12 / 43
新たな問題
しおりを挟むハウラナを陥れるつもりが自分達の首を絞めることになった側室達。
特にレーネは焦って愚行に走り、取り返しがつかない事態に無い頭を痛めていた。
「どうしてうまくいかないの!私には時間がないのに!」
第三側室レーネはあと1週間で年季が終わる、つまり正妃になるチャンスはほぼ消えたのだ。
すでに離縁の為の引っ越し準備も帝国側が始めている、契約通りなので文句も言えない。
最後の手段にと、皇帝の寝室へ夜這いをかける計画をたてたが護衛たちがそれを許さなかった。
ふつう王宮に居室を持つものだが、皇帝は隣接された黒曜宮に住んでいた。
そこは軍部の機密組織でもあるため、簡単には入れない。
たかが側室など通されるわけもないのだ。
屈強な護衛を排除しなければ到底無理だし、侵入したとて謀反人として捕縛され処罰されるだろう。
結局なんの打開もできないまま、レーネは母国イースレッドへ帰された。
とうぜん白い結婚だ、皇帝クレイブとは赤の他人に戻った。
帰国後、レーネは軍国の姫らしくドレスから軍服に着替え凛とした姿に戻り鼻息荒く宣った。
「ゼベールを討つべし」
怒りの矛先をハウラナの母国ゼベールへ向けたレーネは、父である国王と王太子の兄ルードに国力にものを謂わせ潰せないかと相談したのだ。
「ふむ、お前の無念は、余の無念でもある。しかしだな相手は小国なれど優れた魔導士が大勢おる、簡単には墜とせまいよ」
軍事国家イースレッドは軍艦建造に力を入れており海戦に強い、帝国に次ぐ強さを有してはいるが魔法国と戦ったことはない。それゆえに王は危惧しているのだ。
「お気の弱いことを、あの国の脅威などほとんど聞いたことがないですわ!文献にもございません、他国も我が国も魔法を使う者がほとんどいないせいで警戒しすぎなのですわ!」
咆える妹の声に兄が言う。
「うむ、確かにな……蔑称で”臆病な鎖国”と言われてもいたな、たしかにあの国を落とせば魔道具技術は我が手に……悪くはない、艦隊と戦用に開発した魔道具を有すれば帝国さえ敵でなくなるぞ」
王太子ルードのその言葉に気を良くしたレーネはほくそ笑む。
「さすがですわ兄様!ゼベールは東海に位置する小国です、背後は険しい山脈があり逃げるのも一苦労でしょう、海側から攻めればひとたまりもないですわ」
王子と王女の強い意気込みにイースレッド王は長考し口を開く。
「我が代で偉業を達するのも悪くないだろう、優れた船を幾隻と持とうが持ち腐れ。ルードよ、ゼベールに探りをいれろ。」
「御意、すぐに密偵を放ちましょう」
特にレーネは焦って愚行に走り、取り返しがつかない事態に無い頭を痛めていた。
「どうしてうまくいかないの!私には時間がないのに!」
第三側室レーネはあと1週間で年季が終わる、つまり正妃になるチャンスはほぼ消えたのだ。
すでに離縁の為の引っ越し準備も帝国側が始めている、契約通りなので文句も言えない。
最後の手段にと、皇帝の寝室へ夜這いをかける計画をたてたが護衛たちがそれを許さなかった。
ふつう王宮に居室を持つものだが、皇帝は隣接された黒曜宮に住んでいた。
そこは軍部の機密組織でもあるため、簡単には入れない。
たかが側室など通されるわけもないのだ。
屈強な護衛を排除しなければ到底無理だし、侵入したとて謀反人として捕縛され処罰されるだろう。
結局なんの打開もできないまま、レーネは母国イースレッドへ帰された。
とうぜん白い結婚だ、皇帝クレイブとは赤の他人に戻った。
帰国後、レーネは軍国の姫らしくドレスから軍服に着替え凛とした姿に戻り鼻息荒く宣った。
「ゼベールを討つべし」
怒りの矛先をハウラナの母国ゼベールへ向けたレーネは、父である国王と王太子の兄ルードに国力にものを謂わせ潰せないかと相談したのだ。
「ふむ、お前の無念は、余の無念でもある。しかしだな相手は小国なれど優れた魔導士が大勢おる、簡単には墜とせまいよ」
軍事国家イースレッドは軍艦建造に力を入れており海戦に強い、帝国に次ぐ強さを有してはいるが魔法国と戦ったことはない。それゆえに王は危惧しているのだ。
「お気の弱いことを、あの国の脅威などほとんど聞いたことがないですわ!文献にもございません、他国も我が国も魔法を使う者がほとんどいないせいで警戒しすぎなのですわ!」
咆える妹の声に兄が言う。
「うむ、確かにな……蔑称で”臆病な鎖国”と言われてもいたな、たしかにあの国を落とせば魔道具技術は我が手に……悪くはない、艦隊と戦用に開発した魔道具を有すれば帝国さえ敵でなくなるぞ」
王太子ルードのその言葉に気を良くしたレーネはほくそ笑む。
「さすがですわ兄様!ゼベールは東海に位置する小国です、背後は険しい山脈があり逃げるのも一苦労でしょう、海側から攻めればひとたまりもないですわ」
王子と王女の強い意気込みにイースレッド王は長考し口を開く。
「我が代で偉業を達するのも悪くないだろう、優れた船を幾隻と持とうが持ち腐れ。ルードよ、ゼベールに探りをいれろ。」
「御意、すぐに密偵を放ちましょう」
10
お気に入りに追加
211
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
慟哭の螺旋(「悪役令嬢の慟哭」加筆修正版)
浜柔
ファンタジー
前世で遊んだ乙女ゲームと瓜二つの世界に転生していたエカテリーナ・ハイデルフトが前世の記憶を取り戻した時にはもう遅かった。
運命のまま彼女は命を落とす。
だが、それが終わりではない。彼女は怨霊と化した。
【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!
佐倉穂波
ファンタジー
ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。
学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。
三話完結。
ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。
2023.10.15 プリシラ視点投稿。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!
アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。
「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」
王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。
背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。
受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ!
そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた!
すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!?
※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。
※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。
※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
君と旅をするために
ナナシマイ
ファンタジー
大切なものはすべて、夕焼け色に染まっていました。
「お前は、魔力を暴走させるだけの危険物だ」
赤い髪を持って生まれた子供は“忌み子”と呼ばれ、
魔力を上手く操れない危険な存在として
人々に忌避されていました。
その忌み子でありながら、
魔法が大好きで、魔法使いとして生きる少女 リル。
彼女は、剣士の少年 フレッドとともに旅をしています。
楽しいことにも、危険なことにも出会う中で、
次第に明らかになっていく旅の目的。
そして、リルの抱える秘密とは――――
これは、とある小さな魔法使いの、後悔をたどる物語。
◇◇◇
※小説家になろう様、カクヨム様、エブリスタ様、ノベルアップ+様、ノベリズム様にも掲載しています。
※自サイトにも掲載しています。↓
https://www.nanashimai.com
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる