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高熱の原因とギルマス

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 私はダンに横抱きにされて、イーベルの宿屋へと入った。

 真っ先に来たのはゼクスだった。

「ミオ! 顔色が悪いけど、何があったんだよ」

「話はミオを部屋へ運んでからだ」

 ゼクスはダンが、いつもの顔ではない事くらい分かっていた、だから皆も何も言わなかった。

 ミオを寝かし、降りて来たダンは今日あった事を話した。

「俺も昨日ミオと行ったから分かる、アイツまた無理したんだろ?」

 ゼクスは辛そうな顔をしていた。

「ジースアンが危険だ! と言ってミオはスピードを上昇して着いたは良いが、ジースアンの入り口付近で【ミノタウロス】が出現していた」

「なっ! まさかミオは戦ったのか?」

 ゼクスは驚いてダンとバズに聞いた。

 バズは頷き、ダンの代わりに話をした。

「俺達は退却しようと言ったんだが、最後まで諦めずに戦った。
 だがな、ミオは終始ずっと震えていたんだよ」

 ミノタウロスの話を聞いたルシアが心配するかのように言った。

「ギルマスに即知らせて! ううん、私が手紙を飛ばすわ!!
 ねぇ、ミノタウロスはミオの事を睨んでたんじゃないの?
 私ミオの側にいるわ」

「私もミオの側に行く」

 ルシアとアリアは頷き合って、先にアリアを行かせルシアはサラサラと手紙を書き、魔法で飛ばした。

「ギルマスだったら今日の夜中か早朝には来るでしょ、だから皆は対応してね」

 ルシアは手をヒラヒラとさせて、2階へと行った。

 夜中になった頃、私は【ミノタウロス】が口から赤黒い血泡を出しながら、こちらに向かって来る怖い夢にうなされていた。

 早朝、私は息が荒くなり目を覚ます事が出来なくて「れお……兄……ちゃん、助け……て」とうわ言のように言っている。

「れお……助け……れお兄……ちゃん」

 ルシアは私の額の汗を拭ってくれ、アリアは着替えを持って来てくれた。

「ルシアさん、ミオが言ってる『レオ』って好きな人の名前だよね?
 そのレオって人がこの世界にいるなら、あの人なのかなぁ?
 神によって転生したと言われているSSランクである英雄、3日間でこの世界のスタンピードを鎮めた人達だよね?」

「ルシアさん、ミオ凄い熱!
 誰か薬湯か解熱薬を持ってないか聞いた方が良いんじゃ?」

 ルシアは2階から下に居る皆に叫んだ!

「ミオの熱が高いの、誰か薬湯か解熱薬を持ってない?」

 真っ先に来たのは【ギルマス】だった。

「美音! 美音、大丈夫か?
 玲央はここにいるぞ!
 美音、もう大丈夫だからな、地球には魔物なんかいなかったもんな。
 美音、良く頑張ったな!」

 皆はギルマスの言葉に納得した、この世界のスタンピードを鎮めてくれたのは、神によって異世界から転生させられた『SSランクの英雄』であるギルマスを含めた、父親と母親だ。

 この世界の者なら子供でも知っている英雄譚だ!

「玲央、怖い…………助けて……私を1人に…………しないで……」

「美音、俺の大切な美音!
 俺はもう消えたりしない!」

 コンコンコンッ!

「薬湯です。
 こんな物しかなくて申し訳ない」

 イーベルの町長のスタンさんが持って来てくれた。

「町長様、ありがとうございます」

 アリアは町長さんにお礼を言ってから、ルシアに薬湯を渡した。

 ルシアはミオにスプーンで飲ませようとしたが、口を開けてくれないので薬湯が零れていく。

 ギルマスはルシアから薬湯を取り、自分の口に入れミオの口に直接流し入れた。

「おい!
 ミオに何してんだよ!!」

 ゼクスは怒鳴ったが、ダンはゼクスの背中をポンポンと叩いた。

「ゼクス落ち着け。
 ギルマスとミオは結婚の約束をした仲で今は緊急時だ」

 ゼクスは「分かってる!」と言って、そっぽを向いている。

 お昼前には熱も下がり、ボーーッとした頭で周りを見ると、イーベルの宿屋だ。

 昨日の事、覚えてないや。



************ ミオが目を覚ます前の話 ************

「美音には俺の事を黙っててくれ。
 今はまだ話をしても混乱するだけだと思うんだ」

 ゼクスが真っ先にギルマスの言葉に納得がいかなくて聞いた。

「何で隠す必要があるんだ。
 全部話してやれば安心するんじゃないのか?」

「ミオは安心するだろうな、だが、ミオの能力を国王が勘付いたらどうなる?
 隠密が優秀な者が来たら、終わりだが?
 今でさえ領主がアビーネスでミオを追いかけ回してるんだ、これが国王になったら確実に囚われる。
 クソ国王の娘が俺の周りをうろついてるのもあるからな、俺の両親に知らせてからだ」

 そこまで考えてなかったゼクスは一言「分かった」国王の横暴っぷりは知っていたし、ギルマスの両親も国王に捕まってるようなものだから納得した。

「神によって、異世界から来た者は『ブラウンの髪、淡いパープルの瞳』なんだ。
 この世界では生まれないとされている色だから、まだ国王にはミオの存在を知られたくないんだ」

 皆は納得してくれて、その時が来るまで秘密にしてくれると言ってくれた。





 

 
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