~快楽調教淫乱時代♡~一騎当千の武士の体を隅々までスケベに調教します。

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快楽調教8

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真っ暗な闇の中、店の前に仁王立ちした。
怒る武士の勢いは手負いの狼のようで
誰にも手をつけられぬものだった。

ダンダンダン!ダンダンダン!

出入口を塞いだ木の扉が割れる勢いで
乱暴に店の出入口を叩く。
しかし反応がない。

もう一度バンバン殴ってようやく奥から
パタパタ階段を降りる足音が聞こえた。
それから木の扉の向こうで不機嫌そうな
声がくぐもって話しかけてきた。

「誰ですか。おっとさんは目覚めが悪い。
いたずらで騒がしくすると殺されますよ。」

「俺だ…!出てこい!」

こちらはすぐにシロの声だと分かったが
相手は思わぬ訪問に驚いた様子だった。

「藍乃介様…?どうしてここへ?」

ガチャガチャ錠を外す音。
ガラリと戸を開けた向こうの調教師は
本当に俺がいることに吃驚していた。

「今宵は逢瀬ではありませんでしたか?」

呆けた声を出す男が憎たらしい。

「お前が…っ!」

なりふり構わず胸ぐらを掴み上げた。
何ものよりも怒りが勝っている。
顔を近づけたことで、シロは何かを
察したようで、両手を天に上げた。
そして武士を刺激しないよう穏やかに言った。

「殴るならどうぞ、抵抗しません。
しかしここに居ては近所迷惑であります。
店の評判が落ちると私がおっとさんに
殺されてしまいます。言いたいことが
あるならば、二階へ来て下さい。」

「む、ぐっ…!」

武士として、帯刀さえしてない
無抵抗の人間を殴るのは気が引ける。
それすら思惑通りな気はしたが
誇りが振り上げた腕を宥め降ろした。

足が少し浮くほど掴みあげた胸ぐらを
離すとシロはすぐ背を向け、階段を上がる。
その後ろへ衝突する勢いで追い掛けた。

「お前のせいで…!」

部屋に一歩入った瞬間怒鳴り声を上げると
足払いをされて簡単に布団の上に倒れた。

「いっ…!」

受け身を取る暇もなく顔面からいったせいで
鼻をしたたかに打ち眉をひそめて
顔を上げると奴は慣れた手つきで俺の体を
反転させ、仰向けになった上に覆い被さり
唇を深々重ねてきた。

「むぐっ…!」

不躾なそれを噛み千切ってやろうと思うが
自分の舌を間に引きずり出されれば
このまま奴と心中することになる。
思いきって体を突き飛ばした。

「やめろ、お前がーー!」

叫んでも片手で頭の天辺を押さえ
顎を固定されますます深い口づけを
口内の隅々まで与えられる。

「ん、んむっ…!」

口を噛る勢いで全てを舐められ初めて気づく。
飲み下したとはいえ、口を洗っていないので
まだ口内はお館様の精の味がするはずだ。
お館様は「汚れている」と突き放したのに
どうしてシロは接吻をするんだろう?

「いやだっ…!やめろ…!」

さっきより腕に力が入っていない。
それなのに俺の空気を全て奪い取るように
シロは濃厚な口づけで口の中をどろどろに
いやらしく溶かした。

「あ、ふ…。」

悔しいが、調教師の接吻は上手い。
官能を刺激されすぎて、不随運動で
体の端がぴくぴく震えた。
快楽の涙か眦から零れる。
すっかり蕩けていると、糸を引いた
唇を離したシロがじっと俺を見つめた。

「何でもお話下さい、藍乃介様。」

「あ、あ…っ。」

一瞬…怒りを忘れていた。
しかしいけしゃあしゃあと聞いてくる奴へ
再び熱が燃え上がり、先程と同じように
強い意思で胸ぐらを掴んだ。

「お前が、お前があんなことするから…!
跡なんて、残したりするから…!」

「まさか素直に見せたのですか?」

「愛しい人に見せられるものか!
教えられたように、愛したのに…!
触れさせてもらったのに…追い返された!
最後まで、最後まで出来たらお館様は…!」

「体を与えたら達成したのですか?
あなた様はそれで良かったのですか?」

何故か淡々と追い詰められていく。
苛々が募り、頭を左右に振った。

「ーーー!うるさい!俺の命の全ては
お館様のものだ!それだけでも良かった!」

「でもあなたはそうしなかった。
足の傷を見せないように無理やり押し倒せば
体だけは差し出すことも出来たのにあなたの
何かがそれを引き止めた。違いますか?」

調教師の容赦ない低い声が止めを刺した。

「あ…。」

そうだ、俺はそうすることもできた。
あの時お待ちくださいとお館様に声を掛けて
無理やりすることはできたと思う。
だけどそうしなかった。
それは…俺が…どうして…?

胸ぐらを掴んだ指が緩む。
それを離さないよう男が手を握った。

「そう、違ったのですね?あなたの中で
何かが違うと感じた。だからできなかった。」

宥めるシロの静かな声に素直に頷いた。

「そう…だ…。」

間抜けなことに俺はお館様に
「同じこと」を求めていた。

「お前がしてくれるように…。」

頑張った時に褒めて欲しかった。
頭を撫でて愛しい言葉を囀ずって欲しかった。
そんな甘い夢を見ていて、お館様との蜜月は
きっとそうであるとばか正直に思っていた。

そうはいかなかった現実に憤慨し
浅はかな俺は子供のように喚いてここまで
文句を言いに来た。
気づくと自分が馬鹿だ。でも、でもーー。

「お前が…あんなことするから…。」

「噛み跡ですか?」

「違う…!その、褒めたり、撫でたり
するから俺は勘違いしたんだ…!」

自分でも何を言ってるのだと馬鹿にしたい。
何でもいいから八つ当たりがしたかった。

「藍乃介様。私は裏社会に生きるただの
調教師です。お館様のように振る舞うことは
出来ません。それとも私をお館様の代わりに
したかったのですか?」

「ち…がう…。」

お館様は、お館様だ。
誰かに代わりが出来るはずもない。
的外れなことを言ってるのは分かってる。
だから言葉が続かない。

「俺の…煩悩のせいか…。欲張ったせいで
見透かされてしまったのか…。」

「思い出すのがお辛いでしょうが、
良ければシロめに話して下さいな。
何が、あったのですか?」

「…うん。」

優しい言い方に絆されてべらべらと
起こったこと全てをシロに話した…。

「…なるほど。」

「………!」

隣に横になったシロが頭を撫でるものだから
すっかり甘えて抱きしめられていた。
話終えてすぐ気づいて、さっと体を離す。

「藍乃介様。」

「な、なんだ…。」

泣きながら喚いたせいで
声がガラガラ掠れている。
シロはあくまで落ち着いた声で返した。

「恋愛経験のないあなたには酷かも
知れませんが…。愛しい人と必ず望むように
結ばれることって大変難しいことですよ。」

その言葉には深い説得力があった。
だが意味がよく分からないと首を傾げる。

「心で想っていても体の相性が異なることは
あると言うことです。相手は一国の城主です。
身分が違えば人生の経験も違う。」

「ううん…?」

「納得出来ないのはあなたのせいではなく
生きる環境が異なれば自然と異なるものです。
あなたが深刻に考えるほどのワガママや
欲望とは違うと思いますよ。」

「何を言っているのか…分からんのだが。」

「…はっきり進言申し上げても?」

「う、うん…頼む。」

「ええと…予測で酷いことを言いますが
恐らくお館様から望むような愛情を
寵愛されることはない、ということです。」

「!そんな…嘘だ…!どうしてそんなこと…
お前に一体、何が分かると言うのだ!」

酷い言い方に調教師が意地悪してると思った。

「これでも快楽調教師。生きてて多様な人と
関わってきました。身分違いの恋慕は
土台、基礎的なことですよ。」

嘘だと返して欲しいのに…調教師は本気で
言っているようだった。

「そもそもあなた方は男同士。
あなたは少女のような甘い恋を期待しても
相手は城主。必ず世継ぎを他の女性と
残すことになります。分かりますね?」

「それは、分かった上で…!」

「分かっているつもりでも納得していない。
心が全てを受け入れられていない。
何でいいから愛されたい、そう必死になれば
お館様はあなたから離れていくでしょう。」

「そんな…。俺は…もう、お館様と
結ばれることは…出来ない…のか?」

「いえ、私が育てるので望めば可能です。
ただし繋がるのは体のみ。物語で言えば
これは悲恋。あなたが望む美しい結末は
…きっと得られない。」

「……そっか。」

非情なまでに言葉を濁されずに言われた。
胸に刃を立てられたように痛むが
おかげで逃げ道がないことを知らされた。

「俺は…お館様が…好きなだけなのに。」

「批判ではありませんが、ご存知ですよね。
事実として城主は女遊びで有名な方です。
そんな経験豊富な方と、乙女のように恋する
童貞の武士。どこかで食い違うと思って
いましたが、流石の私でも起きる前から
それを宣告するのは酷だと思いました。」

「俺の好きとお館様の思いは違うのか?」

「あなたには出来ることでしょう。
今ある全ての地位を投げ出してでも
添い遂げたいと。しかし国を守るお館様には
それはどうしても不可能なことでしょう。
お互い愛し合っているが愛の形が僅かに違う。
それだけでもきっと苦しいですよね。」

「ああ、苦しいよ…!」

「分かりますよ。私もそうですから。」

「…?」

歌うように調教師は言ったがいくら尋ねても
それ以上は答えなかった。

吐き出して、ずばっと言われて少し
胸がすっきり軽くなった気がする。
不安でぽっかり空いた胸の隙間の理由が
分かっただけでも気分が落ち着いた。

泣き腫らして痒い目を擦る。

「悪かったな…お前のせいにしたりして。」

冷静になると、罪悪感が芽生える。
ひどい言いがかりをしてしまったと
誠意を込めて謝るがシロは静かに微笑んだ。

「訪問してくれて嬉しかったですよ。
あなたのことだから、嘆きのあまり…」

「何をぼそぼそ言ってるんだ?」

「……いえ、せっかく来てくれたのですから
火照った体を慰めて上げましょうか。
どうせ半端なままだったんでしょう?」

「なっ…!?」

予告もなく、足の間に腿をぐっと
押し当てられる。
お館様に触れられて高ぶっていた
下半身がぴくりと反応してしまう。

身をよじろうにも器用に絡まれ、腰を引き
寄せられて頬に耳にしつこく口づけられる。

「い、いいからっ…♡もう、帰るから…!」

「…あなたが望むのであれば私は望み通りの
姿になりましょう。目を閉じて下さい?
私をお館様と思ってもいいのですよ?
代わりになれなくとも彼の人に触れて貰うと
思って瞼の裏に描けば興奮するでしょ?」

「えっ…?そ、それは、どういう…?」

「素敵な夢を見せてあげるのですよ。
夢だと思ってしまえば楽になりますよ。」

目を見開いて男を見ると、その視界を
闇に奪われる。
直前に持っていた手拭いで両目をふわりと
覆われたようだ。

「シロっ…!?な、何をする気だ!?」

首筋や胸元にまで口づけられると
流石に戸惑いを隠せず慌てる。
シロはやはり、歌うように応えた。

「悲しかったでしょう、寂しかったでしょう。
初めての逢瀬に傷をつけてはいけません。
仮の癒しだったとしても、いい思い出を
残して差し上げましょう。」

「いい思い出…?」

「まぁ平たく言えばいつも通り
気持ちよくして差し上げますよ。
さあ、何も考えずに私をお館様と思って
善がりなさい。与えてもらいたかった
幸せな寵愛を瞼の裏に描いて。」

男の熱くぬめる舌が肌をなぞる。
視覚を奪われたせいでいつもより
鋭敏に感じてしまう。

「ん、あっ…!♡」
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