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3話 挑発と挑戦
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しおりを挟む試作途中の魔法兵装の実験から一か月の日々が過ぎた。
アリウムとシキがアルバートの工房に住むようになり、冒険者としての活動も確かな変化が現れ始め、三人はサクラにギルドへ呼ばれた。
「お疲れ様ですサクラさん、今日はどういったご用件でしょうか?」
「お疲れ様アリウムさん、それにシキもわざわざ来てくれてありがとう、
さ、座って貰って構わないわ、いまお茶を用意するわね」
前回の呼び出しとは違い、和やか雰囲気で出迎えられアリウムは安心する。
シキは相変わらずの様子で席に座り、置いてあったお茶菓子を勝手に食べ始めた。
「―――それで、どう?シキから見てアイツに変わった様子とかある?」
香りの良いお茶を淹れ、テーブルに持ってきたサクラはシキと目線を合わせる。
そして、無言で出入口付近の壁に背を預ける鎧の騎士を流し見た。
「アルバートくん?彼ならすっごく面白いよ?」
「そう、それはいつも通りね」
「にゃはは~、ここに来てから毎日楽しくて刺激的だよ!!
アタシをここに呼んでくれてありがとねサクラ!!」
「はいはいどうも、私は感謝の言葉ではなく経過報告を聞きたかったんだけどね」
「それは定期連絡どうりだよ~、新兵装の開発も順調だし~」
隠す事無く、アルバートと共同開発している武器の事を話すシキ。
内情を知っているアリウムは驚き、淹れて貰ったお茶をむせ返した。
「ちょ、シキさん!?」
「あー、別に驚く事じゃないわよアリウムさん、
結局、コイツが武器を押収されても新しい武器作って問題になるのは明白だし、
国が管理する技術者との共同開発って事にして、
ギルド上層部を納得させる算段だったからここまでの展開は予想どおりなの」
「やっぱりサクラは全部分かっててアタシを呼んだんだね、
利用しているのはお互い様ってことだったかな~にゃはは」
「じゃあ、最初からサクラさんは分かっててアルバートさんの処遇を……」
「癪だけど、コイツの冒険者としての活動が少なくなると
このエリアの治安維持が難しくなる、賊は減るよりも増え続けるから」
アルバートの行き過ぎた行動は確かに咎められた。
しかし、それでもアルバートの有用性を知っていたからこそ、サクラは裏からサポートする形で山賊での一件を片付けた。
「では……シキさんが監視という形で開発をしているのもサクラさんが…」
「そ、ギルドは正式な手順に則ればある程度は目を瞑り、
王都の技術者は新しい研究が出来ればそれでいい、
互いの組織が目的の為に上手く利用し合っているってことね」
「アタシは本当にサクラには感謝してるよ~ありがと」
「はいはい、それはどうも」
適当にシキをあしらいながら近況を聞き出すサクラ。
その途中、何気ない会話を交えながら年頃の女子らしい時間もあった。
独特な関係性を保ちながら、三人は会話を進めるとアルバートは短く問う。
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