【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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ドアの向こうのショタと私の早とちり!

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 自分の部屋のドアを開けると……。

 ………。
 ………。
 ………。

 えっ?

 私、寝ちゃって夢の中なのかな?
 はぁ? ん? 何なの?
 ホッペをつねってみよ。
 ギュッ!!

「痛っ!」

 夢じゃないの⁉︎
 夢だったら痛みって無い、はずだよね?
 なのに、なんで?
 どうして?


「……ぶふっ」

 一人で百面相しながらアタフタしていると、後ろから声がした? ってか、笑われてる?
 かなり怖いけど
 バッ!!
 っと振り向いて見ると、一人の小さな男の子? が居たけど浮いている!
 サラサラな金髪にエメラルドグリーンの瞳。


「ふぁ~~、カワイイ」


 つい見とれてしまった。
 コレってアレだよね。
 そう! 漫画やアニメにいる『』だ!
 リアルショタが目の前に。
 はぁはぁ、息を整えなきゃっ。
 鼻元を触りながら、鼻血は出てないよね?


 ショタだよ。
 目の保養に、ジィーー。


「オイっ!
 さっきから、カワイイとか言ってるが俺の事ではないよなぁ!
 あぁ~~ん!」

 いやいや、口がシャクれてるよ。
 ってか、昭和時代のヤンキーじゃないんだからさぁ。

「ヤンキーではない!
 俺はだ!」

 ショタがDQNのように上から見下ろしながら言った。


「ごめんなさいっ!」

 両手を指先までビシッと伸ばし、きちんと頭を下げて謝った。
 声がかかるまで、ずっと頭を下げたまま心の中でも謝った。

「もう良いよ。
 俺も後ろで笑ってしまったしな」

 ニッ!
 って笑って許してくれた。
 さっきお母さんや桜さんと二人で笑ってたように男の子も、ニッ! っと笑ってくれた。



 周りを見て思った事を聞いてみよう。

「ねぇ、ここって何処なの?」
「ここは、ミーストという世界の俺の庭だな。
 それとだな、今まで住んでいた所には……」

 神様は全部話終わる前に、私は耳を塞いでいた。
 衝撃な事実が分かり、嬉しさと悲しさが頭と心の中で葛藤した。

 ここは神の庭(それは、合っているな)
 私は地球に帰れない(俺はまだ何も言ってないんだが)
 もう家族に会えない(俺はまだ説明の途中だぞ?)
 友達にも会えない(お前、俺の話を聞けよ!)
 お別れ言えないまま(おいおい、一人芝居か?)
 涙が頬を伝った(…………)

 神様が突っ込んでくれてる声は届いていない。

 それもそうだろう、だって私はもう帰れないのだから。

「俺はまだ話してないんだが……」

 私の大好きな家族、友達にゲームや漫画達。
 もう会えないし、楽しめないその事実を受け止めるのに時間が必要だった。


 私は声を出して泣いた。
 涙も鼻水も出して大声で号泣した。

「うあああぁぁぁ~っ!
 あああぁぁぁ~っ!
 ゔあああぁぁぁ~っ!
 ………」

 どれくらい泣いたのかな。
 こんなに泣いたのなんて久しぶりだなぁと思った。

 アッ!
 鼻水が、ティッシュ何処かな?
 ティッシュを探していたら、白い布?  物? が浮いてたから鼻をかんで涙も拭いた。

 なんか急に白い布?  がプルプル震えてたから上を見上げると。

 あっ!
 ヤバッ!
 神様のカワイイ顔が真っ赤になってたから、視線を逸らした。
 神様の服のヒラヒラしてる所を私の涙と鼻水で汚れてしまっていたのだ。

「ご、ごめんね。
 ハンカチが浮いてるのかと思って」

 私は俯いた。
 神様は指を鳴らすと魔法で服が綺麗になっていた。
 ふわぁ~って、一瞬で綺麗になった。

 魔法だよ! 魔法!!
 来たよ! 異世界だよ!
 魔法? ファンタジー。

 私は神様からの話を全部聞いていなかった事に今更ながら気付き、あの号泣は無意味なのでは? と思い、神様から詳しく聞かなきゃ!
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