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シルバ・アリウム、剣聖と成る
四十話 剣術大会開幕
しおりを挟む『さぁーーー!!みなさまーー!!長らくお待たせ致しました!!
余興はここまでっ!!これより最強の剣士を決める、その戦いが始まりますッ!!
実況はわたくし、帝都でもお馴染みの美少女戦術魔法師クロでーーーっす!!』
長々と語られていた偉い人の堅い話から、大会を盛り上げるための歌や踊りの余興。
それらを通して温まった観客たちが、声を張り上げて盛り上がる。
『さてさて……待ちにまった第一戦、その大役を担う男がこの方ぁ!!!』
「ウぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!ウぉぉおぉぉ!!!」
『なんとッッ!?大会初戦から優勝候補筆頭の、あのアイアン・ダガーンだぁ!!』
凄まじい雄叫びを上げて出てきたのは、身長が二メートルを超える屈強な大男。
彼は自身の得物である大斧を振り回しながら入場すると、巧みに斧を操って地面に突き刺した。
『―――対する対戦者はっっ!!今大会初登場となりますーー……
えーと……あれれ?おかしいですねっっ!?何も情報がありませーーん!!』
仕組まれていた台詞、それに少し小細工を弄し闘技場全体にミステリアスな空気を作る。
狼狽する実況者をよそに、闘技場の暗がりからでてきたのは悲しいほどに小柄で、顔を隠している子供であった。
可愛らしい足取りでダガーンの元へ向かうその子は、場違いな事を観客から責められては檄を飛ばされる。
「おーーーいッッ!!ガキが間違えて出てきたのかぁッッ!?」
「さっさと引っ込めッッーー!!死んじまうぞッッ!!!」
しかし、それらを意に介さず堂々と歩みを進めては豪傑に辿り着く。
その様子が気に食わず、彼は眉をしかめて口を開いた。
「………こわっぱが、オレの目の前に出てきて何用だ?
まさかお前がオレの対戦相手と申すのか?だとしたら笑えんぞ?」
小さきその子は応えない、だが、僅かに見える口元を吊り上げてこう言った。
「どうぞ、掛かって来てください」
―――瞬間、気の短いダガーンはその挑発に激昂して斧を振るった。
「こわっぱがぁぁぁッッッ!!!ナメた口をきくんじゃねぇぇえ!!!!!」
試合開始の合図すら鳴っておらず、誰もが一瞬の一撃に背を向けた。
力の差は歴然としており、無残に叩き潰されるとそう思って。
―――ヅガァァァァン!!!!!
容赦の無い地面を抉る音。
それは闘技場に用意された舞台を、その子ごと潰した、かに見えた―――。
「……………なんだぁ……コイツぁ……」
舞い上がった砂埃が、徐々に晴れては二人の攻防を映し出す。
そこには、大斧の軌道を読んで躱し、隠していたその顔を晒す女の子がいた。
―――肩まで伸びた銀の髪。
それは風に撫でられながら、美しく舞ってその人物を知らしめる。
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