11 / 24
じゅういちぱいめ
しおりを挟む
1週間…待つのは長く、過ぎるのは早かった。
高橋パパと会う約束をした日曜日、蒼雨は再び電車に乗ってやって来た。
快晴で何よりですわ。心の準備は万端…ポジティブに構えよう、そうじゃないとメンタルがちっとも持たない。色々入れてきたバッグの紐をキュッと握りしめ、彼女…とお父さんの家のインターホンを鳴らす。
ピンポーン…
「………。」
ガチャッ
「………どうも。」
「こ、こんにちわ。」
うわあああ…大人怖ええええ。
2Mほどあるムキムキ巨人が玄関の扉を開けてくれたが、眉のシワは濃くメガネの眼光は鋭い。完璧に不機嫌な出迎えに蒼雨は調子に乗る余裕もなく愛想笑いでご機嫌を窺った。
「入りなさい、よつははいない。」
「あ、はい、お邪魔しまっす。」
念のため電車に乗ってる間にメールで確認したが、バッチリ友達と遊んでる最中らしい。緊張のあまり鳩のように首をスイングさせながら恐縮して蒼雨は敷居を跨いだ。
カチリ
後ろから高橋パパが鍵を閉める音がした。
1度訪問したから1階の間取りはなんとなく分かる。後ろから追いたてられずともリビングに向かい、入る前に背後から高橋パパが追い越す。ちょっと触れただけだけど胸板すっげ…ぐえっ、ゴムまり投げられたみたいな衝撃で木製の縦枠に顎をぶつけた。
「っ…。」
いてて…涙目でヒリつく顎をさすっていると、日光がフローリングに差し込むほど良いお天気だと言うのに高橋パパはカーテンを丁寧に閉めた。おっと…これで完全犯罪ですね分かります(震え声)。
「座りたまえ、お茶は温冷どちらがいい?」
「あっその、どっちでも……冷!冷お願いします!」
無言でこちらを振り返られると虎に睨まれるみたいで怖いよ~~。いかんいかん僕、ビビりすぎだぞ…!座って深呼吸、落ち着こう。なんたって弱味を握ってるのは僕だ…暴力に訴えられたら無意味だけどね。
「ありがとうございます。」
意識して、ピカピカに磨かれたグラスに注がれた麦茶をもらう時は冷静を保った。
あ、味濃いめ美味しい。冷蔵庫で冷え冷えだ。
「………。」
1番遠い席に高橋パパは腰掛ける、そこが彼の専用席なんだろうな。やたらソワソワしてるけどタバコでも吸いたいのかな?ヤニの匂い全然しなかったけどなぁ。味に出るし。
「お茶…美味しいです。」
「そうか。」
「あの、お話があるって聞いたんですけど…」
「あ、ああ。そうだな。」
意外…鉄面皮みたいな表情してたけど高橋パパも相当緊張してるみたいだ。拳を口元に当ててぎこちなく咳払いする。
「ん、ん"っ…遠方からわざわざ来てくれて感謝する。話と言うのは…2つある。君らの意思を蔑ろにして抑圧したいわけではないが、私にとってよつははまだ幼く大切な娘なんだ。分かってくれるか。」
「……はい。」
「だから…その、君のような破廉恥で不純な青年との交際に肯定出来ない、私はあの子の父親だから。」
うーん、ハッスルした僕に迫られたお父さんが言うと言葉の重みが違うね。やり過ぎたと今さら後悔…後悔はしてないな、最高だった。
「君も、人様の大事なご子息だから頭ごなしに否定したくない。その、テクニシャンであることは認めるがーーー」
「大事?ハッ、僕が大事なご子息だって?あいつらはーーー僕なんてどうでもいい!何も知らないくせに大人だからって偉そうに建前建てないでくださいよ!!」
はっ…つい大きな声で怒鳴ってしまった。
全て言い切ってから大後悔。息を荒くして席を立ち、歯を食い縛っても高橋パパは涼しい顔していた。これが大人の余裕……。ただ、申し訳なさそうに頭を軽く下げた。
「そうだな、事情も知らず失礼した。これは君自身の問題だったな。」
「……いえ、すみません大きな声出して。」
「ーーーーーーいや、なんでもない。」
何かを言いかけたのか高橋パパは口をつぐんだ。
高橋パパと会う約束をした日曜日、蒼雨は再び電車に乗ってやって来た。
快晴で何よりですわ。心の準備は万端…ポジティブに構えよう、そうじゃないとメンタルがちっとも持たない。色々入れてきたバッグの紐をキュッと握りしめ、彼女…とお父さんの家のインターホンを鳴らす。
ピンポーン…
「………。」
ガチャッ
「………どうも。」
「こ、こんにちわ。」
うわあああ…大人怖ええええ。
2Mほどあるムキムキ巨人が玄関の扉を開けてくれたが、眉のシワは濃くメガネの眼光は鋭い。完璧に不機嫌な出迎えに蒼雨は調子に乗る余裕もなく愛想笑いでご機嫌を窺った。
「入りなさい、よつははいない。」
「あ、はい、お邪魔しまっす。」
念のため電車に乗ってる間にメールで確認したが、バッチリ友達と遊んでる最中らしい。緊張のあまり鳩のように首をスイングさせながら恐縮して蒼雨は敷居を跨いだ。
カチリ
後ろから高橋パパが鍵を閉める音がした。
1度訪問したから1階の間取りはなんとなく分かる。後ろから追いたてられずともリビングに向かい、入る前に背後から高橋パパが追い越す。ちょっと触れただけだけど胸板すっげ…ぐえっ、ゴムまり投げられたみたいな衝撃で木製の縦枠に顎をぶつけた。
「っ…。」
いてて…涙目でヒリつく顎をさすっていると、日光がフローリングに差し込むほど良いお天気だと言うのに高橋パパはカーテンを丁寧に閉めた。おっと…これで完全犯罪ですね分かります(震え声)。
「座りたまえ、お茶は温冷どちらがいい?」
「あっその、どっちでも……冷!冷お願いします!」
無言でこちらを振り返られると虎に睨まれるみたいで怖いよ~~。いかんいかん僕、ビビりすぎだぞ…!座って深呼吸、落ち着こう。なんたって弱味を握ってるのは僕だ…暴力に訴えられたら無意味だけどね。
「ありがとうございます。」
意識して、ピカピカに磨かれたグラスに注がれた麦茶をもらう時は冷静を保った。
あ、味濃いめ美味しい。冷蔵庫で冷え冷えだ。
「………。」
1番遠い席に高橋パパは腰掛ける、そこが彼の専用席なんだろうな。やたらソワソワしてるけどタバコでも吸いたいのかな?ヤニの匂い全然しなかったけどなぁ。味に出るし。
「お茶…美味しいです。」
「そうか。」
「あの、お話があるって聞いたんですけど…」
「あ、ああ。そうだな。」
意外…鉄面皮みたいな表情してたけど高橋パパも相当緊張してるみたいだ。拳を口元に当ててぎこちなく咳払いする。
「ん、ん"っ…遠方からわざわざ来てくれて感謝する。話と言うのは…2つある。君らの意思を蔑ろにして抑圧したいわけではないが、私にとってよつははまだ幼く大切な娘なんだ。分かってくれるか。」
「……はい。」
「だから…その、君のような破廉恥で不純な青年との交際に肯定出来ない、私はあの子の父親だから。」
うーん、ハッスルした僕に迫られたお父さんが言うと言葉の重みが違うね。やり過ぎたと今さら後悔…後悔はしてないな、最高だった。
「君も、人様の大事なご子息だから頭ごなしに否定したくない。その、テクニシャンであることは認めるがーーー」
「大事?ハッ、僕が大事なご子息だって?あいつらはーーー僕なんてどうでもいい!何も知らないくせに大人だからって偉そうに建前建てないでくださいよ!!」
はっ…つい大きな声で怒鳴ってしまった。
全て言い切ってから大後悔。息を荒くして席を立ち、歯を食い縛っても高橋パパは涼しい顔していた。これが大人の余裕……。ただ、申し訳なさそうに頭を軽く下げた。
「そうだな、事情も知らず失礼した。これは君自身の問題だったな。」
「……いえ、すみません大きな声出して。」
「ーーーーーーいや、なんでもない。」
何かを言いかけたのか高橋パパは口をつぐんだ。
1
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる