【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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バールナ公爵家で朝食作り

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 朝日が昇る前に目が覚め、横で眠るフェンを撫でてから身支度をし、鏡を見て驚いたが『真っ赤』だ。
 火傷だし、治癒しないと治らないよね……仕方ない、調理場へと急いだ。


 バールナ公爵家の調理場なだけに、材料は揃ってる。
 固くなって不味くなる材料がだけど。
 ここでもやっぱり必要な材料が無いから、ホットケーキになっちゃうのよね。

 その前に、蓋つき瓶に切った林檎を入れて、林檎が浸かるまで水を入れ。
 陽が当たる所に置いといてーーと。

 小麦粉・砂糖・卵・ミルク・バターがあるから、ボウルに入れて混ぜる。

 次はサラダ用に、レタスにきゅうり(もどき)トマトで作ろう。
 マヨネーズも作って、カチャカチャと混ぜまくる『マヨネーズの出来上がりー』って、一人ツッコミをしながら朝食を作る私だ。

 スープは、材料が無いから、仕方ない。
 ジャガイモ・人参・玉ねぎ、肉ウルフを一口サイズに切って、鍋に油をスプーン1杯分入れて肉・玉ねぎを入れて軽く炒める。

 軽く炒めたら、塩をひとつまみ入れて弱火にして蓋をし5~15分蒸す、その間に数分おきに混ぜる。
 次は、切った人参とジャガイモを入れて、炒めて水を入れて塩と醤油で味付けをし、溶いた卵をふわっとなる様にして入れて、火を止めたら『なんちゃってスープ』の出来上がり!

 混ぜて置いていたホットケーキを焼いたら終わり。

「……!」
「……!」
「……!」

「あっ! 皆さん、 おはようございます。
 えっと、顔は昨夜いろいろありまして、火傷で真っ赤ですけど、気にしないでもらえると助かります。
 あと、キッチンをお借りしています」

 バールナ公爵家のコックさん達に頭を下げて挨拶した。

「ユア様、頭を上げて下さい。
 昨夜の事は、旦那様からお話を聞いておりましたので分かっていますよ」

 皆さん笑顔で接してくれてる、良かった。
 私は、ホッと胸を撫で下ろした。

 料理長が「それにしても、良い匂いですね」と言っていたので、皆さんに味見してもらった。

「……!」
「……!」
「……!」

 うん、その反応になるよね。

「美味しい、美味しいぞ!!」

 料理人の皆さんが振り向いた。

「こ、この作り方を」と言って来るだろうなと思っていたから
「コレをどうぞ」とレシピを渡した。

「レシピですか?
 良いのですか?」

 料理長さんに、私は頷いた。

「えぇ、ほかのレシピも書いてありますので使って下さい」

 ニコッと笑顔で答えると、皆がウルウルとした顔で見ていた。

「今までの俺らの料理はアレだな、不味い飯だな」

 仲間同士で慰め合っていた。


「ユア様、申し訳ありません。
 お顔の赤みと腫れが……本当に申し訳ありません!!」

 公爵家の皆さんに頭を下げられて、私はオロオロしてしまった。
 これはルリナ様が悪いんであって、公爵家の皆さんが悪いんじゃないんだもの。

 それより、朝食よ!
 バールナ公爵の皆さんにも食べてもらい。

「こんなに美味しい料理は初めてだぞ!!」
「まぁ、この柔らかくて甘いパンなんてホッペが落ちそうよ!」
「美味しいです。
 こんな美味しい料理初めて食べたよ!」

 バールナ公爵家当主、レインズ夫人、リー様の順で感想を言ってくれたのが、私も嬉しくて自然と笑顔になっていた。

「我は、あの固い物はいらん!」

 皆の前で宣言した後、私が作った料理を食べるフェンが可愛かったのか、レインズ夫人が優しく撫でていた。

 今日から学園へ通うんだったよね。
 この顔で行くの? 治癒を早くして欲しいよ、ジクジクと痛むし。
 それに、学園には様々な『DQN』ではなくて、変な人達がいるんだろうな。

 頑張れる、かな?
 ううん、頑張ってやるんだから!
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