57 / 102
シルバ・アリウム、剣聖と成る
四十九話
しおりを挟む
Aブロック準決勝。
いや、Bブロックの準決勝が引き分けになったからこれが実質の決勝。
相手は謎の仮面剣士、油断は勿論出来ないが私は負ける気がしなかった。
だって、ヒースの主である私が、無様に負けるなんて事、許されないんだから。
ほどなくして、会場の点検と防御結界の確認も終了し、大会は滞りなく再開される。
ヒースとシュバルツが魅せた試合の余韻は凄まじく、ここまでの待ち時間に文句を言う観客は一人もいなかった。
『―――お待たせ致しましたッッ!!!安全管理の徹底の為、少々お時間頂きましたが
防御結界は完璧に作動しております!!安心して試合をご覧くださいっ!!』
実況のアナウンスが入ると、それだけで割れるような歓声が響き、皆の期待が高まる。
その期待に応えるが如く、会場に姿を現す銀の姫。
彼女は観客達の声援に手を振って会場中央まで歩き、対戦相手を待つ。
『さぁッ!!現れたるは我らの姫ッ!!かの剣聖の娘でありこの国の王女様ッ!!
この試合ではどんな剣を見せてくれるのかッ!?そして、先程の一戦を超える
試合を我々は見ることが出来るのかッ!?とても期待してしまいますッ!!』
興奮を隠し切れない様子で実況を続ける“自称”美少女解説者のクロは、声色を高くして次に現れる相手を語る。
『対する相手はッ!!仮面を被った謎多き剣士ッ!!彼は今大会において、
その大剣を振るって勝ち進んできました、がッ!!そのポテンシャルは未だ図り知れず、
この試合でその全貌を見ることが出来るのでしょうかッッ!!??』
剣技だけで勝ち進んだという事は、魔法も、固有のスキルも発揮させずに純粋な技量だけで圧倒したという事実。
それは、仮面の剣士が本気を出していない事実でもあり、先の展開も読めない。
シルバは少しだけ呼吸を整え、決勝となる舞台へ足を踏み入れる。
「―――おい」
「……はい?なんでしょうか?」
突然、仮面の男が声を掛けてきたと思いきや、ぶっきらぼうに言い放つ。
「本気、出してくれよな?」
「―――もちろん、そのつもりです」
「ならいい、じゃなければ意味がねぇからな」
それだけ言って軽く笑うと、彼は背中の大剣を引き抜いて構える。
「さぁ、見せてくれ王女様ッ……その実力をッ!!」
相手の構えに合わせて、魔法剣に魔力を通して刀身を生成する。
変わらず美しい銀の光は、見る者を圧倒させて燦然と輝く。
『―――両者の準備が整ったところでッッ!!この大会の事実上の決勝、
Aブロック最後の試合を開始して参りたいと思いますッ!!
いいですか?それでは、――――始めッッ!!!!!』
これを制すれば、真の決勝となる前大会優勝者のゴッツとの決戦が勝ち取れる。
故に、躓いてなんかいられない、ヒースがそうであったように私も自身の信念を、道を切り拓かねばならないのだ。
目の前の仮面の男が、どんな人間であろうと、どれだけの強者でもあっても、私は、ひたすら前へ突貫あるのみ。
いや、Bブロックの準決勝が引き分けになったからこれが実質の決勝。
相手は謎の仮面剣士、油断は勿論出来ないが私は負ける気がしなかった。
だって、ヒースの主である私が、無様に負けるなんて事、許されないんだから。
ほどなくして、会場の点検と防御結界の確認も終了し、大会は滞りなく再開される。
ヒースとシュバルツが魅せた試合の余韻は凄まじく、ここまでの待ち時間に文句を言う観客は一人もいなかった。
『―――お待たせ致しましたッッ!!!安全管理の徹底の為、少々お時間頂きましたが
防御結界は完璧に作動しております!!安心して試合をご覧くださいっ!!』
実況のアナウンスが入ると、それだけで割れるような歓声が響き、皆の期待が高まる。
その期待に応えるが如く、会場に姿を現す銀の姫。
彼女は観客達の声援に手を振って会場中央まで歩き、対戦相手を待つ。
『さぁッ!!現れたるは我らの姫ッ!!かの剣聖の娘でありこの国の王女様ッ!!
この試合ではどんな剣を見せてくれるのかッ!?そして、先程の一戦を超える
試合を我々は見ることが出来るのかッ!?とても期待してしまいますッ!!』
興奮を隠し切れない様子で実況を続ける“自称”美少女解説者のクロは、声色を高くして次に現れる相手を語る。
『対する相手はッ!!仮面を被った謎多き剣士ッ!!彼は今大会において、
その大剣を振るって勝ち進んできました、がッ!!そのポテンシャルは未だ図り知れず、
この試合でその全貌を見ることが出来るのでしょうかッッ!!??』
剣技だけで勝ち進んだという事は、魔法も、固有のスキルも発揮させずに純粋な技量だけで圧倒したという事実。
それは、仮面の剣士が本気を出していない事実でもあり、先の展開も読めない。
シルバは少しだけ呼吸を整え、決勝となる舞台へ足を踏み入れる。
「―――おい」
「……はい?なんでしょうか?」
突然、仮面の男が声を掛けてきたと思いきや、ぶっきらぼうに言い放つ。
「本気、出してくれよな?」
「―――もちろん、そのつもりです」
「ならいい、じゃなければ意味がねぇからな」
それだけ言って軽く笑うと、彼は背中の大剣を引き抜いて構える。
「さぁ、見せてくれ王女様ッ……その実力をッ!!」
相手の構えに合わせて、魔法剣に魔力を通して刀身を生成する。
変わらず美しい銀の光は、見る者を圧倒させて燦然と輝く。
『―――両者の準備が整ったところでッッ!!この大会の事実上の決勝、
Aブロック最後の試合を開始して参りたいと思いますッ!!
いいですか?それでは、――――始めッッ!!!!!』
これを制すれば、真の決勝となる前大会優勝者のゴッツとの決戦が勝ち取れる。
故に、躓いてなんかいられない、ヒースがそうであったように私も自身の信念を、道を切り拓かねばならないのだ。
目の前の仮面の男が、どんな人間であろうと、どれだけの強者でもあっても、私は、ひたすら前へ突貫あるのみ。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
覚悟ガンギマリ系主人公がハーレムフラグをへし折りつつ、クールな褐色女戦士をデレさせて異世界を救うパワー系ダークファンタジー/ヴァンズブラッド
鋏池穏美
ファンタジー
【絶望の中目覚めた『無詠唱特殊魔術』で崩壊世界を駆け抜ける──敵意や痛みを力に変える、身体強化系最強主人公の無双劇】
魔素が溢れ、暗がりで魔獣蠢く崩壊世界ミズガルズ──
この狂った世界で産み落とされたノヒンは、山賊一家に育てられ、荒んだ幼少期を過ごしていた。
初めて仕事を任されたその日、魔獣の力をその身に宿した少女『ヨーコ』と出会い、恋に落ちる。
束の間の平穏と幸せな日々。だがそれも長くは続かず──
その後ヨーコと離別し、騎士へとなったノヒンは運命の相手『ジェシカ』に出会う。かつて愛したヨーコとジェシカの間で揺れるノヒンの心。さらにジェシカは因縁の相手、ラグナスによって奪われ──
発動する数千年前の英雄の力
「無詠唱特殊魔術」
それは敵意や痛みで身体強化し、自己再生力を限界突破させる力。
明かされる神話──
NACMO(ナクモ)と呼ばれる魔素──
失われし東方の国──
ヨルムンガンドの魔除け──
神話時代の宿因が、否応無くノヒンを死地へと駆り立てる。
【第11回ネット小説大賞一次選考通過】
※小説家になろうとカクヨムでも公開しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
世界最強の剣聖~追放された俺は、幼馴染みと共に英雄になる~
ユズキ
ファンタジー
有名パーティー【光輝ある剣】の雑用担当であるシスンは、自分の真の実力を知らないリーダーたちによって不遇な扱いを受けていた。
そんな折、リーダーに呼び出されたシスンは、貢献度不足という名目でパーティーからの追放を宣告される。
生活に困って祖父の住む故郷に帰ってきたが、そこは野盗に襲われていた。
野盗を撃退するため、幼馴染みの美少女アーシェと共に、シスンは本来の実力を発揮する。それは元剣聖の祖父から鍛えられた超絶剣技だった。
シスンは真の実力を遺憾なく発揮して、野盗の撃退に成功する。
これはシスンがアーシェと共に旅立ち、英雄の階段を駆け上がる物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
突然伯爵令嬢になってお姉様が出来ました!え、家の義父もお姉様の婚約者もクズしかいなくない??
シャチ
ファンタジー
母の再婚で伯爵令嬢になってしまったアリアは、とっても素敵なお姉様が出来たのに、実の母も含めて、家族がクズ過ぎるし、素敵なお姉様の婚約者すらとんでもない人物。
何とかお姉様を救わなくては!
日曜学校で文字書き計算を習っていたアリアは、お仕事を手伝いながらお姉様を何とか手助けする!
小説家になろうで日間総合1位を取れました~
転載防止のためにこちらでも投稿します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔力ゼロの忌み子に転生してしまった最強の元剣聖は実家を追放されたのち、魔法の杖を「改造」して成り上がります
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
小説家になろうでジャンル別日間ランキング入り!
世界最強の剣聖――エルフォ・エルドエルは戦場で死に、なんと赤子に転生してしまう。
美少女のように見える少年――アル・バーナモントに転生した彼の身体には、一切の魔力が宿っていなかった。
忌み子として家族からも見捨てられ、地元の有力貴族へ売られるアル。
そこでひどい仕打ちを受けることになる。
しかし自力で貴族の屋敷を脱出し、なんとか森へ逃れることに成功する。
魔力ゼロのアルであったが、剣聖として磨いた剣の腕だけは、転生しても健在であった。
彼はその剣の技術を駆使して、ゴブリンや盗賊を次々にやっつけ、とある村を救うことになる。
感謝されたアルは、ミュレットという少女とその母ミレーユと共に、新たな生活を手に入れる。
深く愛され、本当の家族を知ることになるのだ。
一方で、アルを追いだした実家の面々は、だんだんと歯車が狂い始める。
さらに、アルを捕えていた貴族、カイベルヘルト家も例外ではなかった。
彼らはどん底へと沈んでいく……。
フルタイトル《文字数の関係でアルファポリスでは略してます》
魔力ゼロの忌み子に転生してしまった最強の元剣聖は実家を追放されたのち、魔法の杖を「改造」して成り上がります~父が老弱して家が潰れそうなので戻ってこいと言われてももう遅い~新しい家族と幸せに暮らしてます
こちらの作品は「小説家になろう」にて先行して公開された内容を転載したものです。
こちらの作品は「小説家になろう」さま「カクヨム」さま「アルファポリス」さまに同時掲載させていただいております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【短編】追放した仲間が行方不明!?
mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。
※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる