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遊撃部隊入隊編
五話
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「洋助お疲れ、今日の動き中々良かったじゃん」
「灯さん…、今回の戦闘もお二人に助けられてばかりでした…、まだまだです…」
山中で大厄が出現し、 緊急出動した遊撃隊。
被害も無く迅速に対処して帰還できたが、洋助の顔は沈んでいた。
「あら?洋助さん少しご謙遜が過ぎるのでは?」
「…そんな事ありません、焔さんが遠距離から援護してくれなかったら危なかった状況もありました、それに灯さんが連携を合わせてくれたのも大きいです…」
「あぁ~…、この子はほんっとに…頭固いわね、素直に褒められなさいよ!」
ぽかっ、と頭を灯に叩かれるも顔は暗いまま。
見かねた焔が庇う様に言葉を挟む。
「まぁまぁ灯さん、向上心があるのは良い事ですし、洋助さんを怒らないでください」
「焔は洋助に甘すぎるのよ、いつも優しくしちゃって」
「そうですか?灯さんが厳しいのでは?」
ぐぬぬ、と眉を寄せる灯に対し、にこにこと目を細める焔。
困惑している洋助を横目に、いつもの小さな言い争いが始まりかけたがそれを遮る声が掛けられる。
「あれ?遊撃隊も今日はあがりですか?お疲れ様です」
戦闘用のコートを脱ぎ、少し着崩した格好の巴雪は刀を携え近づく。
「おー、雪ちゃんおつかれ」
「雪さんお疲れ様です、私達は先程出撃して今戻ったとこなんです」
「灯さん、焔さんお疲れ様です、あと…洋助くんも…」
彼の名前を口に出した途端、頬を赤らめて俯いてしまう雪。
それを察してか灯は焔と目を合わせ、先程までの言い争いが無かったかのように大人しくなる。
「…あー、私達用事あったんだ、悪いけど先に退散するわ!」
「え、灯さん?今日はこの後鍛錬に付き合って貰えるって…」
「バカ洋助っ!あんたは本当っっっに!」
――ッゴ!っと、鈍く響く打撃音が洋助の腹に轟く。
拳を握り怒っている灯は、悶える洋助を気にする素振りも見せず立ち去る。
「あ、灯さーん待ってください!…っあ、では先に失礼します雪さん、洋助さん」
「ぐ、ぅぅ…、いったい、何が…」
「…大丈夫?洋助くん?」
「あ、あぁ…、大丈夫、ありがとう」
よろめきながら立ち上がる洋助は困り顔で話す。
「参ったな…これから鍛錬の予定だったのに…」
「出動後に鍛錬するなんてストイックすぎない?少し休んだら?」
「しかしなぁ…」
「あんまり鍛錬とか修行って言ってるから、灯さんも怒ったんじゃないかな?」
「…それは、…そうかもしれない、仕方ない…一人で鍛錬するか…」
考え込む洋助はがっくりとうなだれ、肩を落として後を去ろうとする。
「あ、待って洋助くん!良かったらうちの道場に来ない?」
「―――え?」
巴雪からの提案は思いもよらぬ言葉であり、魅力的な提案でもあった。
巴本家の道場、そして前当主である巴宗一郎が取り仕切る巴流を学べる機会があるとすれば、願ってもいないチャンスである。
「俺は嬉しいけど急に出向いたら迷惑掛からないかな?」
「あー…、家はそういうの緩いから大丈夫、だから洋助くんさえよければ…」
「ふむ…」
巴流の太刀筋は身に染みる程受けている、だからこそ学びたい。
その考えに至った洋助に断る理由など無かった。
「じゃあ、道場に向かわせてもらうよ、外出許可証貰ってくるからちょっと待ってて」
「あ、うん!外で待ってるから」
ひときわ明るい笑顔で返答する雪を見て、洋助は彼女の変化にようやく気付く。
教育機関で一緒にいた頃の彼女はこんなに笑っていただろうか、もっと冷たく、冷静な印象ではなかっただろうか。
そんな違いを思い起こすと同時に、洋助自身も雪の印象に惹かれ始め、意識が変わる。
――が、その心情に本人が気付く日はまだもう少し先になりそうである。
「灯さん…、今回の戦闘もお二人に助けられてばかりでした…、まだまだです…」
山中で大厄が出現し、 緊急出動した遊撃隊。
被害も無く迅速に対処して帰還できたが、洋助の顔は沈んでいた。
「あら?洋助さん少しご謙遜が過ぎるのでは?」
「…そんな事ありません、焔さんが遠距離から援護してくれなかったら危なかった状況もありました、それに灯さんが連携を合わせてくれたのも大きいです…」
「あぁ~…、この子はほんっとに…頭固いわね、素直に褒められなさいよ!」
ぽかっ、と頭を灯に叩かれるも顔は暗いまま。
見かねた焔が庇う様に言葉を挟む。
「まぁまぁ灯さん、向上心があるのは良い事ですし、洋助さんを怒らないでください」
「焔は洋助に甘すぎるのよ、いつも優しくしちゃって」
「そうですか?灯さんが厳しいのでは?」
ぐぬぬ、と眉を寄せる灯に対し、にこにこと目を細める焔。
困惑している洋助を横目に、いつもの小さな言い争いが始まりかけたがそれを遮る声が掛けられる。
「あれ?遊撃隊も今日はあがりですか?お疲れ様です」
戦闘用のコートを脱ぎ、少し着崩した格好の巴雪は刀を携え近づく。
「おー、雪ちゃんおつかれ」
「雪さんお疲れ様です、私達は先程出撃して今戻ったとこなんです」
「灯さん、焔さんお疲れ様です、あと…洋助くんも…」
彼の名前を口に出した途端、頬を赤らめて俯いてしまう雪。
それを察してか灯は焔と目を合わせ、先程までの言い争いが無かったかのように大人しくなる。
「…あー、私達用事あったんだ、悪いけど先に退散するわ!」
「え、灯さん?今日はこの後鍛錬に付き合って貰えるって…」
「バカ洋助っ!あんたは本当っっっに!」
――ッゴ!っと、鈍く響く打撃音が洋助の腹に轟く。
拳を握り怒っている灯は、悶える洋助を気にする素振りも見せず立ち去る。
「あ、灯さーん待ってください!…っあ、では先に失礼します雪さん、洋助さん」
「ぐ、ぅぅ…、いったい、何が…」
「…大丈夫?洋助くん?」
「あ、あぁ…、大丈夫、ありがとう」
よろめきながら立ち上がる洋助は困り顔で話す。
「参ったな…これから鍛錬の予定だったのに…」
「出動後に鍛錬するなんてストイックすぎない?少し休んだら?」
「しかしなぁ…」
「あんまり鍛錬とか修行って言ってるから、灯さんも怒ったんじゃないかな?」
「…それは、…そうかもしれない、仕方ない…一人で鍛錬するか…」
考え込む洋助はがっくりとうなだれ、肩を落として後を去ろうとする。
「あ、待って洋助くん!良かったらうちの道場に来ない?」
「―――え?」
巴雪からの提案は思いもよらぬ言葉であり、魅力的な提案でもあった。
巴本家の道場、そして前当主である巴宗一郎が取り仕切る巴流を学べる機会があるとすれば、願ってもいないチャンスである。
「俺は嬉しいけど急に出向いたら迷惑掛からないかな?」
「あー…、家はそういうの緩いから大丈夫、だから洋助くんさえよければ…」
「ふむ…」
巴流の太刀筋は身に染みる程受けている、だからこそ学びたい。
その考えに至った洋助に断る理由など無かった。
「じゃあ、道場に向かわせてもらうよ、外出許可証貰ってくるからちょっと待ってて」
「あ、うん!外で待ってるから」
ひときわ明るい笑顔で返答する雪を見て、洋助は彼女の変化にようやく気付く。
教育機関で一緒にいた頃の彼女はこんなに笑っていただろうか、もっと冷たく、冷静な印象ではなかっただろうか。
そんな違いを思い起こすと同時に、洋助自身も雪の印象に惹かれ始め、意識が変わる。
――が、その心情に本人が気付く日はまだもう少し先になりそうである。
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