上 下
26 / 38

26 唐揚げは大好評

しおりを挟む
    誰かいる?  でも今は凄く眠いから、あと少し眠らせて……。と心の中で自分に言いつつ、起きたのは夕方前だったのには驚いたな。

    ここに姉様や母様がいたら……説教並の布団はがしの刑だったろうに。考えただけで怖いかも。……顔は笑ってても目が笑ってないんだよ!   
    さてと、今日はどうしよう。

    探知魔法を使って異常がないか確認をして、旅に出る時の安全な場所を探してみようかな。

    あれ?  リンとルルがいない。フェンもいない、私を放ってどこに行ったんだろう?
    まあ、いいか。

「たんちまほう ディテクション……ここらへんは、クマのまものが、おおいんだ」

    この辺は森の奥の更に奥って感じの場所にフェンリルの里があるんだ。
    少しだけ探ってみたけど、何もなかったな。まあ、何もないのが一番なんだけど。魔法の練習がしてみたいが本音なんだよね。

    私は1人でいろいろと考えていると説教のような声が聞こえてきた。

「はあぁ!  素っ裸を見た挙句にため息だと?
    親父はバカなのか?  普通は謝るのが礼儀ってもんだろうが……アンジュに同情するぜ……」
「アンジュの悲鳴と怒鳴り声の原因は分かったけど、ため息はちょっと……」
「きっとアンジュは泣いたね」
「うんうん、絶対に泣いたね」
「…………謝ってくる」

    フェンの耳と尻尾が垂れてる。
    私はもう気にしてないんだけどな。

「フェン、わたしはなんとも、おもってないよ?それに、ないてないし。きのうのは、おどろいただけだから……そのかわりに、もふもふさせて」
「それでアンジュの気が済むなら、毎日モフって良いぞ」
「わぁーーい。もふもふーー、きもちよすぎて、ねてしまいそう。フェンも、みんなも、だいすきだよ」


     今日の夕食は、アイテムボックスから出した大量の唐揚げとマカロニサラダをバターロールパンと一緒に食べた。これがまた大好評で、フェンリルの胃袋はブラックホール並なのかって思うくらい凄まじい光景だったよ。
    みんなでワイワイしながら食べる料理は美味しい。帰ったら家族と一緒に美味しいご飯を食べて、一緒に寝たい。でも、その前に強くなりたいから魔法を上達したいな。

「ラセンさん、このへんで、まほうの、れんしゅうができる、ばしょって、ありますか?」
「結界の外ならどこでも……と言いたいが、北あたりは止めておけ。あそこは山間部になっていてグリフィンの巣穴……グリフィンの里になっている」
「ぐり……ふぃん? うまのような、からだに、かおがワシ?」
「……まあ、そんな感じだ。だが、気性が激しいから気を付けるんだぞ?
 アンジュは……たぶん大丈夫だ」
「なんで?」
「この世界の愛し子だからだ。愛し子を失うと、我らも生きていけなくなるからな」
「しゅぞくかんけいなく、なかよくできると、たすけあいができて、きけんなことが、へるのにね」
「……あぁ、そうだよな……」

 あっ、子フェンリルだ。大きさはゴールデンレトリバーくらいだけど可愛い。
 触りたい、ワサワサしたい、撫でまわして……。
 って考えてたら子フェンリルがいなくなってる。
 私は肩を落とし、力のない表情に重い足取りで帰宅した。
 元気のない私が珍しいのか、尻尾で顔を撫でて元気づけてくれた。そんなフェンの尻尾に抱きつき、みんなで川の字になって眠りについた。

 明日も良い一日になるといいな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

人質姫と忘れんぼ王子

雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。 やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。 お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。 初めて投稿します。 書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。 初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。 小説家になろう様にも掲載しております。 読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。 新○文庫風に作ったそうです。 気に入っています(╹◡╹)

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

くたばれ番

あいうえお
恋愛
17歳の少女「あかり」は突然異世界に召喚された上に、竜帝陛下の番認定されてしまう。 「元の世界に返して……!」あかりの悲痛な叫びは周りには届かない。 これはあかりが元の世界に帰ろうと精一杯頑張るお話。 ──────────────────────── 主人公は精神的に少し幼いところがございますが成長を楽しんでいただきたいです 不定期更新

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話

水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。 相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。 義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。 陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。 しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

処理中です...