【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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獣人の王族・王宮の皆に心配させてしまいました

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 まったりと談笑しながら、お兄ちゃんと桜さんの結婚の話をしていた。

「結婚式は婚約者と一緒に出席してくれ」
「うん、私の時は桜さんも呼んで家族で来てね」

 お父さんとお兄ちゃんは泣くんだろうなぁ。

「私そろそろ帰らないと、帰るって変な感じだよね?」
「そんな事ないわ、それが当たり前なのよ。
 嫁ぐんだから、その家へ帰るのは不思議な事じゃないのよ?
 私だって初めはそうだったんだから。
 優愛、いつのも貴方らしく頑張りなさい!」

 優しく母に抱かれ涙が溢れた。
 気持ちも落ち着き「また来るね」と言ってドアを開けた瞬間に!!

「ユア!!   ユア!! 」

 オールに抱きつかれて『ぎゅううぅぅっ』オールの背中を叩きながら「ギ、ギブ~ッ!!」って叫ぶ私、それを泣きながら見てるオール家族と目が点な私の家族。


 やっと離してもらえたけどオール達に話して、私の家族を紹介しないと。

「王様、王妃様、皇女様、オパール殿下、御心配をおかけし、申し訳ありませんでした。
 オパール殿下からお聞きになっておられたと存じますが、わたくしがこちらへ来て数日が経ち、地球のわたくしの家族が捜索しているやもしれないと思い、勝手で申し訳ないと思いながらも、部屋に付いてある浴室と地球の自室の窓と繋いでしまいました事、御許し下さい」

 謝罪すると私の家族は、このような丁寧な謝罪のやり取りにビックリしていた。

「こちらの都合だけでユアを呼んでしまったんだ。
 だから良いんだ、その謝罪受け取っておこう!」

 王族の皆さんは安心したのか、笑顔で王様も微笑みながら仰ってくれた。


 地球の私の部屋へ王族の皆さんを招き、挨拶をした。

「王族の皆様、御前失礼致します。
 わたくしが育った御部屋で御座います。
 わたくしの家族をご紹介させて頂いても宜しいでしょうか?」

 カーテシーを綺麗にし、完璧に近い姿勢を保ちながら、返事を待った。

「ここは地球だ、地球での挨拶で良い」

 そう言ってもらえたので、姿勢を戻し家族を紹介した。

「父の真二しんじ、こちらが母の由美ゆみ、そして私の自慢の兄の翔太しょうたです。
 あと数ヶ月で兄が結婚するので、家族がもう1人増えるんです」

 笑顔で紹介した。

「初めまして、優愛がお世話になっています。
 私どもの大切な娘を、末永く……グッ……お願い致します……ズズッ」


 お父さん泣いちゃった。
 てか、お兄ちゃんまで鼻水だらけだし、汚いなぁ。
 グスッ……私も人の事言えない……うぅッ……親子そっくり!
 オールは私の腰を引き寄せ、もう片方の手でナデナデしてくれた。
 私はぎゅっと抱きしめたが、お兄ちゃんが「お兄ちゃんの胸で泣きなさい!」と茶々を入れて来て皆で爆笑だった。


 行き来が出来るって聞いてたけど、王様達が地球に来れた?
 ちょっとお兄ちゃんを使って実験をする事にした。

 お兄ちゃんの手を掴みドアを開けて入る!
 ………!!

 はーーいーーれーーたーー!!
 そして、つーーれーーて来ーーれーーたーー!!

「本当に行き来が出来るじゃん!」

 ペイッとお兄ちゃんの手を払いのけ。

「ちょっと待ってて」

 一言の後、調理室まで走り、焼きたてのパンを持って戻り……グニィ!   と、ちぎったパンをお兄ちゃんの口に放り込んだ!

「おい!   何するんだよ。
 うげぇ~っ!   何だよコレ、固すぎだし味がしねぇ。
 おい、何日放置してたパンだよ、腹壊すだろ」
「今焼けた、この世界で一番美味しいって言われてるパンだよ?
 だからイーストが必要だったんだよ」

 言い合いしていると皆が、ゾロゾロと入って来た。

「はあぁぁっ!   この不味いのが一番美味しいって、俺なら死んでるぞ!」

 もう一度パンをちぎって、お兄ちゃんの口に入れる!!

「……!」

 母がハッとして走って行き戻って来た。
 どうしたんだろうって見たら、袋に様々な菓子パンやデザート、食パンが詰められていた。
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