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27 魔法の練習

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    今日は里の中で3番目に強いと言われているドーリンさんと一緒に、魔法の練習が出来る場所へ案内してもらっている。

「この場所なら、思う存分暴れても大丈夫だぜ。まあ、森には魔物は付き物だが倒したら肉にして食って良いからな」
「ドーリンさん、ありがとう。ここで、れんしゅうするね。ゆうがたには、かえります」
「アンジュ……俺が帰っても本当に大丈夫なのか?  後で迎えに来……」
「だいじょうぶよ!  しんじて!」
「……よし、分かった。アンジュを信じるよ。無理だと思った時は、リンかルルに伝言をさせるんだぞ?  約束出来るな?」
「うん、やくそくできる!」
「良し。リン、ルル、あとは頼んだぞ?」
「「了解!!」」

    ドーリンさんが里へと帰ったあと、魔法の練習に集中した。
    リンとルルには探検しても良いけど、禁止区域と言われた場所には立ち入らないことを言い聞かせた。

    あの大きい木に、数十本の氷の矢をツララのような見た目で素早く当て、森の中を小走りしながら風の刃で木を倒す。何度もその繰り返しをしている。

「こおりのやよ、きを、いぬけ! 氷矢アイスアローズ!!
 かぜのやいばで、きを、きりさけ! 風刃ウィンドカッター!!  …………はぁはぁ……」

    氷で木を囲み凍らせ、土の弾丸でバラバラに破壊した。

「こおりよ、きをかこみ、こおらせよ!  氷渦アイストルネード!!
    土の弾丸で攻撃せよ!  土弾丸アースパレット!!」

    ウルフがいる。練習台になってもらうか。
    雷の球でウルフ三体をフルボッコにした。

「かみなりのたまで、ウルフを、こうげきせよ!  雷球サンダーボール!!」

    ウルフって弱いの?  まぁ、良いか。
    次は……暗いから光魔法で……。んっ、暗い?

「ぎゃあっ!    もう周りが真っ暗で夜になってる。ヤバイ……怒られる」

    ってかさ、リンとルルはどうしたんだろう?
    と思い後ろを振り返ると……!
    えっ?  なんで寝てるの?  遊び疲れたのかな。仕方ないな、リンをポケットに入れ、ルルを抱き上げて。さあ帰るとしますか。

    こっちから来たよね……たぶん?  あれっ、違ったかな?  昼間見る景色と違うから迷ったのかな。元いた場所に戻ってもな……迷ったら動くなって聞いたことあるような。

    みんな心配してるよね。リンとルルを起こせば良いんだけど……気持ち良く寝てるのを無理に起こすのはちょっとなぁ。

    そうだ!  アイテムボックスの中にハンカチがあったはず。これに魔力を流し入れて、浮いた!

「フェンリルの、さとから、だれかつれてきて


    ハンカチはスススーー!  っと、飛んで行った。
    お願いよ。誰か……ではなく、怖くないフェンリルをお願い!
 優しいリミーさんを希望します。
 フェン……は駄目! ラセンさん……カープさん、オスは駄目だ。きっと怒ると怖い。
 誰かが来るまで時間はかからなかったが、私の希望は虚しく消えてしまった。
 来てくれたのはドーリンさんだった。そのドーリンさんに『ジトーーッ』とした目で見られ、居心地悪。
    私の自業自得なんだけどね。

「アンジュ……約束はどうしたんだろうな……。まさかとは思うが、忘れていましたとは言わないよな?」

    こえぇーー、半端なく怖!
    夜なのに、ドーリンさんの背後にドス黒いモノが見えるような見えないような?

「わ、わすれて……じゃなくて、わすれるわけないよ。リンとルルが、つかれてるから、おこすのが、かわいそうだったから……しんぱいかけて、ごめんなさい。つぎから、きをつけます」
「楽しいことに夢中になるのは分かるよ。俺にもそんな記憶があるからな。だが、アンジュはもう俺たちの仲間なんだ。だから約束だけは忘れないでくれ」
「はい、またリンとルルが、ねたときは、ハンカチをとばして、しらせる。やくそくする」
「ああ、そうしてくれ。
    さあ、帰ろ……アンジューー!!」
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