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13 魔石
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夢から覚めた私は、みんなの前で真っ赤な顔を見られたことを思い出すと恥ずかしくてどうしていいのか分からない。
みんな私の顔を見て驚いただろうな。
そうだ、今思い出したんだけど、ブラックウルフの体から出ていた黒いモノ。
あのまま放置していると黒い穢れで周りの草木を枯らし、動物などの生き物から人体にまで悪い影響が出てしまう。
だからその穢れを体内に吸収したは良いけれど、どうやって体から出そうか考えながらソっと目を開けると、ウィリアム王子様と目が合ってしまった……が、もう一度寝たふりを……。
「やっぱり起きてた。
二度寝は診察のあとだよ……アンジュ?」
「……ぁい……」
「……もう、平気かい?」
「ぁい」
「アンジュの笑顔が見れて安心したよ」
コンコンコンッ!
パパと目が合ったが最後、ワーーンワン泣かれたよ。
それに診察だというのに抱っこから解放してくれない。
グレン様も困ってるじゃん!
「ぱぁぱ、しんしゃつ、はなちて?(ぱぱ、しんさつ、はなして?)」
「離したら危ないだろ?」
「……しんしゃつ、は、あんぜん、でちゅ(しんさつは、あんぜんです)」
「駄目だ、駄目だ!
窓から魔獣が突き破って来るかもしれないだろ?
ドアからも入って来る可能性だって……」
「お父様……魔獣は律儀にドアから入って来ませんわよ?」
「ぱぁぱ?」
私のキョトンとした姿とアリスお姉ちゃんの呆れたような顔を見たパパは、私をベッドに下ろし。
やっと診察開始だ。
グレン様は私の顔を見たあと、手を握りもう一度魔力の巡りを診ている。
私は目を閉じ、体の中心から黒い穢れを塊にして出すイメージを頭の中で思い浮かべ。
手で水をすくうようなポーズをした時だった。ピンクに輝く石が体内から手へと転がり落ちた。
えっ?
なに、何が起こっているの?
「こ、これは……っ!
直ぐに鑑定士を呼んで下さい!」
「グレンどうなってるんだ?
アンジュは……体は大丈夫なのか?」
「アンジュ様、失礼致します。
魔力の巡りは……正常ですね、どこか痛いところはありますか?」
私は顔を左右に振り、痛くないことを伝えると、アリスお姉ちゃんとウィリアム王子様は心配そうな顔をして覗き込んでいる。
パパのオロオロしてる姿は相変わらずだ。
コンコンコンッ!
「失礼致します。
鑑定士のラウル様をお連れしました」
「お初にお目にかかります。
私は鑑定士のラウル、以後お見知りおきを」
「……ひっ!!」
ラウル様の腰に巻いているドクロが怖くて、布団に潜ってしまった。
ラウル様をはじめ、みんなオロオロしていたがウィリアム王子様は優しく聞いてくれ。
ドクロが怖い事を告げると、みんなの目線がラウル様の腰にあるドクロへ集中する。
ラウル様は慌てながらドクロを外し、パパへ預けていた。
「まったく、鑑定が終わるまで預かるからな」
「はい、申し訳ありません」
「……らうる、しゃま、わたちも、ごめん、なちゃい。(らうるさま、わたしもごめんなさい)
もう、こわく、ない、でちゅよ(もう、こわくないですよ)」
「アンジュ様、ありがとうございます。
では、鑑定させていただきます」
ラウル様は真剣な表情でピンクの石?
宝石?を鑑定し始めた。
「これは!!
アンジュ様、この高価な魔石を体内からとお伺いしましたが、誠でございますか?」
「ぁい。
いやな、もわもわ、を、からだ、から、だちまちた(いやな、モワモワを、からだからだしました)」
「アンジュ様の体から魔石、それもこの世には無い高価な魔石。魔道具や武器の素材にもなります!
本来の魔石は黒か黒に近い紫色をしていて必ず濁りがあるんです。
だが、アンジュ様の魔石は見たこともない、濁りの無い綺麗な花のようなピンクの魔石」
「……だめ、な、こと、でちゅか?(だめなことですか?)」
みんな私の顔を見て驚いただろうな。
そうだ、今思い出したんだけど、ブラックウルフの体から出ていた黒いモノ。
あのまま放置していると黒い穢れで周りの草木を枯らし、動物などの生き物から人体にまで悪い影響が出てしまう。
だからその穢れを体内に吸収したは良いけれど、どうやって体から出そうか考えながらソっと目を開けると、ウィリアム王子様と目が合ってしまった……が、もう一度寝たふりを……。
「やっぱり起きてた。
二度寝は診察のあとだよ……アンジュ?」
「……ぁい……」
「……もう、平気かい?」
「ぁい」
「アンジュの笑顔が見れて安心したよ」
コンコンコンッ!
パパと目が合ったが最後、ワーーンワン泣かれたよ。
それに診察だというのに抱っこから解放してくれない。
グレン様も困ってるじゃん!
「ぱぁぱ、しんしゃつ、はなちて?(ぱぱ、しんさつ、はなして?)」
「離したら危ないだろ?」
「……しんしゃつ、は、あんぜん、でちゅ(しんさつは、あんぜんです)」
「駄目だ、駄目だ!
窓から魔獣が突き破って来るかもしれないだろ?
ドアからも入って来る可能性だって……」
「お父様……魔獣は律儀にドアから入って来ませんわよ?」
「ぱぁぱ?」
私のキョトンとした姿とアリスお姉ちゃんの呆れたような顔を見たパパは、私をベッドに下ろし。
やっと診察開始だ。
グレン様は私の顔を見たあと、手を握りもう一度魔力の巡りを診ている。
私は目を閉じ、体の中心から黒い穢れを塊にして出すイメージを頭の中で思い浮かべ。
手で水をすくうようなポーズをした時だった。ピンクに輝く石が体内から手へと転がり落ちた。
えっ?
なに、何が起こっているの?
「こ、これは……っ!
直ぐに鑑定士を呼んで下さい!」
「グレンどうなってるんだ?
アンジュは……体は大丈夫なのか?」
「アンジュ様、失礼致します。
魔力の巡りは……正常ですね、どこか痛いところはありますか?」
私は顔を左右に振り、痛くないことを伝えると、アリスお姉ちゃんとウィリアム王子様は心配そうな顔をして覗き込んでいる。
パパのオロオロしてる姿は相変わらずだ。
コンコンコンッ!
「失礼致します。
鑑定士のラウル様をお連れしました」
「お初にお目にかかります。
私は鑑定士のラウル、以後お見知りおきを」
「……ひっ!!」
ラウル様の腰に巻いているドクロが怖くて、布団に潜ってしまった。
ラウル様をはじめ、みんなオロオロしていたがウィリアム王子様は優しく聞いてくれ。
ドクロが怖い事を告げると、みんなの目線がラウル様の腰にあるドクロへ集中する。
ラウル様は慌てながらドクロを外し、パパへ預けていた。
「まったく、鑑定が終わるまで預かるからな」
「はい、申し訳ありません」
「……らうる、しゃま、わたちも、ごめん、なちゃい。(らうるさま、わたしもごめんなさい)
もう、こわく、ない、でちゅよ(もう、こわくないですよ)」
「アンジュ様、ありがとうございます。
では、鑑定させていただきます」
ラウル様は真剣な表情でピンクの石?
宝石?を鑑定し始めた。
「これは!!
アンジュ様、この高価な魔石を体内からとお伺いしましたが、誠でございますか?」
「ぁい。
いやな、もわもわ、を、からだ、から、だちまちた(いやな、モワモワを、からだからだしました)」
「アンジュ様の体から魔石、それもこの世には無い高価な魔石。魔道具や武器の素材にもなります!
本来の魔石は黒か黒に近い紫色をしていて必ず濁りがあるんです。
だが、アンジュ様の魔石は見たこともない、濁りの無い綺麗な花のようなピンクの魔石」
「……だめ、な、こと、でちゅか?(だめなことですか?)」
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