 オールは寝ているユアに、そっと口にキスをした。
 触れたか分からない程の初々しい初キスだ。

 これはオールだけの秘密。
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