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男園ムショ暮らし 2
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ほうほう一日のスケジュール…
早朝五時半、点呼
六時から朝食
八時まで自由時間
十二時まで午前作業
十三時まで昼食
十四時まで読書
十九時まで午後労働
十九時半、シャワー
二十時以降房を出てはいけない
二十一時には就寝…。
音を立てたり看守の許可なく会話をしてはいけない。違反すれば食事抜き。
一体このスケジュール表誰が助かるんだ?
こんなもん一回見れば覚えるだろうが。
「ふあーあ」
明日からのスケジュールを確認するモモは退屈のあまり欠伸をかます。青年、学はないが大抵のことは努力せずに実行出来る天才肌だった。しかし本人は無自覚である。
暇を持て余してぐるり、房を見渡す。
センパイ方はすっかりゲームに夢中だ。
俺、あんま顔とか覚えられねんだよな。
ち×この大きさはすぐ覚えるけど。
歯の欠けたおっちゃんに声を掛けた。
「おん?なんだ。」
「パンツ脱ぐのと自己紹介してくれるのどっちがいい?」
「なんで脅迫するかなこの悪ガキわ!あっ畜生負けた!ええい…オレはカキだ!本名じゃねえぞっ。柿も牡蠣も大好物なんだよ。先輩と呼べよ坊主。」
「ふーん。」
やたらツッコミたがるおっさん、と。
次は自分の番かと苦い笑顔のおっちゃん。
「おいらぁナシだ。取り柄なーんもねぇ。若造にナメられて当然だ。」
優男。それだけ。はい次。一番年配のお爺ちゃんだ。堂々とした風格、ゲームにも一人勝ちしたようだ。
「ほっほっほ、わしはウリと呼ばれとるよ。坊やくらいの年の頃な、ちぃとチャカや違法なモノを30年ほど売り捌いておってな。直接手を汚したことはないが年を食って自首したのだよ。それでもムショ歴は十年とそこそこ長いぞ。」
あと二十年早く会えてたら結構激しそうなタイプ。そこだけ残念かな。次、大福。
「ぼ、僕はリリィきゅんを悪く言った奴に制裁を………でも、あんな、ことするつもりなんてなかったんだ……。もっと良い方法を取っていれば………。僕はパイン。いずれ闇の魔法使いになるのさ。」
うん、わかんねぇ。ずっと何かのイラストを凝視してるやつ。大体全員の特徴は分かったかな。仲良くなるためには相手のことを知る。客を取る基本だった。それじゃ飽きたことだしもう寝ようって時だった。
カキが納得行かない様子で眉をひそめた。
「待てよ、オレたちゃお前のことを知らねぇぞ。先輩にご挨拶くらいするのがスジってもんじゃねえか?」
先輩先輩うるせー。
眠い目を擦って頭を起こす。
「俺はモモ。名前はない。筋金入りのア×ニー派だ。俺にア×ニーさせてくれる奴…つまりセ×クスしてくれる奴が大好きだ。」
「これ、聞く必要あったか…?」
「う~ん…」
「坊や、綺麗な顔をしてるが人を殺したと聞いたぞ?その若さで一体誰を殺めたんだい。」
「父親さ。」
「ほう?」
「酒を飲むか母親とヤッてるか俺を殴るかしかしないクズでさ。いつも弱い俺たちは腹を空かせてんだ。少しでも良い暮らしが出来るようにさ?俺が体を売り出したら俺を手込めにしようとしたんだ。全く、救えない野郎だったさ。だから…」
「おい、お前…」
「指と×××を噛み千切って三日後にコロしたんだよ。」
あっけらかんと語る青年の笑顔は絶えないがそのことが愉快、と言う様子ではない。その感情は何も読み取れなかった。
「自首したって聞いたがそれは何故だ?」
「決まってんじゃん?ア×ニーするためですけど♪」
「……。」
「………。」
「…………。」
「サイコだ…。」
世間を、道徳を知らず無邪気な青年は自分の欲望に純粋に忠実であった。どんな理由があろうと「罪を償う」ことを知るのはまだ先になるだろう…。
早朝五時半、点呼
六時から朝食
八時まで自由時間
十二時まで午前作業
十三時まで昼食
十四時まで読書
十九時まで午後労働
十九時半、シャワー
二十時以降房を出てはいけない
二十一時には就寝…。
音を立てたり看守の許可なく会話をしてはいけない。違反すれば食事抜き。
一体このスケジュール表誰が助かるんだ?
こんなもん一回見れば覚えるだろうが。
「ふあーあ」
明日からのスケジュールを確認するモモは退屈のあまり欠伸をかます。青年、学はないが大抵のことは努力せずに実行出来る天才肌だった。しかし本人は無自覚である。
暇を持て余してぐるり、房を見渡す。
センパイ方はすっかりゲームに夢中だ。
俺、あんま顔とか覚えられねんだよな。
ち×この大きさはすぐ覚えるけど。
歯の欠けたおっちゃんに声を掛けた。
「おん?なんだ。」
「パンツ脱ぐのと自己紹介してくれるのどっちがいい?」
「なんで脅迫するかなこの悪ガキわ!あっ畜生負けた!ええい…オレはカキだ!本名じゃねえぞっ。柿も牡蠣も大好物なんだよ。先輩と呼べよ坊主。」
「ふーん。」
やたらツッコミたがるおっさん、と。
次は自分の番かと苦い笑顔のおっちゃん。
「おいらぁナシだ。取り柄なーんもねぇ。若造にナメられて当然だ。」
優男。それだけ。はい次。一番年配のお爺ちゃんだ。堂々とした風格、ゲームにも一人勝ちしたようだ。
「ほっほっほ、わしはウリと呼ばれとるよ。坊やくらいの年の頃な、ちぃとチャカや違法なモノを30年ほど売り捌いておってな。直接手を汚したことはないが年を食って自首したのだよ。それでもムショ歴は十年とそこそこ長いぞ。」
あと二十年早く会えてたら結構激しそうなタイプ。そこだけ残念かな。次、大福。
「ぼ、僕はリリィきゅんを悪く言った奴に制裁を………でも、あんな、ことするつもりなんてなかったんだ……。もっと良い方法を取っていれば………。僕はパイン。いずれ闇の魔法使いになるのさ。」
うん、わかんねぇ。ずっと何かのイラストを凝視してるやつ。大体全員の特徴は分かったかな。仲良くなるためには相手のことを知る。客を取る基本だった。それじゃ飽きたことだしもう寝ようって時だった。
カキが納得行かない様子で眉をひそめた。
「待てよ、オレたちゃお前のことを知らねぇぞ。先輩にご挨拶くらいするのがスジってもんじゃねえか?」
先輩先輩うるせー。
眠い目を擦って頭を起こす。
「俺はモモ。名前はない。筋金入りのア×ニー派だ。俺にア×ニーさせてくれる奴…つまりセ×クスしてくれる奴が大好きだ。」
「これ、聞く必要あったか…?」
「う~ん…」
「坊や、綺麗な顔をしてるが人を殺したと聞いたぞ?その若さで一体誰を殺めたんだい。」
「父親さ。」
「ほう?」
「酒を飲むか母親とヤッてるか俺を殴るかしかしないクズでさ。いつも弱い俺たちは腹を空かせてんだ。少しでも良い暮らしが出来るようにさ?俺が体を売り出したら俺を手込めにしようとしたんだ。全く、救えない野郎だったさ。だから…」
「おい、お前…」
「指と×××を噛み千切って三日後にコロしたんだよ。」
あっけらかんと語る青年の笑顔は絶えないがそのことが愉快、と言う様子ではない。その感情は何も読み取れなかった。
「自首したって聞いたがそれは何故だ?」
「決まってんじゃん?ア×ニーするためですけど♪」
「……。」
「………。」
「…………。」
「サイコだ…。」
世間を、道徳を知らず無邪気な青年は自分の欲望に純粋に忠実であった。どんな理由があろうと「罪を償う」ことを知るのはまだ先になるだろう…。
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