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ユアの目覚め
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早朝に私の部屋へ来てくれたオールだったが、私はまだ目覚めていなかった。
「まだ目覚めていない……か。
早くユアの笑った顔が見たい」
フェンは二人の邪魔にならない様に隅で、丸まって寝ている。
オールは私の頭を撫でて、オデコにキスをした後、フェンを私の枕元まで移動させ、護衛を任せて職務へと戻ろうとしていた。
「フェン、ユアの事は頼んだ。
ユアが気付いたら教えてくれると助かる」
「分かった。
我は主を守る!
主の意識が戻りかけたら知らせる」
「あぁ、ありがとう」
オールはフェンに笑顔を向けた後、部屋を出た。
「何かあれば知らせてくれ」
「はい!
分かりました、オパール殿下」
私は夜中に目が覚め、上半身を起こし顔に触れたが痛みは無かった事に安心しながら周りを見ると、オール?
ソファーで横になり、腕組みをした状態で眠っていた。
皆に心配かけちゃったよね、オールの側で座り綺麗な銀色の髪を優しく撫でると、パッと手を掴まれた私は驚いたがオールも同じ様に驚いている。
「オール、心配かけてゴメンね。
そして、ソフィーリアに帰国させてくれてありがとう」
夢では無いかと確かめる様に、オールは私を抱きしめた。
「ユア!
意識が戻って良かった。
もうどこも痛くはないか?」
「うん、痛く無いよ。
ありがとう。
フェン、おいで?」
フェンは子犬の様に駆け寄り、顔にスリスリして喜んでいる。
「主が目覚めた事を知らせてくる!」
ヒュッといなくなった後、直ぐに戻って来たフェンを見て、私とオールはクスクスと笑い合った。
「フェンーーッ!」
フェンに抱き付き、オールと談笑していた時だった、大勢の走る音がする?
「主よ、皆が走って来ていたぞ」
フェンってば、それを先に言ってよ!
私の今の格好……夜着のままなんですけど。
バァーーーーンッッッ!!
「ユア!
あぁ、良かった。
もう痛くない?」
王妃様、髪が乱れてますよ?
「また笑顔が見れて嬉しいぞ……」
王様……泣いちゃった。
「ユアッ!」
「わたくしの可愛い妹!」
皇女様方、夜着のままだし髪が王妃様より乱れてる。
ユージンは完璧にしたつもりなんだろうな、ボタンを付け間違えてるよ?
ユージンに似てる、初めて会う方だ!
私はユージンの兄とは知らずにカーテシーをしている最中に立ち眩みがし、バランスを崩してしまったが、オールに抱きとめられて、皆ホッとしている。
「ユア様、挨拶が遅くなり申し訳ありません。
私はユージンの兄である『ユアン・オルフォード』と申します。
ユアンとお呼び下さい」
「ユージンのお兄様なんですね。
わたくしはユアです。
至らないところだらけですが、宜しくお願い致します」
夜着の両裾を少し持ち上げ、腰を少し下げて挨拶をした。
キョロキョロとランを探していると、メイド頭のアミンに声をかけられた。
「……喉が渇いちゃって……」
私は申し訳なさそうに伝えると、笑顔で頷いた瞬間メイド長のテリーゼと消えた? 消えた様に見えて、素早く移動しただけだ。
フェンと同様にティーセットと共に、直ぐ現れた。
明日も皆は仕事があるし、皇女様方は学園があるだろうから私1人でも大丈夫だと伝えたが、皆部屋へ帰ろうとしない。
それどころか「わたくし達にもお茶を」「明日話す議題をここで」「ディロールからの書簡です」などと、私の部屋で政務を始めてしまった。
睡眠不足になりますよ?
「まだ目覚めていない……か。
早くユアの笑った顔が見たい」
フェンは二人の邪魔にならない様に隅で、丸まって寝ている。
オールは私の頭を撫でて、オデコにキスをした後、フェンを私の枕元まで移動させ、護衛を任せて職務へと戻ろうとしていた。
「フェン、ユアの事は頼んだ。
ユアが気付いたら教えてくれると助かる」
「分かった。
我は主を守る!
主の意識が戻りかけたら知らせる」
「あぁ、ありがとう」
オールはフェンに笑顔を向けた後、部屋を出た。
「何かあれば知らせてくれ」
「はい!
分かりました、オパール殿下」
私は夜中に目が覚め、上半身を起こし顔に触れたが痛みは無かった事に安心しながら周りを見ると、オール?
ソファーで横になり、腕組みをした状態で眠っていた。
皆に心配かけちゃったよね、オールの側で座り綺麗な銀色の髪を優しく撫でると、パッと手を掴まれた私は驚いたがオールも同じ様に驚いている。
「オール、心配かけてゴメンね。
そして、ソフィーリアに帰国させてくれてありがとう」
夢では無いかと確かめる様に、オールは私を抱きしめた。
「ユア!
意識が戻って良かった。
もうどこも痛くはないか?」
「うん、痛く無いよ。
ありがとう。
フェン、おいで?」
フェンは子犬の様に駆け寄り、顔にスリスリして喜んでいる。
「主が目覚めた事を知らせてくる!」
ヒュッといなくなった後、直ぐに戻って来たフェンを見て、私とオールはクスクスと笑い合った。
「フェンーーッ!」
フェンに抱き付き、オールと談笑していた時だった、大勢の走る音がする?
「主よ、皆が走って来ていたぞ」
フェンってば、それを先に言ってよ!
私の今の格好……夜着のままなんですけど。
バァーーーーンッッッ!!
「ユア!
あぁ、良かった。
もう痛くない?」
王妃様、髪が乱れてますよ?
「また笑顔が見れて嬉しいぞ……」
王様……泣いちゃった。
「ユアッ!」
「わたくしの可愛い妹!」
皇女様方、夜着のままだし髪が王妃様より乱れてる。
ユージンは完璧にしたつもりなんだろうな、ボタンを付け間違えてるよ?
ユージンに似てる、初めて会う方だ!
私はユージンの兄とは知らずにカーテシーをしている最中に立ち眩みがし、バランスを崩してしまったが、オールに抱きとめられて、皆ホッとしている。
「ユア様、挨拶が遅くなり申し訳ありません。
私はユージンの兄である『ユアン・オルフォード』と申します。
ユアンとお呼び下さい」
「ユージンのお兄様なんですね。
わたくしはユアです。
至らないところだらけですが、宜しくお願い致します」
夜着の両裾を少し持ち上げ、腰を少し下げて挨拶をした。
キョロキョロとランを探していると、メイド頭のアミンに声をかけられた。
「……喉が渇いちゃって……」
私は申し訳なさそうに伝えると、笑顔で頷いた瞬間メイド長のテリーゼと消えた? 消えた様に見えて、素早く移動しただけだ。
フェンと同様にティーセットと共に、直ぐ現れた。
明日も皆は仕事があるし、皇女様方は学園があるだろうから私1人でも大丈夫だと伝えたが、皆部屋へ帰ろうとしない。
それどころか「わたくし達にもお茶を」「明日話す議題をここで」「ディロールからの書簡です」などと、私の部屋で政務を始めてしまった。
睡眠不足になりますよ?
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